共働き夫婦必見!在宅勤務を快適にする究極の間取りガイド

※写真はイメージ(Adobe Stock/ponta1414)

 

コロナ禍以降、在宅勤務(テレワーク)は多くの共働き夫婦にとって当たり前の働き方となりました。

通勤時間がなくなり、家族と過ごす時間が増えるといったメリットがある一方で、「夫婦のオンライン会議が重なって気まずい」「生活音が気になって仕事に集中できない」「仕事とプライベートのメリハリがつかない」といった、これまでなかった新たな悩みに直面している家庭も少なくありません。

実は、これらのストレスの多くは、個人の我慢や工夫だけで解決するものではなく、「間取り」に問題がある場合が多いです。

しかし、ご安心ください。これから家を建てる、あるいはリフォームを考えているなら、間取りの工夫によってこれらの問題を根本から解決できます。

本記事では、30〜40代の共働き・子育て世帯を対象に、夫婦二人での在宅勤務を快適にするための間取りの考え方から、具体的なアイデア、そして計画時に見落としてはならない注意点まで、解説します。

 

夫婦の在宅勤務のよくある悩みとは?

在宅勤務が常態化する中で、多くの夫婦が同じような壁にぶつかっています。これらの悩みは些細なことのように見えて、日々の生産性や夫婦関係に大きな影響を与えてしまいます。

まずは、多くの家庭で共通して聞かれる5つの代表的な悩みについて、その背景と影響を深く掘り下げてみましょう。

 

オンライン会議のタイミングが被る

夫婦での在宅勤務において、最も切実で頻繁に発生するのが「オンライン会議の被り問題」です。同じリビングやダイニングで仕事をしていると、どちらかの会議が始まった途端、もう一方は息を潜めなければなりません。

自分の声が相手の会議に漏れていないか、相手の声が自分のマイクに入っていないかと、常に気を配る必要があります。

例えば重要な商談中に、背後からパートナーの声や生活音が聞こえてしまう状況は、想像以上のストレスとなるでしょう。

 

共有スペースのストレス

在宅勤務スペースを十分に確保できない家庭では、ダイニングテーブルなどの限られたスペースを作業場として使わざるを得ません。

しかし、本来食事や団らんのために設計された家具は、長時間のデスクワークには適しておらず、狭さや使い勝手の悪さが日常的なストレスの原因となります。

狭いスペースでは書類や機材の整理も困難で、食事時間になっても仕事道具が片付かない、一方が集中して作業したいときに他方がリラックスモードに入るなど、生活リズムのズレが新たなストレスを生み出すことも少なくありません。

 

生活音と子どもの声により集中できない

※写真はイメージ(Adobe Stock/ponta1414)

 

在宅勤務では、洗濯機や掃除機の作動音、料理の音などが集中力の妨げになってしまう可能性があります。

特に小さなお子さんがいる家庭では、さらに影響を感じてしまうことがあるでしょう。仕事中であっても「遊んで!」と声をかけられたり、兄弟げんかの仲裁に入ったりと、集中は頻繁に中断されます。

仕事を進めたい焦りと、子どもに応えられない罪悪感との間で、精神的に追い詰められてしまう可能性があります。

 

仕事とプライベートの境界線の曖昧化

「通勤」という物理的な移動がなくなることで、仕事とプライベートの境界線は驚くほど曖昧になります。

リビングの片隅にあるパソコンは、たとえ電源がオフになっていても「未完了のタスク」を常に意識させ、心からのリラックスを妨げます。

本来であれば家族とくつろぐべき夜の時間も、ついメールをチェックしてしまったり、仕事の考え事を引きずってしまったりと、「常にオンの状態」が続いてしまいがちです。

この状態が続くと、慢性的な疲労や精神的なストレスにつながり、家庭内の雰囲気にも影響を及ぼしかねません。

 

書類やパソコンなどが散らかりやすい

仕事で使う書類やパソコン、無数のケーブル、文房具などが生活空間に散乱する「物理的な散らかり」は、多くの家庭が直面する問題です。

これらのモノは、単に見た目が悪いだけでなく、私たちの心にも影響を与えます。

整理されていない空間は「精神的な散らかり」を生み出し、家全体を混沌とした印象に変えてしまいます。

探し物が増えて作業効率が落ちるだけでなく、常に片付けなければならないというプレッシャーが、無意識のうちにストレスを増幅させるのです。

 

快適な在宅勤務に必要な間取りの考え方

※写真はイメージ(Adobe Stock/あんみつ姫)

 

