カビ防止のために家づくりでできる工夫は?取り入れたいカビ対策・湿気対策まとめ



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「新しいお家、楽しみだけどカビが心配…」そんな風に思っていませんか?日本は高温多湿な気候なので、どうしてもカビが発生しやすい環境です。

特に最近の住宅は気密性が高いため、昔の家よりも湿気がこもりやすいことも。カビは見た目が嫌なだけでなく、アレルギーの原因になるなど家族の健康に影響を与えたり、お家の価値を下げてしまったりすることもあります。

でも、大丈夫!家づくりの計画段階でしっかり対策をすれば、カビの発生をぐっと抑えることができます。

この記事では、家族みんなが健康で快適に暮らすために、家づくりで取り入れたいカビ対策をご紹介します。

お家にカビが発生する原因は?

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お家にカビが生えるのは、「湿度」「温度」「栄養」の3つがそろうときです。

特に重要なのが湿度です。窓の結露や、お風呂場から出る湯気などで室内の湿度が上がると、カビが一気に増えやすくなります。

また、現代の住宅は気密性が高い分、意識して換気しないと空気がよどみ、湿気がたまりがちです。

洗濯物の室内干しや、加湿器の使いすぎなど、日々の暮らし方もカビの原因になることがあるので注意が必要です。まずはカビの原因を知って、上手な対策を考えましょう。

 

参考:文部科学省|「カビ対策マニュアル 基礎編」

 

カビが発生しやすいお家と間取りの特徴

せっかくのマイホーム、カビに悩まされたくないですよね。実は、カビが発生しやすいお家には、間取りや立地にいくつかの共通点があります。

設計段階で知っておけば対策できるので、どんな場所が危険なのか、確認していきましょう。

 

風通しが悪い部屋

お家の風通しが悪いと、湿気がたまってカビの天国になってしまいます。

特に、光が届きにくい北側の部屋や窓が一つしかない部屋は、空気が入れ替わりにくく要注意です。

また、忘れがちなのが、廊下や階段下の納戸、収納部など空気が滞留しやすい場所で、普段あまり開け閉めしないので湿気がこもりがちです。

さらに、書斎やウォークインクローゼットなど、「ドアを閉めると空気が動かない」独立型の小部屋も、知らない間にカビが発生しやすい危険な場所。

家づくりの段階から、お家全体の空気の流れを考えることが大切です。

 

日当たりが悪いスペース

お日様の光が届きにくい場所も、カビが発生しやすいポイントです。特に、一日を通して日光が当たりにくい北側の寝室や収納は、ジメジメしやすくなります。

また、お家そのものの問題だけでなく、土地の条件も影響します。

お隣の家との距離が近くて、直射日光が遮られてしまうような土地では、家の壁や基礎部分が乾きにくく、湿気がたまってしまう原因になるため、土地選びの段階から日当たりをしっかり確認することが大切です。

 

水回りの換気が不十分

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お風呂やキッチンなどの水回りは、家の中で最も湿気が発生しやすい場所です。

脱衣所や洗面室に窓や換気扇が設置されていないと、湿気の逃げ場がなくなり、あっという間にカビが広がってしまいます。

特に、お風呂のドアを開けっぱなしにしていたり、洗濯機の周りを濡れたままにしていたりすると、常にジメジメした状態に。

水回りは「使うたびに換気する」を徹底できるよう、設計段階で換気計画をしっかり立てておきましょう。

 

クローゼットや押し入れの通気性が悪い

衣類や布団をしまうクローゼットや押し入れも、実はカビが生えやすい危険ゾーンです。

四方を壁で囲まれた密閉型の収納は、中の空気が動かず湿気がたまり放題。ぎゅうぎゅうに詰め込んだ衣類や、湿気を含んだ布団がカビの栄養源になってしまいます。

特に冬は、部屋との温度差で収納の壁が結露し、それがカビの原因になることも。大切な衣類を守るためにも、風が通る工夫が必要です。

 

吹き抜けやロフトの下階部分

おしゃれで開放的な吹き抜けやロフトですが、カビ対策の視点では注意が必要です。

暖かい空気は上へとのぼっていくため、どうしても吹き抜けの上の方に熱がこもりがち。その一方で、下の階の床や壁は冷えやすくなり、その温度差で結露が発生してしまうことがあります。

空気がうまく循環しないと、下の階の隅っこに湿気がたまり、気づいたらカビが…なんてことも。ファンを設置するなど、空気をしっかり循環させる工夫が大切です。

 

カビを防ぐ家づくりのポイント7選

※写真はイメージ(Adobe Stock/Kana Design Image)

 

