住み替えの方法と費用を徹底解説!スムーズに進めるためのポイント



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「今の家が手狭になった」「老後に向けて住み替えたい」「駅近の便利な場所に引っ越したい」などなど、住み替えを考えるきっかけは人それぞれでしょう。しかし、いざ行動に移そうとすると「売却と購入はどちらを先に?」「費用はどのくらい?」など不安や疑問がつきものです。

今回の記事では、住み替えの流れや3つの進め方、かかる費用の目安、利用できる減税制度などについてご紹介します。住宅ローンが残っている場合の注意点や戸建て・マンション別の最適なタイミングもあわせてお伝えします。

 

住み替えはどんなケースで必要になる?

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住み慣れた家でも、ライフスタイルや環境の変化によって「もっと暮らしやすい家に移りたい」と感じることは珍しくありません。まずは、住み替えが必要になる主な理由と、「買い替え」と「住み替え」の違いについて解説します。

 

住み替えの代表的な理由は?

住み替えを検討する背景には、家族構成やライフステージの変化があります。

たとえば、子どもが成長して部屋数が足りなくなったり、逆に子どもの独立で広すぎる家を持て余したりするケースが多く見られます。また、転勤による勤務地の変更や、駅近・買い物便利な場所への移動を望む人もいるようです。

バリアフリー住宅や平屋など、老後を見据えた住まいへの住み替えを考える世帯も増えています。

このように、生活環境や将来への備えがきっかけになることが多いといわれています。

 

「買い替え」と「住み替え」の違いは?

「買い替え」と「住み替え」は似たような意味で使われることが多いですが、不動産業界では使い分けられることがあります。

一般的に「買い替え」は、現在の住まいを売却し、その資金を元手に新しい住宅を購入することを指します。

一方で「住み替え」は、もっと広い意味を持ちます。具体的には、新築への移転や、賃貸から持ち家への移行、持ち家から賃貸への変更なども含まれます。

つまり、「買い替え」は「住み替え」の一部であり、資金の流れや目的によって呼び方が異なるということです。

 

住み替えの進め方は?3つの方法を比較解説

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住み替えを成功させるカギは、「どの順番で売却・購入を進めるか」にあります。進め方によって必要な資金やスケジュール管理の難易度が大きく変わるため、自分に合った方法を選ぶことが重要です。ここでは主な3つの進め方を比較し、それぞれの特徴をご紹介します。

 

売却してから購入する(売却先行)

売却先行とは、現在の住まいを売ってから、新しい住まいを購入する方法です。

 

メリット

この方法の最大のメリットは、資金計画が立てやすいことです。現在の住まいがいくらで売れるかを確定させてから次の購入に進めるため、予算の見通しが明確になります。特に手持ちの資金が限られている場合や、住宅ローンの借入額を抑えたい場合に有効だといわれています。

 

デメリット

一方で、デメリットは仮住まいが必要になる可能性があることです。売却後すぐに新居が見つからなかった場合、一時的に賃貸住宅や実家などに住む必要があります。引っ越しが二度手間になる点にも注意が必要です。

 

向いている人

売却してから購入する方法は、新居の購入資金を売却代金に充てたい人や、実家に戻れるなど仮住まい先が確保できる人に向いているといわれています。

 

購入してから売却する(購入先行)

購入先行とは、新しい住まいを先に購入し、あとから今の住まいを売却する方法です。

 

メリット

この方法のメリットは、住み替えのタイミングを柔軟にコントロールできることです。新居の完成や引き渡しに合わせて計画的に引っ越しができ、仮住まいを経ずにスムーズな移行が可能です。住環境が変わるストレスを最小限に抑えられる点も利点です。

 

デメリット

デメリットとしては、住宅ローンの二重払いが発生するリスクがあることが挙げられます。今の家のローンが残っている状態で新居のローンを組むと、支払いが重なり、資金繰りが苦しくなることがあります。また、売却に時間がかかるとその期間だけ負担も続くため注意が必要です。

 

向いている人

この方法は、ある程度の資金的な余裕がある人や、住宅ローンの返済がほぼ完了している人に適しているといえるでしょう。

 

売却・購入を同時進行

売却と購入を同時進行で進める方法は、もっとも調整力が求められますが、うまくいけば非常にスムーズな住み替えが可能になります。

 

メリット

この方法では、現在の家の売却と新居の購入を同じタイミングで契約・引き渡しまで進めるため、仮住まいが不要で、引っ越しも1回で済むのが最大のメリットです。

 

デメリット

手続きやスケジュール調整が非常に煩雑になるのが難点といえます。売却と購入のタイミングをきちんと合わせるためには、交渉力のある不動産会社や信頼できる担当者との連携が不可欠です。少しでも予定がずれると、仮住まいや資金繰りが必要になることもあるようです。

 

向いている人

この方法は、柔軟な対応力や段取りに自信がある人や、経験豊富な不動産会社のサポートを受けられる人に向いているでしょう。

 

【住み替え先別】戸建て・マンションのベストなタイミングは?

