ワンオペ育児をラクにするには?家事の時短・夫とのコミュニケーション方法まで



※写真はイメージ(Adobe Stock/kapinon)

 

家事に育児、子どもの寝かしつけまで…気づけば毎日を一人で回している。夫は忙しく、頼れる人もいない。「このまま続けられるのかな」と不安や疲れを抱えているママは少なくありません。こうした「ワンオペ育児」は、家庭の問題ではなく、社会的な背景から生まれるものでもあります。

今回の記事では、ワンオペ育児が起きる理由や負担を軽くする工夫、夫婦でのコミュニケーション、外部のサポート、そして家事がしやすくなる住まいづくりの視点まで、明日が少しラクになるヒントをご紹介します。

ワンオペ育児とは?なぜ起きるのか

ワンオペ育児は、特別なケースではなく、現代の家庭環境の中で起こりやすい状況のひとつです。共働き世帯の増加や家族のサポート体制の変化により、育児や家事の負担が一人に偏りやすくなっています。まずは、ワンオペ育児がどのように生まれるのか、その背景から整理していきます。

 

ワンオペ育児とは

※写真はイメージ(Adobe Stock/sparker)

 

「ワンオペ育児」とは、家事や育児のほとんどを一人で担っている状態を指します。食事の準備・洗濯・片づけ・保育園や学校の準備・送り迎え・寝かしつけ……。家の中のほとんどのタスクが、常に自分の肩にのっているように感じやすい状況です。

 

なぜワンオペが起きるのか

ワンオペ育児は、個人の努力不足ではなく、家庭を取り巻く環境や社会の仕組みが影響して生まれやすい状況です。

たとえば、夫の長時間労働や単身赴任により、物理的に育児へ関わる時間が確保できないケースは少なくありません。また、共働きであっても、家事や子どもの身の回りのことを“気づいて段取りする役割”が妻に偏りやすく、「母親が担うもの」という固定観念が背景にあることも指摘されています。さらに、実家や頼れる人が近くにいない場合、負担はさらに一人に集中しやすくなります。

 

統計データから見るワンオペ育児の実態

総務省「令和3年社会生活基本調査」では、共働き世帯の家事・育児にかける時間に以下の差が見られます。

 

夫の家事・育児関連時間の推移(2006〜2021年)

 

年度

家事関連合計

家事

介護・看護

育児

買い物

2006年

0.59

0.14

0.01

0.30

0.14

2011年

1.10

0.15

0.00

0.40

0.15

2016年

1.24

0.21

0.01

0.48

0.14

2021年

1.55

0.34

0.01

1.03

0.17

 

妻の家事・育児関連時間の推移(2006〜2021年)

 

年度

家事関連合計

家事

介護・看護

育児

買い物

2006年

5.37

2.53

0.04

2.08

0.32

2011年

6.08

2.58

0.03

2.32

0.35

2016年

6.10

2.42

0.07

2.49

0.32

2021年

6.33

2.37

0.03

3.24

0.29

 

出典:「統計 Today No.190 我が国における家事関連時間の男女の差 ~生活時間からみたジェンダーギャップ~」/総務省統計局

 

データを見ると、夫の家事・育児にかける時間は年々増加しているものの、2021年時点でも妻とは大きな差があることがわかります。家事や育児に関わる時間の平均値では、妻は夫の約2.4倍の時間を担っており、特に料理・掃除・洗濯といった日常的な家事に偏りが見られる傾向が続いているようです。

家事負担が一人に集中しやすい状況が、家庭内に依然として存在していることを示しているといえるでしょう。特に差が大きいのは、料理・掃除・洗濯といった毎日欠かせない家事の部分で、負担が自然と妻側に偏りやすい傾向が見られます。これは、個人の努力や意識だけで改善できるものではなく、家庭内の役割分担や働き方の仕組みとも深く関わっているといえるでしょう。

 

