【ファミリー向け】モデルハウス見学のポイントは?事前準備と注意点を解説
※写真はイメージ(Adobe Stock/buritora)
子育て中の家庭が家を建てる際、見逃せないのがモデルハウスの見学です。間取り図や写真だけではわからない「暮らしのリアル」を体感できるからこそ、見学は家づくりの第一歩といえます。
ただし、なんとなくモデルハウスの見学をしてしまうと、「豪華だったね」「すごい家だったね」で終わってしまいがちです。
今回の記事では、ファミリー目線でのモデルハウス選び・見学のポイントをわかりやすくご紹介します。
モデルハウス見学はなぜ大切?ファミリー目線でのメリット
子育てや仕事の合間にモデルハウス見学に行く時間が作れないという方もいるでしょう。モデルハウス見学はなぜ大切なのでしょうか?ファミリー目線でのメリットをご紹介します。
写真や図面ではわからない「暮らしのイメージ」が湧く
写真や図面だけでは見えづらい天井の高さやサイズ感、空間の広がりなど、実際に足を運んでみると、「暮らしのイメージ」が湧くでしょう。
家族の動線や収納の使いやすさを体験できる
「玄関から洗面所は近い?」「洗濯してから干す動線は?」「収納スペースの大きさや使いやすさは?」など、子育て家族ならではの動線のチェックが可能です。収納の位置や各部屋の大きさも実際に見て触れて確認できます。
実生活に合った間取りを検討しやすい
※写真はイメージ(Adobe Stock/buritora)
家族が日々どんなふうに動き、過ごすかをイメージしながらモデルハウスの見学をすれば、理想と現実のギャップに気づきやすく、間取りのヒントを得ることができるでしょう。
よくある失敗を防げる
子育て世帯にありがちな失敗は「収納が足りなかった」「家事動線が悪くて後悔」などが挙げられます。事前に実物を見て確認しておけば、よくある失敗を防ぐことができるでしょう。
知っておきたい!モデルハウスの種類と特徴
家づくりを始めるにあたって、まずチェックしたいのがモデルハウスの種類です。モデルハウスには、大きく分けて「住宅展示場にあるモデルハウス」と「分譲地にあるモデルハウス」の2タイプがあります。それぞれに異なる特徴やメリット・デメリットがあるため、自分たちの目的や家族構成に合ったスタイルを選ぶことがポイントです。
住宅展示場にあるモデルハウスとは?
住宅展示場にあるモデルハウスは、大型の展示スペースに複数のハウスメーカーが一か所に集まって、それぞれが自社の代表的なモデルハウスを公開している施設です。
メリット
住宅展示場にあるモデルハウスでは、一般的にハウスメーカーの最高グレード仕様が採用されており、最新の住宅設備や高級感あふれるデザインを見ることができます。スマートホーム機能や太陽光発電、断熱性能など、最新技術を実際に体感できるのが大きな魅力です。
また、営業担当者が常に待機しており、その場でプランの相談やアドバイスを受けられるのもポイント。複数の会社を1日で効率よく比較検討できるため、時間の限られた共働き子育て世帯にもおすすめです。
デメリット
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注意したいのは、多くのモデルハウスが「見せるための家」として設計されていて、とても豪華な点です。広さや内装、設備などが現実とはかけ離れていることも多く、実際の生活をイメージしづらい場合があります。予算面でも、豪華な仕様に目を奪われてしまい、自分たちの資金計画とのギャップが生まれやすい点には注意が必要です。
分譲地にあるモデルハウスとは?
