子どもが生まれて住宅の購入を検討しているけれど、どのようなポイントで間取りを選んだらいいのか悩んでいる方もいるでしょう。子育て世帯が間取りを選ぶとき、「家事動線」「収納」「視線の届く位置」の3つが重要なポイントのようです。今回の記事では、子育て世帯に人気の間取り、子どもの年齢別の間取りの選び方、後悔しないための間取りのチェックポイントなどについてご紹介します。
昨今、子育て世帯に人気の「子育てしやすい間取り」とはどのようなものなのでしょうか?
家族構成や子どもの年齢によって、必要と感じるものはそれぞれあるでしょう。子育て世帯に選ばれる間取りを見てみましょう。
ひとつ目にご紹介するのは、リビング横に和室やキッズスペースがある間取りです。
子どもが遊んでいるときやお昼寝のときなど、家事をしながら見守ることができるというポイントが選ばれる理由のようです。
リビング横に子どものスペースがあれば、おもちゃの片づけや子ども用品の収納なども便利そうですね。
二つ目にご紹介するのは、ファミリークロークや玄関近くに収納スペースがある間取りです。
子どもが小さい頃はベビーカー、成長すると通園・通学グッズなど、子育て関連グッズはある程度のスペースが必要なものばかりです。さらに、リビングなどに置くと生活感が気になると感じる保護者の方もいるようです。
そのため、ベビーカーやランドセルなどが収納できるファミリークロークや玄関近くに収納スペースがある間取りを選ぶ方も多いようです。
三つ目にご紹介するのは、リビング階段と対面キッチンです。
リビング階段は、子どもが思春期や反抗期を迎えたときのことを考えて選ぶ保護者の方が多いようです。子ども部屋に行くときにリビングの階段を上がるので、挨拶など自然なコミュニケーションができるでしょう。
対面キッチンはキッチンから子どもの様子を見ることができるので、小さい子どもがいる保護者の方からも選ばれる間取りのようです。
四つ目は、子ども部屋を仕切ることができる可変式の間取りです。
可変式の子ども部屋は、子どもが小さいうちはひとつの子ども部屋をきょうだいで一緒に使い、思春期などを迎えたころには仕切りを設置してそれぞれの個室にできる間取りのことをいいます。
子どもの成長やライフスタイルの変化に応じて部屋の使い方を変えられるのは、さまざまな活用方法がありそうですね。
最後に、回遊動線のある間取りをご紹介します。
回遊動線のある間取り例として、サンルームとランドリールーム、クローゼットが動線上に設けられている間取りが挙げられます。家事や育児などの一連の作業を行う移動の負担が少なくなるため、時短や効率化につながると選ばれているようです。
保育園・仕事に行く朝などとても忙しいと感じる保護者の方も多いでしょう。家の間取りが時短につながると、心にもゆとりが生まれそうですね。
子育て世帯に人気の間取りをご紹介しましたが、家族構成や子どもの年齢によって必要だと感じる間取りはそれぞれでしょう。
ここからは、家族構成・子どもの年齢別のおすすめ間取りタイプについてご紹介します。
未就学児の子どもがいる場合は、ワンフロアで視界が届くLDKのある間取りがおすすめです。キッチンやダイニングなどから子どもの様子が見られたり、声掛けにもすぐに対応することができるでしょう。
また、未就学児がいる世帯では、ベビーカーや子どもの遊具など大きなものを収納することが多いため、玄関などにベビーカーの収納スペース、ファミリークロークなどがあると便利かもしれません。
子どもが小学生以上の場合、子ども部屋の分離をして子どものプライベート、集中できる勉強スペースの確保が必要になるでしょう。
ただし、リビングを通らずに子ども部屋に行けてしまう間取りの場合、子どもの年齢によっては家族のコミュニケーションが希薄になってしまう可能性があります。
リビング階段のある間取りや、子ども部屋がリビングに隣接している間取りなどを選ぶといいでしょう。
兄弟・姉妹がいる場合、子どもが小さい頃は共同の子ども部屋で一緒に楽しく過ごすことができるでしょう。ただ、思春期や反抗期を迎えるころには「1人の部屋がほしい」といわれることもあるようです。
