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子どもは親の感情を観察している?子育ての重要なキーワードは「子どもと一緒に〇〇」

作成者: KIDSKI STYLE編集部|2024/10/4

子どもの才能をどう見つけ、どのように伸ばすべきか?そう考える保護者は少なくないでしょう。娘のIQが高いと話題になったお笑い芸人のチャンカワイさんと、発達心理学の専門家である沢井佳子先生が対談。司会には、アナウンサーの石野智子さんをお迎えしました。親の視点と専門的な知見から、子どもの無限の可能性を発見するためのヒントを探ります。後編では、チャンカワイさんの子育て経験談を深堀りしてご紹介します。

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子どもの才能を発見したときは?

石野さん:子どもの特筆した才能を発見したとき、チャンさんはどのように育んでいこうと思われましたか?

チャンさん:親の立場で才能があるということはわからず、あとから発見しました。役所で行われている認識レベルを測るテストを受ける機会があって、そのテストがきっかけで子どものIQが139あるということを知りました。テストの結果が出て、役所の方からは「メンサ会員になれます」と案内してもらって、「会員になれるなら」とメンサ会員になっています。

振り返って考えてみると、パズルは3~4歳ぐらいで300ピースぐらいのものをやっていたと思います。どんどん上手になっていって、端から作っていくのではなく真ん中から作れるようになっていました。

沢井先生:役所で認知レベルを測るテストを受けたのは、お子さんが何歳のときだったのでしょうか?

チャンさん:長女が5歳のときでした。12月か1月ごろに受けたと思います。ちょうどコロナ禍で、僕の仕事の都合で幼稚園を休んでもらっている時期でした。コロナ禍が明けて幼稚園に久しぶりに行ったら、仲の良かった友達が離れてしまう状態になってしまいました。「これはかわいそうだ」と、どうしたらいいかと相談をしに役所に行きました。このときに心の状態や認知レベルを調べるものを受けてみようという話になりました。

沢井先生:テストには、IQとして出すもの、偏差値として出すものがあります。IQ120以上の子どもというのは、大体10人に1人と言われています。チャンさんのお子さんは139とのことなので、IQ140として考えると、1000人の子どもの中でも4人ぐらいしかいないと言われているので、非常に恵まれた子どもだといえます。

チャンさん:長女は、空間認知が特に優れているという結果でした。結果を見て考えると、ニューブロックやピタゴラスイッチの装置を作れるようなもので、よく遊んでいました。どちらも空間認知につながるものですよね。

沢井先生:チャンさんの300ピースのパズルやピタゴラスイッチの装置などのお話を聞くと、それに取り組む集中がずっと続いていますね。設計して実際作ってみて、失敗して作り直して…集中が続くという力がずば抜けていると感じます。

チャンさん:以前にプロ野球選手から、フライをキャッチするのは空間認知だと教えてもらったことがあります。「これぐらいのスピードで球が上がってこれぐらいに落ちてくるから、ここにいた方がいい」と空間認知を使っているそうなんです。運動能力と思われがちですが、球が落ちてくる場所まで行く足が運動能力だと言っていました。

沢井先生:幼少期の空間認識の遊びは大切です。目で見たものをもとに、手で調整することを、「目と手の協応」といいます。知育と体育は別のものだという方がいますが、私は全く同じ能力から来るものだと考えています。野球やサッカーなどは、ボールの場所に先回りするために運動能力だけでなく、数量の計算、図形空間の認識が必要とされます。

子どものワークブックに「迷路をたどってみよう」というものがあります。迷路をはみ出さないように手を動かして進むというのは、空間認知の力も使っていて、すごい学びのひとつなんです。

チャンカワイさんがこだわる「子どもの探求心」

石野さん:ここからは「チャンカワイの子育て経験談」として、チャンさんがこれは良かったというエピソードをパパ目線で教えてください。

チャンさん:探求心を大事にしています。子どもの「やりたいこと」「食べたいもの」などの欲求に応えてあげるフットワークは親の責任だと思っています。

僕はお笑い芸人になりたいと思って、両親に許してもらって事務所に入りました。でも周りには、やりたいことがわからないという同級生がけっこういました。このような同級生に対して「寂しいな、なんでやりたいことがわからないんだろう」と思っていました。

