お家に太陽光発電は導入すべき?住宅展示場でのチェックポイント
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近年、電気代の高騰や脱炭素社会の推進といった背景から、「太陽光発電のある家」に注目が集まっているようです。特に共働き子育て世帯にとって、毎月の光熱費を抑えながら、災害時にも安心して暮らせる家づくりは大きな関心ごとといえるのではないでしょうか。
そうはいっても、「初期費用はどのくらい?」「本当に元が取れるの?」といった不安や疑問を持つ人も少なくありません。そんなときにおすすめなのが、太陽光発電付き住宅を体感できる住宅展示場の見学です。
今回の記事では、太陽光発電の基本から展示場でのチェックポイント、注意点、補助金制度まで、見学前に知っておきたい情報などについてご紹介します。ご家族の将来を見据えた家づくりのヒントとして、ぜひご活用ください。
太陽光発電付き住宅とは?基本をおさらい
まずは、太陽光発電付き住宅の基本的な仕組みや特徴について確認してみましょう。仕組みや効果を正しく理解することで、展示場での見学もぐっと分かりやすくなるかもしれません。
太陽光発電の仕組み
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太陽光発電は、屋根などに設置したソーラーパネル(太陽電池モジュール)が太陽の光を受けて発電します。この電気はそのままでは家庭で使えないため、「パワーコンディショナー(PCS)」という機器で家庭用の電力に変換されます。
発電された電気は、家電や照明などに使えるほか、余った電力は売電することも可能です。
これらの設備は屋外・屋内それぞれに設置されるため、実物を展示場で見てイメージしておくといいでしょう。
自家消費/売電/蓄電池との連携
発電した電気は、まず家庭内で使われる「自家消費」にあてられます。使いきれなかった電力は、電力会社に買い取ってもらう「売電」が可能です。
また、蓄電池と連携すれば、日中に発電した電気を夜間に使うこともでき、電力の自給自足に近づけます。HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)というシステムを活用すれば、家庭で使用するエネルギー(電気、ガス、水道など)の消費量を「見える化」し、家電や設備の効率的な運用をすることができるようになります。
光熱費削減効果やCO₂削減効果
太陽光発電は、家庭の電気をまかなうことで電気代の節約につながるのが大きなメリットのひとつです。自家消費の割合が増えるほど、毎月の光熱費は安定しやすくなります。
また、太陽のエネルギーを利用するため、CO₂排出量の削減にも貢献でき、環境へのやさしさも魅力です。長期的に見ると、家計と地球の両方にやさしい選択肢といえるでしょう。
初期費用と導入コスト感の目安
太陽光発電システムの導入には、容量や機器によって異なりますが一般的に100万〜200万円前後の初期費用がかかるといわれています。蓄電池を併用する場合はさらにプラス100万円以上かかるケースもあります。
ただし、各種補助金制度の活用や長期的な光熱費の削減効果を含めると、数十年単位で見たときにコストメリットが出ることもあるようです。展示場では、実際に設置された設備を見ながら、コストと効果のバランスを具体的にイメージすることが大切です。
太陽光発電のある家を住宅展示場で見るメリット
太陽光発電付き住宅の具体的なイメージをつかむには、実際の設置例を“見て・触れて・確かめる”ことが近道です。ここからは、太陽光発電のある家を住宅展示場で見るメリットを具体的に見てみましょう。
実際の設置例・配線・屋根形状との相性が見られる
展示場では、太陽光パネルがどのように屋根に設置されているかを実際に見ることができます。屋根の勾配や方角との相性、パネルの目立ち具合、配線の取り回しなど、図面ではわかりにくいポイントを確認できるのが魅力です。
建物の外観と太陽光設備のバランスもチェックしておくと、後悔のない設置につながるでしょう。「見た目も重視したい」という方には、デザインと機能の両立がイメージしやすくなるかもしれません。
モデルルームで断熱・省エネとの組み合わせを体感できる
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太陽光発電の効果を最大限に活かすには、住宅自体の断熱性や気密性も重要だといわれています。展示場では、省エネ性能の高い家と太陽光設備がどのように組み合わされているかを体感できます。
例えば、夏は涼しく冬は暖かい室内環境を実際に感じることで、光熱費削減の実感も得られやすくなります。エネルギーを「創る×守る」住まいの仕組みを学べるのも、展示場見学の大きなメリットでしょう。
蓄電池やHEMSと連携したスマートハウスの事例も
