赤ちゃんは車酔いする?原因・予防・対処法をわかりやすく解説
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赤ちゃんが車でぐずったり泣き止まなかったりすると、「もしかして車酔い?」と心配になりますよね。
赤ちゃんはまだ自分の体調を言葉で伝えられないため、体調不良のサインを見逃さないことが大切です。
今回の記事では、初めての育児に奮闘するママやパパ向けに、赤ちゃんの車酔いの仕組みや予防・対処法などについてご紹介します。旅行や帰省などの車移動を快適にするためのヒントが満載です。
赤ちゃんは車酔いする?
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現在の医学的な見解では、「赤ちゃんは基本的に車酔いしない」といわれています。その理由は、車酔いの原因となる「感覚の混乱」を引き起こす脳の機能(前庭器官や視覚情報の処理能力など)が未発達だからといわれているようです。
特に生後間もない赤ちゃん(0〜2歳)は、まだ脳が感覚のズレを感じ取るほど成熟しておらず、乗り物酔いは起こりにくいと考えられているようです。
ただし、個人差があり、2歳頃から脳の発達とともに車酔いの症状が出始めるケースもあります。頻繁に嘔吐や不機嫌な様子がある場合は、早めに対処することが大切です。
赤ちゃんが車の中でぐずったり泣いたりする原因は、車酔い以外のケースが多いとされています。お腹がすいている、不快な体勢になっている、チャイルドシートの締め付けがきついなどが挙げられるようです。
車酔いする主な原因
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車酔いは「動揺病」とも呼ばれ、主に感覚のズレや不快な刺激、心理的なストレスが原因で起こるといわれています。
例えば、内耳(三半規管)で感じる揺れと、目や筋肉から得られる情報が一致しないと、脳が混乱しやすくなるようです。特に車内で景色が見えにくい場合などに起こる傾向にあります。
また、芳香剤や食べ物、タバコなどのにおいが気分を悪くする引き金になることもあるようです。そのほかにも、乗車自体に対する不安やストレスも、車酔いの一因となることがあるといわれています。
こうした要因が重なることで、自律神経のバランスが乱れ、吐き気や嘔吐などの車酔いの症状が引き起こされるようです。
車酔いの症状は?
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赤ちゃんや幼児が車酔いをすると、以下のような症状が見られることがあります。
・吐気や嘔吐
・顔色が青白くなる
・冷や汗をかく
・お腹を押さえる、苦しそうに泣く
・ぐったりして元気がなくなる
・よだれの量が急に増える(唾液過多)
・呼吸が速く浅くなる(過換気)
特に、ぐずり方がいつもと違ったり、同じルートで毎回吐く場合は、乗り物酔いの可能性を考えて対策するといいかもしれません。
車酔いを防ぐ!赤ちゃんにおすすめの対策
赤ちゃんの体調に合わせた工夫をすることで、車酔いのリスクを減らすことができます。赤ちゃんの体調をみてお出かけの計画を立てるようにして下さい。お出かけの前には睡眠時間など多めに取らせるようにして下さい。体調が悪かったり睡眠不足などは車酔いをしやすくします。また具体的には、以下のような対策があります。可能なものは試してみるといいかもしれません。
出発前に軽食を済ませておく
空腹や満腹は車酔いを誘発しやすいため、消化の良い軽めの食事を与えましょう。離乳食期の赤ちゃんなら母乳やミルクの調整をするといいでしょう。
服装は脱ぎ着しやすく、暑すぎないように
体温調節が苦手な赤ちゃんには、着脱しやすく通気性のよい服がいいといわれています。暑すぎると不快感が増してしまうため、注意が必要です。
車内のにおい対策をする
芳香剤やタバコのにおいを避け、無臭に近い車内環境を保ちましょう。車内清掃も定期的に行うと安心かもしれません。
チャイルドシートの位置と角度を見直す
