セックスレスが辛いときの対処法は?原因と乗り越え方のヒント

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セックスレスの悩みは、誰にも言えずにひとりで苦しんでしまう人が多い問題です。ですが、それはあなたのせいではなく、夫婦の関係や環境の中で生まれるものです。
今回の記事では、セックスレスの原因と乗り越え方、そして心が少しラクになるためのヒントをご紹介します。
セックスレスとは?

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セックスレスとは、一般的に「一定期間以上性交渉がない状態」を指し、厚生労働省の資料では「1カ月以上性交渉がなく、その後も長期にわたることが予想される状態」と定義されています。単に性行為がないことだけでなく、スキンシップや親密なコミュニケーションの減少も含めて関係の変化として捉えられているようです。
特に産後や育児中の夫婦では、出産によるホルモンバランスの変化、睡眠不足、育児疲れなどが重なり、自然と性行為が減るケースが少なくありません。これは珍しいことではなく、多くの夫婦が通る一つの段階です。大切なのは「自分が悪い」と責めないこと。セックスレスは誰にでも起こりうる関係の変化であり、夫婦の心の距離を見直すきっかけにもなるかもしれません。
セックスレスの主な原因
セックスレスは、どちらか一方に原因があるわけではなく、身体的・心理的・環境的な要素が複雑に重なって起こります。多くの夫婦が「いつの間にか距離ができていた」と感じるように、気づかぬうちに関係のバランスが崩れてしまうこともあります。主な3つの原因を見てみましょう。
身体的原因
セックスレスの原因の中でもっとも多いのが、疲労や睡眠不足による性欲の低下です。仕事や育児に追われ、夜にはただ眠るだけで精一杯という夫婦も少なくないでしょう。
特に女性は、妊娠・出産・授乳によるホルモンバランスの変化で体調が大きく揺らぎ、性への関心が薄れることがあります。これは自然な生理的反応であり、「気持ちが離れた」わけではありません。
心理的原因
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過去にパートナーから拒否された経験があると、「また断られたらどうしよう」と不安が先立ち、関係を避けてしまうことがあるようです。また、「求められない=愛されていない」と感じ、自己肯定感が下がることで、ますます心の距離が広がることも。さらに、性に対する価値観や欲求の違いも、無意識のズレとして積み重なりやすい部分といえるでしょう。
夫婦関係・環境要因
日々の会話が減り、コミュニケーションが希薄になることで、心の距離が広がることがあるといわれています。育児や家事、仕事の負担がどちらかに偏ると、不満やストレスが溜まりやすくなり、スキンシップの余裕を失うこともあるでしょう。また、過去のケンカや言葉のすれ違いが尾を引いて、無意識に相手を避けてしまうケースもあります。
セックスレスは、「どちらが悪い」という問題ではなく、夫婦の関係性の結果として起きていることがほとんどです。原因を責め合うよりも、「なぜこうなったのか」を一緒に見つめ直すことが、関係を修復するための第一歩になるかもしれません。
セックスレスが辛い時の対処法
セックスレスが続くと、「拒絶されたようで苦しい」「自分に魅力がないのでは」と感じてしまうことがあります。けれど、その痛みをひとりで抱え込む必要はありません。
ここからは、心の負担を軽くしながら、自分を大切にするための対処法をご紹介します。
心理的負担を和らげる方法
まずは、心の中にある感情を言葉にしてみましょう。日記に書く、スマホのメモに残すなど、「言語化」することで、漠然とした不安や悲しみが整理されやすくなります。次に、勇気があればパートナーに気持ちを伝えてみましょう。
「どうして?」と責めるのではなく、「私はこう感じている」と自分の感情を共有することが大切です。また、友人や家族など信頼できる人に話すだけでも心は軽くなるかもしれません。
もし誰にも言えないほどつらい場合は、カウンセラーや専門相談窓口に頼るのも前向きな選択といえるでしょう。話すことで、孤独感から抜け出すきっかけにつながることもあるかもしれません。
自分を大切にする行動(セルフケア)

