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【2025年版】省エネ基準適合住宅とは?展示場で見るべきポイントまで完全ガイド

作成者: KIDSKI STYLE編集部|2025/6/30

※写真はイメージ(Adobe Stock/cinta)

 

「最近は省エネ住宅が当たり前と聞くけれど、普通の家と何が違うの?」このような疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。2025年からは新築住宅に省エネ基準の適合が義務化され、これからの家づくりに欠かせないポイントとなっています。

今回の記事では、省エネ住宅の基本や住宅展示場での見学ポイントなどについてご紹介します。補助金や住宅ローン控除の活用法もあわせてお伝えして、家づくりの判断材料として役立つ情報をお届けします。

 

省エネ基準適合住宅とは?

※写真はイメージ(Adobe Stock/Yijiao)



省エネ基準適合住宅とは、国が定めた省エネルギー性能の基準を満たした住宅のことをいいます。主に「断熱性能」と「一次エネルギー消費量」の2つの観点から評価され、快適な室内環境を保ちながらエネルギーの無駄を抑える設計が求められます。

断熱性能では、外気の影響を受けにくくすることで冷暖房効率を高め、光熱費の削減にもつながります。

一次エネルギー消費量とは、住宅内で使用される冷暖房・給湯・照明・換気といった設備のエネルギー消費量を合計したものです。

断熱性能と一次エネルギー消費量について国が定めた基準以下に抑えることで、省エネ住宅としての適合が認められます。2025年4月以降は、新築住宅すべてにこの基準への適合が義務化される予定で、今後の家づくりでは“当たり前”の条件となっていきます。背景には、エネルギー価格の上昇や地球温暖化対策など、住宅における省エネの重要性が高まっていることがあります。

 

出典:「省エネ基準適合義務化」/国土交通省

出典:「建築物省エネ法のページ」/国土交通省

 

省エネ基準適合住宅に求められる性能は?

※写真はイメージ(Adobe Stock/Intach)

 

省エネ基準適合住宅と認められるためには、一定以上の断熱性と省エネ性が必要です。主に「断熱等性能等級」と「一次エネルギー消費等級」の2つの指標で評価され、それぞれに定められた基準を満たすことが求められます。

 

1.断熱等性能等級4以上であること(断熱性能の基準)

省エネ基準を満たすうえで重要な指標となるのが、「断熱等性能等級4」以上であることです。これは、屋外の暑さや寒さをどれだけ室内に伝えにくくし、快適な温度を保てるかという“断熱性能”を評価する基準で、省エネ住宅としての最低ラインともいわれています。

断熱等性能等級に適合しているかどうかは、「UA値(外皮平均熱貫流率)」と「ηAC値(冷房期の平均日射熱取得率)」という2つの指標で判断されます。

UA値は住宅の内部から外へ逃げていく熱の量を表し、数値が低いほど断熱性能が高いことを意味します。一方、ηAC値は夏場にどれだけ日射熱を室内に取り込んでしまうかを示し、こちらも数値が低いほど日差しを遮って冷房効率が良い住宅とされます。

つまり、断熱等性能等級4とは、熱が逃げにくく、かつ夏の直射日光による熱を過剰に取り込まない住宅であることの証明です。これらの基準は国が定めており、2025年4月からは新築住宅においてこの等級への適合が義務化される予定です。住宅の快適性と光熱費の抑制を両立させるうえでも、非常に重要な基準といえるでしょう。

以下で「UA値」と「ηAC値」についてさらに詳しく解説していきます。

 

UA値(外皮平均熱貫流率)

UA値とは、住宅の屋根・壁・床・窓などから外へ逃げる熱の量を示す指標で、「外皮平均熱貫流率」といわれることもあります。UA値が低いほど、家の断熱性能が高いことを意味し、冬は暖かく夏は涼しい快適な室内環境を保ちやすくなります。

また、冷暖房にかかるエネルギーの無駄も少なくなるため、省エネ性にも優れた住宅といえます。住宅の断熱性能を数値で比較するうえで、UA値は非常に重要な基準のひとつです。

 

ηAC値(イータ・エーシー値)

ηAC値は、冷房を使用する時期に住宅がどれだけ日射による熱を取り込むかを示す指標で、「冷房期の平均日射熱取得率」といわれることもあります。この値が低いほど、夏の日差しを効果的に遮り、室内の温度上昇を抑えることができます。

