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共働き世帯の住宅ローン、どんな組み方がおすすめ?メリット・デメリットと選び方

作成者: KIDSKI STYLE編集部|2025/6/11

※写真はイメージ(Adobe Stock/ELUTAS

 

共働き世帯が増えるなか、住宅購入に向けて「どのようにローンを組むべきか」と悩む夫婦は少なくありません。収入が2人分あることで借入可能額は増える一方、名義や返済方法によっては手続きが複雑になったり、将来のリスクが高まったりすることもあるようです。だからこそ、自分たちに合ったローンの組み方を知っておくことが大切です。
今回の記事では、共働き夫婦が住宅ローンを上手に活用するための基礎知識や選び方、失敗しないためのポイントなどについてご紹介します。

共働きで住宅ローンを組むメリット・デメリット

※写真はイメージ(Adobe Stock/ponta1414)

共働きで住宅ローンを組むにあたって、「住宅ローンをどう組むか」と悩み方も多いでしょう。例えば、夫婦どちらかの名義にするべきか、収入を合算するのが有利なのかなどです。収入が2人分あるからこそ、選択肢が増える一方で、仕組みやリスクもしっかり理解しておく必要があります。

共働き夫婦が住宅ローンを組む際に知っておきたいメリットやデメリットについて、詳しく見てみましょう。

 

借入可能額が大きくなり、希望の物件に手が届きやすい

共働きの場合、夫婦の収入を合算することで借入可能額が増える可能性があります。そのため、希望するエリアや間取りのマイホームにも手が届きやすくなるというメリットがあります。さらに、将来の子育てや在宅ワークに備えて、部屋数や収納スペースを確保しやすくなるのも魅力です。

また、立地や通勤・通学の利便性を重視した選択肢も広がるため、暮らしの質を高めやすくなるでしょう。

ただし、借入可能額が増えても無理なローンは禁物です。返済額が家計に見合っているか、長期的に見て返済を続けられるか、冷静に見極めることが大切です。

 

控除や金利優遇の恩恵が大きくなる可能性

ペアローンや連帯債務型の収入合算であれば、夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられる場合もあるようです。税制優遇の恩恵を最大限に活かせるのも、共働きならではの魅力でしょう。

特に子育て世帯では、教育費や生活費が増える中で、税負担が軽くなるのは大きなメリットといえます。

金利優遇が受けられるローン商品を選べば、長期的な返済負担を軽減できる可能性もあります。控除の適用条件や手続きには注意点もあるため、事前にしっかり調べておくことが大切です。

 

収入変動・離婚・育休など、将来的なリスクも踏まえる必要あり

共働きの強みは収入の安定性にありますが、育休や転職、ライフイベントによりどちらかの収入が減る可能性もあるでしょう。将来的な家計の変化も見据えた計画を立てましょう。

特に、育休中は収入が一時的に減少するため、返済にゆとりを持たせたプランを組むことが重要です。

また、万一離婚や病気といった予期せぬ事態が発生した場合、返済や名義のトラブルが起こるリスクもあります。

そのため、住宅ローンの契約前に「将来どうするか」の話し合いを夫婦間でしておくことが安心につながります。

 

共働きで住宅ローンを組む3つの方法とは?

共働き夫婦が住宅ローンを組む場合、選べる方法は主に3つあります。それぞれにメリット・デメリットがあり、収入状況やライフプランによって最適な選択肢は異なります。

「単独名義」「ペアローン」「収入合算」の3つの方法について、それぞれ詳しく見てみましょう。

 

①単独名義(夫または妻どちらかが契約)

※写真はイメージ(Adobe Stock/tatsushi)

 

単独名義は、夫婦のうち一方のみが住宅ローンの契約者となる方法です。名義も借入も1人に集中するため、最もシンプルで手続きもスムーズです。共働きであっても、もう一方が契約に関与しないため、責任やリスクの所在が明確になります。

【メリット】手続きがシンプル、万一のトラブル時に調整しやすい

単独でローンを組むことで手続きが簡潔になります。また、万が一離婚などの事態が起きた際にも、名義や持分がシンプルなため財産分与がしやすいという特徴もあります。

【デメリット】借入可能額が少なくなる

収入を一人分しか反映できないため、物件の選択肢が限られるケースもあります。夫婦どちらかがパート勤務や育休中だと審査が通りにくくなる点も注意です。

 

②ペアローン(夫婦それぞれがローン契約)

ペアローンは、夫婦それぞれが住宅ローン契約を結ぶ方法で、2本のローンを同時に契約する形になります。名義・借入ともに夫婦で半分ずつに分けることが多く、平等に住宅を所有したい夫婦に選ばれています。控除や借入可能額などの面で、共働きのメリットを活かしやすいのが特徴です。

