住宅ローンが組めない理由は?審査落ちの原因と具体的な対策を徹底解説

 

※写真はイメージ(Adobe Stock/David)

 

マイホームの購入を考えたとき、多くの人が避けて通れないのが「住宅ローンの審査」です。しかし、仮審査や本審査で落ちてしまい、不安や疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか?
今回の記事では、住宅ローンが組めない主な理由と、審査に通るための具体的な対策などについてご紹介します。「なぜ審査に落ちたのか分からない」「どうすれば審査に通るのか知りたい」という方は、ぜひご覧ください。

住宅ローンの審査基準は?

国土交通省のデータによると、住宅ローンの審査基準は以下の図のような項目が考慮されるといわれてます。

 

融資を行う際に考慮する項目

割合

完済時年齢

98.5%

健康状態

96.6%

借入時年齢

96.0%

年収

94.0%

勤続年数

93.6%

返済負担率

92.0%

担保評価

91.8%

金融機関の営業エリア

90.4%

連帯保証

87.1%

国籍

75.6%

雇用形態

71.5%

融資可能額(購入の場合)

70.3%

融資可能額(借換の場合)

65.9%

カードローン等の他の債務の状況や返済履歴

65.7%

申込人との取引状況

49.8%

業種

43.5%

家族構成

34.9%

雇用先の規模

32.9%

所有資産

31.7%

性別

24.4%

その他

6.1%



 

その中でも特に重視されているのは以下の5つの項目です。

 

1. 完済時年齢

借入時の年齢よりも「完済時の年齢」が重視されます。多くの金融機関では完済時年齢を80歳未満とする基準が一般的です。高齢での借入は返済リスクが高まるとみなされ、審査に不利になることがあります。完済年齢を抑えるには、借入期間を短くするか、繰上返済の計画を立てるとよいでしょう。

 

2. 年収

住宅ローンの返済能力を測るうえで、年収は非常に重要な指標のひとつです。一般的には、年収に対して返済負担率(年間返済額の割合)が一定以内であることが求められます。

300万円未満の年収では希望額を借りられないケースもあるようです。共働きの場合は世帯収入での評価も可能なケースがあります。

 

3. 勤続年数

勤続年数が短いと「収入の安定性」が低いと判断され、審査に不利になる可能性があります。多くの金融機関では、最低でも1年以上の勤務実績を求める傾向があります。

転職したばかりの方は、少し時間を置いてから申し込むのが得策です。フリーランスや自営業の場合も、安定した継続収入が重要だといわれています。

 

4. 健康状態

※写真はイメージ(Adobe Stock/Trickster*)

 

住宅ローンには通常、団体信用生命保険(団信)への加入が条件となります。そのため、健康状態が良好でないと団信に加入できず、結果として住宅ローン審査に通らない場合があります。

過去の病歴や現在の持病が影響することもあるため、心配な場合は「ワイド団信」などを扱うローンを検討するといいかもしれません。

 

5. 他の債務の状況

すでに他のローン(車、教育、クレジットカードなど)がある場合、返済負担が大きくなると見なされます。借入総額や返済比率が高いと、審査に落ちる可能性が高くなってしまうでしょう。

住宅ローン申請前には、できるだけ他の債務を減らしておくことが大切です。気になる場合は、事前に信用情報機関で自分の借入状況を把握しておくといいでしょう。

 

出典:「令和5年度 民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」/国土交通省

 

住宅ローンが組めない主な理由10選

住宅ローンが組めない主な理由として、以下の10選が挙げられます。それぞれ詳しく見てみましょう。

 

収入・勤続年数に関する理由

年収が低い

年収が低いと、毎月の返済能力に不安があると判断され、審査に不利となります。特に年収300万円以下では、借入可能額が制限されやすく、希望の物件に届かないこともあります。

金融機関によっては、最低年収の基準を設けているケースもあるようです。返済比率の制限をクリアできない場合、審査落ちの原因になることもあります。夫婦合算での申し込みを検討するなどの対策が必要となるでしょう。

