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子育て家庭に「土間収納」が便利!人気の理由と後悔しない設計ポイント

作成者: KIDSKI STYLE編集部|2025/7/17

※写真はイメージ(Adobe Stock/HO)

 

帰宅した瞬間、玄関に置かれたベビーカー、泥だらけの長靴、公園から持ち帰った砂遊びセット…子育て中のご家庭にとって、玄関は嬉しいはずの「おかえり」が、思わずため息に変わってしまう悩ましい場所になりがちです。

そんな片付かない玄関の救世主として、今、注文住宅を建てるファミリー層から絶大な支持を集めているのが「土間収納」です。

土間収納は、単に物をしまうスペースではありません。外の汚れや雑多なモノを家の中に持ち込ませない「緩衝地帯」であり、忙しい毎日の動線を劇的にスムーズにしてくれる戦略的な空間です。

散らかりがちな玄関問題を解決するだけでなく、日々の家事や育児のストレスを軽減し、家族に「時間」と「心のゆとり」をもたらすための投資ともいえるでしょう。

この記事では、なぜ土間収納が子育て家庭にこれほど人気なのか、その理由から具体的なメリット・デメリット、さらには先輩ファミリーたちの実例アイデアまでを徹底解説します。

そして最も重要な、設置してから「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないための設計ポイントも詳しくご紹介します。

 

子育て家庭に土間収納が人気の理由は?

※写真はイメージ(Adobe Stock/Floral Deco)

 

子育て家庭で土間収納が人気な理由は主に3つあります。

まず、子ども関連の外用品が圧倒的に多いことです。ベビーカーや三輪車、キックスクーター、公園グッズ、スポーツ用品など、大型で不揃いなアイテムが増え、従来のシューズボックスでは収まりきらないため、玄関が物で溢れがちになります。

次に、汚れの問題です。泥だらけのタイヤ、濡れた長靴や傘、砂がついたおもちゃなど、子どもの外用品は常に汚れてしまいます。土間収納があれば、これらを気兼ねなく一時保管でき、家の中を清潔に保つ「防波堤」として機能します。

最後に、優れた収納力です。扉やロールスクリーンを設けることで雑多なアイテムをすべて隠し、急な来客時でも玄関をスッキリと美しく保てます。

このように土間収納は、子育て世代の「モノの多さ」「汚れ」「見た目」という三大悩みを一挙に解決する、現代の家づくりに欠かせない存在となっています。

 

土間収納のメリット・デメリット

土間収納は子育て家庭にとってとても魅力的ですが、導入を検討する際には、メリットとデメリットの両方を理解しておくことが大切です。ここでは、その両側面を詳しく見ていきましょう。

 

メリット

※写真はイメージ(Adobe Stock/Dzmitry)

 

子ども関連グッズの収納に最適

土間収納最大のメリットは、子育て中に増え続ける外用グッズの収納場所として完璧であることです。

ベビーカー、三輪車、遊び道具、長靴、濡れた雨具など、子どもの外用アイテムを"玄関内で完結"して片付けられるため、リビングに汚れを持ち込まずに済みます。

雨に濡れたベビーカーをたたまずにそのまま置いたり、泥のついた三輪車を気にせず保管したりできるのは、想像以上にストレスを軽減してくれます。

家の中をきれいに保ちやすくなるため、掃除の負担も減ります。

長靴や濡れたレインコートなども、他の物を気にせず乾かせる専用スペースがあることで、玄関がジメジメするのを防げるのも大きな魅力です。

 

生活動線・家事動線がスムーズになる

優れた動線設計は、忙しい共働き家庭の「時短」を叶える鍵です。

「土間収納→玄関→リビング」や「土間収納→パントリー→キッチン」などの動線設計を組み合わせることで、忙しい共働き家庭でも効率よく家事ができる間取りが実現します。

土間収納を介したウォークスルー動線は、生活の質を向上させます。「帰宅→土間収納で上着を脱ぎ、荷物を置く→隣接する洗面所で手洗い・うがい→リビングへ」という動線は、外からのウイルスや花粉を室内に持ち込みにくくする衛生的な間取りです。

また、重い買い物袋を最短距離で運ぶことができ、食料品の片付けという日々の家事を楽にしてくれます。

 

趣味やアウトドア用品もまとめて収納

土間収納は子どものためだけのものではありません。子どもの道具だけでなく、キャンプ用品や自転車、DIY道具など家族のアウトドア・趣味グッズの置き場所にも最適。玄関からすぐに取り出せて便利です。