【メリット】住宅ローン控除を夫婦両方で使える

ペアローンでは夫婦それぞれがローン契約者となるため、それぞれが住宅ローン控除を利用できます。節税効果が高く、共働き世帯にはメリットの大きい方法です。

【デメリット】審査・手続きが2倍、離婚時の精算が複雑

契約が2本になる分、事務手続きや審査も2倍の労力が必要です。また、万が一の離婚時には精算や名義変更が複雑になりがちです。

 

③収入合算(連帯保証型・連帯債務型)

収入合算(連帯保証型・連帯債務型)は、1本の住宅ローン契約に、もう一方の収入を合算する方法です。主債務者に対して、配偶者が連帯保証人または連帯債務者になる2つの形式があります。借入可能額を増やしながらも契約は1本に抑えられるため、手続きのバランスが取れた選択肢です。

【メリット】手続きは1本化されるが収入は両者分

住宅ローンは1本にまとまり、手続きがシンプルな一方で、夫婦の収入を合算できるため借入可能額は大きくなります。片方が育休中でも合算により審査通過の可能性も広がります。

【デメリット】連帯保証人の責任範囲が重くなる可能性あり

連帯保証人となった側も、万が一返済が滞った場合には責任を問われます。特に連帯債務型では、両者に返済義務があるため、将来の関係性や収入変動を見越して慎重に判断が必要です。

 

各ローンの比較まとめ!どれが自分たちに向いている?

※写真はイメージ(Adobe Stock/78art)



単独名義、ペアローン、収入合算3つの方法について、比較表にまとめてみました。どの方法が自分たちに向いているかという視点でチェックしてみてください。

 

項目

単独名義

ペアローン

収入合算

借入額

少ない

多い

多い

控除

片方のみ

両方

片方のみ(連帯債務なら両方可)

名義

単独

夫婦別々

原則主債務者のみ

リスク分担

一人

二人

主+保証人

 

住宅ローンの組み方は、家庭ごとの働き方や今後のライフイベントによって最適な形が異なります。例えば、将来的に育休や時短勤務を予定している場合は、無理のない借入額を優先した方がいいでしょう。

また、控除や名義の持ち方が将来の相続・売却にも関わってくるため、目先の借入額だけでなく長期的な視点での判断が重要です。

 

どの方法がおすすめ?ケース別判断ガイド

※写真はイメージ(Adobe Stock/polkadot)

 

共働き夫婦にとって、住宅ローンの組み方はライフスタイルや収入バランスによって最適解が変わります。代表的なケース別におすすめのローン形態を一覧表にして、それぞれ詳しくご紹介します。

 

ケース

おすすめのローン形態

収入差が大きい

単独 or 収入合算(主収入者中心)

住宅ローン控除を最大限活用したい

ペアローン

夫婦で完全に同額負担したい

ペアローン

手続きの簡便さを重視したい

単独ローン



収入差が大きい → 単独名義 or 収入合算(主収入者中心)

片方の年収が大きく、もう片方がパートや育休中の場合は、単独名義か収入合算が現実的といえるでしょう。無理なく審査に通る可能性が高く、手続きも比較的シンプルになります。

 

住宅ローン控除を最大限活用したい → ペアローン

控除額を最大限に活かしたい場合には、夫婦ともにローン契約者となるペアローンがおすすめです。特に年収がそれぞれ高めな夫婦には有利となるでしょう。

 

夫婦で完全に同額負担したい → ペアローン

「住宅は夫婦で平等に持ちたい」と考える方には、ペアローンが向いています。支払い責任と資産分配を明確にできます。

 

手続きの簡便さを重視したい → 単独ローン

仕事や育児で忙しい共働き世帯にとって、最もシンプルな選択肢が単独ローンです。家の購入後も名義や支払いの手続きが煩雑にならず、安心して生活をスタートさせることができるでしょう。

 

共働きで住宅ローンを組む際の注意点

共働きの住宅ローンでは、共働きだからこそ借入可能額が大きくなる反面、知っておきたい注意点もあります。将来の変化やリスクに備えた上で、安心して住宅ローンを組むには事前の知識が欠かせません。共働き世帯が特に意識したい4つの注意点をご紹介します。

 

将来の収入や支出を考慮して借入額を設定

※写真はイメージ(Adobe Stock/琢也 栂)

 

いまの収入だけで判断せず、将来的な収入減や育児にかかる費用を見越して、無理のない借入額にすることが大切です。

特に出産や保育料、小学校以降の教育費は予想以上に家計を圧迫することがあります。収入が一時的に減っても返済が滞らないように、ゆとりのある返済計画を立てましょう。

ファイナンシャルプランナーに相談して、将来の支出も含めた資金計画を練るのがおすすめです。

 