勤続年数が短い

勤続年数が1年未満の場合、収入が安定していないとみなされる傾向があります。特に転職直後の申込みは、審査が厳しくなる可能性があります。

金融機関によっては「最低勤続年数1年以上」を条件とする場合もあるようです。職種や業界によって評価が変わることもあるため、事前に確認しておきましょう。安定した職歴を積んでから申請するのがいいでしょう。

自営業・フリーランス・契約社員など非正規雇用

非正規雇用や自営業は、収入が不安定と見なされるため、審査に通りにくい傾向があります。特にフリーランスは、確定申告書で安定した黒字を3年分提示できるかがカギです。

契約社員や派遣社員も、更新状況によって評価が変わることがあります。

金融機関によっては、正社員と同等の評価をする場合もあるため比較検討が必要です。

収入証明の提出方法も工夫することで通過率が高まります。

 

信用情報に関する理由

過去に延滞・滞納がある

クレジット・携帯料金など信用情報に過去の延滞履歴があると、審査に大きく影響します。特に直近2年以内に複数回の延滞があると、通過は困難です。たとえ携帯電話料金の支払いでも、延滞が記録される可能性があります。

気になる場合は信用情報を調べることができます。信用情報を調べるには、JICCとCICという機関に照会します。JICCは消費者金融や貸金業者の借入状況など、CICはクレジットカードやローンの情報を照会することができます。延滞がある場合は完済後、半年以上経ってから再申請するのが効果的です。

 

出典:「開示サービス」/日本信用情報機構

出典:「情報開示とは」/CIC

 

他のローンの借入額が多い

車・カード・教育など既存の借入が多いと、返済負担が大きくなり審査に不利になります。特に自動車ローンや教育ローンなどが残っていると、住宅ローンの返済余力が少なく見られます。

金融機関は、総返済額と年収とのバランスを厳しくチェックします。可能であれば、他のローンは事前に完済しておくのが理想です。借入状況の見直しが審査通過の第一歩となります。

消費者金融・リボ払いを利用中

※写真はイメージ(Adobe Stock/Kenishirotie)

 

消費者金融やリボ払いの利用履歴は、信用情報上マイナスに評価されやすいです。リボ払いは返済期間が長く、利息負担が大きいため、金融機関に敬遠されがちです。

特に複数のリボ払いがあると、返済能力に疑問を持たれやすくなります。審査前にすべて完済するか、利用を控えるのが望ましいでしょう。信用情報のクリーニングは、住宅ローン通過に向けた第一歩といえます。

多重申込をしている(審査に落ち続けている)

短期間に複数のローン申し込みをしていると、「多重申込」として信用が落ちる可能性があります。

金融機関は申込履歴も確認し、「借り急いでいる」と判断するケースがあるようです。審査に落ちたからといって、焦って複数申し込むのは逆効果です。1つずつ慎重に対策を立ててから申し込み直すことが大切です。

信用情報には最大6ヶ月間、申込履歴が残るため注意が必要です。

 

物件やローン内容に関する理由

担保となる物件の評価が低い

物件自体の担保評価が低いと、借入希望額を下げられる可能性があるようです。古い物件や再建築不可物件などは、金融機関が評価しづらい傾向があります。ローン審査では、物件の資産価値が重要な審査材料となります。不安な場合は、事前に不動産会社に担保評価を確認してもらうといいかもしれません。再審査時は評価の高い物件を選ぶことが審査通過の鍵になるでしょう。

借入希望額が年収に対して多すぎる(年収倍率オーバー)

年収に比して借入希望額が大きすぎると、返済が困難と判断されることがあります。一般的に「借入額÷年収=年収倍率」は5〜7倍以内が目安とされています。この数値が高すぎると、ローンの審査に通らない可能性が高いようです。

借入額を抑えたり、頭金を増やすことで年収倍率を調整しましょう。審査前にシミュレーションを行うのが効果的です。

複数のローンを組み合わせようとしている

住宅ローンと別にリフォームローンなどを同時に組もうとするなど複数のローンを組み合わせる場合、審査が厳しくなる傾向があります。複数ローンの同時申請は、総返済額が膨らむため金融機関に敬遠されやすいです。

