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24時間換気システムの基礎知識まとめ!仕組み・種類・メリットを徹底解説

作成者: KIDSKI STYLE編集部|2025/7/14

※写真はイメージ(Adobe Stock/kapinon)

 

「24時間換気システムって必要なの?」「止めたらどうなるの?」「電気代やメンテナンスが心配…」など、24時間換気システムについてさまざまな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

2003年以降、住宅の高気密化に伴い、24時間換気システムの設置は法律で義務化されました。そうはいっても、仕組みや種類、メリット・デメリットなどがわかりづらく、「とりあえずつけるもの」としてあいまいなまま選んでしまう人も少なくありません。

今回の記事では、子育て世帯や注文住宅を検討中のご家族に向けて、24時間換気システムの基本から選び方、注意点などについてご紹介します。どんな方式が自分の家に合っているか、チェックしてみてください。

24時間換気システムとは?

※写真はイメージ(Adobe Stock/Vadym)

 

住まいの空気環境を整えるうえで、「24時間換気システム」は現代の住宅に広く取り入れられています。蓄積する有害物質を排出し、健康的な暮らしを維持する仕組みについて詳しく見ていきましょう。

 

【制度導入の背景】シックハウス対策として義務化された

2003年の建築基準法改正により、新築住宅には24時間換気システムの設置が義務付けられました。化学物質やカビなどによる「シックハウス症候群」から住まい手の健康を守るための対策として導入されたものです。

 

出典:「改正建築基準法」/国土交通省

 

【基本の仕組み】空気を常に入れ替えて室内を健やかに保つ

24時間換気システムは、外の新鮮な空気を取り入れ、室内の汚れた空気を排出する装置です。人が気づかないうちにも空気の入れ替えが自動的に行われ、快適で衛生的な空間が保たれるようになっています。

 

【性能の違い】換気の効率は配置設計で大きく変わる

換気の効果は、単にシステムを設置すれば良いというわけではありません。給気口と排気口の位置や換気量のバランスによって効率に差が出るため、設計段階での工夫が重要となるようです。

 

換気の「方式」には3種類ある

※写真はイメージ(Adobe Stock/miya227)

 

住まいの空気をどのように入れ替えるかは、健康だけでなく快適性や光熱費にも関わってきます。住宅に採用される「換気システム」は、大きく3つの方式に分かれていて、それぞれの特徴を理解することが重要です。ここからは、それぞれの特徴についてご紹介します。

 

第一種換気|給気・排気を両方とも機械で管理するため高性能住宅に最適

第一種換気は、給気(外からの取り込み)も排気(中からの排出)も機械で制御するため、換気量や空気の流れを安定して維持できます。熱交換器が組み込まれたタイプを使えば、室温の快適さを保ったまま換気できるのが大きなメリットです。

特に高断熱・高気密住宅やZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)では、室温管理と省エネ性の両立が求められるため、この方式が選ばれることが多くなっているようです。デメリットは、導入・メンテナンスのコストが比較的高い点が挙げられます。

 

第二種換気|機械で空気を押し込み、自然に排出するため清潔さ最重視の空間向け

第二種換気は、機械で新鮮な空気を室内に送り込み、排気は自然に行う方式です。空気を押し込む構造のため、常に室内が外よりも高い圧力(正圧)になります。これにより、外気の汚染物質やホコリの侵入を抑えることができるため、病院の無菌室やクリーンルームなど、衛生環境が最優先される施設に適しています。

一方で、家庭用住宅にはあまり使われません。正圧による湿気の侵入や結露リスクがあるため、設計上の配慮が必要です。

 

第三種換気|機械で排気し、自然に給気するため、コスト優先の一般住宅向け

第三種換気は、自然の力で外気を取り入れ、機械で室内の空気を外に排出する方式です。機械制御が排気側だけなので、システムの構造が簡素で導入コストを抑えやすいというメリットがあります。日本の一般的な住宅やアパートなどで最も多く採用されているのがこのタイプです。

ただし、外気の流入が風や気温の影響を受けやすいため、寒冷地では冷気の流入に注意が必要です。室温の安定性よりも初期コストやシンプルさを重視する場合に適しています。

 