バーベキューセット、ガーデニング用品など、かさばりがちな大人の趣味の道具も一括で収納できます。

これらのアイテムをまとめておくことで、週末のアクティビティへのハードルが下がり、家族で過ごす時間がより豊かになります。

高価なロードバイクなどを風雨や盗難から守る保管場所としても最適で、安心して大切な道具を保管できるのも大きな魅力です。

 

ごみ・資源の一時保管場所としても活用できる

意外と見過ごされがちですが、非常に便利なのがゴミの一時保管場所としての活用です。

臭いや汚れの心配があるゴミ袋、ペットボトルやダンボールなどの資源ごみも、屋外に出さずに目立たない場所でストックできるのは大きな利点です。

特に夏場など、臭いが気になる生ゴミのゴミ袋を、キッチンではなく風通しの良い土間収納に一時的に置いておけるのは、衛生面で大きなメリットと言えるでしょう。

分別が複雑化する現代において、分別用のゴミ箱を複数置けるスペースとしても重宝します。

回収日までスマートに保管できるため、室内環境を清潔に保てるのも魅力です。



デメリット

玄関スペースが狭くなる可能性がある

※写真はイメージ(Adobe Stock/竹澤宏)

 

土間収納にスペースを取る分、玄関ホールが狭く感じることがあります。間取り全体とのバランス設計が重要です。

土間収納を設けるということは、その分の面積を他の空間から捻出するということです。

最も影響を受けやすいのが玄関ホールで、土間収納を広く取りすぎた結果、お客様を迎えるメインの玄関が窮屈で暗い印象になってしまうケースがあります。

家全体のバランスを考え、収納したいモノの量と玄関としての開放感を両立させる慎重な間取り計画が求められます。

 

湿気・におい対策が必要

これは土間収納で最も後悔が多いポイントであり、絶対に見過ごしてはならないデメリットです。

土間は地面に近く、濡れた傘や靴、汗をかいたスポーツ用品などを持ち込むため、湿気がこもりやすく、カビやにおいの原因になることも。換気扇や調湿建材を導入するなどの対策が不可欠です。

小窓の設置も含めて、もはや「オプション」ではなく「必須」と考えるべきです。

適切な換気計画を立てることで、これらのトラブルを未然に防ぎ、快適な土間収納空間を維持できるでしょう。

 

収納が“物置化”するリスクも

広く作りすぎたり、整理整頓の仕組みがないと、何でも詰め込む"第二の物置"状態になることも。導線やゾーニングの工夫が求められます。

明確な収納ルールがないまま、「とりあえず」で何でも詰め込んでしまうと、奥の物が取り出せなくなり、結局は使えないデッドスペースになってしまうのです。

何をどこに置くかという計画なしに作ると、その便利さがあだとなる可能性があります。事前の収納計画が成功のカギを握ります。

コストがかかる場合もある

土間収納は通常の玄関よりも造作費用やスペース設計のコストがかかることがあります。コスト対効果をよく検討する必要があります。

単にスペースを区切るだけでなく、床の仕上げ材、壁紙、換気扇の設置、そして造作棚などを加えると、その費用は数十万円から、広さや仕様によってはそれ以上になることもあります。

家全体の予算とのバランスを考え、本当に必要な機能を見極めることが重要です。長期的な利便性と初期投資を天秤にかけて、慎重に判断しましょう。

 

【実例紹介】子育て世帯の土間収納アイデア

※写真はイメージ(Adobe Stock/takasu)

 

ここでは、子育て中の家族が実際に採用している、使いやすさと楽しさを両立した土間収納のアイデアを5つご紹介します。理想の暮らしをイメージしながら、ぜひ参考にしてみてください。

 

ロッカータイプに分けて「子ども専用エリア」を作る

子どもが自分で片付けをしたくなる仕掛けとして、ロッカーのような「自分専用スペース」を作るアイデアが人気です。

低い位置にフックを取り付けて上着や帽子をかけられるようにしたり、通園バッグやランドセルを置くための棚を設けたり、靴を置く場所を色分けしたり。ベンチを置けば、座って靴を履く練習もできます。

こうすることで、「自分のことは自分で」という自立心を育むきっかけになり、親が毎回「片付けなさい!」と声をかける手間も減らすことができます。

 

家族ごとに収納ゾーンを決める

限られたスペースを有効に使うためには、仕切ることが不可欠です。「パパのキャンプ道具コーナー」「ママのガーデニング用品コーナー」「子どもたちの外遊びグッズコーナー」といったように、家族ごと、あるいは用途ごとにエリアを決めます。

こうすることで、どこに何があるか一目瞭然になり、使いたいものを探す時間が短縮されます。

ラベルを貼った収納ボックスを活用すれば、見た目もスッキリと整い、家族みんながルールを守りやすくなります。

 

