夫婦二人暮らしにちょうどいい間取りは?人気のタイプと失敗しない選び方

※写真はイメージ(Adobe Stock/polkadot)

 

夫婦二人暮らしを始めるにあたり、「ちょうどいい間取り」とはどのようなものか、多くのご夫婦が悩まれることでしょう。
家は、広すぎると日々の維持管理が大変になり、逆に狭すぎると窮屈で生活しづらさを感じてしまいます。
特に30代から40代前半のご夫婦にとっては、現在のライフスタイルだけでなく、将来の家族構成の変化や働き方の変化(在宅ワークの増加など)も見据えた家選びが、後悔しないための重要なポイントとなります。
人生の大きな転換期にあるご夫婦にとって、「ちょうどいい」とは、現在の快適さはもちろんのこと、将来の変化にも柔軟に対応できる「適応力」を意味します。
本記事では、そのような視点から、夫婦二人暮らしに最適な間取りの考え方、具体的な間取りタイプとその特徴、さらには間取り選びで失敗しないための注意点やアイデアまで、実例を交えながらわかりやすく解説していきます。
この記事が、お二人にとって最高の住まいを見つけるための一助となれば幸いです。

二人暮らしにおすすめの間取りは?人気のタイプ比較

夫婦二人暮らしで人気の間取りタイプには、それぞれ特徴があり、ライフスタイルや将来設計によって最適な選択が異なります。ここでは、代表的な1LDK、2LDK、3LDK、そして平屋と2階建てについて、メリット・デメリットを比較しながら見ていきましょう。

1LDK〜3LDK、人気の間取りは?

1LDK

1LDKは広めのLDK(8畳以上)と寝室1部屋の構成で、夫婦が一緒に過ごしやすいスタイルです。

コンパクト設計なら費用を抑えられます。しかしプライベート空間や収納の確保が難しく、在宅ワークスペース等を設けにくい課題があります。

特に在宅勤務中心の夫婦には、集中できる個別空間の不足がストレスとなる可能性があります。

間取り選択時は生活スタイルとの適合性を慎重に検討する必要があります。

2LDK

※写真はイメージ(Adobe Stock/あんみつ姫)

 

2LDKはLDKに加えて2つの居室がある間取りで、「もう一部屋」の使い方の自由度が最大の魅力です。

一つを主寝室とし、もう一部屋を在宅ワーク用書斎、趣味部屋、将来の子ども部屋、来客用スペースとして柔軟に活用できます。

夫婦それぞれのプライバシー確保や、家族構成の変化への対応も容易で、専有面積も30~55平方メートルと十分な広さがあります。

しかし価格は1LDKや2DKより大幅に高く、エアコン設置の確認も必要です。

「プラス一部屋」を有効活用できなければ持て余す空間となるため、具体的な目的意識を持った計画が重要です。

 

3LDK

3LDKはLDKに加えて3つの居室があり、部屋数に最も余裕のある間取りです。夫婦それぞれの個室、在宅ワークスペース、趣味部屋、ゲストルームなど複数の専用スペースを確保でき、収納も十分です。

将来子どもが1〜2人増えても個室を用意できる柔軟性があり、レイアウトの自由度も高く、夫婦で寝室を分けることも可能です。

しかし購入価格や家賃は最も高額で、光熱費や掃除の手間も増加します。部屋を持て余す可能性もあり、物件によっては個々の居室が狭い場合もあります。

将来的に子どもを考える夫婦には魅力的ですが、現在のライフスタイルで本当に3つの居室が必要か慎重な検討が必要です。

間取りタイプ別比較表

間取りタイプ

特徴

メリット

デメリット

こんな夫婦におすすめ

1LDK

LDK+寝室1

広めワンルーム感覚ルーム感覚。

・一緒に過ごしやすい

・築浅物件多い

・個人空間なし

・収納少ない

・在宅ワーク困難

・常に一緒にいたい夫婦

・コンパクト志向

2LDK

LDK+2部屋

1部屋多目的利用

・部屋割り柔軟

・プライバシー確保

・子ども部屋対応可

・価格高い

・在宅ワーク多い

・個人時間重視

・子ども1人予定

3LDK

LDK+3部屋

部屋数に余裕

・豊富な部屋数

・子ども複数対応

・収納十分

・寝室分離可

・価格最高

・光熱費高

・掃除負担

・部屋余る可能性

・お互いの専用スペース必要

・子ども複数予定

・来客多い

 

平屋 vs 2階建て、どっちを選ぶ?