夫婦での在宅勤務がもたらす悩みを解決するためには、表面的な問題に対処するだけでなく、その根底にある設計思想を理解することが重要です。ここでは、その基盤となる5つの考え方をご紹介します。

 

原則は「一人一空間」

最も重要な原則は、「一人に一つの専用スペース」を確保することです。これは必ずしも二つの独立した部屋を意味するわけではありませんが、お互いの業務が干渉しないよう、明確に区切られた「領域(ゾーン)」をそれぞれに割り当てることが理想です。

例えば、一人は書斎、もう一人は寝室の一角、といった形でも構いません。

これにより、会議の時間が重なっても、お互いの音を気にすることなく業務に集中できる環境の土台ができます。

物理的な境界線が、心理的な境界線も生み出し、お互いの仕事への尊重につながります。

 

集中できるスペースを確保する

スペースを分けるだけでなく、その「物理的な距離」も重要な要素です。

可能であれば、夫婦のワークスペースを1階と2階に分ける、あるいは同じフロアでも家の両端に配置するなど、距離を最大限に確保することをおすすめします。

距離が離れるほど、話し声やキーボードを叩く音といった直接的な騒音だけでなく、相手の気配そのものが気にならなくなり、深い集中状態に入りやすくなります。

この「距離」は、単なる音の問題だけでなく、お互いが干渉されることなく自分のペースで仕事を進めるための「心理的な余裕」を生み出すのです。

 

明るさや室温などの「作業環境」も考慮

快適なワークスペースは、健康的な環境であってこそ成り立ちます。

厚生労働省も、在宅勤務における作業環境の指針を示しており、家づくりにおいてこれらの基準を意識することは、長期的な健康維持と生産性向上に不可欠です。

項目

推奨される基準

明るさ(机上)

300ルクス以上

室温

18℃~28℃

相対湿度

40%~70%

気積(一人あたり)

10立方メートル以上

これらの数値は、快適なオフィス環境の基準に準ずるものです。

特に、十分な明るさ(照度)は目の疲れを軽減し、適切な温度・湿度は集中力の維持に繋がります。

家を設計する段階で、これらの数値を建築家や工務店と共有し、窓の配置や照明計画、空調設備に反映させることが重要です。

 

参考:厚生労働省|自宅等でテレワークを行う際の作業環境の整備について

 

「音」への配慮

在宅勤務の成功は「音のコントロール」にかかっていると言っても過言ではありません。

特にオンライン会議が多い職種の場合、音の問題は避けて通れません。国土交通省も近年の住宅性能において遮音性を重視しており、これは新しい住まいのスタンダードとなりつつあります。

間取りを考える際には、単に壁で仕切るだけでなく、壁の内部に吸音材や遮音材を入れる、気密性の高い防音ドアを採用するなどの対策がおすすめです。

後から対策するよりも、新築やリフォームの段階で組み込む方が、コストも効果も格段に高くなります。

 

参考:国土交通省|社会環境の変化に対応した 住宅・建築物の性能評価技術の開発

 

「動線」による切り替え

仕事とプライベートの切り替えが難しいという悩みは、「動線」を工夫することで解決できます。

例えば、仕事部屋を出て、必ずリビングを通ってから他の部屋へ行くような動線ではなく、仕事部屋から直接廊下や洗面所へアクセスできるような設計にすると、生活空間との区別がつきやすくなります。

一日の終わりにワークスペースのドアを閉め、特定の廊下を歩くという一連の動作が、通勤の代わりとなり、脳に「仕事モードの終了」を知らせる儀式のようなスイッチあの役割を果たします。

このように、物理的な移動経路をデザインすることで、心理的な切り替えをスムーズに促すことができるのです。

 

【実例紹介】夫婦で在宅勤務しやすい間取りアイデア

※写真はイメージ(Adobe Stock/taa22)

 

基本的な考え方を踏まえた上で、ここでは具体的な間取りのアイデアを6つご紹介します。

完全な個室から、家族とのつながりを大切にする半個室、さらには斬新な「離れ」まで、ライフスタイルや価値観に合わせて選べるさまざまな選択肢があります。

 

書斎を2か所設ける(主寝室横・リビング横など)

夫婦ともに高い集中力が求められる仕事の場合、最も理想的な解決策は、それぞれに独立した書斎(個室)を設けることです。

1階と2階に一つずつ配置し、物理的な距離を最大化する方法がおすすめです。これにより、お互いのオンライン会議が重なっても音声が干渉する心配はほぼなくなり、気兼ねなく業務に没頭できます。