その結果、冷房効率が高まり、エネルギー消費を抑えられるため、省エネ性能の高い住宅といえます。特に南向きの窓が多い住宅などでは、ηAC値の管理が快適な暮らしに直結します。

 

2.一次エネルギー消費等級4以上であること(住宅設備の省エネ性能)

一次エネルギー消費等級とは、住宅内で使用される冷暖房・給湯・照明・換気といった設備が、どれだけ効率的にエネルギーを使用しているかを評価する基準です。なかでも「等級4」は、国が定めた基準一次エネルギー消費量と同等またはそれ以下の消費量に抑えられている住宅に与えられます。この基準値は地域の気候や建物の規模・構造によって細かく設定されており、等級4は省エネ性能の“基本レベル”とされています。

等級4を満たすためには、高効率な給湯器やエアコン、LED照明、断熱性の高い窓や換気システムなど、エネルギー効率に優れた設備をバランスよく導入することが求められます。無駄なエネルギーを使わずに快適な生活環境を保つことで、光熱費の削減だけでなく、環境への負荷も抑えられる点が大きなメリットです。

この一次エネルギー消費等級4も、断熱性能と並んで住宅性能を左右する重要な指標となっており、2025年以降の新築住宅では適合が義務化されます。家づくりでは断熱性だけでなく、設備の省エネ性能にも目を向けて、総合的にバランスの取れた住まいを目指しましょう。

 

出典:「ラベル項目の解説」/国土交通省

 

省エネ住宅を建てるなら住宅ローン控除や補助金を賢く活用しよう

省エネ基準適合住宅を選ぶと、税制優遇や補助制度の対象となる可能性があります。住宅購入の初期コストは高額になりがちですが、国や自治体の支援制度をうまく活用すれば、負担を抑えることが可能です。

 

住宅ローン控除

※写真はイメージ(Adobe Stock/ELUTAS)

 

省エネ基準適合住宅などの省エネ性能の高い住宅を選ぶことで、「住宅ローン控除」の対象となります。住宅ローン控除は、住宅ローンを利用してマイホームを購入・新築した人に対して、年末時点のローン残高の0.7%を所得税などから控除する制度です。適用期間は原則13年間とされています。

以下の表のとおり、取得した住宅の種類によって控除対象借入限度額が異なります。省エネ性能の高い住宅を選ぶことでより多くの恩恵を受けられる可能性があります。また、子育て世帯や若年夫婦世帯(下表では「子育て世帯等」と記載)は、控除対象借入限度額の拡充措置があります。

 

住宅のタイプ

控除対象借入限度額

長期優良住宅・低炭素住宅

4,500万円

子育て世帯等5,000万円

ZEH水準省エネ住宅

3,500万円

子育て世帯等4,500万円

省エネ基準適合住宅

3,000万円

子育て世帯等4,000万円

 

住宅購入は人生の中でもっとも高い買い物といわれています。このような税制優遇は家計の大きな支えとなるでしょう。

 

出典:「住宅ローン減税」/国土交通省

出典:「住宅ローン減税等に係る所要の措置(所得税・個人住民税)」/国土交通省

 

補助金・支援制度

省エネ基準適合住宅には、国や自治体が実施する補助金や支援制度が用意されています。うまく活用すれば、初期費用の負担を大きく軽減できるチャンスです。以下で主な制度をご紹介します。

 

子育てグリーン住宅支援事業

子育てグリーン住宅支援事業とは、省エネ性能の高い住宅を取得した場合に補助金が交付される制度をいいます。子育て世帯を含む全世帯が対象となります。

補助額は住宅の種類によって異なり、40〜160万円の補助金を受け取ることができます。

 

出典:「子育てグリーン住宅支援事業 事業概要」/国土交通省

 

ZEH補助金制度

ZEH補助金制度とは、高断熱・省エネ設備+創エネ(太陽光など)を備えた住宅を取得した場合に補助金が交付される制度をいいます。

ZEH(ゼッチ)とは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略称で、具体的には、住宅で使用するエネルギーと太陽光発電などで創るエネルギーを調整して、1年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロ以下にすることを目指した住宅をいいます。

補助額は、設備の性能によって異なり、55~90万円の補助金が交付されます。

 

出典:「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」経済産業省

 

自治体独自の補助金・助成金制度(例:東京ゼロエミ住宅)