離婚や死亡時のローン返済リスク

共働きでローンを組む場合、どちらか一方に何かあったときの返済リスクを想定して、生命保険や団信(団体信用生命保険)などの備えも検討しましょう。夫婦でローンを支えている場合、片方が返済不能になると家計への影響が大きくなります。

団信の内容は金融機関によって異なるため、保障内容をよく比較しましょう。必要に応じて収入保障保険などを追加することで、より安心感のある体制を整えられます。

 

名義と持分のバランス(税金・贈与税のトラブル回避)

実際に負担している金額と登記上の持分割合がずれていると、贈与税の対象になる可能性もあります。専門家に相談しながら、適切に設定することがポイントです。

例えば、夫婦で半額ずつ返済する場合は、持分も50:50にしておくのが基本です。一方が頭金を全額負担したのに名義は折半、という場合も注意が必要です。

登記前に税理士や司法書士と話し合い、トラブルを未然に防ぎましょう。

 

夫婦の話し合い・信頼関係が何よりも重要

どんな形でローンを組むにせよ、夫婦間でお金の話をしっかりできる関係性が重要です。ライフプランを共有し、納得感のある選択を心がけましょう。

住宅ローンは長期の契約になるため、途中での見直しや協力が必要になる場面も多くなります。

ローン名義や返済負担を決める前に、家計や将来設計について率直に話し合うことが大切なポイントです。信頼関係が築かれていれば、万が一のトラブル時にも冷静に対処できるでしょう。

 

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ローン控除や税制優遇の使い方にも要注意

共働きで住宅ローンを組む際は、借入額や金利だけでなく、税制優遇の使い方にも目を向けることが重要です。ローンの組み方によって受けられる控除の範囲が変わるため、正しい知識をもとに選択することがポイントです。

 

単独:本人のみ住宅ローン控除対象

ローン契約者が一人なら、控除もその人のみが住宅ローン控除の対象となります。片働きや収入差が大きい世帯では、このパターンが一般的です。

収入が高い方の名義でローンを組めば、控除額も多くなり、効果を実感しやすいのが特長です。

ただし、もう一方が返済に実質的に関与していても、控除は受けられない点に注意が必要です。住宅ローン控除は、年末のローン残高や所得によって控除額が変わるため、将来の年収変動も見据えて検討しましょう。

 

ペアローン:夫婦それぞれ最大13年間控除あり

※写真はイメージ(Adobe Stock/taka)



ペアローンなら、夫婦それぞれが住宅ローン控除を活用できます。年収が近い共働き世帯にとって、節税効果が高い方法です。

例えば、夫婦それぞれが年末残高2,000万円のローンを抱えている場合、最大で年間40万円の控除が受けられます。

ただし、2本のローンを同時に管理する必要があり、手続きや書類の提出も煩雑になりがちです。住宅ローン控除の適用には、床面積や取得時期などの条件もあるため、契約前に要件を必ず確認しましょう。

 

収入合算(連帯債務型):条件を満たせば双方控除可能

連帯債務型の収入合算では、登記持分に応じて夫婦両方が控除対象にすることも可能です。控除額を最大限にするには、持分割合や年末残高にも注意が必要です。

連帯保証型では主債務者のみが控除対象になるため、「連帯債務型」であることがポイントです。

また、夫婦で登記持分を明確に分けておくことも、税務上のトラブル回避に繋がります。制度の違いや控除の詳細は金融機関や税務署にも確認して、最適な方法を選びましょう。

 

住宅取得資金贈与の非課税制度の活用も検討

親からの資金援助がある場合は、非課税枠を利用できる制度もあります。贈与税のトラブルを避けるためにも、計画的に活用しましょう。

2025年現在、一定の条件を満たせば最大1,000万円(※省エネ住宅の場合)の贈与が非課税になる制度があります。

ただし、この制度も利用には申告が必要で、対象となる住宅や契約時期に条件があります。

贈与された資金を「頭金」や「住宅取得費用」に充てる場合は、領収書の保管や書類準備も忘れずに行いましょう。

 

出典:「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」/国税庁

 

【まとめ】将来を見据えて「家計と信頼」に合うローンを選ぼう

※写真はイメージ(Adobe Stock/ponta1414)

 

今回の記事では、共働き夫婦が住宅ローンを上手に活用するための基礎知識や選び方、失敗しないためのポイントなどについてご紹介しました。共働きで住宅ローンを組むと、借入可能額や控除の面で多くのメリットがありますが、同時に責任やリスクも大きくなります。単独名義・ペアローン・収入合算、それぞれに合う家族像があり、正解はひとつではありません。

夫婦で将来のライフプランを話し合い、必要に応じて専門家のアドバイスも受けながら、自分たちに合った住宅ローンの組み方を選びましょう。

 

 

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