寝室の遮音対策のポイントは?家づくりでできる工夫




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「家族の話し声や足音で目が覚めてしまう」「隣の部屋の音が気になって眠れない」などのお悩みを抱えていませんか?特に、二世帯住宅や子育て世帯、共働き家庭では、生活リズムの違いによって寝室の遮音性が重要になります。快適な睡眠環境をつくるには、設計段階から遮音性を意識することがポイントです。

今回の記事では、寝室に響く騒音の種類から、効果的な間取り・素材・今すぐできる対策などについてご紹介します。注文住宅・リフォーム・マンション購入を検討中の方にも役立つ内容です。

 

寝室に入る騒音の種類

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生活音は、静かなはずの寝室にいつの間にか響いてきます。生活音は「音の伝わり方」によって分類でき、対策方法も異なります。まずは音の種類と、それぞれに効果的な対策の方向性について詳しく見てみましょう。

 

空気伝播音

空気を通じて伝わる音で、もっともよく聞こえるのが「話し声」や「テレビの音」といわれています。壁や天井の隙間、ドアや窓を通じて寝室に入り込みやすく、防音性の低い住宅では特に気になることが多いでしょう。遮音性の高い建材の使用や、すき間対策によって軽減することができます。

 

固体伝播音

固体伝播音は「足音」「物を落とす音」「洗濯機の振動」など、床や壁などの構造体を通して響く音をいいます。特に上下階や隣接する部屋からの音が伝わりやすく、集合住宅や二世帯住宅では大きなストレスの原因になってしまうことがあるでしょう。振動を吸収する防振材や、床材選びがポイントになります。

 

吸音・遮音・防振の違いと役割

音対策には、「吸音」「遮音」「防振」という3つの異なるアプローチがあります。それぞれの役割を理解し、目的に応じて使い分けることが重要です。

 

吸音

吸音は、室内の音の響きや反射を抑えるための方法で、代表的なものとして、吸音パネルやカーテン、ラグなどが挙げられます。

 

遮音

遮音は、外部からの音の侵入や内部からの音漏れを防ぐ目的で行われ、遮音シートや防音ドアなどがよく使われます。

 

防振

防振は、床や壁を伝って響く振動音を抑えるための手法で、防振ゴムや防音マットなどの素材が効果的といわれています。

 

これら3つを適切に組み合わせることで、より高い遮音効果が得られ、快適な寝室環境を実現することができるでしょう。

 

遮音性の高い寝室にするためには?

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遮音性の高い寝室をつくるには、素材選びだけでなく「どこに寝室を配置するか」も重要なポイントです。設計段階での工夫や、住まいの構造に応じた配慮で、日常の騒音ストレスを大きく減らすことができるでしょう。

 

寝室内の配置

寝室を家の中でも「音が伝わりやすい場所」から遠ざけるだけでも、遮音効果は大きく変わります。例えば、子ども部屋やリビングの隣ではなく、静かな空間に隣接させる、あるいは廊下や収納スペースを挟むなどの工夫が有効です。生活音の出やすいキッチン・洗面所などの近くを避けるだけでも、静けさが保たれやすくなるでしょう。

 

音の伝わりにくい間取り配置

間取りの工夫も、遮音性を高めるために欠かせません。例えば、壁一枚で寝室と騒音源を隔てるのではなく、ウォークインクローゼットや納戸などの収納スペースを間に挟むことで、音の伝達を和らげることができるようです。

また、家族の生活時間帯が異なる場合は、寝室と共有スペースをなるべく離して設計するのが理想といえるでしょう。

 

二重窓・高断熱サッシで外部音をカット

外からの騒音対策には、窓の性能が大きく関わってきます。特に道路に面した寝室や都市部の住宅では、防音性の高い「二重窓」や「高断熱サッシ」の導入がおすすめです。ガラスの厚みや構造により、車の走行音や通行人の声などを効果的に遮断でき、室内の静けさを保つことができるでしょう。