住み替えをスムーズに進めるには、「いつ動くか」がとても重要です。住み替え先が戸建てかマンションかによっても、最適なタイミングや進め方は異なります。住宅の種類別に詳しく見てみましょう。

 

【戸建てに住み替える場合】ベストなタイミングは?

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広さや間取りの自由度が魅力の戸建て住宅は、ライフステージの変化に合わせた住み替え先として人気です。ただし、新築・中古のいずれを選ぶかで、最適なタイミングや段取りが異なります。

 

新築戸建てを購入予定の人

新築戸建てへの住み替えを考えている場合は、一般的に「購入先行」になるケースが多いようです。建築期間が数か月〜半年以上かかることが多いため、仮住まいのリスクを減らすには、新居の引き渡し時期に合わせて今の住まいの売却スケジュールを調整する必要があります。

特に注文住宅を建てる場合は、設計や建築スケジュールに柔軟性があるため、売却の進捗を見ながら着工時期を調整できるのがメリットです。ただし、契約やローン審査など、並行して行う手続きが増えるため、早めの準備と信頼できるパートナー選びが成功のカギになります。

 

中古戸建てを購入予定の人

中古戸建てを購入する場合は、「売却先行」が無難な進め方といえるでしょう。現在の住まいを先に売却しておくことで、手元に使える資金が明確になり、無理のない購入計画が立てやすくなります。中古の場合は住宅が既に完成しているため、売買のタイミングの調整がしやすいのがメリットです。まずは自宅がどのくらいで売れるのか査定を依頼し、売却価格・住宅ローン残債・諸費用をふまえた資金計画をしっかり立ててから購入に動くといいでしょう。不動産会社と連携しながら段取りを整えることで、予期せぬトラブルを避けやすくなるようです。

 

【マンションに住み替える場合】ベストなタイミングは?

マンションへの住み替えは、立地の良さや管理の手軽さを求める人に人気です。特に老後の暮らしや利便性を重視する層から選ばれています。新築か中古かによって、住み替えの進め方やベストな時期は異なるため、状況に合わせた判断が重要です。

 

新築分譲マンションを購入予定の人

新築分譲マンションは、完成から入居までの期間にある程度の余裕があるため、「売却先行」「購入先行」のどちらでも対応しやすいのが特徴です。購入の契約から入居まで数か月〜1年程度の猶予があるため、その間に現在の住まいの売却活動を行うことが可能です。

また、人気エリアや物件では販売価格の上昇が見込まれるケースもあるため、早めに購入を決めておくことが資産面でもメリットになることがあります。その場合は、売却は入居予定の2〜3か月前を目安に完了できるようスケジュールを調整すると、仮住まいのリスクを減らしながらスムーズに移行できます。

 

中古マンションを購入予定の人

中古マンションは、人気の物件や好立地の部屋は早い者勝ちになることも多く、「タイミング勝負」になりやすいのが特徴です。そのため、希望する物件が見つかったときにすぐ動けるよう、今の住まいの売却の目処が立っている状態で購入に進むのが理想的です。

ただし、売却がまだ完了していない段階で購入を進める場合は、「購入先行」となり、資金面での備えが必要になります。この場合、「つなぎ融資」や「ダブルローン」など、現在の住宅ローンと新居のローンが一時的に重なるリスクがあるため、返済能力や融資条件を事前に確認しておきましょう。

信頼できる金融機関や不動産会社と連携し、ローンの組み方や支払いスケジュールをしっかりシミュレーションしておくことで、無理のない住み替えが実現しやすくなるかもしれません。

 

ベストなタイミングを見極める3つのコツ

住み替えを成功させるには、「なんとなく始める」のではなく、明確な準備と見通しが欠かせません。ここでは、売却と購入のタイミングをうまく見極めるために、押さえておきたい3つのポイントをご紹介します。

 

