家を買うと固定資産税はいくら?購入前に知っておきたい基本と節税ポイント

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住宅購入を検討している方の多くが、購入後に「どれくらい維持費がかかるのか」不安を感じているようです。なかでも固定資産税は毎年かかるため、将来の家計にどう影響するのか気になるところでしょう。

今回の記事では、はじめてのマイホーム購入前に知っておきたい固定資産税の基礎知識から、計算方法、新築住宅に適用される軽減措置や節税のポイントなどについてご紹介します。家づくりにかかるトータルコストをしっかり把握して、安心して理想の住まいづくりを進めましょう。

 

そもそも固定資産税とは?

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家を購入したあとに毎年かかる「固定資産税」は、マイホームを所有する限り避けて通れない費用です。仕組みや支払いスケジュールをきちんと理解しておくことで、家計の見通しも立てやすくなります。

 

固定資産税とは?

固定資産税とは、土地や建物といった「固定資産」を所有している人に対して、毎年課される地方税のことをいいます。市区町村が課税し、その税収は道路や学校、公園など地域の公共サービスの維持・運営に使われています。

マイホームを購入すると、たとえローンが残っていても所有者として課税対象となるため、購入前にしっかり把握しておくことが大切です。

 

固定資産税の支払い方法とタイミング

固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に対して課税されます。

納付書はおおむね4月〜6月ごろに自治体から送付され、支払いは年4回(6月・9月・12月・翌年2月)に分けて行うのが一般的です。

一括での納付も可能ですが、分割納付にすることで家計の負担を調整しやすくなります。納付方法は、金融機関・コンビニ・口座振替・オンライン決済などから選べる自治体も増えているようです。

 

固定資産税はいくらかかる?計算方法を解説

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「毎年どれくらいの固定資産税を支払うことになるのか」は、固定資産税の不安の中でも特に気になる方が多いようです。実際の計算方法や評価額の確認方法について、具体例を交えて詳しく確認してみましょう。

 

固定資産税評価額(課税標準額)とは?

「固定資産税評価額(課税標準額)」とは、市区町村が独自に算定する、土地や建物の価値をもとに決められた金額です。

実際の購入価格(市場価格)とは異なり、一般的に6〜7割程度の水準になることが多いとされているようです。

固定資産税評価額(課税標準額)は、毎年自治体から送付される「固定資産税納税通知書」に記載されています。新築の場合は初年度に家屋調査が行われ、その結果をもとに評価額が決定されます。

 

固定資産税の計算方法

固定資産税は、「固定資産税評価額 × 1.4%(標準税率)」で計算されます。評価額は土地・建物ごとに決められ、原則として3年ごとに見直されます。

 

具体的な計算例

土地と建物の固定資産税評価額の合計が4,000万円の場合、計算式は以下のようになります。

4,000万円 × 1.4%(0.014)= 56万円/年

 

実際の税額は地域によって多少異なりますが、「評価額×1.4%」が基本の目安として把握しておくとよいでしょう。

なお、新築住宅などには軽減措置が適用されるケースもあるため、初年度から満額になるとは限りません。




新築住宅に適用される固定資産税の軽減措置とは?

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新築住宅には、一定の条件を満たすことで固定資産税が数年間「半額」になる軽減措置があります。この制度を活用することで、購入後の税負担を大きく抑えることができます。制度の内容をご紹介します。

 

新築住宅なら固定資産税が減額に!

新築住宅には、建物部分の固定資産税が最大で半額になる軽減措置が設けられています。軽減期間は、戸建て住宅の場合で3年間、マンションなどの共同住宅では5年間が一般的です。いずれも長期優良住宅でない通常の新築住宅が対象です。

なお、この軽減措置は土地部分には適用されませんが、建物の評価額が高い場合は、適用されることで数十万円単位の節税になることもあります。ただし、この軽減措置は自動的に適用されるわけではないため、条件や申請手続きについて事前にしっかり確認しておくことが大切です。

 

適用される条件は?