例えば、主寝室の隣に一つ、リビングからアクセスできる位置にもう一つ設けることで、生活リズムに合わせて使い分けることも可能です。

一方は完全にクローズドな集中空間、もう一方は少し気配を感じられる空間にするなど、個性を出すのも良いでしょう。

 

スキップフロア+階段下の集中ワークスペース

限られた面積の中で空間を有効活用し、かつデザイン性も高めたい場合に最適なのが、スキップフロアの活用です。

リビングから数段上がった中2階にワークスペースを設けることで、壁で仕切らずとも視線がずれ、独立した場所が生まれます。家族との一体感を保ちながらも、作業空間としての「こもり感」を確保できます。

さらに、その下に生まれる階段下のスペースは、デスクを造り付ければ、まるで秘密基地のような集中できるワークスペースに早変わりします。

縦の空間を巧みに利用することで、平面的な広さ以上の豊かさと機能性を実現するアイデアです。

 

家族の気配が感じられる半個室型ワークブース

「完全に孤立するのは寂しい」「小さな子どもの様子が気になる」という方には、リビングやダイニングの一角に設ける半個室型のワークブースが人気です。

壁や腰壁で三方を囲い、リビング側はオープンにする、あるいはガラスの間仕切りや本棚で緩やかに区切ることで、集中できる環境と家族とのつながりを両立させます。

このスタイルの利点は、仕事の合間に子どもの勉強を見たり、家事をこなしたりと、複数のタスクを効率的にこなしやすい点です。

キッチン近くに設ければ、料理をしながらメールチェックなども可能になります。

 

書斎と趣味部屋を兼ねるフレキシブル設計

働き方は将来変わる可能性があります。その変化に対応できるよう、ワークスペースを多目的に使えるように設計しておくのは賢い選択です。

例えば、少し広めの3〜4畳の書斎を確保し、壁一面に本棚を造り付ければ、書斎兼ライブラリーとして使えます。

また、可動式の棚やデスクを採用すれば、将来は子どもの勉強部屋や、夫婦の趣味(音楽、模型、手芸など)の部屋としても活用できます。

一つの用途に縛られないフレキシブルな設計は、家の価値を長期的に高めることにもつながります。

 

壁面収納+カウンターで、書類や文具をすっきり収納

生活感を出さずにスマートなワークスペースを実現したいなら、壁面収納とカウンターデスクがおすすめです。

リビングの壁一面に、扉付きの収納とデスクカウンターを作ります。

仕事中は広々としたデスクとして使い、一日の終わりにはパソコンや書類をすべて収納内にしまえば、すっきりとした壁面となり、ワークスペースの存在感を消すことができます。

急な来客時にも慌てる必要がなく、常に美しいリビングを保ちたいミニマリスト志向の夫婦に最適なソリューションです。

 

在宅ワーク専用の小屋(離れ・ガレージワーク)

究極の職住分離を実現するのが、母屋から独立した「離れ」のワークスペースです。

庭の一角に小さな小屋を建てたり、ガレージの一部をリノベーションしたりすることで、完全なプライベートオフィスが手に入ります。

家から出て数歩歩くという「通勤」の行為が、仕事モードへの完璧な切り替えスイッチとなります。

家族の生活音から完全に遮断され、仕事の機密情報が漏れる心配もありません。

仕事が終われば、ドアを閉めて完全にプライベートな時間に戻れます。趣味の空間としても活用でき、最高の贅沢と言えるかもしれません。

 

狭小住宅や限られたスペースで工夫するには?

※写真はイメージ(Adobe Stock/kapinon)

 

「理想はわかるけれど、うちにはそんなスペースはない」と諦める必要はありません。

都心部の住宅やマンションなど、限られた空間でも、創造的なアイデアで快適なワークスペースを生み出すことは可能です。

ここでは、空間を最大限に活用するための4つの工夫をご紹介します。

 

1. 階段下・デッドスペースを有効活用

家の中には、意外と活用されていない「デッドスペース」が眠っています。その代表格が階段下です。

天井が斜めになっている特殊な形状も、カウンターデスクと棚を造り付けることで、体にフィットする「コックピット」のような集中空間に変わります。

また、ウォークインクローゼットやパントリーの奥まった一角も、デスクと椅子を置けば立派なワークスペースになります。

普段は人が立ち入らない場所だからこそ、静かで落ち着いた環境を確保しやすいというメリットがあります。

 

