※写真はイメージ(Adobe Stock/polkadot)
「子どもは可愛いはずなのに、なぜか苦しい」「ふと気づくと、母親失格だという思いに押しつぶされそうになる」「いっそのこと、全部投げ出してどこか遠くへ逃げたい」
あなたは今、そんな気持ちを抱えていませんか?
もしそうなら、まずはお伝えしたいことがあります。「母親をやめたい」と思うのは、あなたが悪いからでも、愛情が足りないからでもありません。
その感情は、あなたが限界まで家族のために頑張り続けてきた証拠であり、心と体が出しているSOSサインなのです。
この記事では、なぜそこまで追い詰められてしまうのかという理由から、今日からできる具体的な対処法、そして頼れる相談先までを一つひとつ紐解いていきます。
「なんで私だけこんなに辛いの?」自分を責める前に、あなたを取り巻く環境を客観的に見てみましょう。そこには、母親を追い詰める明確な「理由」が存在します。
乳幼児期の夜泣きや頻回授乳、あるいは体調不良の子どもの看病などで、慢性的な睡眠不足に陥っていませんか?人間にとって睡眠は精神安定の要です。
睡眠が奪われると、脳の機能が低下し、普段なら流せるような些細なことでもイライラしたり、絶望感を感じたりするようになります。
身体的疲労は、ダイレクトに心の余裕を奪います。あなたが弱いのではなく、単に「疲れすぎている」だけかもしれません。
「パパは仕事で遅い」「実家も遠い」そんな状況で、朝から晩まで一人で子どもの命と向き合っていませんか?
大人と会話する機会がなく、社会から隔絶されたような孤独感。そして「私が倒れたら終わり」というプレッシャーは、想像を絶するストレスです。
SNSを開けば、きれいに片付いた部屋、手作りの栄養満点ごはん、いつも笑顔のママの投稿が溢れています。
それらと現実の自分を比較して、「私は全然できていない」と落ち込んでいませんか?
「母親ならこうあるべき」という理想(母親神話)が高ければ高いほど、現実とのギャップに苦しみ、自己否定のループから抜け出せなくなってしまいます。
名もなき家事や、子どもの機嫌取り、園や学校のプリント管理など、母親にのしかかるタスクは膨大です。
特に、常に子どもの感情をケアし、自分の感情を抑えることは「感情労働」と呼ばれ、大きな精神的負荷がかかります。
物理的な作業量だけでなく、この「見えない精神的負担」がキャパシティを超えた時、人は「もうやめたい」と感じるのです。
「〇〇ちゃんのママ」「〇〇さんの奥さん」と呼ばれるばかりで、自分の名前で呼ばれることが減っていませんか?
「母」という役割ばかりが肥大化し、以前の趣味や仕事、好きだったことができなくなることで、「私という人間が消えてしまった」ような感覚に陥ります。
自己実現の機会が奪われることは、生きる活力を失う大きな要因となります。
限界を感じたら、まずは「緊急避難」が必要です。感情が爆発してしまう前に、自分を守るための行動をとりましょう。
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イライラが頂点に達したら、物理的に子どもから離れましょう。トイレに籠もるだけでも、ベランダに出るだけでも構いません。
安全さえ確保していれば、数分間子どもが泣いていても大丈夫です。
大きく深呼吸をして、冷たい水を一杯飲む。それだけで、高ぶった神経が少し鎮まります。
「今は休憩時間!」と自分に言い聞かせ、意識的にシャッターを下ろす時間を作ってください。
「今日はもう頑張らない」と決めてしまいましょう。掃除機をかけなくても、お風呂を1日サボっても、死ぬことはありません。
家事の合格ラインを「70点」いや「30点」くらいまで下げてみてください。
「子どもが生きていて、自分も生きていれば100点満点!」それくらいの気持ちで、自分を許してあげることが、心の回復には不可欠です。
料理が辛いなら、レトルトや冷凍食品、ミールキットに頼りましょう。「手作り神話」は捨ててください。
お惣菜を買うことは手抜きではなく、ママの笑顔を守るための「賢い選択」です。
また、「やらなければならない」と思っているタスクリストを見直し、「今日やらなくてもいいこと」は明日に回すか、思い切ってやめてしまいましょう。
モヤモヤした感情を、紙やスマホのメモに書きなぐってみましょう。「腹が立つ」「逃げたい」「悲しい」や、汚い言葉でも構いません。
感情を文字にして「外に出す(ジャーナリング)」ことで、客観的に自分の状態を見つめることができ、不思議と心がスッキリする効果(カタルシス効果)があります。
誰にも見せないあなただけの秘密のノートで、本音を吐き出してください。
パートナーや友人、実家の母など、信頼できる人に「今、すごく辛いんだ」と伝えてみましょう。
解決策を求めなくても、「そうだったんだ、大変だったね」と聞いてもらうだけで、孤独感は薄れます。
もし身近に話せる人がいない場合は、匿名で書き込めるSNSや掲示板を利用するのも一つの手です。
同じ悩みを持つママたちの声に触れることで、「私だけじゃない」と勇気づけられるはずです。
