子育て世帯にとってどうやってマイホームを選ぶのかは、とても悩ましいことの一つといえるでしょう。今回の記事では、国土交通省の資料をもとに子育て世帯がマイホームに求めるもの、一戸建てとマンションの選び方、ママやパパが実際に選んだ住宅について体験談を交えてご紹介します。
子育て世帯はどのようなことをマイホームに求めているのでしょうか?国土交通省 国土技術政策総合研究所が行った調査によると、子どもの年齢期別に重要視するものを見てみましょう。なお、調査における子どもの年齢期は、以下のとおり分けられています。
【子どもの年齢期】
乳児期・幼児前期に子育てしやすい家として重要とされるものは以下のとおりです。
1位 | 転落防止の工夫 |
2位 | 壁や床の遮音性が高い |
3位 | 危険箇所への侵入防止の工夫 |
4位 | リビングや子ども部屋の日当たりや風通しが良い |
5位 | 子どもがよく利用する病院が近くにある |
乳児期・幼児前期は、転落防止や危険箇所への侵入防止などの事故防止になるものが求められるようです。家の中でも0~3歳の子どもに関するさまざまな事故が起きる可能性があるため、重要視するママやパパも多いのかもしれませんね。
幼児後期に子育てしやすい家として重要とされるものは以下のとおりです。
1位 | 子どもの様子を把握しやすい間取りの工夫 |
2位 | 転落防止の工夫 |
3位 | 子どもが良く利用する病院が近くにある |
4位 | リビングや子ども部屋の日当たりや風通しが良い |
5位 | 子育て支援施設が近くにある |
子どもとのコミュニケーションが取れるようになり、お友だちとの関わりも深くなる幼児後期は、乳児期・幼児前期と似たランキングですが、「子育て支援施設が近くにある」「安心して遊ばせられる公園が近くにある」など外部とのつながりを求める事項も重視されるようになります。
小学校低学年のときに子育てしやすい家として重要とされるものは以下のとおりです。
1位 | 小学校・図書館などが近くにある |
2位 | リビングの広さ・使いやすさ |
3位 | リビングや子ども部屋の日当たりや風通しの良さ |
4位 | 安心して遊ばせられる公園が近くにある |
5位 | 子どもの様子を把握しやすい間取りの工夫 |
乳児期・幼児期にはママやパパがさまざまな場所に送迎をしていましたが、小学校低学年になると、登下校をはじめ1人で動ける範囲が広がります。そのため、「小学校・図書館などが近くにある」の重要度が圧倒的に高くなるようです。
小学校高学年のときに子育てしやすい家として重要とされるものは以下のとおりです。
1位 | 小学校・図書館などが近くにある |
2位 | 子どもの個室がある |
3位 | リビングの広さ・使いやすさ |
4位 | リビングや子ども部屋の日当たりや風通しの良さ |
5位 | 防犯対策がある |
小学校低学年と同様、「小学校・図書館などが近くにある」が1位ですが、小学校高学年になると、「子どもの個室がある」など子どもの思春期や反抗期を踏まえたものがランクインしています。また、小学校低学年よりもさらに行動範囲が広がったり、留守番の時間が増える可能性があるため、「防犯対策がある」もランクインしています。
中学生以降に子育てしやすい家として重要とされるものは以下のとおりです。
1位 | 子どもの個室がある |
2位 | 中学校・図書館などが近くにある |
3位 | リビングや子ども部屋の日当たりや風通しの良さ |
4位 | 子どもの様子を把握しやすい間取りの工夫 |
5位 | 防犯対策がある |
中学生になると、思春期や反抗期を迎えている割合がさらに増えると考えられるため、「子どもの個室がある」が圧倒的に重視される傾向にあるようです。また、家族間のコミュニケーションが減らないよう「子どもの様子を把握しやすい間取りの工夫」も重視されているようです。
出典:「子育て世帯の住宅及び住環境のニーズに係る調査」/国土交通省
ここまで、子どもの年齢期別に重要視するものをご紹介しました。住宅の購入を検討しているママやパパの中には、一戸建てかマンションかどちらがいいのか悩んでいる方もいるのではないでしょうか?