1. 間取りの工夫:風通しのよい家に

気持ちのいい風が家の中を通り抜ける、そんな間取りを意識するだけでカビ対策になります。

お家の南北など、対角線上に窓を配置すると、風の通り道ができて空気がよどみにくくなります。

湿気がこもりやすいキッチンやお風呂、脱衣所などには、必ず窓か換気扇を設置しましょう。

家全体の空気の流れを考えることが、カビの発生しにくい快適な住まいへの第一歩です。

 

2. 断熱と気密のバランスを取る

冬の窓ガラスがびっしょり濡れる「結露」これを防ぐには、お家の断熱性能を高めることがとても重要です。

断熱材をしっかり施工し、熱が伝わりにくい樹脂サッシ(樹脂窓+Low-Eガラス)複層ガラスの窓を選ぶと、外の冷たい空気が室内に伝わりにくくなり、結露の発生を抑えられます。

ただし、断熱性・気密性が高いだけではNG。新鮮な空気を取り入れ、湿気を外に逃がすための「計画換気」とセットで考えることが大切です。

 

参考:国土交通省|「住宅の省エネルギー設計と施工」

 

3. 24時間換気システムの導入

2003年以降、シックハウス対策としてすべての住宅に設置が義務付けられている「24時間換気システム」これは、窓を閉めきっていても自動で家中の空気を入れ替えてくれる優れものです。

特に「第1種換気」は、機械で給気と排気を行うため、空気の流れを安定してコントロールできます。

さらに「熱交換型」を選べば、換気の際に捨ててしまう室内の熱を回収してくれるので、夏も冬も快適な室温を保ちながら、湿気だけを排出できます。

 

参考:厚生労働省|「室内空気中化学物質の測定マニュアル」

 

4. 調湿建材を取り入れる

壁や床の素材にこだわるのも、カビ対策にとても効果的です。

例えば、珪藻土(けいそうど)エコカラットのような「調湿機能」のある壁材は、湿気が多い時には水分を吸い込み、空気が乾燥すると水分を放出して、お部屋の湿度を快適に保ってくれます。

また、無垢材のフローリングなども同様の効果が期待できます。自然素材の力を借りて、ジメジメしにくい快適な空間をつくりましょう。

 

5. 浴室・洗面所・クローゼットの換気強化

お家の中でも特に湿気がたまりやすいのが、浴室や洗面所、そしてクローゼットです。

浴室の換気扇は、お風呂に入った後だけでなく、できるだけ24時間つけっぱなしにするのが理想的で、そうすることによりカビの発生を大きく防げます。

また、忘れがちなのがクローゼットの換気です。扉に通気口をつけたり、壁の中に換気口を設けたりする工夫が、衣類や布団をカビから守る重要なポイントになります。

 

6. 床下や屋根裏の湿気対策

目に見えない場所の湿気対策も、お家を長持ちさせるためには欠かせません。

地面からの湿気が床下にたまらないように、基礎と土台の間にすき間をつくる「基礎パッキン工法」を採用したり、床下の換気口を適切に配置したりすることが大切です。

同じように、屋根裏も熱や湿気がこもりやすい場所です。換気口を設けて空気が抜けるように設計することで、結露を防ぎ、建物の劣化を防ぐことにつながります。

 

参考:国土交通省|「住宅の省エネルギー設計と施工」

 

7. 外構・敷地計画で湿気を防ぐ

お家の外の環境も、室内の湿度に影響します。例えば、お隣の家との距離が近すぎて日光が遮られたり、風が通らなかったりすると、湿気がたまりやすくなります。

家を建てる土地の水はけが良いかどうかも重要なチェックポイント。

設計の段階で、敷地全体の水がスムーズに流れるように勾配をつけたり、建物の周りに砂利を敷いたりするなどの工夫で、家まわりの湿気を減らすことができます。

 

家を建てた後のカビ防止メンテナンスポイント

※写真はイメージ(Adobe Stock/mapo)

 

お家が完成してからも、日々のちょっとした心がけでカビの発生をぐっと抑えることができます。どれも簡単なことなので、ぜひ習慣にしてみてください!

