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注文住宅の土地購入、流れと注意点は?失敗しない進め方

作成者: KIDSKI STYLE編集部|2025/7/14

※写真はイメージ(Adobe Stock/asyrofmuzakki)

 

「子どもが生まれる前にマイホームを建てたい」「家族にぴったりの間取りで注文住宅を建てたい」と考えているものの、土地と建物、どちらから進めればよいのか分からないと感じている方もいるでしょう。

土地購入と住宅会社選びを別々に進めた結果、希望していた間取りが実現できなかったり、全体の予算を大幅にオーバーしてしまったりと、後悔につながるケースは少なくないようです。注文住宅は自由度が高い分、最初の進め方がとても重要です。

今回の記事では、家づくりの第一歩である土地購入の流れやスケジュール感、注意すべきポイント、住宅ローンの基本などについてわかりやすくご紹介します。

「何から始めればいいの?」という不安を解消し、後悔のない家づくりのスタートを切りましょう。

 

【基本の流れ】注文住宅の土地購入のステップ

注文住宅を建てるには、土地を手に入れるところからスタートします。しかし、土地購入は専門的な手続きも多く、ハードルが高いと感じる方もいるでしょう。ここからは、実際にどのようなステップで進んでいくのかを順を追って見てみましょう。

 

1. 土地を探す

まずは希望の条件に合った土地を探すところから始めます。不動産ポータルサイトや地元の不動産会社、住宅展示場、ハウスメーカーの土地紹介などを活用し、候補を絞っていきましょう。

エリア、通勤や通学の利便性、学区、駅までの距離、周辺環境、日当たり、道路との接道状況など、暮らしの質を左右する要素を整理しておくことが重要です。家族の将来も見据えたうえで、優先順位を決めておくと土地選びをスムーズに進めることができるでしょう。

 

2. 買付証明書を提出

「この土地を購入したい」と意思を示す際には、買付証明書(購入申込書)を提出します。この書類は購入の意思を売主に伝えるための書類で法的な拘束力はありませんが、他の購入希望者より優先的に交渉を進められる可能性があります。

ただし、買付証明を出したからといって必ずしも契約が成立するわけではないため、あくまで「購入に向けて本気で検討している」という意思表示として理解しておきましょう。

 

3. 住宅ローンの事前審査

※写真はイメージ(Adobe Stock/ELUTAS)

 

土地購入を進めるためには、金融機関による住宅ローンの「事前審査」が必要になります。これは、購入希望者の年収や借入状況などをもとに、いくらまでローンを組めるかを金融機関が仮判断するものです。

注文住宅の場合、建物のプランがまだ決まっていない段階であっても、土地価格と予想建築費の概算をもとに審査できるケースもあります。資金計画の見通しを立てるためにも、早めの審査申し込みをおすすめします。

 

4. 土地売買契約の締結

事前審査に問題がなければ、いよいよ土地の売買契約を結びます。このタイミングで手付金(物件価格の5〜10%程度が一般的)を支払い、契約書に署名・捺印をします。

契約の前には、宅地建物取引士から「重要事項説明」が行われます。土地の権利関係や用途地域、インフラの整備状況、建築制限など、後からトラブルになりやすい項目が説明されるので、分からないことがあれば必ずその場で質問しましょう。

なお、契約後のキャンセルは基本的にできない、もしくは違約金が発生するため、慎重に判断することが大切です。

 

5. 住宅ローンの本審査

土地の契約が済んだら、建物の間取りや仕様をある程度固めて、住宅ローンの「本審査」を行います。本審査では、土地と建物を合わせた総額で借入金額を確定し、返済能力などを詳細に審査されます。

注文住宅の場合、建築会社とのプラン打ち合わせをある程度進めて、見積書や工事請負契約書などの提出が求められるため、住宅会社と密に連携して進めていきましょう。

 

6. 金融機関との金消契約(金銭消費賃借契約)

本審査に通った後、住宅ローンの契約手続きに進みます。ここで行うのが「金銭消費賃借契約(金消契約)」です。この契約は、金融機関が正式に住宅ローンを融資するための契約で、借入額や返済期間、金利条件、返済方法などの詳細を取り決めます。

署名・捺印に加えて、収入証明書や印鑑証明書、住民票などの各種書類を提出する必要があります。事前に必要書類を確認しておくとスムーズに進められるでしょう。

 

7. 残金支払い&所有権移転登記&土地引き渡し

金銭消費賃借契約を終えたら、金融機関から土地購入代金(残金)が支払われ、正式に土地の所有権が購入者に移ります。この所有権移転登記は司法書士が代行してくれるのが一般的です。

その後、土地の引き渡しが行われ、晴れてその土地が「自分のもの」になります。これで土地購入の手続きが完了し、いよいよ注文住宅の建築へと進んでいきます。

 

土地探しの方法は?

