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「私、母親失格かも…」といった思いに押しつぶされそうになる瞬間、ありませんか?でも、その気持ちを抱くのはあなたがダメだからではありません。多くの母親が、一度は感じる育児の疲労と愛情の間で揺れる自然な反応です。そして何より、「母親失格かも」と悩むこと自体が、あなたが真剣に子どもと向き合おうとしている証拠といえるでしょう。
今回の記事では、その気持ちの正体や心が軽くなる考え方、今日からできるケア方法、相談先までをわかりやすくご紹介します。
育児をしていると、ふとした瞬間に「私、母親に向いてないのかも」と感じてしまうことがあるでしょう。毎日一生懸命やっているはずなのに、思うようにいかないことの連続で、自信を失ってしまうのは珍しいことではありません。こうした気持ちは、あなただけが感じているものではなく、多くの母親が通る心の揺れといえるでしょう。
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本当は優しくしたいのに、疲れや余裕のなさから強い言葉が出てしまうことがあるかもしれません。あとから自己嫌悪に陥り、「こんなことで怒るなんて母親失格だ」と自分を責めてしまう人も多いでしょう。しかしこれは、心と体のエネルギーが限界に近づいているサインともいわれています。
SNSや周囲の親子を見ると、「みんなうまくやっているのに、私だけできていない」と感じてしまうことがある方もいるでしょう。けれど、見えているのはほんの一部です。比べるほどに苦しくなるのは、真面目に子育てと向き合っている証でもあります。
「子どもは大切なのに、一緒にいるのがしんどい」と感じると、自分を責めてしまうこともあるかもしれません。ただ、この感覚は愛情不足ではなく、育児疲れや休息不足からくる自然な反応です。心に余裕がないときほど、楽しさを感じにくくなってしまうでしょう。
やることが次々に積み重なり、終わりが見えない毎日に「もう全部投げ出したい」と思うこともあります。それは逃げたい弱さではなく、頑張り続けてきた人ほど出やすい本音です。
「子どもは可愛いけれど、同時に育児がつらい」このような矛盾に戸惑い、「こんな気持ちを持つ私はおかしいのでは」と悩む人も多いでしょう。しかし、愛しているのに苦しいという感情は、正常な育児ストレス反応といえます。どちらか一方が本当というわけではなく、両方が同時に存在してもおかしくありません。
「母親失格かも」と強く悩むママには、実は共通する傾向があるといわれています。育児を投げ出したい人ではなく、むしろ一生懸命向き合い続けている人であるということです。
ここからは、そうしたママに多く見られる特徴を紹介します。
完璧主義タイプの方は、「こうしなきゃ」「母親ならこうあるべき」という理想を高く掲げ、自分に厳しくなりがちといわれています。
理想のママ像を追い続けるあまり、少しうまくいかなかっただけで強い自己否定に陥ってしまうことがあるでしょう。
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周囲の言葉やSNSの投稿を見て、「私の育児は間違っているのでは」と不安になりやすい傾向の方もいるでしょう。他の家庭と比べるほど苦しくなり、自分の頑張りを正しく評価できなくなってしまいます。
自分のつらさを後回しにし、家族や周囲を優先する人も多くいます。助けを求めることを「迷惑をかけること」と感じ、一人で抱え込んでしまいがちです。
育児も家事も「全力でやるべき」「中途半端ではいけない」と思い込みやすい方もいるかもしれません。手を抜くことに強い罪悪感があり、知らないうちに心身が限界に近づいてしまいます。
「ちゃんとやっているはずなのに、どうしてこんなに自分を責めてしまうんだろう」このように感じる背景には、母親としての資質ではなく、環境や心身の状態が重なって起きる理由があります。
「母親失格」という気持ちが生まれやすくなる主な要因を見ていきましょう。
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育児は、終わりの見えない作業の連続です。十分な休息や睡眠が取れない状態が続くと、心の余裕がどんどん削られていきます。
その結果、些細なことで落ち込んだり、「私は何もできていない」と自己否定に傾きやすくなってしまうでしょう。
悩みや不安を誰にも話せず一人で抱え込んでいると、「できていないのは私だけ」という思い込みが強くなります。本当は多くの母親が同じように悩んでいるにもかかわらず、孤独な状態が自己評価をさらに下げてしまいます。
SNSには、うまくいっている場面や前向きな一面が切り取られて並んでいます。それを日常の自分と比べてしまうことで、現実とのギャップに苦しくなり、「私はダメな母親だ」と感じやすくなるでしょう。
「優しくて、余裕があって、いつも子どもの気持ちに寄り添える母親」このような理想の母像を無意識に背負っていると、思うようにできない現実に直面したとき、自分を強く責めてしまいます。
完璧を求めるほど、苦しさは増えていきます。
産後や育児期は、ホルモンバランスの変化や慢性的な疲労により、感情が揺れやすい時期といわれています。
この影響で自己評価が下がりやすくなり、「私は向いていないのでは」と感じやすくなることも珍しくないでしょう。
育児が苦しくなったときほど、頭の中は「ちゃんとしなきゃ」「私が悪いのかも」という思考でいっぱいになってしまうことがあるかもしれません。でも、少し視点を変えるだけで、心の負担は確実に軽くなります。
ここからは、自分を追い込みすぎてしまうママにこそ知ってほしい考え方を紹介します。