「まだ頑張れる」「これくらい普通」と思い込んでいませんか?心は静かに悲鳴を上げているかもしれません。以下の項目をチェックしてみてください。
もし複数当てはまる場合は、あなたは「ただの疲れ」ではなく、専門的なケアが必要な状態にある可能性があります。
これ以上一人で抱え込まず、早急に休息と支援を求めてください。
状況をすぐに変えるのは難しくても、捉え方を少し変えるだけで、心の重荷を下ろせる場合があります。
減点法で自分を評価するのはやめましょう。
「部屋が散らかっている」→「子どもにご飯を食べさせた」
「イライラしてしまった」→「お風呂に入れた」
当たり前に思えることでも、あなたは今日一日、小さな命を守り抜きました。その事実に目を向け、「今日もよくやった」と自分を褒めてあげてください。
育児に正解はありません。マニュアル通りにいかなくて当然です。
「こうしなければならない」という義務感を手放し、「今日はうまくいかなかったけど、まあいっか」「明日は違う方法を試してみよう」と実験感覚で捉えてみましょう。
失敗しても、それはあなたのせいではありません。
親友が落ち込んでいる時、あなたは「もっと頑張れ」と厳しく言いますか?きっと「十分頑張ってるよ」「少し休みなよ」と優しく声をかけるはずです。
その優しさを、自分自身に向けてあげてください(セルフコンパッション)。
「私はよくやっている」「完璧じゃなくていい」魔法の言葉のように、自分自身を労う言葉をかけてあげましょう。
限界を迎える前に、プロの手を借りてください。それは「甘え」ではなく、子どもとあなたを守るための「責任ある行動」です。
自治体の「産後ドゥーラ」や「育児ヘルパー」制度、保育園の「一時預かり」、民間の「ベビーシッター」などを利用しましょう。
数時間でも子どもと離れる時間を作ることは、リフレッシュのために不可欠です。「美容院に行くため」「寝るため」という理由で預けても全く問題ありません。
※産後ドゥーラとは、出産直後の母親に寄り添い、家事や育児をサポートする専門家です。料理や掃除などの家事代行から、赤ちゃんの世話、ママの悩み相談まで幅広く対応し、産後の心と体の回復を支えてくれます。
地域の児童館や「子育て支援センター(ひろば)」に行けば、スタッフが話を聞いてくれます。
また、自治体が運営する「ファミリーサポートセンター」に登録すれば、地域の方が子どもの送迎や預かりを安価でサポートしてくれます。
これらは市区町村ごとに窓口が異なるため、以下のキーワードで検索するか、全国の相談窓口をまとめたサイトを活用してみてください。
掃除や料理が負担なら、民間の家事代行サービスを頼るのも有効な手です。
プロに任せることで、物理的な時間が生まれるだけでなく、「やらなければならない」という精神的な圧迫感から解放され、心の余裕が生まれます。
利用は決して贅沢ではなく、あなたが笑顔でいるための必要経費です。
コストが気になる場合は、自治体の「シルバー人材センター」を利用すると、比較的リーズナブルに依頼できる場合があります。
「家事代行 〇〇市」「シルバー人材センター 家事援助」などで検索してみてください。
保健センターの保健師や、心療内科の医師、心理カウンセラーなど、専門知識を持つ人に相談しましょう。
「こんなことで相談していいの?」と遠慮する必要はありません。以下の公的窓口は、匿名で利用でき、あなたの秘密を厳守してくれます。
緊急時の相談窓口
あなたは「お母さん」である前に、一人の人間です。自分の人生を生きることを諦めないでください。
※写真はイメージ(Adobe Stock/milatas)
夫やシッターに子どもを任せ、週に一度でも「お母さんスイッチ」を切る時間を作りましょう。カフェで読書をする、映画を見る、昔好きだった趣味を再開する。
「自分のためだけの時間」を持つことは、わがままではありません。
心が満たされれば、自然と子どもにも優しくなれるものです。
もし可能なら、少しずつ仕事を始めたり、習い事をしたりして、家庭以外の「社会との接点」を持ちましょう。
「誰かに必要とされる」「報酬を得る」という体験は、低下してしまった自己肯定感を回復させてくれます。
「母親」というのは、あなたの数ある役割の一つに過ぎません。それ以外のアイデンティティを持つことは、精神的な安定剤になります。
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「母親をやめたい」という感情は、あなたが悪い母親だから生まれるのではありません。
それは、あなたがこれまで一人で必死に家族を守り、頑張りすぎてきた結果、心と体が「もう限界だよ」と伝えているサインなのです。
どうか自分を責めないでください。家事の手を抜き、周囲に助けを求めてもいいのです。
あなたは決して一人ではありません。まずは今日、温かい飲み物を飲んで、深呼吸を一つ。そして、小さなことからでいいので、自分を労る選択をしてあげてください。
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