理想の家づくりを実現するには、まずその土台となる「土地選び」がとても大切です。土地探しにはいくつかの方法があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。主な5つの方法について、特徴や使い方のポイントをご紹介します。

 

不動産会社に依頼

※写真はイメージ(Adobe Stock/milatas)

 

地域密着型の不動産会社に相談することで、地元の事情に詳しいスタッフから有力な土地情報を得ることができるでしょう。

売主との交渉や法的な確認事項なども含めてサポートしてくれるため、土地購入が初めての方にとっては心強い存在です。特に、広告に出ていない「未公開物件」を紹介してもらえるケースもあるため、複数の不動産会社に相談してみるのもおすすめです。

 

ハウスメーカーに相談

注文住宅を依頼する予定のハウスメーカーに土地探しを相談するのも有効な方法です。

ハウスメーカーは建築とセットで土地を紹介してくれるケースが多く、建築条件や設計の自由度を事前に確認しながら土地を選べるのがメリットです。

また、土地に対してどのような家が建てられるかをその場で提案してもらえるため、建物とのバランスを考慮した土地選びができるでしょう。

 

インターネットで探す

不動産ポータルサイトを利用すれば、希望エリアや価格帯、駅距離、学区などの条件を絞り込んで、手軽に土地情報をチェックできます。不動産ポータルサイトは情報量が豊富で、写真や地図、周辺環境も確認できるため、「相場感を掴む」「希望条件を整理する」といった初期の段階で活用するのに向いています。

ただし、掲載情報が最新とは限らないため、良い物件を見つけたら早めに不動産会社へ連絡してみた方がいいでしょう。

 

現地に行って探す

気になるエリアが決まっている場合は、実際にその地域を歩いてみるのもいいでしょう。現地で「売地」や「建築条件付き宅地」の看板を見つけたり、住環境や交通の利便性、日当たり、騒音、周辺の雰囲気などを肌で感じ取ることができます。

特に子育てを見据えるなら、近くの公園や保育施設、スーパーの様子などもチェックしておくと安心です。

 

銀行に相談

意外に見落としがちなのが、住宅ローンの相談先である「銀行」から土地情報を得る方法です。金融機関は住宅会社や不動産会社と提携しているケースがあり、信頼できる業者を紹介してくれることがあるようです。

また、資金計画とあわせて土地購入をトータルで考えられるため、「予算に見合った土地探し」を効率よく進められるのがメリットです。

 

土地購入で後悔しないためのポイント

マイホーム作りは一生に一度の大きなイベントです。せっかく購入した土地に問題があれば、住み始めてから大きな後悔につながってしまいます。土地購入前に必ず確認しておきたいポイントを4つに分けて詳しく見てみましょう。

 

地域・学区・通勤・日当たり・周辺環境などのチェックポイント

※写真はイメージ(Adobe Stock/oben901)

 

土地の立地は、日々の暮らしや子どもの成長に直結する重要な要素のひとつです。

保育園・小学校までの距離や評判、通勤・通学のアクセス、周辺の交通量や騒音、近隣にスーパー・病院・公園があるかなど、生活のしやすさを具体的にイメージしながら確認しましょう。

また、日当たりや風通しも現地で実際に体感することが大切です。朝・昼・夕方など時間帯を変えて訪れると、よりリアルな住環境が見えてくるでしょう。

 

建築基準法・用途地域・接道義務などの法的な制限

購入した土地にどんな家が建てられるかは、法律によって細かく制限されています。例えば、「用途地域」によって建てられる建物の種類や高さに制限があったり、「建ぺい率」「容積率」によって建築面積の上限が決められたりします。

また、「接道義務」を満たしていない土地では建築自体ができない可能性もあります。このような法的制限は、購入前の「重要事項説明」で説明されますが、不明点は必ず確認しておくことが必要です。

 

地盤・高低差・インフラの確認方法

見た目にはわからなくても、地盤や土地の形状によっては大きな追加費用や工事が必要になることもあります。例えば、地盤が軟弱な場合は地盤改良工事が必要となり、100万円以上の追加費用がかかるケースもあるようです。