分譲地にあるモデルハウスは、実際に販売予定の家をモデルとして公開しているケースが多く、よりリアルな暮らしを想像しやすいのが特徴です。
メリット
分譲地にあるモデルハウスは住宅地に建てられており、周辺の家との距離感や日当たり、街並み、騒音、交通量など、実際の住環境を見ながら見学できる点が大きなメリットです。
さらに、モデルハウスそのものが販売対象である場合は、そのまま購入・入居までの流れをイメージしやすく、スケジュール感をつかみやすいのも利点です。間取りや設備仕様も現実的な価格帯で設計されていることが多く、子育て世帯にとっての「ちょうどいい家」を探すのに適しています。
デメリット
展示されているハウスメーカーの数が少なく、複数の会社をその場で比較しづらい点はデメリットといえるでしょう。また、モデルハウスが建売用であることも多く、オプションや間取り変更の自由度が少ないケースもあるため、こだわりたいポイントを実現できないこともあります。
ファミリー向けの住宅展示場の選び方
子育て中のご家庭にとって、住宅展示場は「理想の暮らし方」を具体的にイメージできる貴重な場所です。ただし、すべての展示場が子育てファミリー向けとは限らないようです。ここでは、ファミリーでのモデルハウス見学を成功させるための展示場の選び方について見てみましょう。
子育て世帯向けの提案が得意な住宅メーカーが出展しているか
まず注目したいのが、展示場に出展している住宅メーカーの得意分野です。家づくりにおいて、家事動線や収納、子ども部屋のつくり方など、子育て世帯に寄り添った提案をしてくれるかどうかは非常に重要なポイントです。
展示場の公式サイトやパンフレットを見ると、各メーカーの特徴や得意分野が紹介されていることも多いので、事前にチェックしておくといいでしょう。
実際の延床面積(30坪前後)でリアルに生活を想像できるか
モデルハウスの多くは、広くて豪華な仕様が多いため、実際の生活イメージがしづらいこともあります。延床面積が30坪前後のモデルハウスであれば、一般的な家庭にとっても現実的な広さで、実際の生活を具体的に想像しやすくなるでしょう。
家族4人での暮らしを前提とした間取りや家具配置など、「本当に暮らせそうか?」という視点で見学してみるといいかもしれません。
授乳室・キッズスペースなど、子ども向け設備が整っているか
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小さな子ども連れでモデルハウスを見学する場合、授乳室やおむつ替えスペース、キッズスペースなどの施設が整っているかどうかも重要なチェックポイントです。
子ども向けの施設が整っていれば、途中で子どもが飽きたりぐずったりしても安心です。ストレスなく見学できる環境かどうかも、住宅展示場選びの大事な基準のひとつです。
複数のハウスメーカーを比較できる大型展示場が便利
初めて家づくりを検討する場合は、一度に複数の住宅会社を比較できる大型の展示場がおすすめです。間取りの違いや提案内容、価格帯などを一度に比較検討できるため、効率的かつ客観的な判断ができるでしょう。
住宅の性能だけでなく、営業担当者の説明スタイルや接客姿勢を比較することも、信頼できる会社選びにつながります。
ファミリー向けの見学ツアーや体験イベントがあるか
住宅展示場によっては、子育て世帯向けの見学ツアーや家づくり体験イベントを開催していることがあります。例えば、「子どもと暮らす家の動線見学ツアー」や「間取り相談会」など、子育て目線の企画は非常に参考になります。
事前に展示場のホームページでイベント情報を確認したり、予約が必要かどうかも調べておくとスムーズに参加できるでしょう。
モデルハウス見学前にしておきたい準備
初めてのモデルハウス見学、特に家族での見学となると、見るべきポイントが多くて戸惑う方もいるでしょう。限られた時間で最大限の収穫を得るためには、事前準備が重要です。
以下の4つのポイントを押さえておくことで、「見るだけで終わる」見学から一歩進んだ、理想の住まいを見つけるための見学が可能になります。
1.家族のライフスタイルや生活パターンを整理する
まずは、自分たち家族の「今の暮らし」と「将来の暮らし」を整理しましょう。
具体的には以下のポイントを家族で話し合って、日々の行動パターンを可視化してみましょう。
- 朝の支度や通勤・登校の流れ
- 洗濯や料理などの家事の担当と頻度
- 子どもが成長したときの部屋の使い方
日々の行動パターンを可視化することで、どんな間取りや動線が必要なのかが明確になります。「自分たちの生活スタイルに合う家」を見つけるための土台づくりになるでしょう。