そのため、将来的に子ども部屋を仕切って部屋数が増やせる可変性のある間取りなど、個室への対応力のあるものを選ぶといいでしょう。
共働き世帯の方が間取りで意識したいのは、家事・育児の効率化です。そのためには、家事動線が意識された間取りを選ぶといいでしょう。上記の回遊導線のある間取りです。
キッチンと洗面所が一直線で移動できる、洗濯物が1か所で完結するなどがポイントのようです。
その他にも、宅配ボックスの設置なども共働き世帯に選ばれる設備のひとつです。
子育てをしている保護者の方にとって、「子育てのしやすさ」は家づくりの重要ポイントのひとつでしょう。
子育てがしやすくなる家づくりのポイントについてご紹介します。
ひとつ目のポイントは、広さを確保することです。特に、リビングは子どもの遊び場として、家族団らんの空間として大切な空間となるため、ある程度の広さが必要でしょう。
また、キッチンや洗面所、トイレなども家族全員が使っても窮屈にならないようにした方がいいかもしれません。
家は子どもの成長とともに使い方が変わってきます。子どもが成長したときに個室が必要になることを想定して、部屋数の確保や間取りの配置が必要といえるでしょう。
実用的なポイントとして、子どもの人数が増えるなど家族構成が変わったときにも対応できる広さを確保しておくといいでしょう。居住エリアによっては、十分な広さを確保できない場合もあるかもしれません。延床30坪前後でも、回遊動線や収納効率を工夫することで広さの体感は変わります。
二つ目のポイントは、使いやすい収納を確保することです。おもちゃや通園グッズ、学用品など毎日使う子どものものは、生活動線上に収納場所を設けるといいでしょう。
そのため子育てがしやすい家づくりには、ファミリークロークや玄関収納、リビング収納は必須といえるかもしれません。
子どもの成長とともに、収納ニーズも変わってきます。具体的に、子どもが小さい頃はおもちゃの収納が必要となりますが、成長すると学用品や本、参考書などを収納できるスペースが必要となります。
そのため、変化する収納ニーズに対応できる可変性のある収納スペースが必要となるでしょう。
収納スペースを設ける実用的なポイントは、子どもの自立を促せる「自分で片づけられる高さ・動線」の収納スペースがあるといいかもしれません。
三つ目のポイントは、毎日行う家事の動線を踏まえて家づくりをすることです。家事動線を工夫することで子育てのしやすさにもつながります。
例えば、ランドリールームを設置して、「洗濯→洗濯物を干す→洗濯物をしまう」が1か所で完結すると、家の中の移動時間が大幅に減らせるでしょう。
そのほかにも、対面キッチンとダイニングを隣に配置することで食事や片づけがスムーズになったり、お風呂・洗面所・脱衣所を子どもと一緒に使える広さにするとストレスフリーで朝の準備ができるでしょう。
子育てのしやすさという観点からは、「料理中でも子どもの様子が見える動線」は家事のしやすさや子どもの様子を見守れるという安心感も得られます。
四つ目のポイントは、家族の「コミュニケーション」を生む間取りを意識しましょう。具体的には、リビングが中心になる間取り設計にするといいようです。
例えば、リビング階段や対面キッチン、リビングに隣接したスタディスペースなどがある間取りにすると、自然にリビングに家族が集まり、コミュニケーションが生まれます。
子どもの成長に応じてプライベート空間が必要になるため、干渉しすぎず、孤立させない子ども部屋の距離感にも考慮しましょう。
子育てしやすい家づくりについて、間取り以外で考慮するポイントをご紹介します。
まずひとつ目のポイントは、住宅性能です。性能が高い住宅を選ぶことで、家の快適さや安全性を確保することができます。
特に重要なポイントとしては、耐震等級です。日本は地震大国といわれています。耐震等級を上げることで、地震のリスクを最小限にすることができるでしょう。
