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「子どもを怒りたくないのに、ついイライラしてしまう…」そんな気持ちになったことはありませんか?
子育て中は、思うようにいかないことばかりで、疲労、孤独、社会からのプレッシャーが積み重なって、感情が爆発してしまうこともあります。
この記事では、多くの親がどんなことに悩んでいるのかというデータ紹介から、イライラを防ぐコツ、目の前の怒りを鎮める「6秒ルール」などの即効性のある解消法、そしていざという時に頼れる相談先まで詳しく紹介します。
この記事を読むことで、「自分にもできることがある」と感じて、心が少し軽くなるはずです。
※写真はイメージ(Adobe Stock/健二 中村)
「なぜ自分だけこんなにイライラするのか?」と感じるかもしれませんが、イライラは誰にでも起きる自然な感情です。
文部科学省の調査結果から、多くの親がどんなことに悩みや不安を感じているのかを見てみましょう。
出典:文部科学省「家庭教育の総合的推進に関する調査研究」(令和2年度)
子育てについての悩みや不安を「いつも感じる」「たまに感じる」と回答した割合は、女性(母親)が76.4%(いつも17.1%+たまに59.3%)に上るのに対し、男性(父親)は61.8%(いつも9.7%+たまに52.1%)でした。この結果から、母親は父親よりも高い頻度で、かつより深刻に悩みを感じている状況が客観的にわかります。
最も多い悩みは「しつけの仕方が分からない」と「子どもの生活習慣の乱れ」であり、イライラの原因が日々の育児の具体的な行動や、子どもとの接し方に集中していることがわかります。
「子どもの健康や発達について」が常に高い関心を集める一方で、「経済的に厳しい」も依然として大きな不安要素であり、ストレスの原因が複合的であることが示唆されます。
イライラは、自己犠牲による疲労の蓄積と孤独が根源にある問題です。
イライラは悪ではなく、「あなたが真剣に子育てと向き合い、頑張っている証拠」です。自分を責めず、この現実を理解して心を少し軽くしましょう。
イライラの根本的な原因である「自分の時間がないこと」や「疲労の蓄積」に焦点を当て、「防ぐ」ための習慣を紹介します。
子育てに完璧な正解はありません。100点を目指すのをやめ、「今日できたこと」や「手を抜いたこと」に意識的に目を向けましょう。この考え方は、自己肯定感を高めることにつながります。
イライラは、心と体が限界に近いサインです。「今日はイライラ指数が高いかも」と自覚することも大切です。
体調不良の可能性もあるので、早めに休息を確保する判断をしましょう。
イライラは、パートナーとの負担の偏りも大きな原因です。
一人で抱え込まず、家事や育児のタスクを具体的に見直し、役割を共有することが大切です。
子どもが言うことを聞かないのは、「成長のサイン」と捉えましょう。
ポジティブ思考の変換は、イライラを和らげます。子どもの感情の起伏が激しい場合は、子どものSOSサインの可能性もあるため、一息入れて理由を理解することも助けになります。
自分の感情を否定せず、「イライラしてもいいんだ」と受け入れましょう。
感情を抑えつけるのではなく、解消法を使って安全に発散することが大切です。
イライラを"なくす"より、"減らす習慣"をつくることが、長期的な解消のキーワードです。
子育て中は、疲労や時間不足からストレスが溜まりがちです。ここでは、イライラを「なくす」のではなく、「上手に減らす」ことを目標に、今日から頑張らなくても実践できる具体的な対処法をご紹介します。
怒りの衝動は「6秒程度」でピークを過ぎるという前提に基づき、その短い時間を乗り切る行動を実践しましょう。
衝動的な言動を防ぐため、意識的に呼吸をコントロールしましょう。
鼻から3秒吸い、口から3秒吐くなど、深呼吸を数回行うことで、怒りの衝動的な行動を鎮める効果があります。
この「6秒ルール」の実践で、カッとなった気持ちをリセットできます。
意識を体の感覚に向け、興奮した状態から落ち着きを取り戻す方法です。
温かい飲み物をゆっくりと飲むことで、衝動的な行動に意識が向くのを防ぎ、冷静になる時間を作ることができます。
感情的になりそうになったら、子どもから物理的に距離をとってリセットしましょう。
トイレや別室に移動し、頭を冷やすための時間を取ることで、気持ちを切り替え、冷静に対応できる状態に戻します。
イライラした後の自己嫌悪は、さらにストレスを増幅させます。意識的に考え方を変えるリフレーミングを取り入れ、気持ちを楽にしましょう。
自分自身や子どもに対し、互いを肯定するポジティブな言葉をかけ、追い詰められた気持ちを和らげます。
誰も悪くない、みんな頑張っているという姿勢を持つことで、自己嫌悪を防ぎます。
感情をいつまでも反芻しないように、怒ってしまった事実は受け入れつつも、すぐに気持ちを切り替えることが大切です。
感情に囚われすぎず、意識的に「もう終わり」と線を引くことで、ストレスの長期化を防げます。
完璧な親でいようとする完璧主義を手放しましょう。