省エネ性能の高い住宅を取得した世帯向けに、各自治体が補助金・助成金制度を独自に設けているケースもあります。

今回の記事では、東京都の東京ゼロエミ住宅をご紹介します。ゼロエミとは、「ゼロエミッション(ZERO EMISSION)」の略称です。具体的には、高い断熱性能の断熱材や窓を使用したり、省エネ性能の高いエアコンなどを取り入れた東京都が独自に設けた水準を満たした住宅のことをいいます。水準を満たした住宅を取得した場合に、東京都から助成金が交付されます。

助成金額は、戸建住宅やマンションによって異なり、30〜240万円の助成金を受け取ることができます。

 

出典:「『東京ゼロエミ住宅』とは?」/東京都環境局

 

なお、今回ご紹介した内容は2025年6月23日の記事作成時点の情報です。制度の利用にあたっては、国土交通省や施行会社、各自治体のホームページなどに確認しましょう。

 

申請前にチェックすること

補助金や助成金を活用するためには、事前にいくつかの重要なポイントを確認しておく必要があります。

まず、対象となる住宅の性能基準や建築時期、施工業者が制度の要件を満たしているかをチェックしましょう。特に、省エネ性能を証明するためには、「住宅性能証明書」や「BELS評価書」などの書類が求められるケースもあります。

ご紹介した補助制度は予算に上限が設けられており、応募が集中すると早期に受付が終了することも少なくありません。せっかく条件を満たしていても申請が間に合わなければ受給できないため、スケジュールに余裕をもって準備を進めることが大切です。

 

住宅展示場で「省エネ基準適合住宅」を見学するメリット

※写真はイメージ(Adobe Stock/Hiroyuki)

 

カタログやWEBサイトだけでは伝わりにくい住宅性能も、実際のモデルハウスを見学すれば体感することができます。特に省エネ基準適合住宅は、住み心地や性能の違いを肌で感じることが重要です。

ここからは、住宅展示場で「省エネ基準適合住宅」を見学するメリットをご紹介します。

 

実物を体感できる(断熱性・空気の質・室温の安定など)

住宅展示場では、高断熱・高気密な住宅の空気の質や、部屋ごとの温度のムラのなさなどを実際に体感できます。室内の温度が安定していると、季節を問わず快適に過ごせることが実感できるでしょう。

また、玄関や廊下といった普段気にしない空間の温度差にも注目することで、家全体の性能レベルがわかります。省エネ住宅の快適さをよりリアルに感じられるでしょう。

 

性能の違いを実感できる

各モデルハウスを比較すると、断熱材や窓の仕様、換気システムなどの違いが分かりやすくなります。体感温度の差や遮音性など、暮らしに直結する部分の差を感じ取ることができるのも展示場ならではのメリットです。

複数のモデルを見比べることで、単なるスペック比較以上の「住み心地の違い」に気づけるかもしれません。家づくりの基準が明確になる貴重な機会になるでしょう。

 

各ハウスメーカーの断熱材・窓・設備の仕様を比較できる

省エネ性能は、住宅メーカーごとに採用している断熱材や窓、設備機器によって異なります。展示場では、実物を見ながら各メーカーの仕様や性能、特徴を比較できます。

また、説明パネルやサンプルで素材を確認できるケースもあり、より具体的な判断材料になるでしょう。自分たちの重視するポイントに合った仕様を選ぶヒントにもなるかもしれません。

 

直接質問・相談できる

展示場には建築の知識を持つスタッフが常駐しており、省エネ住宅について専門的な質問をその場で確認できます。性能基準の数値の意味や、補助金の対象条件など、分かりにくい部分も丁寧に教えてもらえるようです。

相談する中で、家族に合った提案を受けられることも多く、検討を深めるきっかけにもなるでしょう。初めての家づくりでも安心して話ができる環境といえます。

 

見学前に知っておきたい「チェックポイント」

※写真はイメージ(Adobe Stock/yuz)

 

住宅展示場で省エネ性能を見極めるには、事前に確認すべきポイントを押さえておくことが大切です。見学前に知っておきたいチェックポイントを押さえておくと、設備や数値の違いも理解しやすくなり、より実りある見学ができるでしょう。

 

HEAT20やUA値・C値(断熱・気密)の数値はパンフレットで確認

住宅の断熱性・気密性を評価する重要な指標が、UA値(外皮平均熱貫流率)とC値(隙間相当面積)といわれるものです。これらはHEAT20という民間団体が提唱する断熱水準とも関連し、カタログやパンフレットで明記されていることが多いようです。