資金シミュレーションを事前に済ませておく

住み替えをスムーズに進めるには、資金計画を早い段階で具体化しておくことが重要です。まずは現在の住宅ローンの残債がいくらあるかを確認し、それに対してどれくらいで家が売れるかなど売却価格の相場を把握しましょう。そこに加えて、仲介手数料や登記費用、税金、引っ越し費用などの諸費用も忘れずに試算する必要があります。

また、仮住まいが必要になるケースではその家賃や敷金・礼金なども含めて考えることで、より現実的なシミュレーションが可能になります。収支のバランスを明確にしておくことで、無理のないタイミングと方法が自然と見えてくるでしょう。

 

購入・売却ともにスケジュールに余裕を持つ

住み替えは、売却と購入それぞれに時間がかかるため、スケジュールには十分な余裕を持って進めることが大切です。例えば、売却活動を始めてから実際に契約・引き渡しが完了するまでには、一般的に3ヶ月〜6ヶ月程度かかるのが平均的です。物件の立地や状態によっては、さらに時間がかかることもあるようです。

一方、購入のプロセスも短くはなく、物件の契約から引き渡しまでに1ヶ月〜3ヶ月程度を見ておく必要があります。特にローン審査や登記手続きなどが絡むと、スケジュールがタイトになることもあるかもしれません。

住み替えを焦って進めると、資金繰りや仮住まいの確保が間に合わず、結果的に損をしてしまうこともあります。売却・購入ともにスムーズに進めるためには、計画的なスケジューリングが重要なポイントといえるでしょう。

 

信頼できる不動産会社・担当者を選ぶ

住み替えは「家を売る」「家を買う」という2つの大きな取引を同時に進めるため、スムーズな進行には専門的な知識と段取り力が欠かせません。そこで重要になるのが、信頼できる不動産会社や担当者の存在です。

住み替えの成否は、単に物件を紹介するだけでなく、売却と購入のタイミングをどう調整するか、価格交渉をどうまとめるかという「調整力」と「交渉力」に大きく左右されるといわれています。経験豊富な担当者であれば、資金計画やローンの組み方、税制優遇の活用方法までトータルでアドバイスをしてくれるため、安心感が違います。

複数社で査定を取り比較したり、過去の実績や対応の丁寧さを確認したうえで、信頼できるパートナーを見つけることが、納得のいく住み替えへの第一歩になるでしょう。

 

住み替えにかかる費用は?内訳と目安

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住み替えでは、売却と購入の両方に費用が発生するため、事前の資金計画がとても重要です。ここからは、不動産売却時と新居購入時にかかる主な費用とその目安を一覧で詳しく見てみましょう。

 

不動産売却時にかかる費用(目安一覧)

 

項目

内容・概要

費用の目安

仲介手数料

不動産会社への手数料。法定上限あり。

売却価格の3%+6万円+税

印紙代

売買契約書に貼付する印紙税。

数千円〜2万円程度

抵当権抹消費用

ローン完済後に抵当権を抹消するための手続き費用。

約1万円〜2万円(登記費用含む)

譲渡所得税

売却益が出た場合に課される税金(所得税・住民税・復興特別所得税含む)。

利益額により異なる

ローン一括返済手数料

売却に伴いローンを完済する際、金融機関に支払う手数料。

数千円〜数万円



新居購入にかかる費用(目安一覧)

 

項目

内容・概要

費用の目安

仲介手数料

不動産会社への手数料(新築で販売会社直販の場合など不要なケースもある)。

購入価格の3%+6万円+税

印紙税

売買契約書に貼付する印紙税。

数千円〜2万円程度

頭金

住宅ローン借入額を減らすための自己資金。

購入価格の1割〜2割が一般的

住宅ローン事務手数料

金融機関に支払う融資手続きの手数料。

数万円〜数十万円

登記費用

所有権移転登記・抵当権設定登記などの費用。

約20万円〜30万円前後

保険料

火災保険・地震保険などの加入費用。

数万円〜20万円程度(期間・補償内容による)

各種税金

固定資産税、不動産取得税、登録免許税など。

数万円〜数十万円(条件により軽減あり)

リフォーム費用

中古住宅購入時などに発生する改修費。

数十万円〜数百万円(規模により差がある)

引っ越し費用

引っ越し業者への支払い。荷物量や距離、時期などにより変動。

数万〜数十万円程度

家具家電購入費

新居用に買い替える家具や家電の費用。

数万円〜数十万円

 

上記の一覧表の費用はあくまで目安ですが、売却・購入を合わせると数百万円単位の出費になることもあります。自分に必要な項目を整理し、事前にしっかりと資金準備をしておくことが住み替え成功の第一歩です。

