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才能をつくるのは多様な経験から?認知発達から紐解く、子どもの才能開花を解説!

作成者: KIDSKI STYLE編集部|2024/10/4

子どもの才能をどう見つけ、どのように伸ばすべきか?そう考える保護者は少なくないでしょう。娘のIQが高いと話題になったお笑い芸人のチャンカワイさんと、発達心理学の専門家である沢井佳子先生が対談。司会には、アナウンサーの石野智子さんをお迎えしました。親の視点と専門的な知見から、子どもの無限の可能性を発見するためのヒントを探ります。前編では、発達心理学の観点から見た才能と得意、チャンカワイさんの子どもの才能に気づいたきっかけについてお話いただきました。

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そもそも「才能」や「得意」ってどう育まれるの?

石野さん:チャンさんは、才能・得意と聞いてどのようなイメージをお持ちですか?

チャンさん:才能と言われると、「どうしても変えようのない質」のイメージがあります。得意は、「植え付けてあげるもの」というイメージがあります。「君はこれが得意だね」と人から言われると、気分が乗って本当に得意になると感じます。つまり、才能は「もともと持っているもの」、得意は「あとからでも伸ばせるもの」というイメージです。

石野さん:認知発達の観点から、沢井先生はどのようにお考えでしょうか?

沢井先生:「もともと持っているもの」というのはあると確かに思います。例えば、赤ちゃんには生まれつき「まねっこ」をする才能があります。

才能と得意は、生まれつきのものなのか、学習によって習得したものなのかというお話がでましたが、赤ちゃんには学習する才能が生まれつきインストールされていると考えています。

生まれる以前に、お母さんのおなかの中にいる胎児の頃から、学習する準備が整っているという事実も見いだされています。

チャンさん:おなかの中にいるときの胎教が身についているということですね。

沢井先生:おなかの中でも学んでいることは多いのです。例えば、お母さんのおなかを蹴ってどこまで自分の体を動かせる空間なのかということを認識しているらしいのです。つまり、胎児にも「生まれつきあるものを使って学ぶ才能」があるということです。

石野さん:それでは、得意について、沢井先生はどのようにお考えでしょうか?

沢井先生:何が得意かということに、生まれつきの才能が関わっているかもしれません。特に、才能によって「○○は上手になりやすい」という傾向や気質はあると思います。

生まれたばかりの赤ちゃんが「どんな子なのかな」というのは、助産師の方が最初に気づきやすいといわれています。助産師の方々が書かれた報告書を読んだことがあるのですが、赤ちゃんを湯船に浸けたときにバシャバシャと泳ぐような動きをする赤ちゃんがいる一方、湯船でゆったりとくつろぐ赤ちゃんもいて、タイプがはっきりと分かれるようです。このようにタイプが分かれる赤ちゃんたちを、この先小学校まで見ていったらどうなるのかということを、助産師の方が追跡調査して、報告書にまとめたんです。

それによると、産湯でバシャバシャと泳ぐタイプの子どもは小学校でも活発な子どもだったそうです。湯船でくつろぐタイプの子どもはおとなしく、じっとしている時間が長いという傾向があったそうです。

チャンさん:面白いですね。子どもを社会に結び付けてあげるというのが大人の役目でもあるから、子どもの傾向から何を伸ばしてあげるかが考えられますね。

沢井先生:そうですね。やはり、バシャバシャと泳ぐタイプの子どもと湯船でくつろぐタイプの子どもは、得意の芽の違い、色合いの違いというのがあって、この違いは生まれつきのものだと考えています。ただ、才能や得意をどのように伸ばしていくかは、それからの環境次第ですね。

石野さん:ここまでは才能と得意という言葉を使ってきましたが、発達心理学の観点からはどのように定義されるのでしょうか?

沢井先生:発達心理学においては、遺伝と環境の相互作用だといわれています。どの程度の相互作用なのかというと、さまざまな議論があります。遺伝が圧倒的に強いという方もいれば、環境が圧倒的に強いという意見もあります。

子どもが「やりたいこと」はどんどんやってみる

石野さん:チャンさんは子育てを通じて、子どもの才能や得意に気づいたのはどのような瞬間でしたか?

チャンさん:親としてはわからないので、子どもが「やりたい」ということをまず習い事などでやらせてあげて、「伸びた」「これからもやりたい、続けたい」ということを尊重してあげるということをやっています。

子どもが「新体操をやりたい」と言って連れて行ったら、子どもの足が少し反るタイプの足で新体操向きの足で「才能があります」と言われました。本人もメキメキ伸びていって、今小学2年生で強化選手に入っています。親としては、どんどん頑張ってほしいと思っています。

どこに子どもの才能が隠れているかはわからないので、やりたいということはどんどんやらせています。

沢井先生:チャンさんのお子さんは、どのようなことがきっかけで「新体操をやりたい」と言ったのでしょうか?

チャンさん:テレビでオリンピックを見ていたことがきっかけで、「新体操をやってみたい」と言うようになりました。

沢井先生:こういう観点から、やはりテレビは役に立ちますよね。親子で一緒にテレビを見ると、「これやってみたい」など必ず響くものがあります。才能・得意を見つけてあげるというのはとても難しいことですが、親子で一緒に見回すということはとても大事なことだと思います。

石野さん:チャンさんは子どもが夢中になっているものがある場合、親としてのかかわり方をどのように工夫されていますか?