戸建てを検討する場合、平屋にするか2階建てにするかは大きな選択肢の一つです。それぞれにメリット・デメリットがあり、ライフスタイルや価値観によって最適な選択は変わってきます。

 

平屋

平屋は全ての部屋がワンフロアにあるため、階段の上り下りがなく生活動線がシンプルで効率的です。

家族のコミュニケーションが取りやすく、メンテナンス費用も抑えやすい場合があります。構造的に安定しやすく間取りの自由度が高く、庭との一体的な活用も魅力です。

コンパクトな平屋なら建築費用も抑えられる可能性があります。

しかし、同じ延床面積の2階建てより広い土地が必要で、都市部では土地取得費用が負担となります。

建物中心部の採光・通風に工夫が必要で、道路や隣家からの視線対策も必要です。

水害時の避難場所がなく、坪単価も高くなる傾向があり、収納スペースの計画的確保も重要です。

 

2階建て

2階建て住宅は、狭い土地でも縦方向の空間活用により居住面積を確保でき、1階をパブリック、2階をプライベート空間として使い分けることでプライバシーも保ちやすいです。

2階は日当たりや眺望が良く、同じ延床面積なら平屋より基礎・屋根面積が小さいため坪単価を抑えられる場合もあります。

一方で、日常的な階段の昇降は高齢者や幼児には負担となり、洗濯などの家事動線も複雑になりがちです。

外壁や屋根のメンテナンス時には高所作業用の足場が必要で費用がかさみ、上階の荷重を支える強固な構造設計も求められます。

また家族が各階で過ごす時間が長くなると、コミュニケーションが希薄になる可能性も考慮すべき点です。

平屋か2階建てかの選択は、建物の形状を選ぶだけでなく、長期的なライフスタイルや価値観と深く関わってきます。

この選択は、ご夫婦がどの価値を最も優先するか、そして現在と未来のニーズをどうバランスよくさせるかという、深い自己分析と話し合いが重要でしょう。

間取りを決める前に考えるべきポイント

理想の間取りを実現するためには、具体的なプランを練る前に、ご夫婦のライフスタイルや将来設計、日々の暮らしにおける優先順位などを深く掘り下げて考えることが不可欠です。

ライフスタイル

※写真はイメージ(Adobe Stock/naka)

 

30代から40代の夫婦にとって、後悔しない間取り選びには現在と将来のライフスタイルを具体的にイメージすることが大切です。

在宅勤務をする場合、集中できる専用ワークスペースが必要か、リビングの一角で十分かを検討し、夫婦両方が在宅なら独立したスペースや防音性も考慮しましょう。

夫婦で過ごす時間の価値観や生活リズムの違いも間取りに影響し、朝型・夜型が異なる場合は寝室とLDKの位置関係に配慮が必要です。

また、それぞれの趣味スペースの必要性も話し合いが大切です。

この世代はキャリアや趣味の変化、子育て開始など人生の変化が大きいため、現在のライフスタイルに最適化するだけでなく、将来の様々な変化に柔軟対応できる「余白」や「可変性」を間取りに持たせることが長期的満足感につながります。

将来設計

間取り選びでは「この家で何年暮らしたいか」「家族構成の将来的変化」を考慮する長期的視点が重要です。

子どもの計画では、将来的に何人を想定するかで必要な部屋数や配置が変わります。

最初から固定的な子ども部屋を作らず、当面は書斎や趣味の部屋として使い、将来子ども部屋に転用できる「可変性のある部屋」を設けることが賢明です。

子どもの独立後は再び夫婦の趣味の部屋やゲストルームとして活用でき、必要に応じて間仕切りで分けたり壁を取り払って広い空間にしたりできる設計が最大限の柔軟性といえるでしょう。