家事・育児の負担を軽減する方法

ワンオペ育児の負担を軽くするためには、「一人で抱え込まない仕組みづくり」が重要です。家事や育児を効率化するサービスやツールを活用することで、日々の時間と気持ちに余裕が生まれます。ここからは、すぐに取り入れやすい工夫やサポートの具体例をご紹介します。

 

家事分担アプリ/家事代行サービ

※写真はイメージ(Adobe Stock/japolia)

 

家事のタスクを見える化できる家事分担アプリを使うと、どの作業を誰がどれくらい行っているか共有しやすくなります。「なんとなく自分がやってしまう」状態を防ぎ、夫婦で役割を調整するきっかけになるでしょう。

また、家事代行サービスを定期的に利用するのもひとつの方法です。掃除や料理の下ごしらえなどをプロに任せることで、日々の負担が大きく軽減されます。料金はサービス内容により異なりますが、「自分の時間を確保するための必要なコスト」と捉えることで、継続しやすくなるかもしれません。

 

時短家電の活用

負担の大きい家事ほど、家電に置き換えることで時間と労力が大幅に減らせます。例えば、食器洗い乾燥機、ロボット掃除機、乾燥機付き洗濯機などは、毎日発生する家事の手を動かす時間を短縮してくれる代表的な家電といえるでしょう。

導入時は「費用」だけでなく、「1日あたりどれだけ自分の時間と心の余裕が増えるか」という視点で考えると、家計上の投資として検討しやすくなるようです。

 

買い物・食事・洗濯の時短術

買い物はネットスーパーや生協宅配、食事はミールキットや作り置きレシピを活用するなど、日常の段取りを効率化できる方法を取り入れると負担が軽くなります。

また、洗濯については「洗う・干す・しまう」の動線を短くすることで手間を減らせるでしょう。タオルや子どもの衣類などは畳まずに収納できるスペースをつくるなど、「完璧にやらない」工夫も時短につながるかもしれません。

 

夫・家族とのコミュニケーション改善法

家事や育児の負担を一人で抱え込まないためには、家族との協力体制づくりが重要です。そうはいっても、「手伝ってほしい」と言っても伝わりにくかったり、気まずくなってしまうこともあります。負担を共有しやすくなるコミュニケーションのポイントをそれぞれ見てみましょう。

 

コミュニケーションのコツ

※写真はイメージ(Adobe Stock/kazoka303030)

 

お願いごとをする際は、「つらい」「大変」といった感情をそのまま伝えるよりも、具体的な状況と希望をセットで伝える方が共有しやすくなります。

例えば、「寝かしつけに2時間かかるので、30分だけ代わってほしい」と伝えると、必要なサポート内容が明確になります。責める口調ではなく、「今こういう状況がある」→「こうしてもらえると助かる」という順番で伝えることが、協力を得やすくするポイントです。

 

スケジュールやタスクの共有

家事や育児の負担が偏りやすい背景には、「どの作業に、どれくらい時間がかかっているのかが見えない」こともあるでしょう。TimeTreeやGoogleカレンダーなどの共有アプリを使うと、保育園の予定、買い物、家事の流れなどを可視化できるため、「気づいた方がやる」状態を防ぎやすくなります。

視覚的に共有することで、「手伝う」ではなく「分担する」という意識につながりやすくなるようです。

 

こまめなコミュニケーションを徹底する

毎日の忙しさの中では、気持ちや負担感を話す時間を確保することが難しくなってしまうこともあるでしょう。そこで、週に1回、10分だけでも「今週助かったこと」「改善したいこと」を話す時間をつくることが有効です。短い時間でも定期的に話し合うことで、すれ違いを小さなうちに調整でき、協力体制を続けやすくなります。

 

外部サポート・行政サービスの活用法

育児の負担を軽くするためには、家の中だけで解決しようとせず、利用できる支援を取り入れることが大切です。自治体や地域には、子育て家庭をサポートする制度が数多く用意されています。「頼るのは特別なこと」ではなく、「仕組みを活用する」という視点で見ていくといいかもしれません。

