子育て世帯も安心!【住宅の防犯対策ガイド】おすすめ設備や注意点まで解説
※写真はイメージ(Adobe Stock/真由 野田)
「共働きだから、子どもの防犯や家のセキュリティが気になる」という方も多いのではないでしょうか。昨今、共働き家庭が増える中、子どもが安心して暮らせる「防犯性の高い住宅」へのニーズが急増しています。
空き巣や不審者から家族を守るだけでなく、子どもだけで留守番や登下校する場面の安全確保も重要です。
今回の記事では、「子育て」と「防犯」を両立させた住宅づくりのポイントや、具体的な対策などについてご紹介します。安心・快適な住まいを実現したいご家庭はぜひご参考にしてみてください。
子育て世帯の住宅で「防犯」を重視すべき理由
※写真はイメージ(Adobe Stock/てんぷら)
共働き家庭では、平日の日中に家を空ける時間が長くなる傾向があり、空き巣にとって「狙いやすい家」と見なされることがあるようです。特に、防犯対策が不十分な住宅は、被害に遭うリスクが高まります。
また、子どもが一人で留守番をしたり、登下校時に鍵を扱う場面では、不審者に狙われる危険性も否定できません。玄関が人目につきにくい場所にある、鍵が一つしかついていないなど、防犯性の低い家は空き巣からターゲットにされやすいという調査結果もあります。
こうした背景から、子育て世帯が「防犯性の高い住宅環境」に目を向けることは非常に重要です。
出典:「空き巣や強盗から命と財産を守る 『住まいの防犯対策』」/政府広報オンライン
住宅の防犯対策の基本は?狙われにくい家の条件
住宅の防犯対策はどのようなことを行えばよいのでしょうか?ここからは、狙われにくい家の条件と基本的な防犯対策についてご紹介します。
「侵入に時間がかかる家」は狙われにくい
空き巣や侵入者は、犯行を迅速に終わらせることを重視する傾向にあります。警視庁のデータによると、侵入までに5分以上かかると約7割の泥棒が犯行をあきらめるというデータがあります。
そのため、侵入に手間がかかる仕組みをつくることが、防犯の基本です。主な対策例としては、以下のものが挙げられます。
玄関・窓に補助錠(二重ロック)を設置
メインの鍵に加えて、補助錠を設置することで、解錠に時間がかかりやすくなります。上下2カ所に鍵があると、ピッキングやこじ開けを困難にすることができ、侵入をあきらめさせる効果があるようです。
防犯ガラス(網入り・合わせガラス)を採用
ガラス破り対策として有効なのが、防犯性能の高いガラスです。合わせガラスは複数枚のガラスの間に特殊フィルムが挟まれており、割っても簡単に貫通できません。網入りガラスも同様に、割るのに時間がかかるため、犯罪抑止につながります。
鍵付き雨戸・シャッターの取り付け
窓の外側にシャッターや雨戸を設置し、さらに鍵をつけることで、二重三重の防犯効果があります。特に人目につきにくい裏側の窓には有効です。
「人目につきやすい家」は敬遠される
泥棒にとって「見られるリスク」は大きな心理的な抑止力になります。周囲から視認されやすい環境をつくることで、不審者が近寄りにくくなるでしょう。
主な対策例としては、以下のものが挙げられます。
道路から玄関や窓がある程度見える設計
フェンスや植栽で囲いすぎると、逆に死角ができてしまいます。玄関や主要な窓が、外からある程度見えるようにすることで、防犯性が高まります。
人感センサー付き照明や防犯カメラの設置
※写真はイメージ(Adobe Stock/miss irine)
人が近づくと自動で点灯するライトや、録画されていることを示す防犯カメラは、夜間の防犯効果が高い設備です。
死角にライトや録画機器を配置
勝手口、ベランダ、物置裏など死角になりやすい場所には、ライトやカメラを設置し、監視が行き届いている印象を与えるといいでしょう。
「防犯意識の高い家」に見せる
空き巣は「防犯対策がしっかりしていそう」と感じた時点で、リスク回避のために侵入を諦めることが多いようです。見た目で「守られている家」と思わせることも、防犯には重要なポイントです。
主な対策例としては、以下のものが挙げられます。
セキュリティステッカー・カメラを設置
警備会社のステッカーや防犯カメラを玄関付近に目立つように貼ることで、防犯意識の高さをアピールできます。なお、防犯カメラは実働でもダミーでも構いません。
スマートドアや宅配ボックスの導入
スマートドアは自動施錠や遠隔操作が可能で、不在時も安心です。宅配ボックスも不在を悟られにくくし、玄関前に人が長時間いるリスクを軽減できます。
「家族の生活パターンが読みにくい」ことも大事