【換気方式の比較表】

 

換気方式

給気

排気

主な特徴

向いている住宅・施設

第一種換気

機械

機械

換気量が安定し、熱交換器で室温保持。高性能だが高コスト

高断熱・高気密住宅、ZEH、快適性重視

第二種換気

機械

自然

室内の清浄度が高い。湿気侵入の課題あり

病院・クリーンルーム等の特殊空間

第三種換気

自然

機械

一般住宅向け。シンプル構造で導入・維持が安価

戸建・集合住宅などコスト重視の住宅

 

24時間換気システムのメリットとデメリットを比較

※写真はイメージ(Adobe Stock/ELUTAS)

 

24時間換気システムは、室内の空気を常に新鮮に保つために重要な役割を果たします。一方で、導入・運用には注意点もあります。ここからは、メリットとデメリットをわかりやすく整理してお伝えします。

 

メリット

常に新鮮な空気を取り入れ、汚れた空気を排出できる

24時間換気システムは、名前の通り1日中稼働し続けることで、室内に常に新鮮な外気を取り込みつつ、二酸化炭素や生活臭、ホコリ、化学物質などの汚染物質を外へ排出してくれます。このような仕組みにより、空気がこもらず、室内環境を清潔で快適に保つことができます。

 

シックハウス症候群の予防につながる

新築やリフォーム直後の住宅では、建材や接着剤に含まれるホルムアルデヒドなどの揮発性化学物質が室内に充満することがあります。24時間換気システムを導入すれば、これらの有害物質を定期的に排出できるため、シックハウス症候群の予防に効果的といえるでしょう。

 

カビ・結露の発生を抑制

室内に湿気がこもると、壁や窓周辺に結露が発生しやすくなります。24時間換気で空気の流れを保つことで湿度が一定に保たれ、カビやダニなどの発生源を抑制できるようです。特に冬場や梅雨時期など、湿気が多い季節には効果が実感しやすいポイントです。

 

アレルギーや花粉症の軽減にも効果的

高性能フィルター付きの換気システムであれば、花粉やハウスダスト、PM2.5といった微細な粒子を除去しながら新鮮な空気を取り込めます。アレルギー体質の方や花粉症の人にとっては、症状の軽減や快適な生活空間の確保につながるでしょう。

 

生活臭やペット臭対策にも有効

料理のにおいやタバコ臭、ペット特有のにおいなど、生活していると避けられない「におい」の問題にも換気は有効です。24時間換気システムで空気を循環させることで、においがこもりにくくなり、常にクリーンな空気を維持することができるでしょう。

 

デメリット

電気代がかかる

24時間換気システムは常時運転が基本となるため、わずかではありますが電気代が発生します。特に、第一種換気のように給気と排気の両方を機械で行うタイプは、電力消費が大きくなる傾向があるようです。

 

運転音が気になる場合がある

機種や設置場所によっては、換気ファンの運転音が気になることがあるようです。特に就寝時や静かな時間帯には、音に敏感な方にとってストレスとなることもあるため、静音設計の機種を選ぶなどの工夫が必要です。

 

メンテナンスを怠ると効果が低下

フィルターの清掃や交換を定期的に行わないと、ホコリや汚れが詰まり、空気の流れが悪くなります。これにより、換気効率が低下するだけでなく、汚れた空気をそのまま取り込んでしまうことにもなりかねません。快適な環境を維持するためには、2〜3か月ごとの清掃、年1回程度のフィルター交換が目安です。

 

空調効率が下がることもある

換気によって外の冷気や熱気が入り込むことで、エアコンの効きが悪く感じられる場合があります。特に第三種換気のように自然給気を行うタイプでは、季節や天候の影響を受けやすいため、冷暖房効率に注意が必要です。熱交換タイプの換気システムを選べば、そうした影響を軽減することができます。




24時間換気システムはずっとつけておくべき?

※写真はイメージ(Adobe Stock/kapinon)

 

24時間換気システムは、その名の通り「常に」動かしておくことを前提に設計されています。しかし、電気代や音が気になって「夜だけ止めたい」と考える人も少なくないようです。では、実際のところ止めてもいいのでしょうか?

