反抗期の子どもへの正しい対応は?親がやってはいけない行動も紹介

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「無視される」「言い返される」「何を言っても反発される」このような子どもの反抗期に、どう向き合えばいいのか悩んでいませんか?
反抗期は親子の関係が壊れる時期ではなく、自立へ向かう成長のステップといわれています。親の対応次第で、関係はむしろ深まることもあります。
今回の記事では、反抗期の仕組みやNG対応、信頼を育む関わり方、そして親の心を守る方法などについてわかりやすくご紹介します。
反抗期とは?なぜ起こる?
子どもの反抗期は、親にとって戸惑いの多い時期ですが、実は心の成長が起きている証拠でもあるようです。反発や無視といった行動の裏には、「自分で考えたい」「認めてほしい」という強い自立の欲求が隠れているかもしれません。反抗期を正しく理解することが、親子関係を壊さずに支える第一歩になるでしょう。
反抗期とは?
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反抗期とは、一般的に10〜16歳ごろに見られる「心と体の成長過程」に起こる自然な現象です。親に反発する言葉や態度が増えますが、これは問題行動ではなく、自分の意志を確立するためのステップといわれています。
つまり、子どもが「親の価値観から一歩外に出よう」としている証です。反抗の形はさまざまで、怒りっぽくなる子もいれば、無言で距離を取る子もいるようです。大切なのは、「うちの子だけおかしい」と思わず、発達段階の一部として受け止めるといいかもしれません。
反抗期はなぜ起こる?(理由・原因)
脳の成長による影響
思春期の脳はまだ未成熟で、感情を司る部分が先に発達し、理性を司る前頭葉が追いつかない状態になるといわれています。そのため、イライラや衝動的な言動が増えやすく、「自分でもどうしていいかわからない」と感じている子どもも多いようです。
自立の欲求
「自分の考えで生きたい」「親に依存せずに決めたい」という気持ちが芽生えるのもこの時期です。親の指示や干渉に強く反発するのは、離れたい”というより自分を試したい”という健全なサインといえます。見方を変えれば、親のもとで安心して育ってきた証でもあるでしょう。
ホルモンバランスの変化
思春期は急激なホルモンの変化が起こり、心身ともに不安定になりやすい時期です。感情の起伏が激しくなったり、ちょっとした言葉に過敏に反応したりするのも自然なことといえます。イライラや落ち込みは、コントロールできない体の変化が大きく関わっているようです。
社会・友人関係・学校のストレス
学校や友人関係など、外の世界でのプレッシャーが強くなるのもこの頃だといわれています。家庭は“安心して感情を出せる場所”になるため、外で我慢している分、家で爆発することもあるかもしれません。反抗は「信頼しているからこそ見せられる姿」ともいえます。
親への甘えの表現として現れる場合もある
実は、強い言葉や反抗的な態度の中には「本当はわかってほしい」「構ってほしい」という気持ちが隠れていることもあるようです。反抗期の行動は拒絶ではなく、愛情の確認行動であることも多いのです。親が静かに受け止めることで、子どもは「受け入れてもらえた」と安心し、少しずつ落ち着きを取り戻していくでしょう。
反抗期の子どもに親がやってはいけない対応
反抗期の子どもは、心の中で大きな変化と葛藤を抱えているため、ちょっとした言葉や態度にも敏感に反応します。そのため、親の関わり方によっては、関係がこじれたり、反発が強まったりすることもあるかもしれません。
ここからは、反抗期によく見られるやってしまいがちなNG対応と、その理由、すぐに使える代替案についてご紹介します。
感情的に怒る・正面衝突する
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感情的に怒る・正面衝突することがなぜNGかというと、強い口調や大声は子どもに「攻撃された」と受け取られ、反発・無視・閉じこもりを招きます。議論が勝ち負けにすり替わり、核心が遠のいてしまいます。
代替案として、まず6秒深呼吸で間を取り、「今はお互い落ち着きたい。後で話そう」と一時停止しましょう。時間を置いてから「私は○○と感じた」と主語を私にして感情を共有します。声量は低く、結論より事実の確認から入るといいでしょう。
否定・人格否定