数値が小さいほど性能は高く、快適さや光熱費の低減につながります。見学の際は、これらの数値が明示されているかを確認し、できれば他のモデルハウスとも比較しましょう。

 

採用している断熱材・窓の種類

どんな断熱材や窓が使われているかも、省エネ性能を左右する大きなポイントのひとつです。

例えば、断熱性に優れる樹脂サッシや、太陽光を遮るLow-E複層ガラスなどが採用されているかを確認しましょう。見た目では分かりづらい部分も、展示場ではサンプルや説明パネルで比較しやすくなるでしょう。断熱材の種類や厚み、施工方法にも注目することで、住まいの性能をより深く理解できます。

 

換気システムの仕組み

快適で健康的な室内環境を保つためには、計画換気システムの仕組みも重要です。特に、給気・排気ともに機械で行うタイプである第1種換気は、温度や湿度のロスを抑えながら空気を入れ替えるため、省エネ性能に優れています。どのような換気方式が採用されているか、展示場スタッフに聞いてみましょう。目に見えない空気の質も、快適な住まいの大切な要素です。

 

太陽光発電や蓄電池の有無とその仕様

エネルギーを「つくる」「ためる」設備が導入されているかも、省エネ住宅の大きな見どころです。太陽光発電システムや蓄電池が搭載されていれば、光熱費の削減や停電時の備えにもなります。導入されている場合は、発電容量や蓄電容量、メーカー・保証期間などの仕様も確認しておくと安心です。再エネ設備は補助金対象になることも多いため、あわせて確認しておきましょう。

 

展示場で見るべきポイント・聞くべきこと

住宅展示場では見た目だけでなく、「暮らしの快適さ」や「省エネ性能の実感」に直結する項目をしっかり確認することが大切です。気になる部分は遠慮せず質問し、納得できるまで説明を受けましょう。

 

各部屋の室温の違い

※写真はイメージ(Adobe Stock/tamayura39)

 

断熱・気密性の高い住宅は、部屋ごとの温度差が少ないのが特徴です。モデルハウスでは、実際に設置されている温度計を見せてもらい、リビングと廊下、脱衣所などの室温がどれくらい均一に保たれているかを確認するといいでしょう。

特に冬場や夏場の見学では、性能の差が顕著にわかります。体感と数値の両方で確かめることが、省エネ住宅を見極める近道といえるでしょう。

 

冬や夏のエアコン使用量

省エネ住宅では冷暖房効率が高く、エアコンの稼働時間や設定温度が抑えられるのが一般的です。実際にモデルハウスでのエアコン使用量の目安や、住んでいる方の光熱費の例を聞いてみるといいかもしれません。

シミュレーション資料を用意しているメーカーもあるため、具体的なイメージが掴みやすくなります。光熱費の違いは、家計に長期間大きく影響するポイントです。

 

使用している建材の断熱等級・素材

建材の断熱性能も、省エネ住宅の質を左右する大切な要素です。壁や床に使われている断熱材の種類・厚みや、窓のガラスやサッシの素材などを具体的に確認しましょう。住宅の断熱等級を示す数値や認定書類がある場合は、参考にすることができるでしょう。見えない部分こそ、性能に差が出やすいため丁寧にチェックしたいポイントのひとつです。。

 

省エネ住宅における「初期費用と回収年数」

省エネ性能が高い住宅は、建築コストがやや高くなる傾向にありますが、その分ランニングコストが抑えられ、長期的には家計にメリットが出やすくなるようです。モデルハウスでは、断熱仕様による価格差や、光熱費でどれくらい元が取れるかの回収年数についても質問しておきましょう。補助金の活用も含めて、トータルコストでの判断が重要です。

 

【まとめ】家を建てる前に“体感”して納得!省エネ住宅見学のすすめ

※写真はイメージ(Adobe Stock/Zoey106)



今回の記事では、省エネ基準適合住宅の基本的な性能から、住宅展示場で確認すべきポイントなどについてご紹介しました。住宅の性能は、カタログだけでは分かりにくい部分も多いため、実際に見て・触れて・比較することがとても重要です。

特に見学時には、「断熱性」「気密性」「空気の質」「光熱費」といった視点を意識することで、自分たちにとって最適な住まいがより明確になるでしょう。省エネ性能は、快適な暮らしと家計の負担軽減の両方に関わる大切なポイントです。ぜひ住宅展示場で実物を体感し、納得のいく家づくりを進めていきましょう。

 

お近くの住宅展示場はこちら!

https://www.housingstage.jp/exhibition

 

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