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自然素材の家とは?メリット・デメリット&おすすめ素材も解説

作成者: KIDSKI STYLE編集部|2025/7/31


※写真はイメージ(Adobe Stock/SHOKO)

 

「自然素材の家って、なんだか体に優しそうだけど、実際のところどうなんだろう?」「お値段が高いって聞くし、お手入れも大変だったりするのかな?」

 そんな風に思っていませんか?特に小さなお子さんがいるご家庭では、お家の空気や環境は気になりますよね。

結論から言うと、自然素材の家は、ご家族の健康や毎日の快適さ、そしてデザイン性を考えると、とっても魅力的な選択肢なんです。

例えば、アレルギーの原因になる化学物質が少なかったり、お部屋の湿度をちょうどよく保ってくれたり、時間が経つほどに木の風合いが素敵になったり…。

この記事を読めば、自然素材の家の基礎知識から、上手な選び方、そして知っておきたい注意点まで、しっかり分かります。

 

自然素材の家とは?定義と一般住宅との違い

※写真はイメージ(Adobe Stock/izzyU)

 

「自然素材の家」と聞くと、どんなお家をイメージしますか?実は、「これが自然素材の家です!」という法律で決まったような定義はありません。 

一般的には、床や壁、柱などの主な部分に、自然の木をそのまま使った「無垢材」や、土や石からできた「漆喰(しっくい)」「珪藻土(けいそうど)」といった、できるだけ化学的な加工を加えていない素材を使って建てられたお家のことを指します。

一般的なお家でよく使われる合板フローリングやビニールクロスは、木材を薄くスライスして接着剤で貼り合わせたり、化学的な素材から作られています。

これらには、シックハウス症候群の原因のひとつとされるホルムアルデヒドなどの化学物質が含まれていることがあります。

自然素材の家は、こうした化学物質の使用をできるだけ減らして、自然の力を活かしたお家なんです。

 

自然素材の家のメリット

※写真はイメージ(Adobe Stock/bephoto)

 

自然素材の家には、数字だけでは表せない心地よさや、家族の健康につながる嬉しいメリットがたくさんあります。

 

健康にやさしい

自然素材の家の一番の魅力は、なんといっても「健康へのやさしさ」です。新建材で使われる接着剤などに含まれる化学物質は、シックハウス症候群やアレルギーの原因になることがあると言われています。

 自然素材をふんだんに使ったお家は、こうした化学物質のリスクを減らせるため、特に小さなお子さんやアレルギーが気になる方にとって安心できる空間になります。

国も、シックハウス対策として、建材に含まれる化学物質の基準を設けたり、24時間換気システムの設置を義務付けたりしています。

 

参考:国土交通省「シックハウス対策について知っておこう」

 

調湿性・断熱性に優れる

無垢材や漆喰、珪藻土といった自然素材は、まるで呼吸をしているかのように、お部屋の湿気を吸ったり吐いたりする「調湿性」を持っています。

このおかげで、ジメジメする梅雨の時期は空気をさわやかに、乾燥しがちな冬はうるおいを保ってくれる効果が期待できます

夏は涼しく、冬は暖かい、一年を通して快適な室内環境を保ちやすいのは、自然素材ならではの大きなメリットです。電気代の節約にもつながるかもしれません。

 

経年美化が楽しめる

普通の壁紙やフローリングは、時間が経つと色あせたり古びた感じになったりすることが多いです。

しかし、自然素材、特に無垢材のフローリングなどは、時間が経つにつれて色合いが深まったり、ツヤが出たりして、どんどん味わい深くなっていきます。

これを「経年美化」と呼びます。家族と一緒に過ごした時間と共に、お家も成長していくような感覚です。

 

五感で快適さを感じられる

自然素材の家は、五感で感じる心地よさがあります。

まず、お部屋に入った瞬間の木の香り。これはリラックス効果があると言われています。

そして、素足で歩いた時の無垢材のあたたかい手触り。調湿効果のある漆喰の壁がつくる、さらっとした空気感。

目に見えるデザインだけでなく、香りや手触り、空気感といったすべてが合わさって、言葉では表せないような安らぎと快適さを生み出してくれるでしょう。

 

自然素材の家のデメリットと注意点

魅力がいっぱいの自然素材の家ですが、知っておきたい注意点もいくつかあります。良い面も注意したい面も両方理解した上で、自分たちに合うか考えてみましょう。

 