2.家族で優先順位を話し合っておく
「どんな家にしたいか」は家族それぞれで少しずつ違うでしょう。収納の多さを重視したいのか、家事動線を第一にしたいのか、子ども部屋の配置が気になるのかなど、あらかじめ優先順位を話し合っておくことが重要です。
夫婦だけでなく、子どもの希望もできる範囲で聞いておくと、「家族全員が納得できる家づくり」につながります。
3.予算感や土地の有無など、前提条件を整理する
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モデルハウス見学では、住宅メーカーから「ご予算や土地はお決まりですか?」と聞かれることも少なくありません。
明確に決まっていなくても、以下のような前提条件をある程度整理しておくと、現実的な提案を受けやすくなります。結果的に、時間もムダになりにくく、充実した見学になります。
- 大体の予算(例:土地込みで3,500万円以内)
- 土地を探している or すでに決めている
- 校区や駅からの距離などの希望条件
4.スマホやメモ帳の準備を忘れずに
見学当日は、多くのモデルハウスを見て回ることになるため、どこに何があったかの記憶があいまいになってしまうことがあります。スマホで写真を撮ったり、メモ帳に気づいたこと・感想を記録したりする準備をしておくと、後で家族で振り返るときにとても役立ちます。
スマホでの撮影ができるかどうかは、念のためスタッフに確認しましょう。また、写真だけでなく「玄関横の収納が便利だった」「洗面所がリビングから遠くて不便そう」など、感じたことを文章でも残しておくと、より比較がしやすくなります。
モデルハウスで確認したい動線と収納のチェックポイント
モデルハウスを見学する際、見た目の豪華さや広さに目を奪われてしまいがちですが、家事のしやすい動線や収納の工夫こそが、実際の暮らしやすさを左右するカギになります。特に子育て中のファミリーは、生活動線と収納をしっかりチェックすることが大切です。
以下のようなポイントに注目しながら、「自分たち家族だったらどう使うか?」をイメージして見学してみるといいでしょう。
玄関→手洗い→リビングのスムーズな動線(感染対策にも◎)
最近のモデルハウスでは、玄関から直接洗面所へアクセスできる「ただいま動線」が人気です。
帰宅後すぐに手洗い・うがいができる配置は、感染症対策にもなり、小さな子どもがいる世帯にも安心です。玄関からリビングまでの動きやすさ、途中にある収納や動線の混雑具合などをチェックしておきましょう。
キッチンから洗濯・物干し・収納までの家事動線
共働き子育て世帯にとって、家事が時短でスムーズに進む間取りは日々の暮らしやすさを左右する大きなポイントです。
キッチンと洗濯機、物干しスペースやファミリークローゼットが無理なくつながっているかを確認しましょう。料理と洗濯を並行してこなせるかどうか、移動距離が長すぎないか、などがチェックするポイントです。
ファミリークローゼットやパントリーの位置
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ファミリークローゼットは、家族全員分の衣類をまとめて収納できる便利なスペースのことをいいます。洗濯・乾燥・収納までの動線上にファミリークローゼットが設置されているかが重要です。
また、食品や日用品をストックするパントリーも、キッチンからのアクセスがスムーズかどうかを確認しましょう。「どこに何をしまうか」をイメージしながら見ることがポイントです。
子ども用品の収納スペース、成長を見据えた子ども部屋
子どもがいる家庭では、おもちゃや学用品の収納場所の確保が暮らしやすさに直結するでしょう。リビングや玄関近くに収納棚が設けられているか、ランドセルの置き場所があるかなどを確認しましょう。
また、子ども部屋については、成長に合わせて間仕切りなどで使い方を変えられるかも意識して見ておくと安心です。
階段・廊下の幅や収納の奥行きも確認
写真や図面ではわかりにくいのが、階段や廊下の幅感覚、収納の奥行きです。実際に通ってみて、ベビーカーや掃除機などの大きな物がスムーズに運べるか、収納棚にどの程度の物が入るかなど、モデルハウスで体感することが大切です。特に収納は「広い=使いやすい」ではなく、出し入れのしやすさや位置も重要なチェックポイントです。
モデルハウスを見比べるときのコツ
モデルハウスを複数見学する際、「何が良かったか」「どこが気になったか」をあとから振り返るのは意外と難しいようです。特に子連れでの見学では、集中力が途切れやすいため、効率よく比較検討するための工夫が欠かせません。
