子どもも安心!浴室の安全性を高める家づくりのポイントは?今すぐできる対策も紹介



※写真はイメージ(Adobe Stock/chihirock)

 

家庭内で起こる子どもの事故のうち、浴室は特に注意が必要な場所です。滑って転んだり、浴槽で溺れたり、熱いお湯でやけどをしたりと、さまざまな危険が潜んでいます。

特に0歳から1歳の小さなお子さんの場合、家庭の浴槽での溺水事故のリスクが高いことが国の調査でも指摘されています。しかし、事前にリスクを知り、対策をすれば、こうした事故の多くは防ぐことができます。

これから家を建てる方やリフォームを考えている方は、設計段階から安全性をしっかり考慮することで、家族みんなが長く安心して使える浴室を実現できます。また、今お住まいの家でも、すぐに取り入れられる簡単な安全対策がたくさんあります。

この記事では、「新築・リフォーム時の設計ポイント」と「今すぐできる安全対策」の両方から、お子さんの命を守るための具体的な方法を、国の機関からの情報を交えながら詳しくご紹介します。


子どもの浴室事故の主な原因とリスク


※写真はイメージ(Adobe Stock/chikala)

 

浴室には子どもの危険がたくさん潜んでいます。

濡れた床や石けんが原因で滑って転ぶだけでなく、最も注意したいのが溺水です。わずか10cmの水深でも、子どもは助けを呼べず静かに溺れてしまうことがあります。

また、子どもの薄い皮膚は給湯器の高温やシャワーでもやけどしやすく、急な温度変化によるヒートショックは、めまいから転倒や溺水につながることも。

ドアでの指挟みといった思わぬ怪我にも注意が必要です。これらのリスクを知ることが、安全対策の第一歩となります。

 

参考:こども家庭庁|「水まわりの事故」

 

家づくり・リフォームでできる浴室の安全設計ポイント

これから家づくりやリフォームを計画しているなら、安全性に配慮した設計を取り入れる絶好の機会です。将来にわたって安心して使える浴室にするための、6つの設計ポイントをご紹介します。

 

滑りにくい床材の選定

浴室の床は、水に濡れても滑りにくいノンスリップ加工の床を選ぶことが大切です。

また、水はけの良い床材は、カビの発生を抑えつつ、早く乾くため安全性を高めます。

東京都の「東京こどもすくすく住宅認定制度」でも、床の滑りにくさは重要な安全基準とされています。

 

参考:東京都住宅政策本部|東京こどもすくすく住宅認定制度

 

高い位置にチャイルドロックを設置

子どもが勝手に浴室へ入るのを防ぐため、ドアにはチャイルドロックを設置しましょう。

子どもの手が届かない床上140cm以上の高い位置に取り付けることがおすすめです。

万が一の際に備え、内側と外側の両方から開け閉めできるタイプを選ぶと、より安心です。

 

段差の解消

脱衣所と浴室の間の段差は、子どもの転倒事故を招く大きな原因になります。

家づくりの段階でこの洗面所と浴室の段差をなくすバリアフリー設計を取り入れましょう。

これにより、子どもはもちろん、将来家族が年を重ねたときにも、誰もがつまずく心配なく安全に使える浴室になります。

 

浴槽の形・高さの工夫

※写真はイメージ(Adobe Stock/PhotoZen)

 

子どもが安全に出入りできるよう、浴槽は跨ぎやすい高さ(40~45cm前後)にすることが大切です。

高すぎず低すぎない設計で、出入りの際の転倒を防ぎます。

また、浴槽の底面が加工された滑り止め付き浴槽を選べば、浴槽内での転倒リスクも大きく減らすことができ、より安心です。

 

温度管理設備

子どものやけどを防ぐため、給湯温度の制限機能を使い、あらかじめ40℃程度の安全な温度に設定しましょう。

加えて、急な温度変化を防ぐサーモスタット付き水栓の導入も効果的です。

この二重の対策で、シャワーや蛇口からいきなり熱湯が出る危険を防ぎます。

サーモスタット付き水栓とは※
設定した温度のお湯が安定して出るよう、お湯と水の量を自動で調節する水栓です。キッチンなどで水を使ってもお湯の温度が急に変わるのを防ぎ、やけどの心配なく快適に入浴できます。

 

手すりや補助バーの設置

浴槽をまたぐ動作や、洗い場で立ったり座ったりする動きは、子どもにとって不安定になりがちです。

浴槽の出入り口洗い場付近の壁に手すりを設置することで、体をしっかり支え、転倒を防ぎます。

子どもの成長に合わせて高さを調整できるタイプを選ぶと、長く安全に使うことができて便利です。

 

視認性・明るさの確保

浴室の安全性を高めるには、視認性の確保も大切です。明るい照明と色調で危険箇所が分かりやすい浴室をデザインしましょう。

明るい空間は、床に落ちた石鹸の泡やわずかな段差など、転倒の原因となる危険箇所を分かりやすくし、事故を未然に防ぐことにつながります。

 

子どものために今すぐできる浴室の安全対策

※写真はイメージ(Adobe Stock/tarou230)

 

リフォームや新築の予定がなくても、すぐに実践できる安全対策はたくさんあります。今日から始められる6つのアクションで、浴室の安全性をぐっと高めましょう。

 