費用が高くなる可能性がある

※写真はイメージ(Adobe Stock/jirsak)

 

自然素材は、工場で大量生産される新建材と比べて、材料そのものの価格が高かったり、職人さんの手作業が必要だったりするため、建築コストが少し高くなる傾向があります。 

しかし、耐久性が高くて長持ちする素材を選べば、将来的なリフォーム費用を抑えられる可能性もあります。

 初期費用だけでなく、長く住むための「トータルコスト」で考える視点も大切です。

 

素材によっては傷つきやすい、手入れが必要

例えば、やわらかい種類の無垢材の床は、物を落としたりすると傷がつきやすいことがあります。

また、塗装されていない木材や漆喰の壁は、汚れがついた時に少しお手入れが必要になる場合もあります。

ただ、傷がつきにくい硬い木材を選んだり、あらかじめ汚れに強い自然塗料を塗っておくなどの工夫もできます

こうした特徴を「味」として楽しめるかどうかも、考えておきたいポイントです。

 

すべてを自然素材にする必要はない

「自然素材の家」と聞くと、全部を自然素材にしないといけないような気がするかもしれませんが、そんなことはありません。

「床だけは無垢材にしたい」「リビングの壁だけ漆喰にしたい」というように、こだわりたい場所にだけ部分的に取り入れるのも、とっても素敵な方法です。

予算やライフスタイルに合わせて、新建材の良さも取り入れながらバランスを取ることで、満足度の高いお家づくりができます。

 

よく使われる自然素材と特徴

自然素材とひとことで言っても、いろいろな種類があります。お家のどこに、どんな素材が使われるのか、代表的なものを見ていきましょう。

 

無垢材(床・柱)

※写真はイメージ(Adobe Stock/真由 野田)

 

一本の木からそのまま切り出した木材のことです。木の香りや温かい手触りが魅力で、床や柱、梁(はり)など、お家の骨格や内装に幅広く使われます。

 

ヒノキ

良い香りが特徴で、リラックス効果も。耐久性も高く、昔からお城や神社にも使われてきました。

スギ

とてもやわらかく、足触りが優しいのが特徴。お子さんやご年配の方がいるお部屋にもおすすめです。

オーク(ナラ)

硬くて傷がつきにくいので、ダイニングなど家具を置くお部屋の床にもぴったり。美しい木目が人気です。

漆喰・珪藻土(壁)

どちらも自然の土や石から作られる、壁用の塗り壁材です。

 

漆喰(しっくい)

石灰を原料としています。調湿効果が高く、カビにも強いのが特徴です。つるっとした仕上がりで、見た目も美しいです。

珪藻土(けいそうど)

植物性プランクトンの化石からできています。目に見えない小さな穴がたくさんあり、湿気やニオイを吸い取ってくれる効果が非常に高いです。

 

和紙・コットン素材(クロス)

壁紙にも自然素材の選択肢があります。和紙やコットン(綿)から作られたクロスは、ビニールクロスにはない、やわらかい質感と温かみのある雰囲気が魅力です。通気性にも優れています。

 

天然塗料・オイルフィニッシュ

木材の表面を保護するために塗る塗料にも、自然由来のものがあります。植物油などを原料にしたもので、木の呼吸を妨げずに、自然な風合いを活かしながら保護してくれます。

 

シックハウス症候群との関係と避けるべき建材

シックハウス症候群を避けるためには、建材選びがとても重要です。

国は、ホルムアルデヒドの発散量に応じて建材をランク分けする「F☆☆☆☆(エフフォースター)」という基準を定めています。

この星の数が多いほど、発散量が少ないことを示します。

自然素材を選ぶことはもちろん、合板などを使う場合でも、このF☆☆☆☆の建材を選ぶことが、家族の健康を守るための大切なポイントになります。

 

参考:国土交通省「シックハウス対策に係る法令等」

※関連記事:No.67 シックハウス症候群 子育て

 

自然素材の家を建てるときのポイント

※写真はイメージ(Adobe Stock/hikari_stock)

 

「自然素材の家を建ててみたい!」と思ったら、成功させるために押さえておきたいポイントがいくつかあります。

 