最近の住宅展示場では、蓄電池やHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)を備えたスマートハウスの展示も増えているようです。昼間に発電した電気を蓄えて夜間に使ったり、家中のエネルギー使用を「見える化」する最新設備を体験できます。
停電時の自動切り替え機能やAIによる省エネ制御など、「もしも」に強く、日常も快適にするテクノロジーを確認できます。共働き家庭や子育て世帯にとって、安心・便利なスマート設備の導入イメージがしやすくなるかもしれません。
資材・施工法・メーカーごとの違いを比較できる
ひとくちに「太陽光発電付き住宅」といっても、メーカーごとに設備の種類や設置方法、提案内容には違いがあるようです。展示場では複数のモデルハウスを比較できるため、屋根材の種類や太陽光パネルの耐久性、施工の丁寧さなどを見比べることが可能です。
中には、保証年数やメンテナンス内容に差がある場合もあるため、じっくり確認しておきましょう。複数の選択肢を一度に比較できるのは、展示場見学ならではのメリットといえるでしょう。
見学時にチェックしたいポイント
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太陽光発電付き住宅を検討するなら、設置環境や設備内容を具体的に確認することが重要です。見学時にチェックしたいポイントを押さえておきましょう。
パネルの設置場所(屋根形状や方角)
太陽光パネルの発電効率は、設置する屋根の形状や向きによって大きく左右されるといわれています。南向きの屋根が理想とされますが、東西設置でも十分な発電が期待できるケースもあるようです。
展示場では、屋根の勾配や影の影響などを実際に見て確認することができます。また、外観との調和や美観にどの程度配慮されているかもチェックしておくといいでしょう。
売電・蓄電のシステムとモニタリング方法
太陽光で発電した電力を「どう使い」「どう売るか」は、生活スタイルに直結するポイントです。展示場では、売電の仕組みや蓄電池との連携方法について、リアルなシステム構成を確認できます。
また、HEMSなどを使った発電量や消費量のモニタリング画面を見られることもあります。日々の電力使用を“見える化”することで、無理なく節電できる暮らしがイメージしやすくなるでしょう。
メーカーごとの保証・耐久性
太陽光パネルや関連機器は、長期にわたって使用する設備だからこそ、保証や耐久性の確認を行いましょう。メーカーごとに10〜25年などの保証期間や対象範囲が異なるため、比較検討が重要になるでしょう。
また、パネルの出力保証や施工保証など、保証の中身にも注目しましょう。展示場のスタッフに聞けば、実際の故障事例や対応例についても詳しく教えてもらえるかもしれません。
太陽光発電の容量と家族構成に合ったサイズ感
必要な発電容量は、家族の人数やライフスタイルによって変わってくるでしょう。
展示場では、「このモデルで◯kWの発電量」といった具体的な導入例が参考になります。「子どもが成長したら電気の使用量が増えるかも」など、将来を見据えた提案が受けられるのも展示場の強みです。
光熱費削減の効果を最大限に引き出すためには、わが家に合った最適な容量選びがカギとなるでしょう。
蓄電池の有無・設置スペースの確保
災害時の備えや夜間の電力活用を考えると、蓄電池の導入は大きな安心材料になります。ただし、蓄電池はサイズが大きいため、設置スペースの確保や室外機との兼ね合いを確認することがポイントです。
展示場では、蓄電池がどこにどのように設置されているかを実際に見ることができます。屋外・屋内それぞれの設置例を見ておくと、導入後の生活動線やメンテナンス性もイメージしやすくなるでしょう。
太陽光発電付き住宅の注意点とデメリットも知っておこう
太陽光発電は魅力的な選択肢ですが、メリットだけでなくデメリットや注意点も理解しておくことが大切です。事前に把握しておくことで、導入後に「こんなはずじゃなかった…」という後悔を防げるでしょう。
初期費用の高さ
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太陽光発電システムの導入には、家庭用4〜6kWの場合、一般的に100〜200万円前後の初期費用がかかるといわれています。蓄電池を組み合わせる場合は、さらに100万円以上の追加費用が発生することもあります。
費用対効果を冷静に見極めるためにも、シミュレーションや見積もりを複数とりましょう。また、補助金の活用やローンを含めた資金計画の検討も忘れずに行うこともポイントです。
メンテナンス・修理コスト
太陽光パネル自体は耐久性がありますが、経年劣化や天候によるダメージは避けられません。パワーコンディショナーなどの機器は、10〜15年で交換が必要になるケースも多く、数十万円の費用がかかることもあるようです。
また、定期的な点検や清掃を依頼する場合には、年間1〜2万円程度の維持費を見込む必要があります。保証内容とあわせて、長期的なメンテナンス体制も確認しておきましょう。
発電効率の地域差