空き巣は下見をして、家族の不在時間を把握しようとします。そのため、留守が分かりにくい工夫をすることで、狙われにくくなるようです。
主な対策例としては、以下のものが挙げられます。
外に洗濯物を干さない
長時間の外出中に洗濯物を干しっぱなしにすると、留守をアピールしているようなものです。外干しは極力避けましょう。
スマート照明で夜間に明かりを自動点灯
時間帯によって自動で点灯・消灯する照明を使えば、在宅しているように見せることができます。スマホ連携型のものを使うと、どこにいてもスマホで操作が可能です。
ポストのチラシ・郵便物をこまめに回収
ポストがあふれていると「不在」と分かりやすくなります。回収が難しい場合は、郵便局の不在転送サービスなどを活用するのもいいかもしれません。
「近隣との関係が良好」だと防犯力が高まる
防犯の観点では、地域の「目」が最も強力なセキュリティといえるでしょう。ご近所付き合いを大切にすることが、安心につながります。
主な対策例としては、以下のものが挙げられます。
引っ越し前に自治会や子ども見守り体制をチェック
地域によっては、「子ども110番の家」や見守りボランティア活動が充実しているところもあります。事前に確認することで、防犯性の高いエリアを選びやすくなります。
挨拶ができる関係を近所と築いておく
日常的に挨拶を交わすことで、不審者への早期気づきや、万一の際の助け合いがしやすくなります。地域のつながりは、防犯の「最後の砦」といえるでしょう。
子育て世帯におすすめの防犯アイデア・設備
子育て世帯におすすめの防犯アイデア・設備について、家の場所別に詳しく見てみましょう。取り入れられるアイデアや設備は積極的に活用し、家族の安全を守りましょう。
【窓・玄関の防犯対策】
窓や玄関など、泥棒の侵入口となる場所の防犯対策は、以下のものが挙げられます。
二重ロック(ダブルロック)
※写真はイメージ(Adobe Stock/japolia)
メインの鍵に加えて補助錠をつけることで、侵入までに時間がかかり、防犯効果が大幅に高まります。泥棒は手間のかかる家を敬遠する傾向があり、侵入リスクを下げることにつながるでしょう。
防犯ガラス(網入り・合わせガラスなど)
ガラス破りによる侵入を物理的に困難にします。簡単には割れないため、侵入までの時間を稼ぎやすく、犯行をあきらめさせる効果があります。
人感センサー付き照明/センサーライト
人の動きに反応して自動点灯することで、「見られているかもしれない」という心理的な抑止効果を生みます。夜間の侵入を防ぐ強い味方です。
スマートキー/オートロック
玄関の施錠忘れを防げるうえ、外出先からスマホで施錠確認・操作も可能です。子どもが鍵を持ち歩く必要がないので、鍵の紛失リスクも軽減されます。
宅配ボックス
留守中でも荷物の受け取りが可能になり、玄関先に人が長時間いる必要がなくなるため、不審者による下見や居座りのリスクを減らせます。
モニター付きインターホン
インターホンの相手を映像で確認してから応対できるため、子どもが一人で出るリスクを回避できます。録画機能付きなら、不審な訪問者の記録も可能です。
【ベランダ・勝手口など死角部分の対策】
ベランダや勝手口は住宅の中でも死角になりやすく、狙われることがあるようです。死角になりやすい場所の防犯対策は、以下のものが挙げられます。
補助錠や頑丈な鍵の追加設置
視線が届きにくい出入口は狙われやすい箇所。こうした場所にも二重ロックや強化鍵を設置し、簡単に開けられないようにします。
外構の工夫(見通しのよいフェンスや植栽)
囲いすぎると死角が増えます。フェンスや植栽は「適度な視認性」を意識し、外からの視線がある環境を整えることがポイントです。
防犯カメラの設置
死角となる場所に設置して、録画されていることをアピールするだけでも、犯行の抑止につながります。
【子どもの見守り・操作性を考慮】
小学生になると、登下校など1人で外を歩く機会が増えるでしょう。子ども自身にも防犯対策を行いましょう。子どもを守るための防犯対策は、以下のものが挙げられます。
子どもでも扱いやすい防犯グッズ
※写真はイメージ(Adobe Stock/Paylessimages)
スマートキー、防犯ブザーなどの防犯グッズは操作が簡単なものを選びましょう。いざというときに子どもが自分で身を守る行動がとりやすくなります。ブザーは通学時にも持たせると安心です。
親の視線が届く間取り設計
家の中の見通しを良くして、親の視線が届くようにしましょう。LDKから玄関が見える配置など子どもが玄関で対応している場面をすぐに把握できるようにすることで、安全性を高められます。
【通学路・周辺環境への配慮】
