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「子育てから逃げたい」と感じてしまうほど、毎日が苦しく限界に近づいている人は少なくないようです。「子どもは大切だけど、この生活から一瞬でいいから離れたい」このように思ってしまう自分を、責めていませんか。実はこの気持ちは、弱さでも親失格でもなく、心と体が休息を求めているサインです。
今回の記事では、「逃げたい」と感じる理由をひも解きながら、自分を守るための考え方と、現実的で安全な対処法などについてご紹介します。
「子育てから逃げたい」と感じる気持ちは、突然生まれるものではありません。多くの場合、疲れや孤独、不安が少しずつ積み重なった結果として現れるといわれています。
まずは、その背景にある代表的な原因を見てみましょう。
子育て中は、十分に休むこと自体が難しくなりがちです。眠れない日が続くと、気力や判断力が低下し、些細なことでも強いストレスを感じやすくなってしまうでしょう。「逃げたい」という感情は、心より先に体が限界を訴えているサインでもあるといわれています。
育児や家事の多くを一人で抱えていると、常に緊張状態が続きます。「自分がやらなければ回らない」という責任感が強いほど、心の余裕は失われやすく、逃げ場がない感覚に陥ってしまうでしょう。
一日中、誰かの世話に追われ続けていると、「自分でいられる時間」がなくなります。少し一人になれる場所や時間がない状態では、気持ちを立て直すことが難しく、「この状況から離れたい」と感じるのは自然なことといえます。
「怒ってはいけない」「ちゃんとした親でいなきゃ」と自分に厳しくしすぎると、心が疲弊していきます。実行できない自分を責めるほど、苦しさは増し、「全部投げ出したい」という気持ちにつながるでしょう。
周囲に頼れる人がいなかったり、悩みを打ち明けられなかったりすると、不安や苦しさは内側で膨らんでいきます。「こんなこと思ってはいけない」と感情を抑え込むことが、孤独感をさらに強めてしまうでしょう。
どれだけ関わっても、子どもが言うことを聞かなかったり、感情的になったりすることがあります。そのたびに「育て方が悪いのでは」と不安になり、自信を失ってしまうと、心が追い込まれていきます。
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「逃げたい」と感じる気持ちは、疲れているときには誰にでも起こります。ただ、その感情が一時的なものなのか、心や体が限界に近づいているサインなのかによって、取るべき行動は変わってくるといわれています。ここでは、自分の状態を見極めるための視点を整理してみましょう。
少し休めば気持ちが持ち直す場合は、一時的な疲労の可能性が高いでしょう。一方で、休んでも回復しない、しんどい状態が何週間も続いている場合は、慢性的な限界に近づいているサインかもしれません。「最近ずっとつらい」「前より余裕がない」と感じる頻度に目を向けてみましょう。
眠れない日が続く、突然涙が出る、何もする気が起きない、食欲が落ちているなどの変化は、心と体からのSOSといえます。それでも「一人で耐えれば何とかなる」と抱え込んでしまうと、さらに状態が悪化しやすくなります。限界を迎える前に休むことは、とても大切な選択です。早めに休むことで、深刻な不調を防ぐことができるでしょう。
「逃げたい」と感じると、「親として放棄しているのではないか」と不安になる人も多いかもしれません。でもここで言う「逃げる」とは、責任を投げ出すことではありません。心と体を立て直すために、一時的に距離を取る「回復のための退避」といえます。
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安全な逃げ方は、長期間すべてから離れることではありません。数分の散歩や、ほんの少しの一人時間でも構いません。親の心が落ち着くことで、子どもとの向き合い方も自然と変わってくるでしょう。
育児や家事をすべて一人で背負う必要はありません。家族に任せる、サービスを利用するなど、「人に任せる」ことも立派な選択です。頼ることで回復できるなら、それは合理的な判断といえるでしょう。
どうしてもつらいときは、預かりや一時保育などを使い、環境そのものを少し変えてみるのも有効です。子どもと離れることに罪悪感を持つ必要はありません。その時間が、親子双方にとって必要な休息になることもあるでしょう。
限界を感じているときに、大きな改善を目指す必要はありません。むしろ、ほんの少し負担を減らすことの方が、心と体の回復につながります。
ここからは、今日から無理なく取り入れられる対処法についてご紹介します。
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「まとまった休み」が取れなくても大丈夫です。トイレにこもる、ベランダに出る、深呼吸するなど、5分だけでも“誰の世話もしない時間”を作ってみましょう。短時間でも、気持ちを切り替える効果があります。
すべてを完璧にこなそうとすると、消耗は増える一方です。「今日は掃除しない」「洗濯は明日でいい」と、意識的にやらないことを決めてみましょう。家事を減らすことは、怠けではなく回復のための選択といえるでしょう。
毎日100点を目指す必要はありません。今日は60点で十分、と自分に許可を出してあげてください。最低限ができていれば、それで一日を乗り切ったということです。
イライラやつらさを頭の中だけで抱えていると、気持ちは膨らみ続けます。紙やスマホに、思っていることをそのまま書き出してみてください。整理しようとしなくて大丈夫。外に出すだけでも、心は少し軽くなるでしょう。
「大丈夫?」と聞かれても、本当の状況を話せていない人は多いものです。全部を説明しなくても、「今、結構しんどい」と伝えるだけで構いません。気持ちを共有できる相手がいるだけで、孤独感は和らぐでしょう。
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「もう限界かも」と感じるほどつらいとき、一人で抱え込む必要はありません。今すぐ使える支援や、話を聞いてもらえる窓口は用意されています。
ここでは、状況に合わせて頼れる代表的な相談先をご紹介します。
各自治体には、子育ての悩みを相談できる窓口があります。保健師や子育て支援センターでは、育児の不安や心身の疲れについて、専門的な視点で話を聞いてもらえます。
多くの場合、市区町村の公式サイトに相談窓口の案内があります。
こども家庭庁のホームページでは、各自治体の相談窓口を紹介しています。
自治体のホームページや子育て支援センターなどで確認してみるといいかもしれません。
休息が必要なときは、一時保育やファミリーサポートを利用するのも大切な手段です。短時間でも子どもを任せられることで、心と体を立て直す時間が生まれます。
自治体や地域の支援団体が提供しているケースが多く、事前登録で利用できます。
ファミリーサポートは、各自治体で利用方法や料金などが違うようです。自治体のホームページなどで確認してみましょう。
「とにかく今つらい」「誰かに話したい」というときは、匿名で使える相談窓口があります。顔を出さずに話せるため、心理的なハードルが低いのが特徴です。
例えば、児童相談所 相談専用ダイヤル「189(いちはやく)」やこども家庭庁が行っている「親子のための相談LINE」などがあります。
その他にも、NPO法人などの民間機関が運営しているものもあります。
不眠や無気力、強い不安が続く場合は、心療内科やカウンセリングも有効な選択肢です。育児中のストレスや心の不調は、決して珍しいものではありません。専門家のサポートを受けることで、回復への道が見えやすくなるでしょう。
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今回の記事では、「逃げたい」と感じる理由をひも解きながら、自分を守るための考え方と、現実的で安全な対処法などについてご紹介しました。
子育てから逃げたいと感じるほど、あなたはこれまで休まずに頑張ってきたということです。親にも、疲れる権利や立ち止まる権利があります。無理を続けることが美徳なのではなく、必要なときに休み、誰かを頼ることが子どもを守ることにもつながるでしょう。今すぐ大きな決断をしなくても大丈夫です。まずは、少し休む、少し助けを借りる、その一歩から始めてみましょう。