ハンガーパイプや可動棚を設けるレイアウト

土間収納を長く快適に使い続けるための必須アイテムが、「ハンガーパイプ」と「可動棚」です。

ハンガーパイプがあれば、雨で濡れたレインコートや、花粉のついた上着などを室内に持ち込む前に一時的にかけておくことができます。

そして、最も重要なのが可動棚です。子どもの成長に合わせて収納する物は変化します。

ベビーカーが不要になればそのスペースに自転車を置き、スポーツを始めればその道具が増えていきます。

可動棚なら、収納するモノの大きさや量に合わせて棚の高さを自由に変えられるため、常に最適な収納スペースを確保できるのです。

 

中からも外からも出入りできる動線設計(ウォークスルー)

「ウォークスルー」タイプの土間収納は、玄関ドア側と室内側の両方に出入り口がある間取りです。

これにより、「玄関→土間収納で靴や上着をしまう→そのまま室内へ」という一方通行の滑らかな動線が生まれます。

朝の忙しい時間帯に家族の出入りが重なっても、玄関が混雑することがありません。

帰宅時も、汚れた靴のままリビングを通ることなく、スムーズに片付けを済ませることができます。

 

土間からパントリー・勝手口につながる家事動線付きの設計

家事効率を極限まで高めたい共働き家庭に最適なのが、土間収納がパントリーやキッチンに直結している間取りです。

週末にまとめ買いした重いお米やペットボトルの箱を、車から降ろしてすぐに土間収納やパントリーに運び込めます。

また、ダンボールなどの資源ごみをキッチンからすぐに土間収納へ移動させ、そのまま外のゴミ置き場へ出す、といった一連の流れが非常にスムーズになります。

日々の小さな手間を削減することが、暮らし全体のゆとりに繋がります。

 

土間収納を取り入れる際の注意点

※写真はイメージ(Adobe Stock/ELUTAS)

 

土間収納は非常に便利な反面、計画段階での配慮が不足すると、後悔の原因になりかねません。ここでは、失敗しないために必ず押さえておきたい5つの注意点を解説します。

 

湿気・換気対策(窓・換気扇の設置、調湿材の使用)

湿気対策は、最も重要なポイントです。多くの失敗例が、湿気とカビの問題です。

これを防ぐためには、計画的な換気システムの導入が不可欠です。

具体的には、自然光を取り入れつつ風を通すための「小窓」と、空気を強制的に入れ替える「換気扇」の両方を設置することを強くおすすめします。

実は、これは単なる快適性の問題だけではありません。

建築基準法では、新築住宅の全ての居室に24時間換気システムの設置が義務付けられており、土間収納も換気経路の一部として居室と一体と見なされることが多く、この空間の空気をよどませないことは、家族の健康を守る上でも重要です。

さらに、壁材に珪藻土や漆喰などの調湿効果のある建材を選ぶと、湿度をコントロールする補助的な役割を果たしてくれます。



床材の選び方(汚れにくいタイル・モルタル仕上げ)

土間収納の床は、土や砂、雨水、自転車のタイヤ痕など、さまざまな汚れにさらされます。

そのため、掃除がしやすく、耐久性の高い床材を選ぶことが大切です。

コンクリートを平らに仕上げた「モルタル仕上げ」や、デザイン性が高く傷にも強い「タイル仕上げ」が人気です。

どちらも水洗いが可能で、泥汚れなどもデッキブラシで簡単に落とすことができます。フローリングなどの木材は、傷や水分に弱いため避けた方が賢明です。

 

子どもでも出し入れしやすい高さ・導線

せっかくの収納も、使いにくければ意味がありません。特に子どものためのスペースは、子どもの目線で設計することが大切です。

自分の荷物を自分で管理する習慣を身につけてもらうためにも、フックや棚は子どもの身長に合わせた低い位置に設置しましょう。

また、ベビーカーや自転車など、頻繁に出し入れする大きなもののために、通路幅は十分に確保し、スムーズに出し入れできるかシミュレーションしておくことが重要です。

 

家族構成や成長を見越した収納スペースの確保

家を建てた時点での荷物の量だけで収納の広さを決めると、数年後には必ず手狭になります。

子どもの成長と共に、持ち物は質も量も大きく変化します。将来増えるであろうスポーツ用品や趣味の道具、家族が増える可能性なども考慮して、少し余裕を持たせたスペースを確保することが後悔しないコツです。

収納スペースの8割程度の使用に留め、残りの2割を将来の変化に対応するための「余白」としておくことで、長く快適に使い続けることができます。

 