「ダメな子」「どうせ君は…」など人柄を否定する言葉は、自己肯定感を深く傷つけ、関係悪化に直結してしまいます。内容の是非が本人否定に化けてしまいます。
代替案として、行動と人を切り分けて指摘。「提出が遅れた行動は困る。どうすれば間に合う?」と行動・状況・策に焦点をあてるようにしましょう。最後に「具体的なあなたの良さを信頼してる」と肯定で締めるといいでしょう。
過干渉・過度な指示・監視
過干渉・過度な指示・監視がなぜNGかというと、常時チェックや細かい指示は「信用されていない」というメッセージになり、自立の欲求と真っ向衝突。隠す・嘘をつく行動を誘発するといわれています。
代替案として、範囲を合意して任せることです。「結果(締切・安全)だけ共有、やり方は任せる」で裁量を渡してみましょう。進捗は親からの点検ではなく子からの報告の形に変更し、頻度も事前に合意を取るといいでしょう。
兄弟・友達との比較
兄弟や友達との比較は最も関係を傷つけるといわれています。「自分は劣っている」という烙印が残り、やる気と信頼が同時に下がります。
代替案として、過去の本人比で見る。「先月より朝起きるのが早くなったね」など変化・努力を具体的に承認してあげましょう。目標も他者基準ではなく本人の合意基準に置き換えてみましょう。
「話し合い」を名目にした説教
親の言葉が一方通行になると、子どもは聞くだけの役に追い込まれてしまいます。言葉量の偏りは圧力となり、内容が正論でも武器になってしまいます。
代替案として、まず聞く比率を親3:子7が目安です。オープンクエスチョンで短く促し、「要するに○○ってこと?」と要約で理解を確認しましょう。合意事項は1つだけに絞り、「次回までに親がやること・子がやること」を対等に決め、10分程度で切り上げるといいでしょう。
もし今までNGに当てはまっていても、自分を責めなくて大丈夫です。今日から少しずつ、言い方と進め方を変えてみるといいかもしれません。
反抗期の子どもに親ができる対応
反抗期の子どもは「大人になりたい気持ち」と「まだ甘えたい気持ち」の間で揺れ動いているといわれています。そのため、親が近づきすぎず、離れすぎずの絶妙な距離感で関わることがとても大切です。
ここからは、子どもとの信頼関係を守りながら成長を支えるための具体的な関わり方を見てみましょう。
適度な距離を保つ
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反抗期の子どもにとって、無理に気持ちを聞き出されるのは大きなストレスになってしまうでしょう。話したくない時はそっとしておく姿勢が信頼につながります。
「親からの押し付け」ではなく、「必要なときに支える」という構えが重要です。ひとつの例として、「話したくなった時で大丈夫だよ。いつでも聞くよ。」と、逃げ道を残す声かけが有効といわれています。
頼られたときはサポートする
自分から相談してきた時だけ、そっと寄り添って応えることもポイントのひとつです。
相談されたからといってすぐアドバイスするのは逆効果になってしまうかもしれません。まず共感し、その後でいくつか選択肢を提示し、最終的には本人に決めさせる流れが、子どもの自立と安心感を育てるでしょう。
信頼関係を崩さないコミュニケーション
反抗期でも、子どもは「否定されない安心感」を求めています。
長い会話でなくても、挨拶やちょっとした雑談の積み重ねが、家庭の空気を柔らかくし、信頼関係の維持に大きく役立つかもしれません。
安全で居心地のいい家庭環境を作る
子どもが外で頑張った分、家庭は「回復できる場所」であることが大切といわれています。
否定・監視・過干渉ではなく、見守りながらゆったりと過ごせる空気を意識しましょう。子どもは言葉より“空気感”で安心を感じやすく、家庭が安全基地として機能しやすくなるかもしれません。
甘えを受け入れる
反抗しながら甘えてくるのは典型的な回復サインといわれています。
態度は反発的でも、根底には「安心したい」「受け止めてほしい」という気持ちがあるようです。反抗的な見せ方に惑わされず、甘えてきたときは静かに受け止めることで、子どもは再び落ち着きを取り戻しやすくなるでしょう。
親のストレスケア方法
反抗期は、子どもだけでなく親にとっても大きなストレスがかかる時期といえます。無視や暴言、思い通りにならない態度に、イライラ・怒り・悲しみ・不安が湧くこともあるかもしれません。まずは「こんな気持ちになる自分を責めなくていい」と認めることから始めましょう。