可能であればローンを1本にまとめる、あるいは優先順位をつけて検討しましょう。合算ローンが可能な金融機関もありますが、条件が厳しい場合があります。まずは住宅ローンを優先して、他は後から検討するのが現実的かもしれません。

 

住宅ローンを通すための改善策・対処法

住宅ローンの審査に落ちたからといって、すぐにあきらめる必要はありません。審査に通らない原因を見極め、対策を取れば次のチャンスをつかめる可能性があります。信用情報の整理、

具体的には、以下のような改善策を試してみることで、状況は大きく変わるかもしれません。

 

信用情報を回復するには

まずはCICやJICCで自分の信用情報を開示し、延滞歴や未払いがないかを確認しましょう。リボ払いや長期延滞などのマイナス情報がある場合は、完済した上で半年以上空けてから申し込むのがいいでしょう。他の借入(車やカードローンなど)は、可能であれば完済、難しければ返済額を減らす努力をしましょう。

信用情報は過去の「金融行動の履歴書」として扱われるため、常にクリーンな状態を維持する意識が大切です。複数の金融機関への同時申し込みも信用に悪影響を与えるため、慎重に行動しましょう。

 

収入面・勤務状況の改善策

 

※写真はイメージ(Adobe Stock/琢也 栂)

 

年収が足りないと判断された場合は、夫婦合算やペアローンを活用するのもいいでしょう。共働きの世帯であれば2人の収入を合算できるため、借入可能額が増えるケースがあります。

ただし、どちらかの信用情報に問題があると審査全体に影響が及ぶため、2人分の信用情報を事前に確認しておくことが重要です。

また、転職後すぐの申し込みは不利になることが多く、1年以上の勤務実績があると審査に通りやすくなります。職歴が安定している業種・職種であれば転職後でも通る可能性はありますが、慎重な判断が必要です。

 

フリーランスでも「確定申告3年分+黒字」であれば審査可能性あり

会社員ではなくフリーランス・個人事業主でも、過去3年分の確定申告書があり、安定して黒字を出していれば審査に通る可能性があります。

ただし、経費を多く計上して所得を圧縮していると、審査上は「収入が低い」と判断されてしまう点に注意が必要です。所得の見せ方によっては不利になることもあるため、必要であれば税理士やFPに相談しましょう。

青色申告や記帳がしっかり行われているかも評価のポイントになります。フリーランス向けの住宅ローンに力を入れている金融機関を選ぶのもいいかもしれません。

 

借入額を見直す

審査に通らない原因が「借入額の大きさ」にある場合は、頭金を増やす・物件価格を抑えるなどして、借入額そのものを見直すのもひとつの方法です。自己資金を増やすことで、金融機関からの信用度が高まり、審査に通りやすくなるでしょう。予算オーバーの物件を無理に選ぶより、身の丈に合った資金計画を立てることが重要です。

また、住宅ローンの返済比率が高すぎる場合も否決理由になるため、無理のない返済計画を組みましょう。「借りられる額」ではなく「返せる額」に目を向けることがポイントです。

 

物件価格を抑える

希望の物件が高すぎて審査に通らない場合は、エリアを少し変えたり、中古物件も視野に入れてみるとよいでしょう。都心から少し離れたエリアにするだけで、物件価格が大きく下がるケースもあります。

また、築年数がある程度経った中古物件は価格が安く、ローン審査も通りやすくなる傾向があります。物件価格が下がれば当然借入額も下がるため、審査にもプラスに働きます。新築だけにこだわらず、条件を柔軟にすることも大切です。

 

フラット35など審査が通りやすい住宅ローンの選択肢も

※写真はイメージ(Adobe Stock/SAN)

 

住宅ローンの審査に不安がある方は、審査基準が比較的緩やかな商品を選ぶのもひとつの手です。

具体的には、「フラット35」は住宅金融支援機構が保証する長期固定金利のローンで、民間金融機関と比べて審査基準がやや柔軟です。特に、勤続年数や年収に対する評価が比較的緩めとされており、転職後間もない人や年収が低めの方でも申し込みやすいという特徴があります。