また、親との同居可能性があれば1階に寝室や水回りを設け、独立した生活空間を確保する設計も必要です。

特定の未来像に過度に特化せず、多目的に使える部屋や、間仕切り壁の追加・撤去が容易な「柔軟性」を兼ね備えた間取りが、長く快適に暮らせる家につながります。

働き方と家事の分担

共働きで在宅ワークが多いご夫婦にとって、生活リズムや家事効率に配慮した間取りは住まいの快適さを大きく左右します。

夫婦それぞれの勤務時間や生活パターンに合った間取りは日々のストレスを軽減し、キッチンから洗濯スペースへの動線がスムーズであれば、料理をしながら洗濯を進めるなど効率的な家事分担が可能になります。

家事動線の効率化では、行き止まりを少なくしぐるりと回れる回遊動線により移動がスムーズになり、キッチン・浴室・洗面所・トイレといった水回りを近くにまとめることで配管効率と家事動線の両方がコンパクトになります。

洗濯動線では「洗う→干す→畳む→しまう」という一連の作業を短い動線で完結できるよう、洗面脱衣室に室内干しスペースやファミリークローゼットを隣接させる工夫が重要です。

また、パントリーは調理効率を上げ、玄関から直接アクセスできるウォークスルータイプなら買い物後の片付けにも便利です。

夫婦二人暮らしで人気の間取りアイデア・実例集

ここでは、夫婦二人暮らしをより快適で豊かにするための、具体的な間取りアイデアと実例をご紹介します。ライフスタイルや価値観に合わせて、これらのアイデアを参考にしてみてください。

LDKと寝室を分ける(生活リズムのズレ対策)

※写真はイメージ(Adobe Stock/manow)

 

夫婦で生活リズムが異なる場合、LDKと寝室をしっかり分けることはお互いの睡眠やプライベート時間を尊重するためにとても重要です。

一方が夜遅くまで仕事や趣味を楽しむ場合、もう一方が静かに休める環境の確保が必要で、特に在宅ワークで夜間にLDKや隣接するワークスペースで作業する際、寝室への音漏れや光漏れは睡眠の質を著しく低下させる可能性があります。

具体的な工夫として、寝室をLDK・キッチン・浴室といった音が出やすい場所からできるだけ離して配置し、クローゼットや廊下、書斎などを緩衝地帯として間に設けることで音や気配の直接的な伝達を和らげられます。

1LDKでも寝室のドアがLDKの主要活動エリアに直接面していない間取りを選び、遮音・遮光性の高い素材の使用も有効です。

単にドアで仕切るだけでなく、夜中にトイレやキッチンへ行く際に寝室前を通らない動線計画も重要なポイントです。

 

趣味スペースや個室を設けそれぞれの時間を大切に

夫婦それぞれが趣味に没頭したり、一人で静かに過ごしたりする時間は、充実した二人暮らしに欠かせない要素です。

特に在宅ワークで家で過ごす時間が長い場合、常に一緒の空間にいると息が詰まることもあり、個々の時間を尊重することで精神的なゆとりが生まれ、結果として夫婦関係にも良い影響を与えます。

2LDKや3LDKでは余った居室を書斎、アトリエ、音楽室、トレーニングルームなど、それぞれの趣味に合わせた専用スペースとして活用できます。

1LDKでもLDKや寝室の一角にパーテーションや本棚で仕切った趣味コーナーを設けることは可能ですが、音や広さの制約は受けやすくなります。

また、普段は書斎として使い週末は趣味の部屋として活用する多目的ルームも良いアイデアです。

趣味スペースの価値は場所の確保だけでなく、手芸や模型作りなら十分な作業スペースと収納、音楽や映画鑑賞なら遮音性など、趣味の内容に合わせた機能性を備えることが重要です。

 