2. リビングの一角を“間仕切り”でワークスペース化

個室を作るほどのスペースがなくても、リビングの一角を「間仕切り」で区切ることで、擬似的なワークスペースを作り出せます。

背の高い本棚や収納家具を置くだけでも、視線が遮られ、空間が緩やかに分割されます。

よりしっかりと区切りたい場合は、天井から床まで届くロールスクリーンやカーテン、あるいはデザイン性の高いパーテーションを設置するのが効果的です。

これらの方法は、大掛かりな工事が不要で、賃貸住宅でも取り入れやすいのが魅力です。必要ないときは開け放てば、リビングを広く使える柔軟性も持ち合わせています。

 

3. 折りたたみ式のデスク&チェアを導入

在宅勤務の頻度が週に1〜2日程度であったり、来客時など時々スペースを空ける必要があったりする場合には、折りたたみ式の家具がおすすめです。

普段は壁際にコンパクトに収納しておき、必要なときだけデスクとチェアを広げて作業スペースを確保します。

仕事が終わればすぐに片付けられるため、ダイニングテーブルなどを一時的に仕事で使っても、生活空間をすぐに取り戻すことができます。

最近ではデザイン性の高い製品も多く、インテリアの雰囲気を損なうことなく導入できます。

 

4. ロフトスペースを活用

ロフトは、生活の中心であるリビングフロアから物理的に「縦に」分離されているため、ワークスペースとして非常に優れたポテンシャルを持っています。

低い天井がもたらす「おこもり感」は、不思議と集中力を高めてくれます。

リビングの喧騒から離れつつも、吹き抜けなどを通じて家族の気配は感じられるという、絶妙な距離感を保つことができます。

空間を立体的に捉え、上層部を活用することで、限られた床面積でも快適なワークスペースを実現することが可能です。

 

在宅勤務スペースを作るときの注意点

※写真はイメージ(Adobe Stock/ELUTAS)

 

在宅勤務スペースを作る際は、現在の働き方だけでなく将来のライフスタイル変化も見据えた計画が不可欠です。

夫婦の勤務形態が変わったり、子どもの成長に伴って部屋の用途が変わる可能性を考慮し、書斎から子ども部屋やゲストルームへの転用が可能なよう、コンセントの位置や収納を汎用性の高い設計にしておくことが重要です。

特に深刻なのが音の問題で、薄い間仕切り壁では夫婦間のオンライン会議の声が筒抜けになり、大きなストレスの原因となります。

建築時に壁内への断熱材や吸音材の充填、防音仕様のドアの採用など、本格的な対策を講じることが円満な家庭環境維持への投資となります。

同時に、Wi-Fiの電波強度や電源の位置も設計段階での慎重な検討が必要です。ルーターから各ワークスペースまでの距離を考慮し、必要に応じて有線LANや中継器の設置場所を計画し、最適な位置に十分な数のコンセントを配置しましょう。

さらに、自然光は生産性向上に効果的ですが、直射日光がモニターに反射すると目の疲労を招きます。

北向きの窓が理想的ですが、南向きや西向きの場合は時間帯による日差しの変化を考慮し、ブラインドや調光機能付きカーテンの設置を必ず計画に含めることで、快適な作業環境を実現できます。

 

まとめ

※写真はイメージ(Adobe Stock/ponta1414)

 

在宅勤務がもたらす夫婦間のストレスや悩みは、決して個人的な問題ではなく、多くの場合「間取り」という住まいの構造が原因になっているケースが多くあります。

そして、それは家づくりやリフォームという大きな機会を通じて、根本から解決することが可能です。

本記事でご紹介したように、快適な在宅勤務環境を実現するためには、単にデスクを置くスペースを確保するだけでは不十分です。

お互いの働き方を尊重し、音や視線、動線を考慮した「距離」と「境界」のデザインが不可欠です。完全個室の書斎を2つ設ける理想形から、限られたスペースを最大限に活用する半個室やデッドスペースの活用まで、解決策は多岐にわたります。

最も大切なのは、家づくりを通じて、お互いの働き方やライフスタイルについてしっかり話し合うことです。

このプロセスを通じて、お互いへの理解が深まり、より良いパートナーシップを築くきっかけにもなるでしょう。

これからの家づくりは、未来のライフスタイルの変化にも柔軟に対応できる「フレキシビリティ」が鍵となります。

本記事で得た知識をもとに、信頼できる建築家や住宅会社の専門家と共に、お二人にとって最高の「働く家」を実現してください。

 

関連記事:リモートワークがはかどる「間取り」事例を紹介!注意点や成功ポイントも解説

 

 

 


【無料&子連れ大歓迎】モデルハウスを見学してみよう

理想のお家づくりが分かる!「モデルハウス自由見学」って?

 

イベント情報