そのほかにも、地方銀行やネット銀行の中にも、審査条件が比較的緩やかだったり、フリーランスや非正規雇用者に配慮した商品を扱っているケースがあるようです。複数の金融機関を比較し、自分に合った住宅ローンを探すことが、審査通過の第一歩です。

 

住宅ローンの審査前にやるべき準備リスト

いざ住宅ローンの審査を受けるとなったとき、事前準備ができていないと不利になることがあります。スムーズに審査を通過するために、事前に以下の点をチェックしておくといいでしょう。

 

信用情報を取り寄せて確認する

CICやJICCから信用情報を取り寄せ、自分の借入の状況を確認しましょう。延滞や未払いが記録されていると、審査通過は難しくなります。

気になる点があれば、完済や期間経過を待って改善を目指しましょう。申込前に情報を整理しておくことで、リスク回避にもなるでしょう。

 

借入状況を整理し、返せるものは返す

車のローンやカードローンなど、他の借入が多いと返済負担が大きく見なされます。可能なものは完済し、借入額を減らしておくことが重要です。

金融機関は「他の借入とのバランス」を重視して見ています。特にリボ払い残高などは忘れがちなので注意が必要です。

 

必要書類を正確に揃えておく

※写真はイメージ(Adobe Stock/Maryna)

 

源泉徴収票、確定申告書、住民票など、住宅ローン申請には多数の書類が必要です。不備や記載ミスがあると、審査が遅れたり否決される原因にもなります。

事前に何が必要かを確認し、正確に準備しましょう。フリーランスや自営業の方は特に注意が必要です。

 

物件選びの前に事前審査を受ける

本審査に進む前に「事前審査(仮審査)」を受けておくと安心です。購入予定の物件が決まっていなくても、どのくらい借りられるか目安を知ることができます。事前審査の結果を踏まえて、無理のない予算で物件探しができるでしょう。

 

もし通らなかったら?次にできる選択肢

住宅ローンの審査に落ちてしまっても、チャンスが完全に閉ざされるわけではありません。次に向けてできる行動を知っておくことが重要です。

 

住宅ローン相談窓口やFPに相談する

まずは住宅ローン専門の相談窓口や、ファイナンシャルプランナー(FP)に相談してみましょう。自分では気づかない改善点や、最適な金融機関の情報が得られることもあるかもしれません。状況を客観的に整理できるので、再チャレンジへの第一歩になります。

 

他の銀行や金融機関を検討する

※写真はイメージ(Adobe Stock/thodonal)

 

審査基準は銀行ごとに異なるため、他の金融機関で再チャレンジするのも有効です。地方銀行やネット銀行など、選択肢を広げて探すことで通る可能性が出てきます。一度の否決であきらめず、情報収集を続けましょう。

 

頭金を貯めて、借入額を減らす

審査に通らない原因が「借入額の多さ」である場合は、頭金を増やして借入額を減らすとよいでしょう。貯蓄を優先して数ヶ月〜1年待つことも現実的な選択肢です。親族からの援助や贈与なども検討する価値があるでしょう。

 

信用情報が改善するまで一定期間待つ

過去の延滞や金融事故が原因の場合、信用情報の回復を待ってから再申し込みしましょう。一般的に、完済後6ヶ月〜1年程度で情報が更新されるといわれています。その間に他の借入を整理し、万全の状態で再チャレンジを目指すといいでしょう。

 

【まとめ】落ち着いて対策をとれば、チャンスはある!

※写真はイメージ(Adobe Stock/maroke)

 

今回の記事では、住宅ローンが組めない主な理由と、審査に通るための具体的な対策などについてご紹介しました。住宅ローンが組めない理由は、収入・勤務状況・信用情報・物件評価など多岐にわたります。

ですが、冷静に原因を分析し、適切な対策をとることで、審査に通る可能性は十分あるでしょう。

通らなかったからといって落ち込まず、むしろ改善のチャンスと前向きに捉えましょう。自分に合った金融機関・ローン商品を選ぶことも成功のカギです。

正確な情報と行動で、理想の住まいへの第一歩を踏み出しましょう。

 

 

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