リビング横にワークスペースを設ける

リビングに隣接してワークスペースを設けるスタイルは、開放感があり家族の気配を感じながら仕事ができるメリットがあります。

家族とコミュニケーションを取りやすく、将来子どもができた場合にはリビング学習の様子を見守りながら仕事ができる利点も考えられます。

一方で、リビングの生活音や話し声が気になり仕事に集中しにくく、仕事とプライベートの境界が曖昧になりやすいデメリットもあります。

具体的な作り方として、リビングの一角にデスクカウンターを造作したり、リビングに隣接する小部屋をワークスペースとして活用したり、引き戸や可動間仕切りで必要に応じて一体化・独立させられるようにする方法があります。

ウォークスルークローゼットで時短動線

ウォークスルークローゼットは出入り口が2ヶ所あり通り抜けができる収納スペースで、寝室と洗面脱衣所や廊下と寝室などをつなぐように配置することで生活動線を効率化し、時間短縮につながります。

朝の身支度では「寝室→ウォークスルークローゼットで着替え→洗面脱衣所で身支度」という一連の流れがスムーズになり、洗濯物をたたんでそのままクローゼットにしまったり、入浴後の着替えを取りに行ったりする動線が短縮され家事効率が向上します。

また廊下としての機能も兼ねるためデッドスペースを減らし効率的な間取りを実現できます。人気の配置例として、寝室と洗面脱衣所の間、玄関からリビングへの通路、キッチンと洗面室の間などがあります。

ただし通り抜けのためのスペース確保が必要で、壁一面収納に比べると収納量は少なくなる可能性があるため、棚の配置やハンガーパイプの長さを工夫し限られたスペースを最大限活用する収納計画が重要です。

土間収納やパントリーで趣味・ストック品もスッキリ

※写真はイメージ(Adobe Stock/Pinit)

 

玄関脇の土間収納やキッチン横のパントリーは、用途のものをまとめて収納し、住空間全体をすっきりと保つのに役立ちます。

土間収納は玄関の土間スペースを広めに確保して活用するアイデアで、自転車やベビーカー、アウトドア用品、ガーデニング用品など屋外で使用するものや汚れやすいものを室内に持ち込まずに収納でき、趣味の道具の手入れ場所としても活用できます。

土足で入れるため掃除がしやすく、リビングなどに汚れを持ち込むのを防げ、駐車場や勝手口とつなげることで荷物の出し入れがさらに便利になります。

パントリーはキッチンに隣接して設けられる食品庫で、常温保存の食品や飲料、調味料のストック、普段あまり使わない調理器具や食器をまとめて収納することで、キッチン本体をすっきりと保ち作業効率を上げることができます。

吹き抜けや勾配天井でコンパクトでも開放感のある空間に

床面積が限られている場合でも、吹き抜けや勾配天井を設けることで縦方向への視線の広がりが生まれ、実際の面積以上の開放感を得ることができます。

天井が高くなることで圧迫感が軽減され広々とした印象の空間になり、高窓や天窓を設けることで部屋の奥まで自然光が届きやすくなり明るい空間を実現できます。

また、暖かい空気が上昇する性質を利用して効率的な換気を促し、梁を見せるデザインで空間にアクセントを加えおしゃれな雰囲気を演出できます。

一方で考慮すべき点として、空間の体積が大きくなるため冷暖房の効率が低下し光熱費が余分にかかることがあり、シーリングファンの設置や断熱性能の高い建材の採用などの対策が必要です。

よくある失敗例とその対策

理想の住まいを追求する中で、思わぬ落とし穴にはまってしまうこともあります。ここでは、夫婦二人暮らしの間取り選びでよくある失敗例と、その対策について解説します。

「収納が足りない!」

※写真はイメージ(Adobe Stock/MVProductions)

 

