東京都内の便利なところも魅力的ですが、喧騒から少し離れてゆとりのある生活を手に入れたいと考えている夫婦や子育て世帯の方もいるのではないでしょうか。今回の記事では、東京都と埼玉県について住宅・子育てに関するデータ比較、埼玉県の魅力や埼玉ライフの楽しみ方などをご紹介します。
日本の総人口の減少が続く中、東京都と埼玉県のみ人口が増加しているそうです。埼玉県にはどのような魅力があるのでしょうか?
まずは、東京都と埼玉県の住宅や子育てに関するデータを比較して、埼玉県にはどのような魅力があるのか見てみましょう。
賃貸住宅の家賃相場について見てみましょう。
子育て世帯の方が選ばれる3部屋ある賃貸住宅に住む場合の家賃相場は、以下の金額のようです。
エリアや築年数にもよりますが、東京都の家賃相場と比較するとだいたい2~3万円安く住むことができるようです。
新築マンションの購入価格は、近年高騰が続いています。特に東京都の購入価格が高騰しているといわれています。それぞれ平均価格を見てみましょう。
新築マンションの購入価格を見ると、東京都と埼玉県ではおよそ2倍の差があるようです。住宅ローンやローンの金利負担を考えると、埼玉県の新築マンションはお得なイメージがありますね。
一戸建ての平均価格についても見てみましょう。
新築一戸建てを見ると、東京都と埼玉県では1,000〜2,500万円程度の差があるようです。住むエリアによって購入価格は異なりますが、埼玉県では新築一戸建てにおいてもお得感がありますね。
東京都に住むメリットとして、通勤時間を短縮できると感じる方も多いかもしれません。ところが、東京都と埼玉県の通勤時間を比較すると驚きのことがわかりました。
埼玉県の平均通勤時間は1時間36分、東京都の平均通勤時間は1時間34分となっていて、2分程度しか変わらないようです。
通勤経路などによっては、東京都と同じように通勤することが可能なのかもしれませんね。
参照元:「日本の総人口 推計1億2380万人余 14年連続減 日本人の減少最大」/NHK
ここからは子育て支援策について、東京都と埼玉県を比較してみましょう。
都と県という単位で子育て支援策を比較する場合の注意点として、東京都の方が支援策は充実しているように見えますが、埼玉県内の自治体ではそれぞれさまざまな子育て支援策を実施しているので、市区町村単位まで見て比較するといいかもしれません。
無痛分娩の費用助成
2025年10月からスタートする助成制度です。都内の対象の病院・診療所で無痛分娩を希望する都内在住の妊婦に対して、最大10万円を助成する予定です。
東京都では分娩費用が、他の道府県と比べて高額だといわれています。出産時に支給される出産育児一時金の50万円を受け取ったとしても、自己負担が発生することが多いようです。無痛分娩を選択した場合はさらに無痛分娩の費用が上乗せされるため、最大10万円の助成は大きいかもしれません。
東京都出産・子育て応援事業 赤ちゃんファースト
2025年4月1日以降に出産される方に向けて、10万円相当の育児用品や子育て支援サービスなどを選べるギフトカードが贈られる制度です。育児用品や子育て支援サービスは、専用のWEBサイトから選ぶことができるようです。
赤ちゃんとの生活をスタートさせるときには、さまざまな育児用品が必要になります。10万円相当のギフトカードは、赤ちゃんとの新生活の強い味方になりそうですね。
018(ゼロイチハチ)サポート
都内在住の0〜18歳までの子どもに対し、1人当たり月額5,000円(年間最大6万円)を支給する子育て支援策です。
018サポートは、子育てや子どもの学びを切れ目なくサポートして「子育てのしやすい東京」を実現するために行われています。
子育て応援とうきょうパスポート
子育て応援とうきょうパスポートの利用対象者は、都内在住の18歳未満の子どもがいる世帯や妊娠中の方がいる世帯です。東京都にある飲食店や百貨店などさまざまなジャンルの協賛店で、粉ミルクやおむつ替えスペース、商品の割引などのサービスを受けることができます。
2025年4月1日現在、9,253店の企業・店舗が協賛店となっています。
公立小中の給食費無償化
東京都23区では、2024年4月より公立小中学校の給食費がすべて無償化されているようです。23区以外でもすでに半数以上の市町村で無償化されていて、今後完全無償化を目指す方向のようです。
高校の授業料実質無償化
東京都では、2024年度から私立高校の授業料を実質無償化しています。東京都の私立高校無償化には所得制限がなく、授業料が48万4,000円まで助成されます。