将来不要になる可能性も踏まえた柔軟な設計(可変性)

15年後、20年後、子どもが独立した後のことも少しだけ想像してみましょう。

その時、大きな土間収納はどのような役割を果たすでしょうか。この「ライフステージの変化への対応力」こそが、賢い設計の鍵です。

作り付けの固定棚でガチガチに固めてしまうのではなく、高さを自由に変えられる「可動棚」を全面的に採用することで、収納物に合わせて柔軟にレイアウトを変更できます。

将来的に収納スペースが不要になった際には、棚を外して趣味の作業スペースにしたり、小さな書斎にしたりと、用途を転換できるような柔軟な設計(可変性)を意識することが、長期的な満足度に繋がります。

 

土間収納を採用するか迷っている方へ|向いている家庭の特徴

※写真はイメージ(Adobe Stock/maroke)

 

ここまで読んで、「うちには土間収納が必要かも?」と感じ始めた方も多いかもしれません。最後に、ご自身のライフスタイルと照らし合わせながら、土間収納が特に向いているご家庭の特徴をご紹介します。

お子さんの外遊びが活発で、公園グッズや泥んこ遊びの道具が多いご家庭や、サッカーや野球などのスポーツをしており、用具の置き場所に困っているご家庭には特におすすめです。

また、家族共通の趣味がキャンプやバーベキュー、釣りなどのアウトドアである場合も、土間収納の恩恵を大きく受けられるでしょう。

自転車、ベビーカー、三輪車など、かさばる乗り物を室内で安全に保管したい方や、玄関は常にスッキリと片付いた状態にしておきたいという方にも向いています。

さらに、花粉や砂埃などをリビングに持ち込みたくないという衛生意識が高い方、共働きなどで忙しく、日々の片付けや掃除の時間を少しでも短縮して効率化したい方、ネット通販をよく利用し、届いたダンボールの一時置き場に困ることがある方にとっても、土間収納は強い味方となってくれるはずです。

 

土間収納のよくある質問(Q&A)

土間収納に関して、よくある質問とその回答をまとめました。

 

Q:どれくらいの広さがあれば使いやすい土間収納になりますか?

A:一概には言えませんが、一般的には1.5畳から3畳(約2.5㎡〜5.0㎡)が最も人気の高い広さです。

1.5畳あれば、ベビーカー、傘立て、外遊びのおもちゃ数点を置くことができます。

2畳以上のスペースを確保できると、自転車やアウトドア用品、シーズンオフのタイヤなど、より大きなものも余裕をもって収納できるようになります。

最も大切なのは、単なる広さではなく、「何を、どれくらい収納したいのか」を事前にリストアップし、それに合わせた最適なサイズを設計することです。

 

Q:シューズクロークとの違いは?

A:「シューズクローク」は、その名の通り、主に靴を収納することを目的としたスペースを指します。

一方で「土間収納」は、靴だけでなく、ベビーカー、アウトドア用品、ゴミの一時置き場など、より多目的に利用できる「土足のまま入れるユーティリティルーム」という広い概念で使われることが多いです。

多くの場合、広い土間収納の中に、靴を置くための棚、つまりシューズクロークの機能が含まれていると考えると分かりやすいでしょう。

 

Q:玄関が狭いけど土間収納は設けられる?

A:はい、設計の工夫次第で十分に可能です。例えば、玄関横の廊下の一部や、デッドスペースになりがちな階段下を活用して、0.5畳から1畳ほどのコンパクトな土間収納を設ける事例は数多くあります。

スペースが限られる場合は、床に物を置くのではなく、壁面を有効活用した「見せる収納」が効果的です。

有孔ボードやオープンな棚板を設置して、縦の空間を最大限に活用することで、狭くても機能的な収納スペースを実現できます。

 

まとめ

※写真はイメージ(Adobe Stock/polkadot)

 

土間収納は、モノで溢れがちな子育て家庭の「片付かない玄関問題」を解決し、日々の暮らしをスムーズで快適なものに変えてくれる、とても強力な味方です。

外で使うものを気兼ねなく収納できるだけでなく、考え抜かれた動線設計は家事の時短にも繋がり、忙しいパパ・ママに心のゆとりをもたらしてくれます。

成功の鍵は、目先の便利さだけでなく、長期的な視点を持って計画することにあります。後悔しないためには、湿気やカビを防ぐための計画的な換気対策、そして子どもの成長やライフスタイルの変化に対応できる「柔軟な設計(可変性)」の2点が不可欠です。

可動棚を基本とし、将来の使い道まで見据えた柔軟な設計を心がけることが、10年後、20年後も「作ってよかった」と思える土間収納に繋がります。

 

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