 

常時運転が基本

24時間換気は、シックハウス症候群の原因となる化学物質や湿気を効率的に排出し、健康被害を防ぐためのシステムです。そのため、システムを長時間止めてしまうと、汚れた空気が室内にこもりやすくなり、結露やカビの発生リスクも高まります。

 

どうしても一時停止したい場合は?

やむを得ず一時的に停止する場合は、十分な換気を別の手段で確保することが必要です。例えば、窓を開けて空気を入れ替える、サーキュレーターを併用するなどが挙げられます。

ただし、こうした代替策には限界があり、システム停止による影響については自己責任で対応しなければなりません。基本的には、常に運転させておくことが、健康的な住環境を保つための最善策です。

 

フィルター掃除・交換などのメンテナンスはこまめに行おう

※写真はイメージ(Adobe Stock/mykeyruna)

 

24時間換気システムを効果的に使い続けるためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。特に重要なのがフィルターの清掃と交換です。

 

フィルターの交換頻度は?

一般的なフィルターは、2〜3か月に1回のペースで清掃するのが理想とされています。ホコリや汚れが蓄積すると空気の通り道がふさがれ、換気効率が大きく低下してしまいます。また、花粉やPM2.5などの微粒子を除去する高性能フィルターを使用している場合は、年に1回程度の交換が推奨されています。

 

メンテナンスしないとどうなる?

メンテナンスを怠ると、十分な換気が行われなくなるばかりか、汚れたフィルターを通して空気が逆に汚染されることにもなってしまうかもしれません。清潔な空気環境を維持するためにも、フィルターの状態を定期的にチェックし、必要に応じて掃除や交換を行うことが大切です。

 

どんな人・家に向いているか

※写真はイメージ(Adobe Stock/mapo)

 

24時間換気システムはすべての住宅に義務づけられている設備ですが、特にその恩恵を大きく受けられるケースもあるようです。どのような人・家に向いているのか具体的に見てみましょう。

 

高気密・高断熱住宅を建てる予定の人

高気密・高断熱住宅は、室内の空気が外へ逃げにくく、外気も入りにくい構造になっています。そのため、空気の入れ替えが自然に起きにくく、意図的な換気が不可欠です。24時間換気システムを設けることで、住宅の高性能を活かしながら、快適で健康的な空気環境を維持することができるでしょう。

 

花粉症・アレルギー持ちの家族がいる人

外気に含まれる花粉やPM2.5などの微細な汚染物質をフィルターでブロックしながら室内に取り込めるのも、24時間換気システムの魅力のひとつです。特に高性能フィルターを搭載したタイプであれば、アレルギー症状の軽減にも効果が期待できるでしょう。

 

赤ちゃんや高齢者と暮らす人

体の免疫機能が弱い赤ちゃんや高齢者は、空気中の汚染物質や湿気の影響を受けやすくなります。24時間換気システムを導入することで、常に清潔で安定した空気環境を保つことができ、健康へのリスクを低減できるかもしれません。

 

ペットを飼っている家庭

ペットの毛やにおいがこもりやすい室内では、定期的な換気が必要です。24時間換気システムを使えば、空気を自然に循環させながらニオイを軽減し、室内を清潔に保つことができます。ペットと快適に暮らすためにも効果的な設備といえるでしょう。

 

【まとめ】24時間換気システムを正しく知って、快適な住まいづくりを

※写真はイメージ(Adobe Stock/maroke)

 

今回の記事では、子育て世帯や注文住宅を検討中のご家族に向けて、24時間換気システムの基本から選び方、注意点などについてご紹介しました。24時間換気システムは、シックハウス症候群の予防や空気の質の維持といった観点から、現代の住宅には欠かせない設備です。正しく機能させることで、健康的で快適な住環境を実現することができるでしょう。

換気の方式や特徴、ランニングコスト、必要なメンテナンスなどをあらかじめ理解しておけば、不安や疑問を減らすことができます。住まいの空気環境を意識することは、家族の健康を守ることにつながります。納得のいく家づくりの一助として、ぜひ今回の内容を参考にしてみてください。

 

 

 

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