子育ては山あり谷ありです。「1日のうち1回でも笑えたらOK」というように、期待値を下げることで、心の負担が軽くなり、気楽に子育てに取り組めます。
長期的なストレスの根源である「疲労」と「時間不足」を解決するために、日常生活の環境を整えましょう。
家事に完璧を求めず、手抜きをあらかじめルール化することが重要です。
惣菜の活用や外部サービス(家事代行など)の利用を検討し、コストをかけてでも、時間と心の余裕を買うことを悪いことだと思わないようにしましょう。
日常の中に意識的にリラックスできる空間を作りましょう。
音楽、アロマ、照明など、五感に働きかけるアイテムを使って気分を切り替えることで、ストレスを軽減できます。
休息を確保するためには、具体的な時間を確保することが不可欠です。
自分の好きなことや趣味に充てる時間を、たとえ1日10分だけでも確保し、心と体を休ませるための休息時間をルーティン化しましょう。
イライラが続くと、自身の状態が精神的な病気ではないかという不安も生じます。助けを求めるのは"弱さ"ではなく、子どもと自分を守る"勇気ある行動"です。安心感を得るためにも、相談先を知っておきましょう。
主な相談先
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種類 |
名称・内容 |
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行政系 |
地域子育て支援センター |
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電話相談 |
パパママライン |
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オンライン |
ギュッとチャット |
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実生活サポート |
ファミリーサポートセンター |
行政が提供する相談窓口は、専門家による客観的なアドバイスや、地域に密着した情報提供を受けられるのが特徴です。
子育て中の親子が交流できる場を提供するほか、育児に関する相談を受け付け、情報提供やアドバイスをしてくれます。
地域の子育ての専門家(保育士など)が常駐していることが多く、気軽に足を運べる身近な相談先です。
【ご自身が住んでいる市区町村+地域子育て支援センター】で検索してみましょう。
乳幼児健診の実施場所であり、子どもの発達や健康、栄養に関する専門的な相談に応じます。
保健師や栄養士などが在籍しており、専門的な視点からのアドバイスや医療機関への連携サポートを受けられます。
自宅にいながら、時間を選ばずに専門家や同じ境遇の仲間とつながれる相談先です。緊急性の高い相談や、匿名での相談にも適しています。
相談時間は15時から22時まで(土日祝日含む)で、相談内容に応じて「ギュッとも」を自分で選んだり、継続相談したりできるのが特徴です。
※写真はイメージ(Adobe Stock/beeboys)
毎日の生活の負担を軽減し、親の休息や時間的なゆとりを生み出すためのサポートサービスです。
ファミリー・サポート・センター事業は、子どもの預かり援助を受けたい方(依頼会員)と援助を行いたい方(提供会員)を地域で結びつける相互援助活動です。
主な活動は、保育施設等の送迎や、冠婚葬祭、買い物などの際の子どもの預かりです。
国・都道府県・市町村が費用を負担し、実施主体は市町村なので、事故に備えた補償保険への加入などが要件とされ、安心して利用できます。
保護者の病気や冠婚葬祭、または育児疲れの軽減など、緊急時や一時的に子どもを預けたい場合に、保育園や認定こども園で利用できるサービスです。
親が休息を取るリフレッシュ目的でも利用可能です。
【ご自身の住む市区町村+一時保育】で検索してみましょう。
掃除、洗濯、料理などの日常的な家事を代行してもらうサービスです。
家事の負担を減らすことで、親の身体的な疲労や心理的なストレスを大幅に軽減し、子どもと向き合う時間を作り出すことができます。
公的な窓口だけでなく、最も身近な人への相談も、心を軽くする上でとてもおすすめです。
夫や実家、友人、ママ友などに「ちょっと話を聞いてほしい」と伝えるだけでも、感情を言語化でき、「自分だけではない」という共感と安心感を得ることができます。
特に夫へ具体的なSOSサインを伝えることは、夫婦で問題に取り組む連携体制を築く第一歩につながります。
また、ママ友などとの交流は、具体的な育児ノウハウや地域の情報交換の場となり、孤立を防ぐ効果もあります。
イライラは、多くの親が経験する、あなただけが感じている気持ちではありません。そして、それはあなたが真剣に子育てに向き合っている証拠です。
大切なのは、「イライラを防ぐコツ」と「すぐできる対処法」を知っておくことです。これらの対策を知っておくだけで、日常が少しラクになります。
自分の努力を肯定し、「自分に合った方法を見つけること」に焦点を当ててみてください。
子育ては完璧じゃなくていいのです。自分を責めず、休息と支援を求めて、肩の力を抜いていきましょう。