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マイホームは「人生で一番大きなお買い物」。だからこそ、絶対に後悔したくない!と誰もが思いますよね。
でも実は、家づくりを終えた多くの人が、何かしらの後悔を抱えているのが現実です。その原因のほとんどが、「夫婦での話し合い不足」や「準備が足りなかったこと」から生まれています。
今はスマホ一つでたくさんの情報が見られる便利な時代ですが、情報が多すぎて「結局、我が家にとって何が一番大切なのかな?」と迷ってしまうご家庭も多いのではないでしょうか。
この記事では、夫婦で力を合わせて「我が家らしい最高の家」を建てるために、後悔しがちなポイントとその対策、そして何より大切な夫婦での話し合いのコツを、ぎゅっとまとめて分かりやすく解説します。
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「ああすればよかった…」なんて声、よく聞きますよね。まずは、多くのご家庭が経験したリアルな失敗談から、後悔しないためのヒントを学びましょう。国の調査でも、実際に家を建てた後の後悔ポイントが報告されています。 自分たちの家づくりに置き換えて、チェックしてみてくださいね。
「子どもが生まれたら一気にモノが増えて、作ったはずの収納がもうパンパン!」
「おしゃれなリビングにしたくて壁面収納を減らしたら、結局モノがあふれてごちゃごちゃに…」
家づくりで常に後悔ポイントの上位にあがるのが「収納」の問題です。 今の暮らしだけでなく、将来の家族構成の変化を想像することが大切です。
見た目のスッキリ感を優先しすぎると、後から収納家具を買い足すことになり、かえって生活スペースが狭くなってしまうことも。
【対策】
玄関のシューズクロークやキッチンのパントリー、洗面所のタオル収納など、生活の流れに沿った場所に収納を作るのがコツです。
まずは夫婦それぞれの荷物の量を正直に把握して、不要なものは思い切って断捨離しましょう。
「とりあえず大きな納戸」ではなく、「ここには掃除機を入れる」「ここには子どものおもちゃを」と、しまうモノを具体的に決めてから設計するのが成功のカギです。
「キッチンと洗濯機を干すベランダが遠くて、毎日行ったり来たり…」
「掃除機をかけるたびに、重い本体を持って階段を上り下りするのが大変!」
共働きが当たり前の今、家事の効率はとっても大切です。
設計の段階で、実際に家事をするときの自分の動きをしっかり考えておかないと、毎日の小さなストレスが積み重なってしまいます。
特に、夫婦で家事を分担しているご家庭は、お互いの動き方をシミュレーションすることが不可欠です。
【対策】
朝起きてから夜寝るまで、自分たちが家の中をどう動くか夫婦で一緒にシミュレーションしてみましょう。
キッチンから洗面所、洗濯物を干す場所までが一直線につながる「ランドリールーム」や、室内をぐるぐる回れる「回遊動線」は人気の間取りで、玄関から直接パントリーやキッチンに行ける動線も重い買い物袋を運ぶのに便利です。
お互いの家事分担を考えながら、「洗濯を効率化するために、洗面所の近くに服をしまえる場所が欲しいね」など、具体的に話し合うのがおすすめです。
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「大きな窓に憧れてリビングを全面ガラス張りにしたら、夏は暑すぎてエアコンが効かない!」
「冬は窓の結露がひどくて、暖房費もかさんでしまう…」
開放的で明るい家は素敵ですが、家の「断熱性能」や「日差しのコントロール」を忘れてはいけません。
特に、大きな窓や吹き抜けは、家の温熱環境に大きく影響します。
見た目のおしゃれさだけで決めてしまうと、光熱費が高くなったり、快適に過ごせなかったりと、後悔につながりやすいポイントです。
【対策】
日差しが入りやすい南向きの窓には、夏の日差しを遮ってくれる「庇(ひさし)」をセットで考えるのが基本です。
窓ガラスを断熱性の高い「Low-E複層ガラス」などにしたり、壁や天井にしっかりと断熱材を入れたりすることで、夏は涼しく冬は暖かい、魔法瓶のような家になります。
家の断熱性能を示す「UA値」や、気密性を示す「C値」といった専門的な数値も、ハウスメーカーに確認してみると安心です。
「2階の子ども部屋で遊ぶ音が、1階のリビングにドスドス響いてきてテレビの音が聞こえない…」
「夜勤明けで寝ているパパの部屋の真上で、子どもが走り回って眠れない!」
元気いっぱいの子どもがいるご家庭では、「音」の問題は切っても切れません。