新築住宅の軽減措置が適用されるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。主な要件として面積と用途の2つがあります。

床面積は、戸建て・マンションともに、50㎡以上280㎡以下の住宅であること(※賃貸住宅は1戸あたり40㎡以上)が必要です。

用途としては、居住用として使われていることが条件で、事業用や空き家は対象外です。

この2つの基準を満たしていれば、固定資産税の軽減措置の対象となります。

 

申請方法・必要書類は?

軽減措置を受けるためには、新築後の一定期間内に申請が必要です。申請先は所在地の市区町村役所で、主な提出書類は以下の通りです。

 

主な提出書類

  • 固定資産税の軽減申告書(自治体ごとの様式あり)
  • 建築確認済証の写し
  • 登記事項証明書
  • 建物の平面図               など

 

提出期限は自治体によって異なりますが、新築後1年以内のケースが多いようです。期限を過ぎると軽減措置を受けられないため、忘れずに手続きしましょう。

 

長期優良住宅だと減額期間が長くなる

新築住宅の中でも「長期優良住宅」と認定された建物は、より長く軽減措置が適用されます。戸建て住宅の場合は5年間、マンション(共同住宅)の場合は7年間適用されます。

長期優良住宅とは、耐震性・省エネ性・劣化対策などに優れた、長く安心して住める住宅として国が定めた基準をクリアした住宅です。

認定を受けるためには申請と審査が必要ですが、固定資産税だけでなく、住宅ローン減税や登録免許税の軽減他の優遇措置も受けられるメリットがあります。

 

出典:「新築住宅に係る税額の減額措置」/国土交通省

 

土地や中古住宅にも軽減措置はある?

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新築住宅だけでなく、土地や中古住宅にも一定の軽減措置が設けられています。対象や内容には制限がありますが、条件を満たせば固定資産税や関連する税負担を抑えることができます。活用できる制度があるかどうか確認してみましょう。

 

土地に関する軽減措置

住宅が建っている土地には、「小規模住宅用地の特例」という軽減措置があります。これは、住宅1戸につき200㎡以下の部分について、固定資産税の課税標準額を6分の1に軽減する制度です。

例えば、戸建て住宅やマンション用地の敷地が200㎡以内であれば、その部分に対する税負担は大幅に抑えられます。

200㎡を超える部分についても、「一般住宅用地」として3分の1に軽減されるため、土地の広さに応じた優遇が受けられる仕組みです。これらの特例は自動的に適用されるケースが多いですが、登記や申告の状況により異なるため、念のため自治体へ確認しておいた方がいいでしょう。

 

出典:「土地の保有に係る税制」/国土交通省

 

中古住宅の軽減措置

一般的に、中古住宅については固定資産税の軽減措置はありませんが、購入時に発生する不動産取得税の軽減措置は用意されています。

例えば、築年数が一定以下であることや、床面積などの条件を満たす場合、課税対象額の控除や非課税措置を受けられることがあります。

また、固定資産税についても、一定のリフォームを実施することで軽減対象となるケースがあります。例えば、バリアフリー改修や耐震改修、省エネリフォームなど、国や自治体が定める要件を満たした場合に、税の軽減措置が適用されることがあるようです。

詳しい要件や対象工事については、国土交通省のホームページなどで確認してみましょう。

 

出典:「リフォーム促進税制(所得税・固定資産税)について」/国土交通省

 

固定資産税を安く抑えるために知っておきたいこと

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固定資産税は一律ではなく、建物の構造や維持管理の状況などによって金額が変動します。適切な知識を持っておくことで、将来的な税負担を抑える工夫ができるかもしれません。

固定資産税の金額は、建物の構造や仕様、延べ床面積などによって決まる評価額をもとに算出されます。高級な内装や広い面積の住宅ほど評価額が高くなる傾向にあるため、家づくりの段階から意識しておくとよいでしょう。

評価額に疑問がある場合は、まず納税通知書や評価明細書の内容をよく確認してみましょう。評価額に納得できない場合、「不服申し立て」や「評価替え」といった手続きを通じて見直しを求めることも可能です。