素材選びは建築士・工務店と相談を

自然素材にはたくさんの種類があり、それぞれに特徴があります。

デザインの好みはもちろん、「傷に強いものがいい」「お手入れが簡単なものがいい」など、自分たちの暮らしに合わせた希望をプロにしっかり伝えましょう

経験豊富な建築士さんや工務店さんなら、あなたにぴったりの素材を提案してくれるでしょう。

 

施工経験が豊富な業者を選ぶ

自然素材は、その日の天気や湿度によっても状態が変わる、デリケートな材料です。

そのため、自然素材の扱いに慣れていて、施工経験が豊富な業者を選ぶことがとても大切です。

ホームページで施工事例を見たり、実際に建てたお家を見学させてもらったりして、信頼できるパートナーを見つけましょう。

 

部分的な採用でもOK(床や壁の一部など)

先ほどもお伝えしたように、すべてを自然素材にする必要はありません。予算やこだわりたいポイントに合わせて、部分的に採用するのも賢い方法です。

「リビングの床だけは、素足で気持ちいい無垢材に」「寝室の壁だけは、調湿効果の高い珪藻土に」など、メリハリをつけることで、コストを抑えながらも満足度の高い空間づくりができます。

 

定期的なメンテナンスを見越した設計と予算計画を

自然素材の美しさを長く保つためには、定期的なメンテナンスが必要になる場合があります。例えば、無垢材の床にオイルを塗り直したり、塗り壁の小さなひび割れを補修したりなど。

お家を建てる段階で、どんなメンテナンスが、どのくらいの頻度で必要になるのかを業者に確認し、将来的な費用も少し考えておくと安心です。

 

自然素材の家によくある失敗と対策方法

※写真はイメージ(Adobe Stock/78art)

 

憧れの自然素材の家で「こんなはずじゃなかった…」とならないために、よくある失敗例と、その対策を知っておきましょう。

 

思っていたより傷がつきやすい

「思っていたより傷がつきやすい」というのも、よくあるお話です。

例えば、やわらかい無垢材の床に、子どもがおもちゃを落としてへこませてしまったり、ペットの爪で傷だらけになったりすることがあります。

対策として、傷がつきにくいオークのような硬い木材を選んだり、あらかじめ保護塗装を施したりするのがおすすめです。

また、「傷も家族の歴史の味」と捉え、足触りの良さを楽しむのも素敵です。

リビングは硬い木材、寝室はやわらかい木材など、お部屋ごとに使い分けるのも賢い方法ですよ。

 

手入れの手間が想定以上だった

「手入れの手間が想定以上だった」というのも、よくあるお話です。

特に無塗装の無垢材や漆喰などは定期的なメンテナンスが必要で、お手入れ方法が分からず困ってしまうことも。

失敗しないためには、あらかじめ塗装済みの素材や、扱いやすいオイル仕上げの自然素材を選ぶのがおすすめです。

また、建てる前に必ずお手入れ方法を工務店に確認し、「自分にできるかな?」と考えて選ぶことが大切です。

 

コストがかさみ予算オーバー

「コストがかさみ予算オーバー」になってしまうのも、よくある失敗例です。

あれもこれもと自然素材の導入にこだわりすぎて、本当に大切にしたかった断熱性や耐震性など、他の重要項目との予算バランスが取れなくなることも。

対策は、まずお家づくりで何を一番大切にしたいか優先順位を決めることです。「床と壁だけは絶対に自然素材!」のようにポイントを明確にすれば、全体のバランスが取りやすくなります。

また、見積もりは一社だけでなく、複数社から取得して比較検討することも、予算オーバーを防ぐための重要なポイントです。

 

自然素材の家に向いている人・向いていない人

自然素材の家は誰にとっても魅力的ですが、自分に合っているか、チェックしてみてください。

 

向いている人

健康やアレルギーに敏感な人

健康やアレルギーを第一に考える方にとって、自然素材の家はとても心強い選択肢です。

化学物質の使用を抑えることで、シックハウス症候群のリスクを減らしたい、子どもに優しい安心な空間をつくりたいというニーズにぴったり合います。

きれいな空気の中で、家族みんなが健やかに暮らせる。そんな当たり前のようで何より大切な願いを、自然素材の家は叶えるお手伝いをしてくれます。

 

自然の風合いや経年変化を楽しめる人

※写真はイメージ(Adobe Stock/adri)