 

住み替えで利用できる減税措置

※写真はイメージ(Adobe Stock/78art)

 

住み替えをする際には、税金の優遇制度を上手に活用することで、大きな節税効果が期待できます。主な制度をそれぞれ詳しく見てみましょう。

 

自宅を売却する際に使える「3,000万円特別控除」

正式には「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」という制度です。マイホームを売却して譲渡益が出た場合でも、一定の要件を満たせば、そのうち最大3,000万円までの所得が非課税になります。売却益に対する税負担を大幅に軽減できるため、住み替え時に非常に有効な控除です。

 

主な要件

「3,000万円特別控除」を受けるためには、いくつかの要件を満たす必要があります。具体的には、売却する不動産が現に所有者本人が住んでいる家屋であること、売却時期が転居後3年以内であること、買主が親族ではないことなどが挙げられます。細かな要件があるため、事前に国税庁のホームページなどで確認しておくと安心です。

 

ポイント

「3,000万円特別控除」は非常にメリットの大きい制度ですが、ほかの特例制度と併用することができない点に注意が必要です。

例えば、10年以上所有した住宅の「長期譲渡所得の軽減税率特例」や、譲渡損失に対する「住み替え特例」などとの併用はできません。どの制度を使うかは譲渡益・譲渡損の状況により有利・不利が異なるため、税理士や不動産会社の担当者などと相談して慎重に判断した方がいいでしょう。

 

出典:「No.3302 マイホームを売ったときの特例」/国税庁

 

買い換え特例

「特定のマイホームを買い換えたときの特例(譲渡損失の繰越控除)」は、住み替えによってマイホームを売却し、その際に損失が出た場合でも、税負担を軽減できる制度をいいます。住宅ローン残債がある方にとっては、大きな節税効果が期待できる重要な制度といえるでしょう。

買い換え特例は、マイホームを売却して譲渡損失(売却価格より住宅ローンの残債のほうが多い状態)が出たときに、その損失額を給与所得や事業所得など他の所得と相殺(損益通算)したり、翌年以降に最大3年間繰り越して控除できるというものです。新たにマイホームを購入する場合に活用できます。

 

主な要件

買い換え特例の適用を受けるためには、主に以下のような要件を満たす必要があります。

 

  • 令和7年12月31日までに売却すること
  • 売却する住宅は現に所有者が住んでいる家屋であること
  • 親子や夫婦など「特別の関係がある人」に対して売ったものでないこと
  • 売却代金が1億円以下であること
  • 売却した都市の前年から翌年までの3年の間に買い換えること

 

要件の詳細は国税庁のホームページなどで最新のものを確認しておきましょう。また、買い換え後の住宅についても居住用である必要があり、登記上の名義や借入条件などにも一定の制約があるため注意が必要です。

 

ポイント

譲渡益が3,000万円を超える場合や、買い換え後の物件を将来的に売却しない予定のある方にとって、買い換え特例は有利といえるでしょう。譲渡益が3,000万円以下の場合は「3,000万円特別控除」の方が節税効果が高いようです。買い換え特例と3,000万円特別控除は併用ができないため、状況に応じてどちらを使うか慎重に判断しましょう。

 

出典:「No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例」

 

譲渡損失が出た場合の特例(譲渡損失の損益通算・繰越控除)

「譲渡損失が出た場合の特例」はマイホームの住み替えに伴い、売却によって住宅ローン残債を下回る価格で譲渡損失が出た場合に、税負担を軽減できる制度です。具体的には、その損失額を給与所得や事業所得など他の所得と相殺(損益通算)したり、最大3年間にわたって繰り越して控除することが可能です。特に住宅ローン残債が多く、損失が大きくなりやすいケースでは、所得税・住民税の節税効果が期待できるでしょう。

 

主な要件

譲渡損失が出た場合の特例の適用を受けるためには、主に以下のような要件を満たす必要があります。

 

【譲渡する住宅】

  • 現に所有者本人が住んでいる家屋であること
  • 所有期間が譲渡した年の1月1日現在で5年以上であること

 

【買い換える住宅】

  • 譲渡した年の前年1月1日から翌年12月31日までに、日本国内で床面積50㎡以上の住宅を取得すること
  • 新居宅を取得した年の翌年12月31日までに本人が居住することまたはその見込みであること
  • 新居宅の取得時に、償還期間10年以上の住宅ローンを有していること

 