振り返ると、親にいろいろなテレビを見させてもらったりしていたので、「いろいろな世界を知っておかないとやりたいことは見つからないのかもしれない」と感じました。

だから、子どもの「やりたい」「食べたい」はとにかく叶えるようにしています。そのおかげで子どもも「もっといろんなことをやりたい」と言ってくれますし、一方で「もういいや」と言うこともできています。

長女は「宇宙飛行士になりたい」とずっと言っていました。いろいろ調べたところ、福岡のキッザニアで宇宙の体験ができると聞いて連れて行きました。体験後、大体仕事がわかって満足したのか、「宇宙飛行士はやめる」と言っていました(笑)。今は新体操をやっているから、新体操でオリンピックに行きたいそうです。

1回体験してみて、子どもに選ばせてあげるということは改めていいことだと思いました。

いろいろなことを体験して、「やりたい」と子どもが言える環境を親が作ってあげることも大切だと思っています。

石野さん:もしかしたら、いずれ「もう1回やりたい」と思うときが来るかもしれませんね。沢井先生、「もう1回やりたい」と戻ってくることはあるのでしょうか?

沢井先生:戻ってくることはあると思います。幼児期~10歳ぐらいまでの間に「やってみたい。関心があるし、得意かもしれない」と思ったことは、40歳、50歳を過ぎてからでも「この選択肢も自分にはあったんだ」と思って仕事にする方もいると思います。

多様な才能へ気づきを得るための「親の視点」

石野さん:チャンさんは、親としてどのような視点を持っていたらいいと思いますか?

チャンさん:自分の物差しで測ろうとするのはやめた方がいいと考えています。

僕は、世間一般で「不可能な仕事」「だめな仕事」というイメージを持たれる芸能の仕事をしています。世間一般では不可能やだめな仕事といわれるけど、実際に仕事をやっています。だから、「だめな仕事」「無理な仕事」は実はないんだと子どもたちに言っています。子どもと一緒に調べてあげる、夢を追いかけてあげることが大切だと思います。

沢井先生:親が一緒に調べてあげる、一緒に夢を追いかけてあげるということは素晴らしいことだと思います。狭き門のような仕事を目指して、「なぜこんなにもたくさんのことが要求されるのか」ということを一緒に調べてあげることは、子ども自身の探求のエンジンを強くしていくことになります。

石野さん:チャンカワイ家では、優先順位表を作っていると聞きました。こちらはどういったものなのでしょうか?

チャンさん:子どもにやりたいことをどんどん見つけてもらって体験入学させるとなると、スケジュールがパンパンになってしまいます。そうなったときに「何が一番やりたいことなのか}という順位を、長女と次女につけてもらっています。優先順位をつけた結果を踏まえて、スケジュールを埋めていきます。

石野さん:子どもが何歳くらいからやっていましたか?

チャンさん:5~6歳のころにはやっていました。はじめてからもう2~3年くらい経ちました。はじめたころは、優先順位をつけるということの理解ができておらず、どんどん溜まっていきました。一度スケジュールを書き出してみたところ、パンパンになっていて、徐々に優先順位をつけることを理解したようです。

沢井先生:スケジュールを書き出すということが素晴らしいですね。親子でスケジュール表を客観的に見て話し合うということはすごくいいですね。

チャンさんのお子さんのように、やりたいことがたくさん出てこない子どももいると思います。ゆったりとした子どもであれば、例えば近くを散歩しながら興味のあるものを探してみたり、子どものペースでゆっくり見つけるという方法もあると思います。

また、リストに書き出すほど見つからない子どももいるでしょう。もし3歳以上の子どもであれば、百科事典や図鑑の活用がいいかもしれません。最近の百科事典や図鑑は、AR(オーグメンティッド・リアリティ)でスマホをかざすと、恐竜などが出てきて、映像が動き出すものもあります。たくさんの百科事典・図鑑を見ることで、「これをもっと見たい」「深堀してみたい」と思うことが見つかるかもしれません。

チャンさん:親として「家の中には何もない」というようにしているのは良くないのでしょうか?