建物は年数とともに価値が下がっていくため、定期的なメンテナンスや自然な劣化によって評価額が見直されることもあります。こうした評価額の変動は、長期的な固定資産税の見通しに関わるため、住宅の維持管理も節税に繋がる重要な要素といえるでしょう。

 

固定資産税を見越した家づくりのポイント

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家づくりでは間取りやデザインだけでなく、将来かかる固定資産税も考慮した計画が大切です。税負担を無理なく抑える工夫をしておくことで、住み始めてからの家計にも安心感が生まれるでしょう。

例えば、評価額が高くなりやすい仕様や設備としては、高級な内外装材や広いバルコニー、ビルトインガレージ、大型の浴室・キッチン設備などがあります。見た目や快適さを重視するのはもちろんですが、必要以上に豪華にしすぎると税額が上がる可能性があるため注意が必要です。

また、土地の広さも税負担に大きく関わってきます。広い土地は魅力ですが、その分評価額も高くなりやすく、固定資産税も上がります。用途やライフスタイルに合った広さと税負担のバランスを意識することが重要です。

そのほかにも将来的な維持費も踏まえて計画することが大切です。家は建てて終わりではなく、長く住み続けるものです。税金だけでなく、修繕や光熱費などのランニングコストも含めて総合的に判断し、家計に無理のない家づくりを目指しましょう。

 

固定資産税のよくある質問(Q&A)

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固定資産税は家を所有する限り付き合っていくものだからこそ、事前に気になる疑問は解消しておきたいところです。ここからは、住宅購入前後によくある固定資産税に関する質問をQ&A形式でご紹介します。

 

Q. 年間でどのくらいの額を想定しておくべき?

A.

物件の評価額によりますが、一般的な戸建てで年間10万円〜20万円程度が目安とされています。ただし、都市部や建物の仕様が高い場合は、それ以上になるケースもあります。軽減措置がある期間は負担が軽くなりますが、将来的には本来の税額になるため、長期的な視点で見積もっておくことが大切です。

 

Q. 固定資産税は分割支払いできる?

A.

はい、通常は年4回(6月・9月・12月・翌年2月)に分けて納付することが可能です。一括納付も選べますが、分割を選べば家計の管理もしやすくなります。口座振替やスマホ決済など、支払い方法も自治体によってさまざまな方法があるようです。

 

Q. 二世帯住宅でも軽減措置は適用される?

A.

二世帯住宅も、住宅要件や床面積の条件を満たしていれば軽減措置の対象になります。

ただし、「完全分離型」か「一部共有型」かによって扱いが異なる場合もあるため、事前に市区町村に確認しておいた方がいいでしょう。

 

Q. 中古住宅の場合、誰が支払う?

A.

中古住宅の固定資産税は、毎年1月1日時点での所有者がその年の税金を支払う仕組みです。

そのため、売買時期によっては売主・買主の間で日割り精算を行うのが一般的です。契約書に明記されていることが多いため、確認しておきましょう。

 

Q. 将来的に値上がり・値下がりすることはある?

A.

あります。固定資産税の評価額は、土地・建物の状況や周辺の地価動向により3年ごとに見直される「評価替え」が行われます。

また、建物の老朽化によって評価額が下がることもあれば、リフォームや都市開発などによって評価額が上がることもあります。

 

【まとめ】家を買う前に知っておきたい「固定資産税」のリアル

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今回の記事では、はじめてのマイホーム購入前に知っておきたい固定資産税の基礎知識から、計算方法、新築住宅に適用される軽減措置や節税のポイントなどについてご紹介しました。

固定資産税は家を持ち続ける限り毎年発生する費用であり、購入後の家計に大きく関わる大切な支出です。評価額や軽減措置の内容を正しく理解しておくことで、必要以上の税負担を避け、安心して住まいづくりを進めることができるでしょう。

これから家を購入する方は、目先の価格や間取りだけでなく、維持費も見据えた長い目で見た資金計画を立てることが成功のカギになります。

不安な点は、早めに専門家や自治体に相談しながら進めていくといいかもしれません。



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