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育児も家事も、点数をつけるものではありません。毎日すべてを完璧にこなそうとすると、心も体もすり減ってしまいます。
「今日はこれだけできたら十分」「できない日があってもいい」と考えることは、手抜きではなく長く続けるための工夫といえるでしょう。
子どもに怒ってしまった日や、思うように動けなかった日は、「ダメだった」ではなく「疲れていたんだな」と受け止めてみましょう。
自分を責め続けても状況は良くなりませんが、自分をいたわることで少しずつ余裕が戻ってくるかもしれません。
子どもにとって必要なのは、完璧な母親ではなく、「一緒に揺れながらもそばにいる大人」です。失敗したり、弱音を吐いたりする姿も、子どもにとっては大切な学びになるでしょう。
無理に理想像を目指さず、「今の私でいい」と認めることが、心を守る第一歩といえます。
育児がつらいと感じるとき、つい「もっと頑張らなきゃ」と自分を追い立ててしまいがちです。でも本当は、育児を頑張る前に、まず自分の心と体を回復させることが何より大切といわれています。
今すぐ生活に取り入れられる、負担の少ないケアをご紹介します。
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長い時間が取れなくても大丈夫です。コーヒーをゆっくり飲む、目を閉じて深呼吸をする、静かな場所に少しだけ座ってみましょう。
たった5分でも「誰のためでもない時間」を持つことで、心は確実に落ち着きます。一人時間は贅沢ではなく、回復のための必須時間です。
疲れているときに、家事まで完璧にしようとすると余計に苦しくなります。冷凍食品や惣菜、ミールキット、時短家電を使うことは手抜きではありません。
今は「回す」ことが目的。元気が戻ったら、またできることは増えていくでしょう。
つらさを一人で抱え込むほど、「私だけがおかしいのかも」と感じやすくなるといわれています。友達や夫、支援センターなど、安心して話せる相手に言葉にしてみましょう。
解決しなくても、「話した」という行為そのものが心を軽くしてくれるかもしれません。
音楽を聴く、動画を見る、趣味に触れる、推しを眺めるなど、自分の「好き」「楽しい」は心の栄養です。
罪悪感を持つ必要はありません。楽しむことは現実逃避ではなく回復行動といえます。
自分が満たされる時間があるからこそ、また子どもと向き合える力が戻ってくるでしょう。
どれも大きな決断はいりません。「できそうなことを一つだけ」で十分です。
次は、「母親失格」と感じてしまったときに頼れる相談先や支援について見ていきましょう。
「誰かに相談するほどじゃない」「まだ我慢できる」と思ってしまうときこそ、心は限界に近づいていくといわれています。支援を使うことは、弱さではなく「自分と子どもを守る選択」につながります。
ここからは、状況や気持ちに応じて頼れる支援先を紹介します。
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市区町村の保健センターなどで利用でき、育児や母親のメンタルについて気軽に相談できるようです。
「母親失格かも」「しんどい」といった気持ちの相談も問題ありません。専門職が話を聞いてくれ、必要に応じて他の支援につないでもらえる安心な窓口です。
出産後の心身の回復を目的とした施設で、産後うつ予防や育児負担の軽減に役立つでしょう。
宿泊型・日帰り型などがあり、休息・相談・育児サポートを受けられるのが特徴だといわれています。「少し休みたい」「一人になる時間がほしい」と感じたときに使える支援です。
保育園や施設で、短時間子どもを預かってもらえる制度です。理由は問われず、「リフレッシュしたい」「休みたい」だけでも利用できるという声もありました。
数時間でも子どもと離れることで、気持ちが大きく回復することがあるでしょう。
地域の支援員が、子どもの預かりや送迎を手助けしてくれる制度です。
自治体が運営しているため、比較的安心して利用できます。「毎日は無理だけど、週に少し助けてほしい」という家庭にも向いているようです。
民間サービスを利用し、自宅での保育をお願いする方法です。外出せずに預けられるため、心身が限界に近いときにも使いやすい支援です。
費用はかかりますが、「今を乗り切るための手段」と考えることもできるでしょう。
自己否定が強い、涙が止まらない、イライラが抑えられない状態が続く場合は専門的なケアも選択肢のひとつです。
カウンセリングでは、気持ちを整理しながら自分を責めない考え方を身につけていけるでしょう。心療内科では必要に応じて医療的サポートを受けることも可能です。
匿名・無料で相談できる窓口が多く、今すぐ誰かに話したいときに助けになってくれるでしょう。
「こんなことで電話していいのかな」と迷う必要はありません。声に出して話すだけでも、心は一段落ち着きます。
https://www.cfa.go.jp/children-inquiries
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今回の記事では、その気持ちの正体や心が軽くなる考え方、今日からできるケア方法、相談先までをわかりやすくご紹介しました。
「母親失格かも」と悩んでしまうのは、逃げているからではなく、限界まで育児と真剣に向き合ってきた証拠といえます。育児は本来、ひとりで抱えるものではありません。支援や周囲の力を借りながら進めていいものです。今すぐ完璧を目指さなくて大丈夫です。できることから、少しずつで十分です。
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