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セックスレスの悩みは、心だけでなく身体のエネルギーも消耗するといわれています。そんなときは「夫婦の問題」から少し離れ、自分を労わる時間を持つといいでしょう。好きな音楽を聴く、カフェで一人時間を楽しむ、美容院やマッサージに行くなど、自分を大切に扱う行動は、心の自己肯定感を回復させてくれるかもしれません。
また、睡眠・食事・運動などの基本的な生活リズムを整えることも効果的です。心が疲れているときこそ、自分の世界を豊かにすることが、回復の力になります。自分の笑顔を取り戻すことが、夫婦関係を見つめ直す第一歩にもつながるかもしれません。
セックスレス解消のためにできること
セックスレスの解消には、「話し合い」や「努力」という言葉だけでは解決できない、繊細な心の距離が関係しているといわれています。急に元のように戻ろうとするのではなく、少しずつ段階を踏むことが大切です。
ここからは無理なく関係を近づけるためのステップをご紹介します。
1. スキンシップゼロ→触れる習慣へ
いきなり性行為を再開しようとすると、どちらかがプレッシャーを感じてしまうことがあります。まずはハグをする、手をつなぐ、隣に座るなど、日常の小さなスキンシップから始めましょう。「触れられる」安心感が増えると、自然と心の距離も近づいていくかもしれません。
2. 二人の時間を確保する
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夫婦の時間が取れないと、関係の回復は難しくなるといわれています。子どもを寝かしつけたあとに短い会話をする、週末に一緒にコーヒーを飲む、少しだけデートをするなど、特別なことでなくても構いません。お互いが“夫婦として向き合う時間”を持つことが、親密さを取り戻す第一歩となるでしょう。
3. 責めずに話し合う
セックスレスの話題は、どうしてもデリケートです。「してほしい」「なんでしてくれないの?」と責めるように言うと、相手が防衛的になってしまうこともあるかもしれません。
「最近、少し寂しいと感じる」「もう少し一緒の時間を増やしたい」など、自分の感情を共有する形で伝えるのがポイントです。“要求”ではなく“相談”の姿勢が、心を開くきっかけになるかもしれません。
4. 夫婦で価値観を共有する
性に対する考え方や求めるペースは、夫婦でも異なります。「どんな時間が心地よいか」「どんな関係を望んでいるか」を少しずつ言葉にしていくことが大切です。
面と向かって話しづらいときは、ノートやLINEなどを使って気持ちを共有してもいいでしょう。お互いの気持ちを知ることで、誤解やすれ違いが減り、再びつながる糸口が見えてくるかもしれません。
5. 生活リズムや疲労要因の調整
心の距離を縮めるには、まず体を休めることが前提です。睡眠不足やストレスが続くと、自然と性欲や親密な気持ちも薄れてしまうでしょう。生活リズムを整え、家事や育児の負担を見直すことで、心と体に余裕が生まれます。お互いが少しでもリラックスできる時間を増やすことが、結果的に関係を温める近道かもしれません。
焦らず、段階を追って“心の再接続”を目指すことが、セックスレス解消の鍵です。小さな一歩でも、積み重ねれば大きな変化につながるでしょう。
専門家・外部サポートに頼るのも手
「自分たちだけでなんとかしなきゃ」と思い込みすぎると、かえって関係がこじれてしまうことがあるようです。セックスレスは、決して珍しい悩みではなく、専門家のサポートを受けることで改善の糸口が見つかるケースも多いといわれています。相談することは関係を終わらせるためではなく、関係を続けるための大切な方法のひとつです。
夫婦カウンセリング
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夫婦間の気持ちのすれ違いやコミュニケーションの壁を、第三者であるカウンセラーが丁寧に整理してくれます。感情がぶつかりやすい話題でも、専門家のもとでは落ち着いて話し合える環境が整っています。お互いの気持ちを「正しく伝える」練習の場にもなり、関係の再構築に向けた現実的なステップを一緒に考えてもらえます。
医療機関への相談
性行為に対する拒否感、性欲の低下、ホルモンバランスの乱れなど、身体面からくる要因がある場合は、産婦人科や泌尿器科、心療内科などの受診も選択肢といえるでしょう。ホルモン治療やカウンセリング的サポートなど、症状に合ったアプローチが受けられます。身体的な問題を取り除くことで、自然に心の距離も縮まるケースがあるかもしれません。
オンライン相談サービス
最近では、オンラインで利用できる夫婦カウンセリングや性の悩み専門の相談サービスも増えています。自宅から気軽にアクセスでき、顔を合わせずにやり取りできるため、プライバシーを守りながら相談したい人にもおすすめです。匿名相談が可能な窓口もあり、初めての相談でもハードルが低いのが特徴です。
誰かに話すことで、今の状況を客観的に見つめ直せるようになるかもしれません。専門家の力を借りることは、「弱さ」ではなく「関係を大切にする勇気」といえます。自分たちに合ったサポートを選びながら、一歩ずつ前向きな方向へ進んでいきましょう。
【まとめ】セックスレスは関係の終わりではなく、関係を見直すタイミング
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今回の記事では、セックスレスの原因と乗り越え方、そして心が少しラクになるためのヒントをご紹介しました。
セックスレスは決して珍しいことではなく、多くの夫婦が経験する“よくある悩み”のひとつといわれています。原因は人それぞれで、身体・心・環境などさまざまな要素が関係しています。だからこそ、解決策も一つではありません。
スキンシップを少しずつ取り戻す、気持ちを言葉にして伝える、専門家に相談する——どんな方法でも「夫婦が再び向き合おうとする姿勢」こそが、関係を前へ進める鍵になるでしょう。焦らず、比べず、お互いのペースで歩むことが大切です。