以下のポイントを意識しながら見比べていくと、理想の住まいがぐっと近づきます。
写真と一緒に気になったポイントを都度メモする
見学中は、「この収納便利!」「この動線好き!」と感じる場面がたくさんありますが、時間が経つと意外と忘れてしまいがちです。スマホで写真を撮りながら、気になった点や印象をその場でメモしておくことが大切です。気に入った仕様、気になった点、スタッフから聞いた説明内容などもメモしておくと、後日家族で比較しやすくなります。
「理想の家」ではなく「自分たちの暮らしに合うか」で見る
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モデルハウスは、理想的な空間として作り込まれているため、つい憧れの視点で見てしまうことがあるかもしれません。しかし、大切なのはその家が「自分たちの暮らし」に合うかどうかをチェックすることです。
例えば、家事動線が忙しい朝に無理なく機能するか、子どもが安全に遊べる間取りかなど、「日々の暮らし」がどうなるかを具体的にイメージして見学しましょう。
ハウスメーカーごとの強み・提案力を比較する
同じような広さや価格帯の家でも、ハウスメーカーによって得意分野や提案スタイルが大きく異なります。
例えば、子育て動線を意識した間取り提案が得意な会社もあれば、収納設計や空間デザインに特化した会社もあります。見学時には間取りだけでなく、「どんな提案をしてくれるか」「家づくりのサポート体制はどうか」などもチェックしておくといいでしょう。
子連れでモデルハウスを見学する際の注意点と持ち物リスト
子ども連れでのモデルハウス見学は、「周囲に迷惑をかけないか」「子どもが飽きたらどうしよう」など、心配な点がたくさんあるでしょう。でも、事前にポイントを押さえておけば、家族全員で安心して見学を楽しむことができます。
ここからは、見学時の注意点と、当日持っていくと便利な持ち物をご紹介します。
注意点
※写真はイメージ(Adobe Stock/yuz)
授乳室・おむつ替え・トイレの場所を事前にチェックしておくと、急なトラブルにも落ち着いて対応できるでしょう。大型の住宅展示場では施設が整っていることが多いですが、小規模な分譲地モデルハウスでは設備が限られている場合もあるようです。受付やスタッフに確認しておきましょう。
また、モデルハウス内でベビーカーが使えるかどうかも重要なポイントです。建物の構造によっては階段のみで移動するケースもあるため、事前にベビーカーの使用可否を聞いておくと安心です。
長時間の見学でお子さんが飽きたり騒いだりしてしまうことがあるかもしれません。そのような場合は、無理に見学を続けずに適宜スタッフに声をかけて休憩をはさんだり、外のベンチで一息つくなど、柔軟に対応しましょう。
持ち物リスト
見学の際には、以下のものを持って行くと当日はもちろん、あとから各モデルハウスを振り返るときにも便利です。
筆記用具・メモ帳・スマホ
間取りや設備の感想をメモしたり、気になった場所を写真に残すのに役立ちます。スマホはスケジュール確認や連絡にも必要なため、忘れないよう注意しましょう。
子どもに必要なもの一式
おやつや飲み物はもちろん、お気に入りのおもちゃや絵本など、子どもが落ち着いて過ごせるアイテムを持参しましょう。加えて、着替え・オムツ・おしりふきなどの基本セットも持っておくと安心です。
抱っこひも
階段の多いモデルハウスやベビーカー使用が難しい場合に備えて、抱っこ紐も持参しましょう。両手が空くので見学がしやすくなります。
モデルハウスは「生活を想像する場所」
※写真はイメージ(Adobe Stock/polkadot)
今回の記事では、子育て世帯目線でのモデルハウス選び・見学のポイントをわかりやすくご紹介しました。モデルハウスは、単なる見学施設ではなく、「家族がどんなふうに暮らしたいか」を具体的にイメージできる貴重な場所です。写真やカタログだけでは伝わらない生活動線や収納の使い勝手、子どもとの過ごしやすさなど、実際にその場を歩くことで初めてわかることがたくさんあるでしょう。
見学を充実させるためには、モデルハウスの種類や展示場の特徴を理解し、自分たちに合った場所を選ぶことが大切です。また、見学前の準備や当日のチェックポイントを押さえておくことで、「ただ見て終わる」だけではなく、「暮らしに活かせる情報」が得られます。
家族全員が快適に過ごせる家を目指して、モデルハウスを“生活を想像する場”として最大限活用しましょう。