滑り止めマットの設置

濡れて硬い浴室の床や浴槽は転倒が起こりやすい場所で、手軽で効果的な対策として、浴槽の内と外に滑り止めマットを敷くことをおすすめします。

これは低コストで安全性を大きく向上できるアップグレードの一つです。吸盤で床にしっかり固定できるタイプを選び、転倒が引き金となる溺水事故のリスクも減らしましょう。

定期的に掃除して、清潔に保つことも大切です。

 

給湯温度をあらかじめ低めに設定(40℃以下)

子どもの皮膚は大人より薄く、同じ温度でも重いやけどを負う危険があります。

そのため、給湯器の温度はあらかじめ40℃以下の安全な温度に設定しておくことが、やけど事故防止の基本です。

子どもを入れる前には、必ず肘や温度計で湯温を確認する習慣もつけましょう。

大人が熱いお風呂に入りたい場合は、子どもの入浴後に設定を戻すなど、家庭内のルールを決めておくと安心です。

 

浴槽用の安全チェアやベビーサポートの活用

腰がすわっていない赤ちゃんや、一人で座るのが不安定な子どもをお風呂に入れるとき、お風呂用の安全チェアやベビーサポートは、保護者の腕の代わりとなって体を支えてくれる便利な育児グッズです。

両手が自由になるため、体を洗いやすくなるというメリットがあります。

しかし、これらの製品を使う際には、重要な注意点があります。それは、これらが「安全器具」ではなく、あくまで補助的な役割であると認識することです。

実際に、製品が転倒したり、子どもがすり抜けたりして溺れる事故が報告されています。

製品に頼りすぎることで保護者に誤った安心感が生まれ、一瞬の油断につながる危険性が指摘されています。

使用する場合は、一時的な補助具として考え、絶対に過信せず、必ずそばを離れず手の届く範囲で見守るようにしてください。

 

入浴中は必ず大人が付き添う

子どもの浴室事故は「ほんの少しの時間だから大丈夫」という油断から発生します。

子どもから目を離さず、常に手の届く範囲で監督することが、唯一の確実な安全策です。電話や来客があっても、決して子どもを一人で浴室に残してはいけません。

大人が洗髪などで目を離さざるを得ない場合は、必ず子どもを浴槽から出し、脱衣所などの安全な場所で待たせることを徹底してください。

 

シャワーヘッドを低位置に固定しておく

見落としがちなのがシャワーヘッドの位置です。高い位置にかけたままにしていると、何かの拍子でレバーが動いた際に、突然の熱湯が子どもの頭上からかかってしまう危険があります。

子どもの皮膚は薄くやけどしやすいため、これは事故につながりかねません。

使い終わったら必ずフックから外し、床に近い低い位置に置いておく習慣をつけ、思わぬ事故を防ぎましょう。

 

おもちゃは安全素材&転倒防止の配置に

お風呂で使うおもちゃは、子どもが口に入れても大丈夫な、安全な素材でできたものを選びましょう。

また、おもちゃが洗い場の床に散らかっていると、それを踏んで滑って転倒する危険があります。おもちゃはカゴなどにまとめておき、入浴後は水気を切ってしっかり片付けることを習慣にしましょう。

これにより、転倒リスクを減らすと同時に、おもちゃを清潔に保つことにもつながります。

 

参考:
東京都 こどもセーフティプロジェクト|「vol.004 子育て世帯の安全な住まいとは?」

 

子どもの成長に合わせた浴室の安全対策

※写真はイメージ(Adobe Stock/健二 中村)

 

子どもの成長は早いものなので、その時々の発達段階に合わせて、浴室の安全対策も見直していくことが大切です。

例えば、行動範囲が広がって好奇心旺盛になる幼児期(1〜5歳頃)は、目を離した隙の溺水や転倒、誤飲のリスクが最も高まります。

引き続き「目を離さない」という基本を徹底し、浴室のドアにはチャイルドロックを設け、補助イスや低い手すりで安全をサポートしましょう。

小学生(6歳〜)になると一人でできることが増えますが、まだ危険の判断は未熟です。

シャワーを自分で操作したがるようになったら、やけどをしないようサーモスタット付き水栓の使い方を一緒に練習するなど、新しい段階の安全教育が必要です。

もちろん、滑りにくい床などの基本的な安全環境はそのまま維持することが重要です。

さらに体が大きくなる中高学年では、大人と同じように入浴できるようになりますが、長湯でのぼせたり、冬場にヒートショックを起こしたりするリスクは残ります。

入浴前に脱衣所を暖める、長湯は避けるといった自己管理を教え、家族全員の健康習慣として根付かせていきましょう。

 

安全性と快適性を両立する家づくりを

※写真はイメージ(Adobe Stock/Qiteng T)

 

子どもの浴室での事故は、少しの知識と工夫で防ぐことができます。家づくりを考えている方は、設計段階から安全を意識することが、家族全員の長期的な安心につながります。

滑りにくい床材やサーモスタット水栓など、後から変更するのが難しい設備は、ぜひ初期段階で検討してください。

そして、今すぐできる対策もたくさんあります。「入浴後は水を抜く」「入浴中は絶対に目を離さない」「浴室に鍵をかける」といった基本的なルールを守るだけでも、リスクは大きく減らせます。

まずは一つでもできることから始め、将来的にはリフォームなどで安全性をアップデートしていくなど、計画的に進めていくのがおすすめです。



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