注文住宅で自分たちの住みやすい家づくりをしたいけれど子どもの教育費もかかるため、家づくりにどこまでお金をかけられるのか悩んでいる方は多いのではないでしょうか。注文住宅で家を建てる場合、自由に設計できるからこそ賢い取捨選択が必要になってきます。
今回の記事では、子育て世帯が無理なく理想の家づくりをするための予算配分と優先順位の決め方についてご紹介します。「必要なところにしっかり投資して不要なところは削る」というのが注文住宅での成功の秘訣です。
注文住宅で家を建てたいと思っていても、予算がどれくらいなのか、購入できる金額なのかが気になる方も多いでしょう。国土交通省が住宅の購入資金に関するデータを公表しています。こちらのデータを参照して、注文住宅の予算について詳しく見てみましょう。
国土交通省のデータによると、子育て世帯の注文住宅購入資金は「平均5,867万円」となっていて、すべての住宅のなかでもっとも高くなっています。子育て世帯の住宅購入資金について、注文住宅についで高いのは分譲集合住宅「平均4,923万円」となっています。
なお、国土交通省のデータの調査地域について、注文住宅は全国、そのほかの住宅は三大都市圏での調査となっています。
注文住宅を建てる際の予算は、「トータル」で考えることが重要です。注文住宅を建てる際、土地購入費用と建築費用の二つの費用がかかります。
土地購入費用は、住宅を購入する地域によって大きく変動します。一般的に都市部や交通の便のいい場所は高くなる傾向があります。
建築費用には、本体工事費用、付帯工事費用、諸費用があります。本体工事は家そのものを建てる工事です。付帯工事費用は、外構工事や設備工事など住宅周りを整えるための工事です。諸費用は、設計費や登記費用、保険料などのそのほかの費用をいいます。
それぞれの費用については、以下で詳しくご紹介します。
注文住宅は、内装やオプションへのこだわり、設備の追加などによって予算オーバーするケースがあるようです。
そのため、トータルの見積もりにあたっては、土地購入費用+建物購入費用+諸費用+家具家電+引っ越し費用までを含めて検討しましょう。
なお、予算のトータルは住宅購入を検討した最初の段階できめることが成功のカギです。
ここからは、予算についてさらに詳しく内訳を見てみましょう。
土地購入費用は、家を建てる土地の購入費用です。場所や広さ、形状などによって価格が異なります。エリアによって土地の価格は大きく異なります。特に、交通の利便性の良い都市部などでは土地の価格が高くなる傾向にあります。また、土地の形状などによって価格が変動します。
本体工事費用は、建物の基礎や構造、外装、内装など家そのものを建てる工事費用のことをいいます。注文住宅の総費用のうち約7〜8割を占めるといわれています。契約内容によって含まれる工事が異なります。
注文住宅の諸費用には、主に次のようなものが含まれます。
諸費用は、土地購入費用と建物工事費用の合計額の1割程度が目安といわれています。土地と建物の費用が5,000万円だった場合、500万円程度の諸費用がかかります。思っていたよりも諸費用が高かったと感じる方も多いようです。
事務手数料が安い住宅ローンを選ぶ、登記手続きは自分でするなど、諸費用を抑えるための工夫をした方もいるかもしれません。
付帯工事費用とは、駐車場や庭などの外構工事、水道などインフラの引き込み工事などにかかる費用です。地盤調査の結果、必要に応じて地盤改良工事が行われることもあります。つまり、土地などの状況によって行う工事と行わない工事があり、費用に差が生じます。
付帯工事費用の金額の目安は、総費用の20%程度といわれています。
注文住宅を購入する際、予算の中に引っ越し費用、家具家電購入費用まで含める必要があります。子育て世帯の引っ越し費用は時期や距離によって異なります。数万円で済むケースもあれば、数十万の費用がかかることもあります。
家具家電購入費用は、前の家からそのまま使う場合もあれば新居に新しい家具家電を揃えたいと考える場合もあるようです。家具家電購入費用の目安として100万円程度用意しているケースが多いといわれています。
上記の費用以外に子育て世帯にかかりやすい費用があるといわれています。どのような費用がかかるのか詳しく見てみましょう。
住宅購入をするエリアの学区が気になる方もいるでしょう。子どもの学区を優先することで、土地価格が高くなるケースがあるようです。
土地選びにおいて、子育てしやすいエリアや学区などさまざまなこだわりポイントがあるかもしれませんが、予算や優先順位を決めて土地選びを進めましょう。
ベビーカーや自転車を置くために外構を追加する場合は、そのための工事費用が追加で発生します。ベビーカーや自転車の使用頻度や用途を考えて、外構工事が必要かどうかを検討しましょう。
子どもがいる家庭では、食事中の食べこぼしで床・壁が汚れたり、おもちゃで遊んでいて床に傷がついたりすることがあるでしょう。
そのため、汚れや傷に強い床材や壁材にグレードアップしたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
床材や壁材について、グレードアップする場合にはオプションとして追加費用がかかることが多いようです。グレードアップする場合は、予算内におさまる範囲かどうか確認するようにしましょう。