上記の要件の他にも、売主と買主は親族ではないことなども必要とされています。要件の詳細は国税庁のホームページなどで最新のものを確認しておきましょう。

 

ポイント

この特例は、住宅ローン残高が多く、売却損が大きくなるケースに特に有効です。不動産価格が下落している地域での住み替えや、築年数の経った住宅を売却する場合は、制度活用で大きな節税につながる可能性があります。

制度の適用にあたっては、売却・買換えのタイミングやローン契約条件など、細かな要件を満たす必要があります。

確定申告が必要であり、繰越控除を継続する場合は毎年申告が必要です。制度適用の可否や控除額については、事前に税理士など専門家への相談やシミュレーションを行うと安心です。

なお、譲渡損失が出た場合の特例は「住宅ローン控除」と併用できないため、どちらの適用が有利か事前の比較検討が重要です。

 

出典:「No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)」

 

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)

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住み替え後に住宅ローンを利用して新居を購入した場合に活用できる代表的な節税制度が「住宅ローン控除」です。年末時点の住宅ローン残高の0.7%を、最大13年間にわたり所得税・住民税から控除できるもので、一定の条件を満たすことで毎年の家計負担を大きく軽減できます。

特に、認定住宅や省エネ基準適合住宅などの省エネ性能の高い住宅を取得した場合は、控除期間や借入限度額で優遇措置が受けられるのも特徴です。住み替え後の節税対策として、事前に条件をよく確認しておくと安心でしょう。

 

主な要件

  • 住宅の床面積が50㎡以上(省エネ基準適合住宅は40㎡以上)であること
  • 年収が2,000万円以下であること
  • 償還期間10年以上の住宅ローンを組んでいること
  • 取得後6か月以内に入居し、その年の12月31日まで住み続けていること
  • 中古住宅の場合、築年数や耐震基準を満たすこと
  • 初年度は確定申告が必要

 

要件の詳細は、国土交通省のホームページなどを確認しておくといいでしょう。

 

ポイント

住宅ローン控除は、住み替えにともない新居を購入する際の強力な節税策です。特に初期のローン残高が多い時期には控除額も大きく、毎年の税負担軽減につながります。省エネ住宅であれば控除対象期間が13年間に延長されるなど優遇措置も。取得前に要件をしっかり確認し、長期的な家計計画に役立てましょう。

 

出典:「住宅ローン減税」/国土交通省

 

不動産取得税の軽減措置

新居購入時にかかる不動産取得税は、一定の条件を満たす住宅であれば大幅に軽減されます。適用対象は新築住宅だけでなく中古住宅も含まれ、床面積や築年数などの条件があります。これにより、購入時の税負担を軽くできるため、住み替えの費用計画において重要なポイントとなります。

 

ポイント

新築住宅の場合、床面積が50㎡以上で一定の耐震基準を満たしていれば、課税標準額から1200万円が控除され、不動産取得税が大幅に軽減されます。

一方、中古住宅では木造であれば築20年以内、鉄筋コンクリート造であれば築25年以内であること、耐震基準適合証明書の取得が必要などの要件があります。所定の要件を満たせば新築と同様の軽減措置を受けられるケースがあります。

また、この軽減措置を受けるには市区町村への申告が必要で、申請期限を過ぎると適用が受けられないため注意が必要です。不動産取得税の軽減は住み替えにかかる費用負担の軽減に直結するため、事前に制度内容を把握し、申請のタイミングを含めてスケジュールをしっかり調整することが重要といえるでしょう。

 

出典:「不動産取得税に係る特例措置」/国土交通省

 

登録免許税・固定資産税の軽減措置

住み替えで新居を取得する際、登録免許税や固定資産税にも軽減措置があります。登録免許税については、所有権移転登記や住宅ローンの設定登記などにかかる税率が一定の条件下で軽減されます。例えば、新築住宅や認定長期優良住宅などの場合、通常より低い税率が適用されるケースがあります。

新築住宅に関しては、固定資産税が建物部分について一定期間(一般的には3年間、3階建て以上の耐火住宅は5年間)半額となる優遇措置もあります。この軽減措置は、床面積が50㎡以上280㎡以下であることなど、いくつかの条件を満たす必要があります。

いずれも自動的に適用されるものではなく、場合によっては申請や必要書類の提出が求められるため、早めの確認と準備が重要です。

 

ポイント・注意点

【自動適用ではない】

軽減措置の多くは自動的に適用されるわけではなく、申請書の提出や登記事項証明書・住宅証明書などの書類の添付が必要です。

 