「収納が足りない!」は住んでから非常によく聞かれる失敗談で、特に夫婦二人だとそれぞれの持ち物に加えて共有の物も多くなりがちです。

各部屋に小さな収納を点在させるよりも、一箇所にまとまった大きな収納スペースを確保する方が効率的な場合があります。

収納計画を甘く見ると、物が溢れて生活空間が圧迫されたり片付かないストレスを抱えたりします。

対策として、ウォークインクローゼットは夫婦二人分の衣類やバッグ、季節物をまとめて収納するのに非常に有効で、寝室隣接なら着替えや身支度がスムーズになります。

また、ファミリークローゼットは家族全員の衣類やリネン類を一元管理でき、壁面収納はリビングや廊下の壁一面を利用して大容量の収納を確保できます。

ただし「まとめてウォークイン」が常に最適とは限らず、毎日使う掃除道具などが遠いと不便なため、衣類などはカテゴリーで集中収納しつつ、使用頻度や場所に合わせた「適材適所」の分散収納も組み合わせるハイブリッドな考え方がより実用的です。

「音が気になる」

生活音は快適な住環境を妨げる大きな要因の一つで、特に夫婦で生活リズムが異なる場合や在宅ワークで集中したい場合には音への配慮が欠かせません。

 

LDKでのテレビの音や話し声、キッチンでの調理音、浴室やトイレの排水音などが寝室やワークスペースに響いてしまうと、睡眠の妨げになったり仕事に集中できなかったりします。

 

対策として間取りの工夫では、寝室やワークスペースをLDKや水回りといった音が発生しやすい場所からできるだけ離して配置し、音の緩衝帯としてクローゼットや廊下、書斎などを間に挟むのも効果的です。2階建ての場合は寝室を2階に、LDKを1階に配置するなど、フロアで生活ゾーンを分けるのも有効です。

 

また、遮音性の高い建材を活用することで、物理的距離を取れない場合でも音の問題を軽減できます。

「来客用の部屋がなくて不便」

普段は夫婦二人でも、親族や友人が泊まりに来る機会が全くないわけではありません。しかし、そのためだけに一部屋を常にゲストルームとして確保しておくのは、スペースの有効活用という点で非効率的でしょう。

いざという時にゲストが泊まれるスペースがないと、慌ててしまったりリビングに布団を敷いて対応するなど、お互いに気を使うことになったりします。

柔軟なゲストスペースの確保策として、リビング続きの和室は普段はリビングと一体化させて広く使ったり家事スペースとして活用し、来客時には襖や障子を閉めて独立したゲストルームとして使用できます。

また、引き戸や可動間仕切りでLDKの一角や書斎を仕切ることで臨時のゲストスペースを作り出せ、多目的ルームの活用では普段は在宅ワーク用や趣味の部屋として使いながらソファベッドや収納式ベッドで必要に応じてゲストルームに早変わりします。

無駄のない暮らしを重視する夫婦にとって、使用頻度の低いゲストのためだけに一部屋を常時確保するのは避けたく、普段は日常生活に役立つスペースとして機能しつつ、必要に応じてゲストをもてなせる多機能性と可変性を持った空間づくりが最も賢明です。

間取り選びに役立つ方法

理想の間取りを見つけるためには、感覚だけでなく、具体的なステップを踏んで検討することが大切です。ここでは、間取り選びに役立つ具体的な方法をご紹介します。

優先順位を書き出す

※写真はイメージ(Adobe Stock/Gajus)

 

家づくりにおいて、すべての希望を100%叶えることは難しい場合がほとんどです。

予算や敷地面積などの制約がある中で、何を実現し何を諦めるか、あるいは妥協点を見つけるため、まず夫婦それぞれが「絶対に譲れない条件」「できれば叶えたい条件」「妥協できる条件」を明確にし、それを持ち寄って話し合い、共有の優先順位リストを作成することが不可欠です。

話し合いのプロセスでは、夫婦それぞれが間取りに対する要望や暮らしの中で重視することをリストアップし、お互いのリストを見せ合い共通する項目、異なる項目、対立する項目などを整理し、話し合いを通じて「これだけは譲れない」という最優先事項を決定します。