一戸建てかマンションのどちらを選ぶか?については、ママやパパの「こんな家で子育てをしたい」「子育てしやすい家に求めるもの」が叶えられるかどうかで決めましょう。つまり、それぞれのライフスタイルによって、一戸建てかマンションのどちらが適しているかが異なるということです。
一戸建てとマンションのどちらを選ぶのか、それぞれの特徴から見てみましょう。
子育て世帯向けに販売されている一戸建てとマンションの広さを比較すると、一戸建ての方が広く部屋数が多いといわれています。そのため、子育てしやすい家として広さや部屋数を求めるのであれば、一戸建てを選ぶとよいでしょう。また、子どもが複数人いてそれぞれの子どもに1部屋ずつ子ども部屋を作る場合は、部屋数を確保しやすい一戸建ての方がいいかもしれません。
一方、マンションは一戸建てほどの広さや部屋数はありませんが、ワンフロアで生活ができて子どもの様子を把握しやすい傾向にあります。生活動線を短くしたり、子どもの様子を把握できることを求めるのであれば、マンションがおすすめといえます。
「こんな間取りの家にしたい」「「家の中の細かい箇所までこだわりたい」という方は、注文住宅の一戸建てを選ぶと実現できるかもしれません。
一方、一般的に人気のある間取り・内装の家に住みたいと考えている場合は、マンションや建て売りの一戸建てが適しているといえるでしょう。
住宅の周辺施設については、一般的にマンションの方が利便性が高いといわれています。特に、新築マンションの場合は良い立地に建てられることが多いでしょう。例えば、「駅に近い」「学校が近い」「家の近くにお店がある」などです。
自宅周辺の利便性を求めるのであれば、新築マンションを選ぶといいかもしれません。
一方、「大きな公園が近くにある」「自然に囲まれている」などを子育てしやすい家として重視するのであれば、一戸建ての方が実現しやすいといえるでしょう。
また、住宅購入や移住の補助金や助成金を受け取れる自治体もあるようです。職場や学校などを踏まえて、住むエリアについても検討してみましょう。
上記自治体で行っている制度の他に、子育て世代が活用できる制度の一つに、国土交通省が行っている「子育てエコホーム支援事業」があります。子育てエコホーム支援事業では、注文住宅の新築、新築分譲住宅の購入、リフォームの際に、条件を満たせば補助金を受け取ることができます。気になる方は、国土交通省のホームページを確認してみてください。
すでにマイホーム購入をしたママやパパが、子育てしやすい家としてどんなことを重要視してそれを形にしたのか、体験談を見てみましょう。
40代ママ:
「マイホームを購入したのは娘が小学校4年生のころでした。少しずつ思春期に入っているのかな…と思われる言動もあったので、家族とのコミュニケーションが取れる間取りにしたいと考えていました。そのため、リビングの隣に子ども部屋を設置して子どもの気配を感じられるようにしました。また、リビングにいるときにも家族でコミュニケーションが取りやすいよう、対面キッチンの住宅を選びました」
20代ママ:
「妊娠中に建て売りの一戸建てを購入しました。赤ちゃんが生まれるとものがどんどん増えると聞いていたので、収納スペースが確保できることを重視していました。子どものものをたくさん収納できるようパントリーのある住宅を選びました」
上記国土交通省の調査結果の通り、子どもの年齢によって住宅に求められるものが異なるようです。子どもが小さいうちに住宅購入をする場合は、長い目で見て選んだ方がよさそうですね。
30代パパ:
「子どもが生後5カ月のときにマイホームが完成して引っ越しをしました。これからずりばいやハイハイが始まるときだったので、リビングの隣を畳の部屋にしました。フローリングより柔らかいので、ずりばいやハイハイ、歩く練習も安心です」
30代ママ:
「下の子が幼稚園の年中、上の子が小学校低学年のときに新築マンションを購入しました。家の中でもとにかくよく動いていたので、フローリングの滑り止めと傷つき防止のため、フローリングのコーティングをしてもらいました」
子どものためにどんな内装があったらいいのかを考えているママやパパが多いようです。どんな内装が必要かわからない場合は、住宅販売業者の方に相談すると適切なものを提案してもらえるというママの声もありました。
40代パパ:
「我が家は共働きのため、小学校3年生頃から1人で家の鍵を開けて少し留守番してもらう時間がありました。そのため、ドアの開け閉めが確認できるスマートキーをつけてもらいました。職場で子どもの帰宅を確認できるので安心です」
子どもがある程度の年齢になると気になる防犯対策。子育てしやすい家として、防犯対策の設備を付けたというママやパパもいるようです。
今回の記事では、国土交通省の資料をもとに子育て世帯がマイホームに求めるもの、一戸建てとマンションの選び方、ママやパパが実際に選んだ住宅について体験談を交えてご紹介しました。
家を選ぶポイントはさまざまなものがありますが、どこを重視するかは人それぞれです。子どもを育てるにあたってどんなものが必要なのか、どんなことを重視したいのかを考えて、家族で話し合ってみましょう。
実際のマイホーム購入にあたっては、住宅ローンなどさまざまな条件がありますが、自分たちに合った「子育てしやすい家」を実現できるといいですね。
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