特に、木造住宅では音が響きやすい傾向があります。間取りを工夫したり、防音性の高い素材を選んだりすることで、家族みんなが気持ちよく過ごせるようになります。
【対策】
床下に遮音シートを入れたり、床を二重構造にしたりといった対策がおすすめです。
子ども部屋の下には、リビングや寝室ではなく、収納や廊下など、音が響いても気になりにくいスペースを配置するといった間取りの工夫もできます。
トイレの排水音なども意外と響くもので、寝室や書斎の真上や真下に水回りを配置するのは避けるのがベターです。
「ここにソファを置こうと思ったら、コンセントがちょうど裏に隠れちゃった…」
「ベッドサイドでスマホを充電したいのに、コンセントが遠くて不便!」
間取りの後悔で、収納と並んで必ずと言っていいほど挙がるのが「コンセント」の位置と数です。
家具のレイアウトや、どんな家電をどこで使うかを具体的に考えずに決めてしまうと、「使いたい場所にない!」という残念な結果になってしまいます。
【対策】
掃除機をかけるルート、キッチンで使う調理家電、スマホを充電する場所、季節家電(扇風機やヒーター)を置く場所など、生活のシーンを細かく思い浮かべてみましょう。
コンセントの高さも重要で、デスク用なら机の上に、掃除機用なら少し高めの位置にあると抜き差しが楽です。
まずは今使っている家電をリストアップして、「どこで」「いつ」使うかを書き出し、家の図面に落とし込んでみると、必要な場所と数がクリアになります。
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「リビング全体を照らす照明を一つしかつけなかったら、なんだか薄暗くて落ち着かない…」
「子どもの勉強スペースのライトが明るすぎて、目がチカチカする!」
お部屋の雰囲気は「照明」で決まると言っても過言ではありません。ただ明るくすれば良いというわけではなく、過ごし方に合わせた「光の色」や「明るさ」を選ぶことが大切です。照明計画をハウスメーカー任せにしてしまうと、理想のイメージと違ってしまうことも。
【対策】
くつろぎたいリビングは温かみのある「電球色」、勉強や作業をするスペースは集中しやすい「昼白色」など、空間ごとに光の色を使い分けるのがおすすめです。
天井からの光だけでなく、壁や天井を照らす「間接照明」や、手元を照らす「ダウンライト」などを組み合わせることで、お部屋に奥行きとオシャレ感が生まれます。
明るさを自由に変えられる「調光機能」付きの照明や、スマホで操作できるスマートライトなども検討してみると、暮らしの満足度がグッと上がりますよ。
「家のことで頭がいっぱいで、外構の予算を考えていなかった!結局、駐車場は砂利のままで雨の日はドロドロ…」
「お隣との境界にフェンスを立てるお金がなくて、視線が気になる…」
家本体のことに集中しすぎて、庭や駐車場、門、フェンスなどの「外構」の計画と予算を後回しにしてしまうのは、よくある失敗の一つです。
建物が完成してから慌てて計画すると、費用が割高になったり、理想のデザインにできなかったりします。
【対策】
外構は建物と一体で計画するのが鉄則で、駐車場やアプローチの位置は暮らしの利便性に直結します。
一般的に「外構費用は建築費の1割〜1.5割程度」と言われているため、あらかじめ予算としてしっかり確保しておきましょう。
庭に天然芝を敷くのか、ウッドデッキを作るのか、雑草対策はどうするかなど、完成後のメンテナンスにかかる手間や費用も考えておくと安心です。
「あれもこれもとオプションを追加したら、予算を大幅にオーバー!毎月の返済に追われて、旅行や外食も我慢する生活に…」
家づくりは、決めることがたくさんあるので金銭感覚が麻痺しがちです。しかし、ここで無理をしてしまうと、せっかく建てた夢のマイホームでの生活が苦しいものになってしまいます。
土地代と建物本体の費用だけでなく、トータルでいくらかかるのかを正確に把握することが何よりも重要です。
【対策】
家づくりにかかる費用は、土地、建物本体、外構、そして登記費用などの諸経費、さらには家具や家電の買い替え費用まで、すべて含めてシミュレーションしましょう。
安心して返済できる住宅ローンの金額は、「毎月の返済額が手取り収入の25%以内」が一つの目安と言われています。
照明やカーテン、エアコンなども意外と大きな出費になるため、見落としがちな費用もすべてリストアップして、全体の予算を管理することが大切です。
※写真はイメージ(Adobe Stock/hikari_stock)
「家づくりで夫婦喧嘩が増えちゃった…」なんて話は、お互いが真剣に家づくりを考えている証拠です。でも、どんなことで意見がぶつかりやすいか事前に知っておくと、心の準備ができますよね。