【申請期限に注意】

各制度には申請期限が定められており、過ぎてしまうと軽減が受けられない場合があります。取得後速やかに申請を進めましょう。

 

【対象となる住宅に条件あり】

床面積、耐火性能、中古の場合は築年数など、軽減措置の対象となるための住宅条件があります。事前に要件を確認しておくことが大切です。

 

【制度内容は変更される可能性も】

登録免許税や固定資産税の軽減措置は、年度によって内容が変更されることがあります。最新情報は国税庁・国土交通省・地方自治体のホームページなどで確認しましょう。

 

出典:「土地の売買や住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ」

出典:「新築住宅に係る税額の減額措置」

 

住宅ローンが残っている場合の住み替えは可能?

※写真はイメージ(Adobe Stock/aijiro)

 

住宅ローンが残っている状態でも住み替えは可能です。

ただし、いくつかの条件をクリアする必要があります。例えば、現在の家を売却する際にはローン残債を完済し、抵当権を抹消しなければなりません。売却額でローンを完済できない場合は、不足分を自己資金で補うか、住み替えローンなどを利用する必要があります。

また、新居の購入を先に行う「買い先行」の場合は、既存のローンと新たなローンの返済が重なることがあるため、資金計画が重要です。そうしたケースでは、「つなぎ融資」や「ダブルローン」、あるいは旧居のローンを新居にまとめる「住み替えローン」といった選択肢が検討されます。これらの制度にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、資金状況やタイミングに応じて最適な方法を選ぶことが大切です。

最適な方法がわからないという場合には、金融機関やファイナンシャルプランナーに相談したという方もいるようです。

 

住み替えのよくある質問(Q&A)

住み替えにあたって、手順や費用、期間など分からないことが多いものです。実際によく聞かれる疑問をQ&A形式でわかりやすく解説します。

 

Q. 住み替えの手順は?

  1. 一般的には「売却してから購入する(売却先行)」「購入してから売却する(購入先行)」「売却・購入を同時進行する」という3つのパターンがあります。売却先行は手元資金が明確になり資金計画が立てやすい一方、新居探しの期間が限られる場合があります。購入先行はじっくり理想の物件を探せますが、売却が遅れると一時的に二重ローンや維持費の負担が発生する可能性があるようです。同時進行は仮住まいが不要でスムーズに移行できますが、売却・購入双方のスケジュール調整が必要です。



Q. 売却時にしてはいけないことは?

※写真はイメージ(Adobe Stock/78art)

 

  1. 大きな修繕やリフォームを売却前に行うことは、費用に見合った売却価格の上昇が見込めない場合があるため注意が必要です。また、査定価格を大きく上回る価格で売り出すと、売れ残る原因になることもあるようです。

 

Q. 住み替えにかかる期間は?

  1. 住み替え全体にはおおよそ3〜6カ月程度かかるのが一般的といわれています。売却活動に1〜3カ月、契約や引き渡しにさらに1〜2カ月、購入側の手続きも同時進行で行う必要があるため、余裕を持ったスケジュールで進めることが重要です。

 

Q. 家を売却するといつお金が入る?

  1. 売買契約の締結時に一部(手付金)が支払われ、残金は引き渡しのタイミングで支払われます。実際にまとまった資金が手元に入るのは、引き渡し時(契約から1〜2カ月後)が一般的のようです。

 

Q. 売れなかったお家はどうなる?

  1. 価格の見直しや販売方法の再検討を行うほか、賃貸として活用する、買取業者に依頼するなどの選択肢もあります。売却期間に期限がある場合は、早めに次の策を検討しておくと安心といえるでしょう。

 

【まとめ】住み替えは“正しい知識と準備”が成功のカギ

※写真はイメージ(Adobe Stock/pain au chocolat)

 

住み替えは、人生のなかでも大きなライフイベントのひとつです。成功させるためには、売却と購入それぞれの流れやタイミングをしっかり理解し、資金計画・税制優遇の制度・住宅ローンの仕組みなどを正しく押さえておくことが重要です。

 

特に、住宅ローンが残っている場合の対応や、税金・諸費用の軽減措置、住み替えローンやつなぎ融資といった制度の活用など、準備次第で負担やリスクを大きく減らすことができます。また、信頼できる不動産会社や担当者を選ぶことで、スムーズかつ納得のいく住み替えが実現しやすくなるでしょう。

正しい知識をもって備えることで、次の暮らしへの一歩を安心して踏み出せるといいですね。



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