太陽光発電は、日照時間や天候に大きく影響されるため、地域によって発電量に差が出るといわれています。例えば、晴天の多い地域と雨や雪の多い地域では、年間で数百kWh単位の差が出ることもあるようです。
また、周囲に高い建物や樹木があると、影の影響で発電効率が下がる可能性もあります。住宅展示場では、地域の気象データや近隣事例を参考にしたアドバイスを受けることも可能です。
屋根のリフォーム時の取り外し対応
屋根の塗り替えや修繕が必要になった際、太陽光パネルの取り外しと再設置が必要になります。取り外しと再設置の作業には数十万円程度のコストがかかることがあり、施工期間も延びる可能性があります。
導入前に、屋根の耐久年数やリフォーム時期とのバランスを考えることが大切です。展示場スタッフやメーカーに、取り外しの流れや対応実績について聞いておくといいでしょう。
太陽光発電住宅を建てる際に活用できる補助金制度
太陽光発電の導入には、上記のような一定の初期費用がかかりますが、国や自治体の補助制度を上手に活用すれば負担を抑えることができます。太陽光発電住宅を建てる際に活用できる補助金制度を、詳しく見てみましょう。
ZEH補助金制度
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ZEH(ゼッチ)とは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略称で、断熱・省エネ・創エネを組み合わせて年間のエネルギー消費量を実質ゼロ以下にする住宅のことをいいます。
ZEH補助金制度は、ZEHを建てる場合、設備の性能によって異なり、55〜90万円の補助金が交付されます。
なお、要件としては、一定以上の断熱性能、太陽光発電システム、HEMSの導入などが求められます。補助対象となる事業者(ZEHビルダー)を通じて申請が必要なので、早めに確認しておくといいでしょう。
出典:「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」経済産業省
DR家庭用蓄電池事業
DRとは、ディマンドリスポンスの略称で、電力需給に合わせて電力消費を調整する手法です。「家庭用蓄電池導入支援事業」は、災害時や電力ひっ迫時の備えとして蓄電池の導入を支援する国の制度をいいます。
この制度では、蓄電池の導入に対して最大60万円の補助が受けられます。補助を受けるには、国指定の電力制御サービスに参加することなどの要件を満たす必要があります。
太陽光発電と併せて蓄電池も導入したい方にとっては、大きなコストダウンのチャンスといえるでしょう。
出典:「DR家庭用蓄電池事業【公式】」/一般社団法人 環境共創イニシアチブ
自治体の独自補助制度
国の補助金とは別に、各都道府県や市区町村が独自に実施している補助制度もあります。
補助内容は自治体によって異なり、太陽光発電だけでなく、蓄電池や高断熱仕様、HEMSとの連携に対して支給されるケースもあります。今回の記事では、東京都の助成金制度をご紹介します。
災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業
東京都では「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」として、太陽光や断熱性能を備えた住宅への支援が充実しています。
例えば、太陽光発電設備の新規設置した場合の補助や、蓄電池システムを新規設置した場合の補助などがあります。要件や補助額は住宅や設備の設置状況によって異なるようです。
詳細は東京都のホームページで確認してみてください。
東京都以外でもさまざまな補助制度が設けられているようです。住宅購入を予定している自治体のホームページを調べてみるといいかもしれません。
出典:「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」/東京都環境局
【まとめ】実物を見て「納得」してから選ぼう!
※写真はイメージ(Adobe Stock/Zoey106)
今回の記事では、太陽光発電の基本から展示場でのチェックポイント、注意点、補助金制度まで、見学前に知っておきたい情報などについてご紹介しました。
太陽光発電は初期費用こそ高額ですが、長期的には光熱費の削減や災害時の安心につながる可能性が高い投資です。とはいえ、すべての家庭に一律に適しているわけではなく、家族構成やライフスタイルに合ったシステム選びが成功のカギとなるでしょう。
カタログやネットだけではわからない実物の設置状況や暮らしのイメージを体感できる住宅展示場の見学は非常に有効です。将来の住まいをよりリアルに描くために、まずは展示場で「太陽光発電のある暮らし」を体験してみてはいかがでしょうか。
お近くの住宅展示場はこちら!
https://www.housingstage.jp/exhibition
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