 

換気システムの定期点検とフィルター清掃

24時間換気システムは、家中の空気をきれいに保つための大切な設備です。

しかし、フィルターがホコリで目詰まりすると、換気の力が弱まってしまいます。月に一度はフィルターをチェックして、汚れていたらお掃除するようにしましょう。

お手入れをしっかりすることで、換気システムの効果を最大限に引き出し、湿気がこもるのを防ぎます。

メーカーの取扱説明書を確認して、定期的な点検を忘れないようにしてくださいね。

 

結露しやすい場所のチェックと対策

冬場や梅雨の時期に窓ガラスがびっしょり濡れる「結露」は、カビの大きな原因になります。

特に、外の寒さが伝わりやすい窓やサッシ、日光の当たりにくい北側の部屋の壁などは結露しやすい場所です。

朝起きた時などにチェックする習慣をつけ、もし濡れていたら、こまめに乾いた布で拭き取りましょう。

この一手間が、窓枠や壁紙の黒いポツポツを防ぐことにつながります。

 

湿度計の活用と加湿器・除湿機のバランス

快適な空間を保つには、お部屋の湿度を知ることが第一歩です。

湿度計をお部屋に置いて、まずは「見える化」してみましょう。カビが活発になるのは湿度60%以上です。

乾燥しがちな冬に加湿器を使う際も、湿度を上げすぎないように注意が必要です。

逆にジメジメする季節は、除湿機を上手に使って湿度をコントロールし、一年中快適な湿度をキープすることを心がけましょう。

 

湿気を溜めない生活

カビを防ぐには、毎日の暮らしの中で湿気をためない工夫がとても大切です。

天気の良い日には窓を開けて定期的に換気を行うことや、浴室やキッチンの使用後に水分を拭き取る習慣をつけましょう。

シンクの水滴や、お風呂上がりの壁の水滴をサッと拭くだけでも効果は絶大です。

また、室内干しは避けることで、湿度の上昇を防げます。どうしても室内で干す場合は、換気扇や除湿機を併用してくださいね。

 

家具の配置を工夫

お部屋の隅や家具の裏側は、空気がよどんでカビが生えやすい隠れスポットです。

これを防ぐためには、家具と壁の間に少し隙間を作ることで通気性を確保しましょう。

5cm〜10cmほどスペースを空けるだけで、空気の通り道ができ、湿気がこもりにくくなります。

クローゼットや押し入れの中も同様に、物を詰め込みすぎず、すのこを敷くなどして空気の循環を意識することが大切です。

 

エアコン・除湿機で湿度をコントロールする

梅雨の時期など、窓を開けてもジメジメがおさまらない時は、電化製品を頼りましょう。

エアコンの除湿機能や除湿機を積極的に活用して、強制的に湿度を下げるのが効果的です。

特に、寝室やリビングなど、長時間過ごす空間の湿度を快適に保つことは、カビ対策だけでなく、気持ちよく過ごすためにも重要です。

タイマー機能などを上手に使って、効率よく湿度をコントロールしましょう。

 

お家のカビ対策でよくある質問(Q&A形式)

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カビ対策のポイントをたくさんご紹介してきましたが、「うちの場合はどうなんだろう?」「これって本当に効果があるの?」など、気になることもありますよね。

最後に、家づくりを考える方からよく聞かれる質問をQ&A形式でまとめました。

 

Q. 全館空調の家でもカビって生える?

  1. はい、生える可能性はあります。

全館空調は家全体の温度を均一に保ち、快適ですが、それだけでは湿気対策は万全ではありません。

換気システムが正常に作動しているか、フィルターが汚れていないかなど、定期的なメンテナンスが重要です。

また、加湿器の使いすぎなど、生活習慣によっては湿度が高くなりカビの原因になることもあります。

 

Q. 調湿建材って本当に効果があるの?

  1. はい、効果は期待できます。

珪藻土や無垢材などの調湿建材は、室内の湿度が高くなると湿気を吸収し、乾燥すると放出する働きがあります。

これにより、カビが発生しにくい湿度(一般的に60%以下)を保ちやすくなります。

ただし、建材だけで完全にカビを防げるわけではありません。換気など、他の対策と組み合わせることが大切です。

 

Q. カビを防ぐための湿度は何%を目安にすべき?

  1. 一般的に、カビは湿度が60%を超えると活動し始め、80%以上で一気に増殖すると言われています。

そのため、お部屋の湿度は年間を通して60%以下に保つのが理想です。特に梅雨の時期や冬の結露しやすい季節は、湿度計をチェックしながら除湿器やエアコンのドライ機能などを活用して、湿度をコントロールしましょう。

 

参考:文部科学省|「カビ対策マニュアル 基礎編」

 

家づくりでカビ対策をすると、家も家族も長持ち

※写真はイメージ(Adobe Stock/ ponta1414)

 

大切なお家と家族の健康を守るカビ対策。後からリフォームで対応するのは大変ですが、家づくりの計画段階でしっかり取り組めば、将来にわたって快適な暮らしが手に入ります。

風通しの良い間取りや、断熱・換気の工夫、湿気に強い建材選びなど、できることはたくさんあります。

ぜひ、設計士さんやハウスメーカーの担当者さんと一緒に、わが家の気候やライフスタイルに合った「カビの出にくい家」を目指してください。

 

 

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