お互いの価値観を深く理解し理想の住まいに対する共通認識を築く重要なプロセスで、数多くの選択肢から本当に価値のあるものを選び取る羅針盤となります。

1週間の生活ルーティンを紙に書いてみる

間取り図を眺めているだけでは、実際の生活の動き(動線)はなかなか具体的にイメージしづらいものです。

そこで有効なのが、夫婦それぞれの1週間の生活ルーティンを時間軸に沿って書き出してみる方法です。

平日では起床時間、朝の身支度、朝食、出勤または在宅ワーク開始、昼食、午後の仕事、仕事終わり、夕食準備、夕食、食後の過ごし方、入浴、就寝時間を。

休日では起床時間、午前中・午後・夜の過ごし方を、共通では家事をいつ誰がどのように行うか、夫婦で一緒に過ごす時間、それぞれ一人の時間、来客の頻度や対応などを書き出します。

この作業を通じて、朝の忙しい時間帯に洗面所やキッチンが混み合わないか、在宅ワーク中に生活音が気にならないか、家事をする際の移動距離はどうかなど、具体的な生活シーンにおける動線の良し悪しが見えてきます。

また、間取り図だけでは気づかなかった潜在的なニーズや、逆にあまり使わないスペースの発見もあるかもしれません。

生活ルーティンを書き出すことは、間取り図に「時間」という要素を加えて実際の生活をシミュレーションする作業で、間取りが日々の活動をスムーズにサポートするかを確認でき、後悔しない家選びにつながります。

家具・家電のサイズ感も加味して考える

モデルルームや完成見学会で見る何もない部屋は広く感じられるものですが、実際に自分たちの家具や家電を配置してみると、思った以上にスペースがなかったり動線が悪くなったりすることがあります。

これを避けるため、計画段階から具体的な家具・家電のサイズ感を考慮に入れることが不可欠です。

確認すべきこととして、現在使用していて新居でも使う予定の家具や家電の正確なサイズを測っておき、新規購入予定の家具・家電のサイズも把握しておく必要があります。

間取り図に家具・家電を配置した際のイメージを描き、人がスムーズに移動できる通路幅が確保されているかドアの開閉に支障がないかなどを確認し、搬入経路や必要な場所に適切な数のコンセントがあるかも確認しましょう。

無駄のない暮らしとは空間が効率的に使われていることも意味し、収納計画とも密接に関わっています。

夫婦二人暮らしの「ちょうど良い」間取りを選ぼう

※写真はイメージ(Adobe Stock/imtmphoto)

 

夫婦二人暮らしの「ちょうど良い」間取り選びは、多くの要素を考慮する必要があり、簡単な道のりではないかもしれません。しかし、お二人の価値観やライフスタイルを深く見つめ直し、将来の夢や希望を共有する素晴らしい機会でもあります。

本記事で解説してきたように、まず「夫婦2人にとっての快適な暮らしとは何か?」を具体的に言葉にして共有することが、理想の間取りを見つけるための最初の、そして最も重要なステップです。お互いが何を大切にし、どのような空間で、どのように時間を過ごしたいのか。その共通認識が、間取り選びの確かな軸となります。

そして、現在の生活スタイル、働き方、さらには将来設計のすべてを含めて総合的に検討し、「ちょうどよい間取り」を選びましょう。1LDKの親密さ、2LDKの柔軟性、3LDKの余裕、平屋の暮らしやすさ、2階建ての効率性。それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、お二人の優先順位に照らし合わせていくことが大切です。

机上の検討だけでなく、モデルハウスや実際の施工事例を見学することも、具体的なイメージを掴む上で非常に役立ちます。図面だけでは感じ取れない空間の広がりや雰囲気、素材感などを肌で感じることで、より納得のいく選択ができるでしょう。

最終的に「ちょうど良い」間取りとは、お二人の現在の満足と将来への希望、そして予算や立地といった現実的な制約との間で、最も心地よいバランスを見つけ出した答えです。

唯一無二の正解があるわけではなく、それぞれの夫婦にとっての「ベストフィット」が存在します。

この記事が、お二人がその「ベストフィット」を見つけ出し、心から満足できる住まいを実現するための一助となることを願っています。

 

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