 

ドアの素材と隙間対策

寝室のドアも、遮音性に大きな影響を与えます。一般的な中空ドアでは音が通りやすいため、防音性に優れた「防音ドア」や「ソリッドタイプ(中が詰まっている)ドア」にするのが理想といえます。

また、音はドアのすき間からも漏れやすいため、下部に「ドア下隙間テープ」や「ドアシール」を取り付けるだけでも、音漏れ・音の侵入の軽減につながるでしょう。ソフトクローズ機能のあるドアにすれば、開閉時の音対策にも効果的です。

 

寝室の遮音性を高める建材・内装材の選び方

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遮音性を高めた寝室にするには、音を「通さない」「響かせない」ための素材選びがとても重要です。壁・床・天井・インテリアそれぞれに適した建材を取り入れることで、より静かで快適な空間を実現できます。ここからは、建材や内装材の選び方について詳しく見てみましょう。

 

吸音・遮音性の高い壁材

壁材は、遮音・吸音の両方を意識して選ぶことが大切です。例えば、石膏ボードの二重張りや遮音シートを挟み込んだ構造にすることで、音の伝わりを大きく軽減できるようです。

また、内装仕上げに吸音パネルやフェルト素材の壁紙を取り入れることで、室内の音の反響も抑えられます。隣室との壁には特に遮音性の高い仕様を選びましょう。

 

床材の選定

床は足音や物音などの固体伝播音が伝わりやすい場所です。寝室におすすめなのは、遮音性能を備えたフローリング材(L-45等級など)やカーペット敷きです。クッション性のあるコルクタイルや防音マットを下地に取り入れることで、階下や隣室への音の伝達も抑えられるでしょう。特にマンションでは、管理規約に適合した遮音等級の素材を選ぶことが重要なポイントです。

 

天井材の吸音処理

天井から伝わる音も意外と多く、上下階のある住宅では見落とせないポイントです。吸音性に優れている、グラスウール入りの化粧吸音板などの天井材を使うと、上階からの足音や生活音を軽減できるでしょう。

また、天井裏に吸音材や遮音シートを施工することで、さらに高い効果が得られます。特に2階に寝室がある場合、1階からの生活音対策としても効果的といわれています。

 

防音カーテン・インテリアファブリックの活用

窓や壁面に使う布製品にも、防音効果をもたせることができます。厚手の防音カーテンは、外部からの騒音や光を遮るのに効果的です。

また、遮光カーテンと防音カーテンの二重使いにすることで、遮音性をさらに高めることができます。加えて、壁面にファブリックパネルを飾ったり、厚手のラグやクッションを取り入れることで、室内の音の反響も抑えられ、より落ち着いた空間に仕上がるでしょう。

 

今すぐできる寝室の遮音対策

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設計や建材にこだわらなくても、ちょっとした工夫で寝室の遮音性を高めることもできます。すぐに取り入れられる手軽な対策を知って、日々の生活音ストレスを軽減しましょう。

 

家具の配置を変える

家具の配置を見直すだけでも、防音効果を高めることができます。例えば、ベッドの背面に本棚やクローゼットを配置することで「音の壁」をつくり、隣室からの音の侵入を軽減できます。また、壁沿いに収納家具やソファなどを置くことで、壁を通じた音の伝達を和らげる効果も期待できるでしょう。

 

防音カーテンや厚手カーテンの設置

窓から入る外部の騒音には、防音カーテンや厚手の遮光カーテンの使用が効果的といわれています。車の走行音や通行人の話し声を軽減し、落ち着いた睡眠環境を整えてくれます。遮光カーテンと防音カーテンを重ねて使用することで、遮音と遮光のダブル効果が得られるのもポイントです。

 

ドア・窓のすき間対策

音はわずかなすき間からでも漏れたり入ってきてしまいます。ドアの下部や窓のすき間に「すきまテープ」を貼ることで、音の出入りを抑えられます。特にドアの下には「ドア下防音テープ」や「ドラフトストッパー」を使うと、手軽に音漏れを防止できるでしょう。