なお、政府が2026年度からは私立高校無償化の所得制限を撤廃する旨の方針を打ち出しています。今後は全都道府県で私立高校の授業料が所得制限なく、助成されるかもしれません。
出典:「東京都出産・子育て応援事業 ~赤ちゃんファースト~」/東京都福祉局
出典:「018サポート - 東京都公式ホームページ」/東京都福祉局
出典:「所得制限なく私立高校等の授業料支援が受けられます」/東京都福祉局
パパ・ママ応援ショップ
「パパ・ママ応援ショップ優待カード」を協賛店で提示すると、割引などのさまざまなサービスが受けられる子育て家庭への優待制度です。
「パパ・ママ応援ショップ優待カード」は、18歳に達して次の年度末を迎えるまでの子どもがいる世帯と妊娠中の方がいる世帯に配布されます。
また、埼玉県では子どもが3人以上いる家庭を対象とした「多子世帯応援ショップ」も行っています。
赤ちゃんの駅
「赤ちゃんの駅」とは、誰でも自由におむつ替えや授乳などができるスペースをいいます。「赤ちゃんの駅」は、民間施設や公共施設などさまざまな場所に設置されています。
出典:「パパ・ママ応援ショップ(子育て家庭への優待制度)」/埼玉県
出典:「赤ちゃんの駅(誰でも自由におむつ替え等ができるスペース)」/埼玉県
埼玉県として行っている子育て支援策は上記2つのようですが、さいたま市など独自で子育て支援策を行っている自治体もあるようです。
今回の記事では、さいたま市の子育て支援策の一部を見てみましょう。
パパママ応援ギフト(出産・子育て応援給付金)
さいたま市に妊娠届や出生届を提出した世帯に対して、子育てにかかる家計の負担を軽減するための給付金です。パパママ応援ギフトとして、妊娠分5万円、出生分5万円が現金またはデジタル地域通貨で支給されます。
現金で支給してもらえるのは、ママやパパにとって使い勝手が良さそうですね。
保育施設・サービスの拡充
2023年におけるさいたま市の保育施設の数は、以下の通りです。
さいたま市では保育施設、サービスの拡充を行っています。その結果、2022年、2023年の2年連続で待機児童ゼロを達成しています。
出典:「パパママ応援ギフト(出産・子育て応援給付金)について」/さいたま市
出典:「さいたま市 公立保育所のあり方に関する基本方針」/さいたま市
「どこが埼玉かわからない」というマイナスイメージの「埼玉あるある」を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?実は「どこが埼玉かわからない」という「埼玉あるある」は、埼玉県の魅力であり、住むメリットになるといわれています。
埼玉県には63の市町村があり、市の数が全国1位となっています。そのため、「どこが埼玉?」といわれることがあるようです。
埼玉県には産業や自然、文化などの面で特徴の異なる以下の10のエリアがあり、多くの魅力があります。各エリアの魅力について見てみましょう。
交通の利便性・生活環境の良さと自然が両立する「住みやすさ」に定評のあるまちです。0〜14歳の転入超過数はなんと8年連続全国1位で、子育て世帯に選ばれています。
荒川を挟んで東京都と隣接していて東京都心から10〜20㎞圏にあり、通勤も便利なエリアです。エリアの多くは住宅地になっています。
東京都と隣接した県の南端のエリアです。和光市や朝霞市、新座市、ふじみ野市は川越街道の宿場町として栄えたエリアで、歴史のあるまちです。
東京都と隣接していて、さまざまな特産品や豊かな水資源に恵まれたエリアです。交通利便性が高く、大型商業施設や市街地の形成など、まちづくりが進められています。
子育て世帯が多い30代の転入が多く、暮らしやすいエリアです。
都心へのアクセスが便利で、自然・住環境にも恵まれたエリアです。子育て世帯の生活満足度が高く、住み替えを検討している方の注目エリアのようです。
川越の蔵造りの町並みなど、歴史や文化を有するエリアです。交通利便性も高く、多くの企業や大学があります。
「狭山茶」などの特産品のほか、古い歴史を持つ旧名所跡やテーマパークなどがあります。
日光街道の宿場町があった久喜市・幸手市・杉戸町など、古くからの歴史があるエリアです。東武動物公園やさいたま水族館など、子育て世帯に嬉しいスポットも充実しています。
利根川と接するエリアで、歴史のある文化史跡やアウトレットなどの観光スポットがたくさんあります。特色ある学校も多数あり、教育熱心な保護者から注目されるエリアです。
東京近郊ながら山々に囲まれ、豊かな自然と優れた経験に恵まれたエリアです。「田舎に住みたいけど、都心にも近い方がいい」と考える方におすすめのエリアのようです。