沢井先生:家にある身近なもの、例えばお米や野菜などでも科学の話が子どもにできます。近くに田んぼがあるなら、「あそこの田んぼでお米が作られているんだよ」「田んぼのお米はどれくらい大きくなったかな」と働きかけるだけでも立派な科学です。ただ、これを働きかけるかどうかで変わってきます。

石野さん:親にとって当たり前だと思っている景色が、子どもにとって何かのヒントになっていることがたくさんありそうですね。

チャンさんにもうひとつ質問です。子どもとのコミュニケーションにおいて、ハテナをたくさん使っていると聞きました。こちらがどのような問いかけをしたら、子どもからどのような返答があるのでしょうか?

チャンさん:子どもによく考えさせるために「これ何で?」と聞くようにしています。とにかくクエスチョンだらけにしています。

例えば、食事のときに魚が出てきたら「これはなんていう魚だと思う?」と聞いています。子どもは鯛とはまちが見分けられるので、さらに「どこで見分けられるの」と聞いています。

魚を見分けるためには、水族館や魚屋で実物を一緒に見るようにしています。実物を一緒に見ることで、魚のことだけでなく、いろいろな仕事の人が関わっていることも教えることができます。そうすると、子どもから「これはどこでできるの?」などと質問が返ってきます。

この疑問と返答に関しては、街頭インタビューの仕事をたくさんやってきた経験がとても活きています。

沢井先生:最高のパパですね。赤ちゃんのころからしっかりアイコンタクトをすることで愛着が形成されるといわれています。目線を合わせてアイコンタクトをしながら、街頭インタビューのようにさまざまな声掛けをすることで、子どもは安心しますし、世界を共有することができますね。

チャンさんが子育てで最も大切にしていること

石野さん:ここまでさまざまなエピソードを教えていただきましたが、チャンさんに改めてお伺いします。子育てをする上で大切にしていることを教えてください。

チャンさん:今日沢井先生とお話して改めて感じたのは、子どもと一緒に頑張るということです。子どもに頑張ってもらうのではなく、親も一緒に頑張るということが子どもにとてもいいことだと思います。

石野さん:「一緒」というのがキーワードですね。沢井先生、こちらはいかがでしょうか?

沢井先生:おっしゃる通りです。子どもだけでなく、親も発達しています。大人もそれぞれの年齢なりの発達があります。

子どもが興味関心のあることについて、「一緒に調べてみよう、やってみよう」と話し合えば、子どもは「いつも自分の好きなことを話題にしてくれる」と感じます。話し相手がいながら好きなことを追求するというのは、ひとりでやるよりもはるかに豊かなんです。つまり、文殊の知恵ですね。

こういったことを幼少期からやっていると、子どもがティーンエイジャーになったときも家族の会話のチャンネルが保たれていきます。

石野さん:子どもの才能と無限の可能性について。沢井先生、チャンカワイさんと一緒にお送りしてまいりました。まずは、沢井先生、今回の時間を通じてどのようにお感じになっていますか?

沢井先生:チャンさんのお話を伺って心を打たれました。生きていくということは、動いていく、食べていくことだと思います。動いていく、そして食べていくことを大切にして楽しんでいますね。やはり、人生が喜びだという情報は親が子どもに対して最も与えるべきものです。子育てで大切なことは「楽観性」だと考えています。

楽観性のある親に育てられた子どもは、親の真似をして必ず道を開くことができます。チャンさんのお子さんたちの成長と発達が楽しみです。

石野さん:チャンさんは今回どのような時間になりましたか?

チャンさん:我が家の子育てのやり方を、沢井先生に「大丈夫です」と言ってもらえたことがすごく嬉しかったです。特に、「種はばらまくべき」と言ってもらえたことが自信になりました。これからも種をばらまいていきたいと思えました。

石野さん:今回お2人には、アカデミックな視点、そして実践について、いろいろとお話を伺ってまいりました。ありがとうございました。

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