 

吸音効果のあるラグやマットを敷く

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フローリングのままだと、足音が響いたり音が反射しやすくなってしまいます。吸音効果のある厚手のラグやマットを敷くことで、衝撃音を吸収しつつ、室内の音の響きも抑えることが可能です。防音性と同時に、足元の冷え対策にもなり一石二鳥です。

 

壁に貼る吸音パネルやウレタンシート

DIY感覚で取り入れられる防音アイテムとして人気なのが、吸音パネルやウレタンシートです。壁に貼るだけで音の反響を抑え、隣室への音漏れも軽減できるようです。アートパネル風のデザインを選べば、インテリアの雰囲気を損なうことなく遮音対策ができるでしょう。

 

防音パーテーションの活用

音の気になる方向に防音パーテーションを設置するだけでも、遮音効果が得られるでしょう。特に、家族の生活スペースと寝室が近い場合には、空間を仕切ることで音の直進を防ぎ、静けさを保つのに役立ちます。移動が簡単なので、必要に応じて設置場所を変えられるのもメリットといえます。

 

遮音性の高い寝室づくりでよくあるQ&A

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遮音対策を考えるうえで、「本当に効果があるの?」「どこまでできるの?」といった疑問を持つ方は少なくないようです。寝室の遮音性を高める際によく寄せられる質問に、分かりやすくお答えします。

 

Q:遮音(防音)シートは効果ある?

A:はい、設置場所や使い方によっては非常に効果があります。

遮音シートは、壁や床、天井に貼ることで音の通過を抑える素材です。特に、石膏ボードの下地に挟んだり、壁紙の内側に施工することで遮音効果がアップするといわれています。

ただし、単体で完璧な防音を実現するのは難しく、他の建材や吸音材と組み合わせることがポイントです。

 

Q:隣室の声が聞こえるのを防ぐには?

A:壁を通じて伝わる音には、遮音+吸音のダブル対策が効果的です。

隣室からの声は、主に空気伝播音として壁を通じて伝わります。そのため、遮音シートや二重壁構造の採用に加えて、室内側には吸音パネルを貼るなどの対策が有効です。また、収納家具を壁沿いに配置することで、音の通過を抑える工夫も取り入れるといいかもしれません。

 

Q:費用を抑えるには?

A:DIYでできる対策や、コスパの良い素材を選ぶのがポイントです。

すき間テープ、防音カーテン、吸音パネルなど、比較的安価で手軽に取り入れられるアイテムを活用すれば、数千円〜数万円の範囲で遮音対策が可能です。また、建築時に収納や間取りで遮音性を高める工夫をすれば、大掛かりなリフォームをせずに済むでしょう。

 

Q:マンションでも遮音対策できる?

A:はい、マンションでもできる対策はたくさんあります。

マンションでは構造上の制限があるものの、床に遮音マットやラグを敷く、窓に防音カーテンを取り付けるなど、施工不要のアイテムを中心に対策できます。また、管理規約の範囲で防音性のある壁材や内装材を使ったリフォームも可能です。管理会社や施工業者と相談しながら進めるといいでしょう。

 

【まとめ】寝室の快適さは遮音から

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今回の記事では、寝室に響く騒音の種類から、効果的な間取り・素材・今すぐできる対策などについてご紹介しました。

寝室の遮音対策は、あとから対応しようとしても制限が多く、十分な効果が得られにくいケースもあるようです。そのため、家づくりやリフォームの段階から意識して設計や素材を選ぶことが大切です。また、生活リズムや家族構成など、自分たちの住環境に合わせた遮音設計を行うことで、質の高い睡眠や健康の維持、そして家庭内のストレス軽減にもつながります。快適な暮らしのために、静かな寝室づくりを考えてみませんか?



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