 

自然素材の家は、時間が経つほど魅力が増していきます。例えば、無垢材の床は、家族の成長と共に少しずつ色合いが深まり、ツヤが出てきます

ついた小さな傷さえも、家族で過ごした日々の思い出として愛おしく感じられるかもしれません。

工業製品のような均一さはありませんが、その一つ一つの違いや、無垢材の変化や手触りを「味」として受け入れられる人におすすめです 。

お家と共に、ゆっくりと時間を重ねていく暮らしを楽しめるでしょう。

 

定期的な手入れや管理に手間を惜しまない人

自然素材の中には、その美しさや機能を保つために、定期的にお手入れが必要な素材もあります。

例えば、無垢材の床にオイルを塗り込んだり、塗り壁のちょっとした汚れを優しく拭いたり

そうした手間をお気に入りの家具を磨くように楽しめる人お家にも手をかけてあげることを暮らしの一部として積極的に関われる人には、とても向いています。

愛情をかけた分だけ、お家は応えてくれ、より一層愛着のわく、かけがえのない場所になるはずです。

 

デザインやインテリアにこだわりがある人

本物の素材が持つ独特の雰囲気や質感を大切にしたい方には、自然素材の家がぴったりマッチします。

プリントされたシートでは決して表現できない、無垢材の美しい木目や、職人さんが仕上げた塗り壁の温かみのある表情。そうした素材そのものの見た目や肌触り、心地よい香りは、こだわりのインテリアをより一層引き立て、上質で安らぎのある空間を創り出してくれます。

五感で感じる心地よさを大切にしたお家づくりがしたい方に最適です。

 

向いていない人

手間をかけたくない・メンテナンスが苦手な人

自然素材の家と暮らすことは、その特性を理解し、寄り添うことでもあります。

もし、床についた小さな傷や壁の汚れが常に気になり、大きなストレスに感じてしまう場合は、他の素材の方が向いているかもしれません。

メンテナンスフリーの新建材とは違い、自然素材はお手入れが必要になる場面もあります。

日々の暮らしの中で、お手入れの手間をできるだけ省き、手間をかけずにいつも完璧な状態を保ちたい、と考える方には、少し窮屈に感じてしまう可能性があります。

 

とにかく初期コストを抑えたい人

お家づくりにおいて、予算はとても大切な要素です。自然素材は、工場で大量生産される新建材と比べると、どうしても初期費用が高くなる傾向があります。

もし、お家づくりの計画で、まずはお家の価格を最優先に考えたい予算に制約があるという場合には、すべてを自然素材で建てるのは計画が難しくなることも。

もちろん、部分的に取り入れるなどの工夫はできますが、コストを最重要視する場合には、慎重な検討が必要です。

 

スタイリッシュな無機質デザインを好む人

お家のデザインの好みは人それぞれ、とても大切な個性です。

もし、コンクリート打ちっぱなしの壁や、ガラスや金属を多用したシャープで都会的なシンプルモダンのデザインが好きなら、自然素材の持つ温もりが、あなたのイメージとは少し合わないかもしれません。

自然素材の魅力は、なんといってもその優しい風合いや温かみのある質感です。クールで無機質な空間の美しさを求める方にとっては、木のぬくもりがかえって落ち着かない、と感じる可能性もあります。

 

自然素材の家で心地よく暮らすために

※写真はイメージ(Adobe Stock/kapinon)

 

自然素材の家は、ご家族の健康を守り、毎日の暮らしを豊かにしてくれる、たくさんの魅力にあふれています。

化学物質の心配が少なく、自然の力で一年中快適な空間を保ち、時間と共に美しさが増していく。そんなお家は、何ものにも代えがたい価値があるでしょう。

ただし、そのためには、初期費用やお手入れの手間といった側面もきちんと理解し、お家全体の設計や断熱・耐震といった性能、そして予算とのバランスを考えながら、総合的に判断することが大切です。

一番の成功の鍵は、あなたの想いをしっかりと理解し、専門的な知識で支えてくれる、信頼できるパートナーを見つけることが成功の鍵です。ぜひ一度自然素材のモデルハウス見学に訪れてみませんか?

 

※関連記事:室内の湿度を快適に保つ方法は?家づくりで取り入れるべき対策

※関連記事:No.109 カビ防止 家づくり

 

 

 

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