ここからは、外部サポートや行政サービスの活用方法をご紹介します。

 

ファミリーサポートセンター

ファミリーサポートセンターは、地域の中で子育てを助け合う仕組みです。登録したサポーターが、保育園への送迎や数時間の預かりなどを有償でサポートしてくれます。料金は自治体によって異なりますが、比較的利用しやすい設定になっていることが多いようです。利用には事前登録と面談が必要なため、いざというときに備えて早めに申し込んでおくと安心でしょう。

 

ベビーシッター補助制度

※写真はイメージ(Adobe Stock/ucchie79)

 

自治体や企業によっては、ベビーシッター利用に対して補助が出る制度があります。仕事や通院、リフレッシュ目的での利用が認められている場合もあり、自己負担を抑えながら専門的なサポートが受けられます。

補助金額や対象条件は地域や勤務先によって異なるため、詳細は各自治体や企業の公式サイトで確認するといいかもしれません。

 

一時保育・育児ヘルパー

保育園や認定こども園では、定期利用ではなく「必要なときだけ預けられる」一時保育を行っている場合があります。通院や仕事、心身を休めたいときなど、理由を問わず利用できることもあります。

また、自治体が派遣する育児ヘルパーを利用すると、自宅での育児・家事の一部を手伝ってもらうことができます。これらも事前登録や予約が必要なため、早めに情報を確認しておくと利用しやすくなるでしょう。

 

ストレスを溜めない方法

※写真はイメージ(Adobe Stock/grooveriderz)

 

毎日休む間もなく続く家事と育児。体だけでなく心にも疲れがたまりやすくなります。ストレスをため込まないためには、完璧を目指すよりも、自分の気持ちを整理し、少しでもリラックスできる時間を持つことが大切です。ここでは、ストレスを溜めない3つの方法をご紹介します。

 

誰かに話してみる

悩みを抱え込まず、身近な人に話すだけでも気持ちが軽くなります。友人や家族に話すほか、最近ではオンライン相談やママ向けコミュニティなど、共感してもらえる場も増えています。言葉にすることで自分の状況を客観的に捉えられ、解決の糸口が見えることもあるかもしれません。

 

思っていることを書き出す

人に話しづらい気持ちは、紙やスマホのメモに書き出してみるのもおすすめです。言葉にすることで感情を整理しやすくなり、モヤモヤした気持ちを客観的に見つめることができます。日記や感情記録アプリを使うのもおすすめです。書き終えるころには、少し冷静さを取り戻せることもあるでしょう。

 

自分をいたわる時間を持つ

毎日が慌ただしくても、1日のうち30分だけでも「自分のための時間」を確保してみましょう。好きな音楽を聴く、ゆっくりお茶を飲む、短い読書をするなど、どんな小さなことでも構いません。自分をいたわる時間を習慣にすることで、気持ちに余裕が生まれ、家族にも優しく向き合いやすくなるでしょう。

 

【まとめ】今日からできる工夫を取り入れてみましょう

※写真はイメージ(Adobe Stock/mapo)

 

今回の記事では、ワンオペ育児が生まれる背景や、家事・育児の負担を軽くする方法、夫婦間のコミュニケーションの工夫、外部サポートや行政サービスの活用、そしてストレスを溜めないための考え方についてご紹介しました。

ワンオペ育児は、決して「自分の頑張りが足りないから」生じるものではありません。家庭環境や働き方、周囲のサポート体制など、さまざまな要因が重なって起こるものです。だからこそ、一人で抱え込む必要はありません。「完璧でなくていい」「助けを求めてもいい」という視点を持つことが、心を軽くする第一歩になります。

今日からできる小さな工夫としては、家事のタスクを見える化するアプリを使ってみたり、週に一度だけミールキットを取り入れてみたり、洗濯物の収納方法を簡略化するなど、負担を少しでも減らせる方法があります。「全部を変えよう」とせず、できることから少しずつ取り入れていくといいでしょう。

 

 


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