ここからは、実際に埼玉県在住者のリアルな声をご紹介します。
埼玉県に住んでいて感じるのは、郊外ならではの魅力です。
まずは、車の運転がしやすいということです。子連れでの移動は周囲の目を気にしたり、子どもの安全も確保しなければならないため、車だと気楽に動けます。また、公園が多く、保育園や買い物の帰りにすぐ寄れるので、子どもたちもとても楽しそうです。
埼玉県は、都心へのアクセスが良いですが、東京と比べて広い家に住めるのも魅力です。
【多様な生き方の選択ができる】ということが埼玉県に住む1番の魅力だと思います。
埼玉県に住む子育て世帯の保護者の仕事は、多様性に富んでいます。都心の会社に勤める親、地元で自営業や農業をやっている親などさまざまです。このような親を持つ子どもたちが、1つのコミュニティで教育を受けて育っていきます。
人の生き方や価値観は、大きく環境に左右されるものだと思っています。埼玉に住んでいれば、子どものうちから自然と多様な生き方があることが理解できると思います。
成長する中で、自分が本当に興味のある道を見つけ、進んでいける。そんなところに埼玉の良さが詰まっているのではないでしょうか。
ここまでさまざまな埼玉県の魅力をお伝えしてきましたが、埼玉に住んだらどのようなことが楽しめるのでしょうか?埼玉ライフの楽しみ方をご紹介します。
埼玉県には、さまざまなお出かけスポットがあります。おすすめのお出かけスポット10選をお伝えします。
埼玉県には、子どもと一緒に楽しめる動物園や水族館、テーマパークから、自然を楽しめる秩父や長瀞などのエリアもあります。
毎週末どこにお出かけするか、家族で話し合うのも楽しそうですね。
埼玉県では稲作の裏作として小麦が多く生産されていたため、全国有数のうどん王国です。エリアによってさまざまなうどんが食べられています。小麦を使った郷土料理には、小麦まんじゅうやうでまんじゅうなどのお菓子もあります。
埼玉県にはご紹介した通りさまざまなエリアがあり、エリアごとに特色があります。それぞれのエリアの郷土料理からお気に入りを見つけるのも楽しそうですね。
埼玉県では子育て世帯の方が多く転入しているエリアがあり、コミュニティの形成は比較的しやすいエリアといえそうです。
埼玉県の生活意識に関する調査によると、埼玉県に定住したい理由(複数回答可)について、27.3%の方が「隣近所の人との付き合いがうまくいっているから」と回答しています。歴史のある場所も多い埼玉県ですが、近所の方とのお付き合いもしやすいのかもしれませんね。
出典:「うちの郷土料理 埼玉県」/農林水産省
埼玉県では、移住に関するさまざまな取り組みを行っています。
まずは、埼玉移住プロジェクトです。「埼玉に移住したい人」や「関わりたい人」の新たなきっかけづくりになるよう、移住者交流会が行われています。移住者交流会は、子育て・教育、地域コミュニティづくりのテーマに分けられています。
埼玉県にはさまざまなエリアがあるので、どのエリアに移住するか悩むこともあるでしょう。移住者交流会では、エリア選びに関する相談もできるようです。
上記の移住者交流会で情報収集したら、住宅購入または賃料の予算や通勤、子育て環境などの観点から候補エリアを絞っていきましょう。
埼玉県のホームページによると移住者への支援制度がある自治体もあるようです。支援制度を活用すると、選択肢も広がるかもしれません。移住者への支援制度は、以下で詳しくご紹介します。
埼玉県では、「移住する前に町の雰囲気を知りたい、暮らしを体験してみたい」という方のために町内の空き家を改修して、お試し居住ができます。
お試し居住ができる物件があるかどうかは、埼玉県のホームページで確認することができるようです。気になる移住先がある場合は調べてみましょう。
埼玉県の移住するエリアによって、移住支援金が支給されることがあるようです。なお、移住支援金を受け取るには以下の要件を満たす必要があります。
要件の詳細や金額、受給可否は、各市町村によって異なるようなので、あらかじめ確認をしておきましょう。
今回の記事では、東京都と埼玉県について住宅・子育てに関するデータ比較、埼玉県の魅力や埼玉ライフの楽しみ方などをご紹介しました。
結婚や出産などライフステージの変化によって、どのような住環境が適しているのかも変わっていくことでしょう。さまざまなエリアや歴史のある埼玉県の移住によって、東京都の適度な距離感から心の余裕が生まれ、充実した休日の時間をもたらしてくれるかもしれません。