家の快適については、家の断熱や気密性を高めることで、夏は涼しく冬は暖かく過ごすことができます。また、省エネ性能を高めることで長期的な光熱費削減につながるでしょう。
家の安全性については、24時間換気・空気清浄の機能を利用することで、家族の健康管理につながります。
家は定期的なメンテナンスが必要となります。メンテナンスが必要な大きな箇所としては、外壁や屋根があげられます。メンテナンスにはそれなりの費用がかかるため、耐久性やメンテナンス周期をあらかじめ把握しておくことが大切といえます。
また、家の中で使う給湯器や床暖などの耐用年数とコストも知っておくといいでしょう。
メンテナンスの手間やコストを踏まえて、床材や壁紙などは汚れ・傷に強いものを選ぶというのもひとつの手かもしれません。
家のセキュリティや防災・防犯に関することは、気になる保護者の方も多いでしょう。
庭や塀、駐車場など外構を見て死角や侵入しやすい構造がないかどうかを確認しましょう。また、家の設備としてオートロックや防犯ガラスがあるか、窓の施錠方法なども確認しておくといいかもしれません。
災害などが起きたときのことを考えて、非常時の避難ルートや備蓄スペースがどのようになっているか家族で共有しておきましょう。
住宅の購入を検討するときに、土地選びに失敗したらどうしようと悩む方もいるのではないでしょうか。
子育て世帯の方の土地選びのポイントは、高低差があるかどうかです。高低差がある土地は階段があってベビーカーが使えない、雨が降ったときの水はけの問題などから避けた方がいいでしょう。
自治体のホームページなどで、地盤の強さやハザードマップを調べることができるようです。土地選びの際には、確認してみるといいかもしれません。
また、実際に家を建てるときのことを踏まえて、土地の条件を確認します。
例えば、旗竿地があげられます。旗竿地とは細長い通路の先に広い土地があるものをいいます。通路が細いため工事の車両が入りづらく、建築コストが高くなる可能性があります。ただ、土地価格は安い傾向にあるようです。
その他にも接道条件による工事や給排水工事が必要になる場合は、別途工事費が必要となり建築コストが高くなる可能性があるため、注意が必要です。
住宅購入には多額のお金がかかります。一般的に住宅ローンを組んで毎月返済していくことが多いため、子どもの教育資金とのバランスを考えて購入する必要があります。
また、教育資金以外にも家にかかる固定資産税や火災・地震保険料、修繕費などの「見えない支出」がかかります。長期にわたって返済・支払いができるかを検討しましょう。
ここまで、子育て世帯に選ばれる間取りや間取り以外で考慮するポイントなどをご紹介してきました。ここからは、自分たちにとっての理想の家を建てるにはどうしたらいいのかをご紹介します。後悔しない家づくりの第一歩として、チェックしてみてください。
自分たちの家族にとって、一戸建てがいいのかマンションがいいのか、一戸建ての場合は注文住宅がいいのか建売がいいのか決めきれない方もいるでしょう。
それぞれのメリット・デメリットを子育て視点で比較してみましょう。
【注文住宅のメリット】
【注文住宅のデメリット】
【建売住宅のメリット】
【建売住宅のデメリット】
【マンションのメリット】
【マンションのデメリット】
それぞれメリット・デメリットがあります。自分たち家族にとってどのようなものが必要なのかを長期的な視点で考える必要があります。
今回の記事では、子育て世帯に人気の間取り、子どもの年齢別の間取りの選び方、後悔しないための間取りのチェックポイントなどについて、ご紹介しました。家は子どもの成長とともに使い方、過ごし方が変わってきます。そのため、間取りは「今」だけでなく「未来」を見据えて設計することが重要なポイントです。また、収納・視線・動線を意識した間取りを取り入れることで、家族のストレス軽減につながります。
今回の記事では子育て世帯に選ばれる間取りをご紹介しましたが、人気の間取りを真似するよりも、自分たちの生活スタイルに合った間取り設計をすることで、より生活がしやすくなるでしょう。