将来、二世帯化したり、子ども部屋を仕切って個室にできるようにするなどの予定がある場合は、必要な費用も予算に入れておきましょう。
必要になったタイミングで間仕切りを追加するよりも、新築時に仕切れるように建具を設置しておく方が費用としては安くなることが多いようです。
子どもの人数や親の状況などから、仕切り変更の可能性があるかどうかを検討しておきましょう。
予算オーバーしないようにといわれても、具体的にどのようにコントロールすればよいのか悩む方も多いでしょう。
ここからは、注文住宅の費用コントロール術についてご紹介します。
注文住宅の予算配分には「7:2:1」の法則を目安にするとよいといわれています。土地購入費用、建物購入費用、諸費用それぞれの予算配分を表していて、土地購入費用:7、建物購入費用:2、諸費用:1といわれています。
まずはトータルの予算を決めてから、それぞれの配分を確認しましょう。
土地購入費用は、エリアや土地の形状などによって大きく変動します。建物購入費用は、工法やデザイン、資材によって大きく変動します。追加費用がかかりすぎないよう調整しながら進めていくことがポイントです。諸費用は、思いがけず高額になることもあるようです。細かく見積もりを出してもらっていくらになるのか確認しましょう。
注文住宅の設計・建築にあたっては、優先度を明確にするために、「やりたいことリスト」と「やめてもいいことリスト」を作っておきましょう。
住宅の構造や広さ、間取り、設備などについて、一度自分たちの希望を挙げてみましょう。子どもがある程度の年齢であれば、子どもも一緒に家族全員で話し合っておくといいかもしれません。一度挙げてみた希望の中で、「やりたいことリスト」と予算によって「やめてもいいことリスト」を作っておきましょう。
このリストをもとに必要な間取りや設備などを検討すると、予算オーバーを防ぐことにつながります。
注文住宅における標準仕様とは、住宅会社が提供する基本的な住宅仕様のことをいいます。標準仕様で建築する場合は、追加費用はかかりません。
標準仕様をアップグレードしたい、特定の設備を追加したい場合などにオプション費用が追加でかかります。例えば、傷がつきにくい床材にしたり、アイランド型のキッチンにするなどの場合があるようです。
オプションを追加することで自分たちのこだわりを実現できることがありますが、数百万円単位で追加費用がかかる場合もあるため、予算オーバーにならないよう注意が必要です。
子育て世帯が住宅を取得する場合、さまざまな支援策が設けられています。
例えば、省エネ性能の高い住宅を取得した場合には、40~160万円の補助金を受け取ることができる「子育てグリーン住宅支援事業」という制度があります。
自治体によって、さまざまな補助金・助成金制度が設けられているようなので、住む予定のエリアのホームページなどで確認してみましょう。
また、住宅ローンについては住宅ローン減税があります。年末時点の住宅ローン残高に応じて、所得税や住民税の控除を受けることができます。住宅ローンの家計への負担は大きいため、住宅ローン減税を活用することで家計の負担を大きく軽減することができます。
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注文住宅での家づくりを失敗しないためには、資金計画の段階でやるべきことがあります。それぞれ詳しく見てみましょう。
マンションや建売住宅の場合、住宅ローンは購入の申し込み前、もしくは同時に行うことが一般的です。
一方、注文住宅で家を建てる場合は土地の購入や設計プランが決まる前に、まずは事前審査をすることが一般的です。住宅ローンの事前審査をすることで、おおまかな借り入れ可能な金額や金利を確認することができます。
自分たちの希望通りの家づくりが完了したあとは、長期間にわたる住宅ローンの返済がはじまります。住宅ローンの返済期間中、日々の生活費がかかったり、子どもの教育費が大きくかかるタイミングがあります。
そのため、住宅ローンの返済以外にもこれからかかるお金を踏まえたライフプラン、金額のシミュレーションを行う必要があります。
家計の収支を踏まえて無理のない住宅ローンの返済額に設定することも重要です。
住宅会社との打ち合わせやヒアリングのときに、要望シートを作成するよういわれることがあります。要望シートとは、家族構成や新しい家でどんな暮らしをしたいか、間取りや部屋の条件などを記入したシートのことをいいます。
どんな暮らしをしたいのかイメージを具体的にすることで、必要な設備や間取りがわかり、結果としてどのくらいの予算が必要なのか考えることにも役立ちます。
要望シートの作成にあたっては家族でじっくり話し合うことが重要です。
今回の記事では、子育て世帯が無理なく理想の家づくりをするための予算配分と優先順位の決め方についてご紹介しました。「必要なところにしっかり投資して不要なところは削る」というのが注文住宅での成功の秘訣です。
そのためには、家族で自分たちの家についてじっくり話し合って、その内容を要望シートなどのかたちにしておくことが重要です。
予算の設定はトータルで考えて、自分たち家族にとって必要なものと不要なものを分けておくことで、子育ても家計も安心できる賢い住宅購入につながるでしょう。