親の心を守るために効果的なのが、以下の4つといわれています。
一人の時間
意識的に自分を整える時間を取ることです。短い散歩や好きな飲み物で一息つくなどの「ひとりの時間」は、心をリセットする大切な習慣になるといわれています。
深呼吸、6秒ルール(アンガーマネジメント)
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アンガーマネジメントの基本である6秒ルールの深呼吸も、怒りの衝動を落ち着かせるのに有効といわれています。
同じ立場の親とのつながり
同じように思春期の子どもを持つ親とのつながりは、安心感と情報の共有につながるでしょう。「うちだけじゃない」と知るだけで心が軽くなることも多いようです。
話せる人や専門家に相談
気持ちが追いつかないときは、無理に一人で抱えず、信頼できる人や専門家に相談することも重要なケアのひとつです。
親が安定すると、家庭の空気も整い、子どもは安心して落ち着きを取り戻してくれることもあるでしょう。子どもを守るためには、まず親の心が守られていることが大切です。
【反抗期に悩んだら】相談先・支援サービス
反抗期は「家庭だけで何とかしなければいけない」ものではありません。話し合いが難しい、暴言・暴力が続く、不登校傾向が見えるなど、家庭で抱えきれないと感じる場面は誰にでもあるでしょう。そんなときに頼れる外部機関は多く、専門家のサポートは親子の負担を大きく減らしてくれます。
ここからは利用しやすい相談先を詳しくご紹介します。
スクールカウンセラー

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学校に配置されている専門の心理職で、子どもだけでなく保護者の相談にも対応してくれるようです。反抗期特有の心の動き、人間関係、学校生活のストレスなど、思春期に強いカウンセラーが多い点が安心材料といえるでしょう。
予約が必要な場合もありますが、費用がかからず利用しやすいのが特徴です。「家庭で話せないことを学校では話せる」ケースも多く、親子のコミュニケーション改善のヒントが得られるかもしれません。
スクールソーシャルワーカー
スクールソーシャルワーカーは、家庭・学校・地域をつなぐ役割を持つ支援専門家をいいます。反抗期の影響が学校生活や家庭環境に及んでいる場合、状況を整理しながら必要な支援をコーディネートしてくれるようです。
例えば、家庭内の関係調整、学校との連携、生活面のサポートなど、子どもを取り巻く環境ごと支えてくれるのが強みのようです。不登校傾向がある場合にも非常に頼れる存在です。
心理カウンセリング
心理カウンセラーは、子ども本人のカウンセリングはもちろん、親のメンタルサポートも可能です。
反抗期には、「どう接したらいいかわからない」「怒りが抑えられない」など親側の負担が大きくなるため、専門家に気持ちを言語化してもらうだけで心が軽くなることも多いようです。問題の背景を整理し、家庭での具体的な声かけや距離の取り方など、実践的なアドバイスをもらえるでしょう。
オンライン相談サービス
外出せずに利用でき、時間の都合がつきやすいのが大きなメリットといえるでしょう。「対面の相談はハードルが高い」「近くに相談機関がない」という家庭にもおすすめです。
最近は専門の心理士やカウンセラーが常駐するサービスも増えており、匿名で気軽に相談できるところもあるようです。
その中でも、こども家庭庁が提供する 「親子のための相談LINE」 は公的サービスのため、安心して利用できるでしょう。
深夜帯にも対応しているため、つらい気持ちを抱えたまま朝まで待つ必要がありません。文章で相談できるので、気持ちを整理しながら伝えられる点も大きな安心材料といえるでしょう。
【まとめ】成長のサインとしての反抗期を、親子関係を育てる時間に変える

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今回の記事では、反抗期の仕組みやNG対応、信頼を育む関わり方、そして親の心を守る方法などについてわかりやすくご紹介しました。
反抗期は、子どもが自立へと踏み出すための自然な通過点であり、永遠に続くものではありません。強い言葉や態度は、心の中で起きている変化の表れであり、親子関係を見直したり、より良い形に育て直すチャンスになるかもしれません。
焦らず、ゆっくり、できることから積み重ねていきましょう。