チャンさん:子どもが「行きたい」「やりたい」と言ったら、即行動するようにしています。僕は年間250日以上ロケに行っています。だから、足を運ぶ大切さが身に染みています。やはり、聞いたことや読んだことと実際に見たものは違います。

子どもたちにも、「まずはやってみる」を実践するようにしています。

沢井先生:アクティブに、子どもにさまざまな体験をさせてあげるということは素晴らしいことですね。「百聞は一見に如かず」で、子どもに多くのことを体験させてあげるほど、才能を発見するチャンスが多くなると思います。

最近は、インターネットで見て知っている、聞いたことがあるという方は増えているかと思います。このような中で、実際にやってみたというのはとても重要かもしれませんね。体験というのは学習の基本といえます。

親は子どもの「コンシェルジュ」

石野さん:子どもの才能や得意を見つけるための環境づくりについて、ぜひ沢井先生にお伺いしたいです。

沢井先生:長年子どもの教材づくりに携わってきましたが、子どもが「外に出て体験してみよう!」とする背中を押したいと思っています。例えば、季節。秋だったら、外に出たらいろいろな虫がいる、冬だったら、雪が降ったら見てみようと、外に出て実物を見る体験になるように、教材を作りたいと考えています。そのためには、面白い映像を見せて「家のそばにもあるから行ってみよう」と、外に出るきっかけになるといいと思っています。

映像だけでなく、本やインターネットなどさまざまなツールがありますが、大事なのはお父さんお母さんが、子どもと一緒に見るということです。

3歳ぐらいの子どもだとまだテレビの意味は完全にはわからないので、親はコンシェルジュとして、「これは○○だね」「お母さんもこれ好きなんだ」などと会話をすると、子どもは理解することができます。ここから、「ぜひ一緒に行ってみよう!」と刺激になるようなものを、子ども向けにテレビ番組で出したいと考えています。

石野さん:親はコンシェルジュというのがとてもしっくりきました。

沢井先生:「コンシェルジュ」といった意味は、親は「先生」とは違うということです。先生だと「指導して教えている」となってしまいます。子どもは漠然と「何かをしたいということ」を持っています。その漠然とした何かを探るため、親はコンシェルジュとして「具体的にこんな選択肢があるよ」と見せて、選択をさせてあげましょう。さまざまなことを子どもに選択させることは、子どもの視野を広げることにもつながります。

幼少期の経験は「富士山の裾野」

石野さん:続いては、幼少期の認知発達に関してお話をしていきます。子どもの才能を開花させようとした場合に、親はどのような機会を提供したらいいのか?ということについて、沢井先生教えてください。

沢井先生:幼少期の子どもというのは、いろいろなことを伸ばしたい時期にあります。子どもの個性を大切にするということはもちろんありますが、0~6歳の間は富士山の裾野のように幅広く、いろいろな経験をしてほしいと思っています。そのため、「算数・数学だけは得意になってほしい」などとある部分だけ集中的に頑張らせるということは、この時期にはあまりしてほしくないと考えています。早くに才能を見つけて、それだけを伸ばそうとしてしまうと、発達の仕方がアンバランスになってしまうかもしれません。

やはり、幼少期には「遊ぶこと」に尽きると考えています。できるだけいろいろな場所に出かければ、それだけいろいろな遊びをしたり、いろいろな人に出会ったりするきっかけになります。そうすると、富士山の広い裾野にある、さまざまな畑を一通り耕すことにつながります。

石野さん:どのような活動をしていけば認知発達に貢献できるのか、どういった経験が子どもに必要なのかを教えてください。

沢井先生:幼児の場合は、普段の生活や生活習慣にたくさん認知発達の機会があります。親としては、文字や数などを早くやらせないと…と考える方もいらっしゃると思いますが、このような学びの内容は普段の生活の中にたくさん存在しています。例えば、1日の中で朝ごはん・昼ごはん・夜ごはんという繰り返しがあります。こういった規則正しい生活の中には、繰り返しの決まりを見つけるという、論理性の学びがたくさんあります。

また、普段の生活の中で、お母さんの話を聞いて理解して何かをするといった、家庭の中でのお手伝いがあります。こういった作業も認知発達につながります。

先ほど、テレビなどを親子で一緒に見るのが大事だというお話がありましたが、これも認知発達につながります。子どもが視るのは、テレビだけでなく、「パパやママはどんな顔して見てるのかな?」と、振り返って、お父さんやお母さんのこともよく見ています。

大好きなお父さんやお母さんと一緒にテレビを見たりゲームをしたりすることは、三項関係という、自分・親・見る対象の三角形を作って、話題に参加する経験となり、子どもの認知発達につながっていきます。子どもには、コンシェルジュとしてそばにいて、「一緒に世界を評価する人」が最低1人は必要だと考えています。

チャンさん:認知にはやはり感情がとても大切で、共有があるから喜びになるんですね。

沢井先生:子どもは感情の認知もしています。「この人は怒っている」「この人は喜んでいる」といろいろな表情を見分けます。この部分は、普段の生活で親がいろいろな感情や表情を見せる機会を作る必要があります。

チャンさん:親の方が感情を出すことを怖がっている人がけっこういるように感じます。「怒れない」「怒れないからほめ方がわからない」と聞くことがあります。やはりきちんと子どもに表現をしてあげないといけないんですね。

石野さん:チャンさんは子どもに感情を表現されていると思いますが、感情を表現するパパを見て子どもたちはいかがでしょうか。

チャンさん:子どもたちも喜んでくれています。次女はあまり感情を表現するタイプではなかったのですが、パパとママ、長女も「すごいね!」など感情をとても表現するタイプなので、だんだん表現するようになってきました。表現できるようになったことで、運動会の選手宣誓に選ばれていました。

感情を表現するということは、他の人にも移っていくものだと感じました。

後編では、子どもの才能を発見した時に親がやるべきことや、チャンカワイさんの子育て経験談について詳しく教えてもらいました。

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