例えば、「おしゃれなデザインを重視する妻」と「機能性や掃除のしやすさを重視する夫」といった優先順位の違いや、家事のスタイルによって理想の家事動線も変わります。
さらに、パパの書斎のような個人のスペースを優先するか、家族みんなの収納を優先するかという問題も。
そして、最大の対立点になりがちなのが、少し無理してでも理想を追い求めるか、将来のために借入額を抑えるかといった住宅ローンなどのお金の価値観です。
これらは、お互いを深く知るための大切な話し合いのテーマになります。
意見の対立はあって当たり前。大切なのは、その対立をどう乗り越えて、二人で納得のいく答えを見つけるかです。 そのための具体的なステップをご紹介します。
まずは、頭の中にあるモヤモヤとしたイメージを言葉にしてみましょう。
いきなり話し合うのではなく、それぞれが付箋やノートに「こんな家に住みたい」「こんな暮らしがしたい」という要望を思いつくままに書き出します。
この時点では、相手の意見や予算のことは気にせず、自由に夢を広げるのがポイントです。
次に、書き出したリストを見せ合いながら、「これだけは絶対に譲れない!」というポイントに優先順位をつけます。
同時に、「これは、どちらかというとでOKかな」という妥協できる点も探します。
お互いの価値観を客観的に「見える化」することで、感情的な言い争いを防ぎ、冷静に話し合う土台ができます。
個別の要望がぶつかった時は、一度立ち止まって、夫婦共通の目標に立ち返ってみましょう。
「私たち家族は、この家でどんな未来を過ごしたいんだっけ?」「子どもたちに、どんな経験をさせてあげたい?」
そんな風に、家のスペック(仕様)ではなく、家族の幸せという大きな視点から話し合うことで、自然と進むべき道が見えてくるはずです。
夫婦二人だけではどうしても話がまとまらない…そんな時は、プロの力を借りるのが一番です。
ハウスメーカーの担当者や設計士さんは、たくさんの家族の家づくりを見てきた専門家です。
二人の意見のちょうどいい落としどころや、自分たちでは思いつかなかった新しいアイデアを提案してくれます。
客観的な意見をもらうことで、お互いに「なるほど!」と納得できることも多いですよ。
近くの住宅展示場でおうちのプロに相談してみるのもおすすめです!
最後に、これまでのポイントをギュッと凝縮した最終チェックリストです。契約前に、夫婦で一緒に確認してみてくださいね。
【間取り】
朝の準備や帰宅後など、1日の生活の流れはスムーズか、日当たりや風通しは十分で隣の家からの視線は気にならないか確認しましょう。
子どもが走り回る音やトイレの音は響きにくくなっているか、家族の成長に合わせて変化させられるか、収納の量は足りているかも重要なチェックポイントです。
【設備】
キッチンやお風呂、トイレなどの水回りのグレードや機能に納得しているか、断熱や換気の性能は十分か確認しましょう。
床暖房や食洗機など、本当に必要な設備かもう一度考えて、後悔のない選択をすることが大切です。
【デザイン】
今の流行だけを追いすぎて、10年後、20年後に飽きてしまわないか考えてみましょう。
外壁や屋根の色、素材は、街の景観と合っているかも確認して、長く愛せるデザインを選ぶことが大切です。
【予算配分】
建物以外にかかる外構、照明、カーテン、諸経費などの費用も全部入っているか確認しましょう。
無理のない住宅ローンの返済計画になっているかも重要で、長期的に安心して暮らせる予算設定が大切です。
【工期とタイミング】
子どもの小学校入学や転校のタイミングは考慮できているか、完成までのスケジュールに無理はないか確認しましょう。
家族のライフイベントと建築スケジュールを調整して、ベストなタイミングで新居に住み始められるよう計画することが大切です。
※写真はイメージ(Adobe Stock/buritora)
たくさんの失敗例やチェックポイントをお伝えしてきましたが、後悔しない家づくりで一番大切なのは、性能や間取りといったスペック以上に、「夫婦ふたりで悩み、話し合い、納得して決めた」というプロセスそのものかもしれません。
すべてが完璧な100点満点の家を目指すのは、とても難しいことです。それよりも、夫婦でお互いの意見を尊重し、時には譲り合いながら、「我が家にとっての納得解」を見つけていくことが、家づくりを成功させる一番の秘訣です。
たくさんの情報に振り回されすぎず、周りの意見に流されすぎず、ぜひお二人で「我が家だけの、ちょうどいい家」を追求してください。
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