子どもが1人で外を歩いて学校・習い事に行くことを想定して、通学路や周辺環境についても以下のポイントを確認してみましょう。
通学路の安全確認(人通り、見通し、防犯カメラの有無)
引っ越し前に、通学路の死角や危険箇所を確認しておくことが大切です。人通りが多く、防犯カメラのある道を選びましょう。
自治体の防犯施策を調べる
こども110番、防犯パトロールなど地域ごとの防犯体制やサポート制度を確認することで、子どもの安全を守る環境づくりに役立ちます。
【スマートホームによる防犯強化】
スマートホームとは、家の中の設備や電化製品をインターネットに接続して、スマホなどから遠隔操作ができる住宅システムのことをいいます。不在の時間が長くなることの多い共働き子育て世帯にとって、強い味方となるでしょう。スマートホームの機能を活用した防犯対策は、以下のものが挙げられます。
外出先からの施錠・確認機能
スマートホーム機能を活用すれば、外出中でも玄関の施錠状況をチェックしたり、スマホからロック操作を行ったりすることができます。
録画機能付きカメラで不審者チェック
宅配業者や不審者の訪問記録を後から確認できるため、共働き家庭でも安心です。
通知機能付きの防犯アプリと連携
防犯機器が異常を検知した際にスマホへ通知を送ることで、外出先でもリアルタイムで状況を把握でき、すぐに対応することが可能です。
防犯性能の高い家を建てる際に注意すべきこと
子育て世帯にとって、住宅の防犯性能は優先順位の高い項目のひとつでしょう。ここからは、防犯性能の高い家を建てる際に注意すべきことについて詳しく見てみましょう。
ハウスメーカーや工務店に防犯への要望を明確に伝える
※写真はイメージ(Adobe Stock/mapo)
注文住宅やリフォームで防犯性を高めたい場合、設計段階から要望をしっかり伝えることが重要です。
例えば、「死角にならない窓配置にしたい」「玄関が道路から見える設計にしたい」「防犯ガラスを使いたい」など、具体的なニーズを事前に共有しておくことで、より実効性のある提案を受けられるでしょう。
また、設計士や建築会社によっては防犯建築士や防犯設備士と連携している場合もあるので、相談してみるといいかもしれません。
地域の治安や通学路の安全性をチェックする
建物の防犯性だけでなく、周辺環境の治安や子どもが利用する通学路の安全性も重要です。引っ越しや新築を考える際には、以下のポイントもチェックしておきましょう。
- 夜間の明るさ(街灯の有無)
- 人通りの多さ
- 防犯カメラの設置状況
- 通学路の見通しや交通量
さらに、警察署や自治体の犯罪発生マップで地域の犯罪傾向を調べるのも効果的です。
使用する設備の防犯等級やガラスのスペックを確認する
窓やドア、ガラスなどは見た目だけでなく、防犯性能の等級や仕様を確認することが重要です。
特に狙われやすい「窓」には、防犯性能が高い合わせガラスや網入りガラスなどを選ぶようにしましょう。
また、一定基準をクリアしているCPマーク(防犯建物部品)が付いた製品を選ぶことも有効です。鍵についても、「1ロック」ではなくダブルロック対応製品を選ぶとより安全性が高まるでしょう。
防犯対策に使える補助金や自治体支援制度を活用する
自治体によっては、防犯性能向上のための設備導入に対し、費用の一部を補助する制度を設けています。
例えば、防犯カメラ設置費用の助成やセンサーライトやガラスフィルム購入費の補助、空き巣防止のための相談・無料診断などがあります。
制度の有無や申請方法は自治体によって異なるため、市区町村のホームページや窓口などで確認しておくとよいでしょう。費用の負担を減らしつつ、安心・安全な住まいを実現するために、こうした公的支援は積極的に活用したいポイントです。
「防犯×子育て」の安心できる住まいを実現しよう
※写真はイメージ(Adobe Stock/polkadot)
今回の記事では、「子育て」と「防犯」を両立させた住宅づくりのポイントや、具体的な対策などについてご紹介しました。
子どもを犯罪やトラブルから守るためには、日々の生活の中での見守りだけでなく、家そのもののつくりや設備選びが大きく影響します。玄関や窓の配置、使うガラスの種類、スマートキーや宅配ボックスなどの導入によって、防犯性能は大きく向上させることができます。
また、「鍵をしっかりかける」「照明を工夫する」「地域と連携する」といった家全体のセキュリティ意識を高めることで、泥棒や不審者から「狙われにくい家」へとつながります。
防犯も子育ても妥協しない家づくりこそ、家族みんなが安心して過ごせる未来への第一歩になるでしょう。