また、高低差のある土地は造成工事や擁壁の設置が必要になる場合があり、建築プランにも影響します。上下水道やガス、電気などのインフラが敷地内に整備されているかも必ず確認しましょう。インフラが引き込まれていない場合は別途工事費が発生するため、事前確認が重要です。

 

安すぎる土地に潜むリスク

他と比べて極端に安い土地は、「安いなりの理由」があることが多いため注意が必要です。例えば、隣地との境界があいまいでトラブルの原因になる土地、過去に水害や地盤沈下の被害があったエリア、再建築不可の土地などが挙げられます。

また、旗竿地や狭小地のように使い勝手が悪い土地も安く設定されることが多いようです。価格だけで決めずに、専門家に調査してもらう、住宅会社と一緒に確認するなど、慎重に進めることが大切です。

 

関連記事:「新築住宅で後悔しない「子育てに最適な土地探し」のポイント」

 

土地購入と住宅ローンの注意点

※写真はイメージ(Adobe Stock/ELUTAS)

 

注文住宅の土地購入には、住宅ローンの仕組みを正しく理解しておくことが重要です。特に、「土地購入時にはローンが使えない」と聞いて戸惑う方も多いのではないでしょうか。ここからは、土地購入にまつわるローンの基本と、利用できる融資制度について詳しくご紹介します。

 

土地だけでは住宅ローンが使えない

住宅ローンは「家を建てて住むこと」を前提とした融資であるため、土地だけを購入するためには原則として利用できません。住宅ローンが実行されるのは、建物の設計プランや建築費用が決まり、建築請負契約を締結した後が一般的です。

そのため、まだ建物の計画が固まっていない段階で土地を購入しようとすると、自己資金だけで賄う必要があるという壁に直面する方も少なくないようです。

この問題を解消するために用意されているのが、「土地先行融資」や「つなぎ融資」といった制度です。以下でそれぞれ見てみましょう。

 

「土地先行融資」と「つなぎ融資」

土地購入時にローンを利用する場合、多くの方が次の2つの方法のいずれかを検討することになります。

 

土地先行融資

土地先行融資とは、注文住宅を建てる予定の土地を購入するために、住宅ローンの一部を先に借り入れられる仕組みの融資をいいます。

土地先行融資では、建物のプランがある程度決まっていれば、土地取得費用に対して先行してローンが実行されます。あとから建物の工事が始まったタイミングで、残りの融資(建物分)を実行してもらうようになります。

 

【メリット】

  • 住宅ローンの金利で土地資金を借りられる(低金利)
  • 建物の契約前でも土地購入をスムーズに進められる
  • 自己資金の負担を抑えられる
  •  

【注意点】

  • 土地購入と建物計画をセットで考える必要がある
  • 先行融資対応の金融機関・住宅会社を選ぶ必要がある

つなぎ融資

つなぎ融資とは、住宅ローンの本審査・実行が完了するまでの間に必要な資金(主に土地購入費用や着工金)を、金融機関が一時的に立て替えて貸してくれる仕組みの融資をいいます。

住宅ローンは建物の完成後に一括で実行されるため、それまでに発生する費用をつなぐ目的で使われます。ローン実行時に、つなぎ融資分を清算する形になります。

 

【メリット】

  • 建物完成前でも必要な資金を一時的に確保できる
  • 住宅ローンとの併用を前提にスムーズに手続きできる
  • 設計・建築の打ち合わせを並行して進めやすい

【注意点】

  • つなぎ融資の金利は住宅ローンよりやや高め
  • 利息の支払いや諸費用が別途かかるため、総額に注意が必要
  • 金融機関や住宅会社によって取り扱い条件が異なる

 

土地購入時の資金計画を立てる際には、自己資金だけで賄えるのか、それとも土地先行融資やつなぎ融資が必要なのかを早めに判断することが重要です。建物の契約やプランニングとあわせて、住宅会社や金融機関に早めに相談しておきましょう。

 

【まとめ】土地購入も“家づくりの一部”

※写真はイメージ(Adobe Stock/maru54)

 

今回の記事では、家づくりの第一歩である土地購入の流れやスケジュール感、注意すべきポイント、住宅ローンの基本などについてわかりやすくご紹介しました。

注文住宅で後悔しないためには、土地と建物を別々に考えるのではなく、「ひとつのプロジェクト」としてセットで計画することが大切です。土地探しの段階から、信頼できるハウスメーカーや不動産会社と連携して進めることで、スムーズで納得のいく家づくりが実現しやすくなるでしょう。ぜひ今回の記事の内容を参考に、安心できる土地選びと住まいづくりを進めてみてくださいね。

 

 

 

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