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外の景色が見えるよう、進行方向を向いた位置で設置しましょう。角度を調整して、首や背中に負担がかからないように注意しましょう。
揺れを抑えた丁寧な運転
急ブレーキや急カーブを避けて、なるべくスムーズに走行しましょう。細かい振動が少ない道を選ぶのもポイントのようです。
車内を快適な温度に保つ
エアコンを活用し、赤ちゃんが快適に過ごせる25℃前後を目安にしましょう。
リラックスできる音楽やおもちゃを活用
お気に入りの音楽やおもちゃは、不安を和らげてくれる心強い味方です。車の中に置いておくといいかもしれません。
30〜60分ごとにこまめに休憩
長時間連続で乗せないようにして、休憩時は車外に出て空気を入れ替えましょう。
車酔い対策グッズを用意する
首元を冷やす保冷剤、嘔吐用タオル、着替え一式、ビニール袋などを常備しておくと安心です。
赤ちゃんが車で嘔吐したときの対処法
万が一、赤ちゃんが車内で嘔吐してしまった場合は、以下のように落ち着いて対処しましょう。
安全な場所に停車する
焦らず安全な場所に車を止め、赤ちゃんを優しく抱き上げましょう。
シートベルトやチャイルドシートの留め具を外す前に、周囲の安全をしっかり確認してください。
赤ちゃんの呼吸や表情に異常がないかも、抱き上げながら確認すると安心です。
吐しゃ物を処理し、着替えさせる
汚れた服はすぐに取り替え、清潔に保ちます。おしりふきや濡れタオルで口元や体を拭いてあげましょう。
ニオイが残っていると再び気分が悪くなることがあるので、可能であれば窓を開けて換気しましょう。着替えが1セットだけでなく、2〜3セットあると安心です。
水分補給を行う
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嘔吐で水分が失われるので、母乳や白湯などを少量ずつこまめに飲ませることが大切です。一度にたくさん飲ませると再び吐く可能性があるため、スプーンや哺乳瓶でゆっくり与えましょう。
もし嫌がる場合は無理に与えず、少し落ち着いてから再トライするのがおすすめです。
その後の様子を見る
顔色や機嫌、水分摂取の状況を観察し、いつも通りに戻っていれば問題ないでしょう。
頻繁に吐くようなら医療機関に相談した方がいいかもしれません。何度も繰り返す、ぐったりしている、水分が取れないといった場合は早めに小児科を受診しましょう。
吐いた後にすぐ寝てしまう場合でも、呼吸が正常か、顔色が悪くないかをしばらく観察すると安心です。
病院に行くべき?受診の目安と注意点
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赤ちゃんが嘔吐したからといって、すぐに医療機関の受診が必要とは限りません。
以下のような症状がある場合は、医療機関を受診しましょう。
・何度も嘔吐を繰り返す
・水分が取れず、脱水の兆候がある(おしっこが出ない・唇が乾いている)
・ぐったりして元気がない
・発熱や下痢を伴う
・嘔吐物に血が混じっている、または緑色をしている
受診時は、いつ・どのくらい吐いたか、他に症状があるかを記録して伝えるとスムーズです。
直前に食べたものや飲んだもの、便やおしっこの様子も医師に伝えると診断の助けになります。可能であれば、嘔吐物やオムツの写真をスマホで撮影しておくと、状態の確認に役立つことがあります。
不安なときは、事前にかかりつけの小児科に電話で相談すると、受診の目安を教えてもらえる場合もあります。
【まとめ】車酔い対策をして備えよう
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今回の記事では、初めての育児に奮闘するママやパパ向けに、赤ちゃんの車酔いの仕組みや予防・対処法についてご紹介しました。
赤ちゃんとのお出かけも、正しい対策をすれば快適なドライブが可能です。大切なのは、赤ちゃんの体調や様子に合わせて、無理のないスケジュールや移動手段を選ぶことです。そして、事前にしっかりと準備しておくことで、家族みんなが安心してお出かけを楽しむことができるでしょう。最近は車の中にテレビやモニターなど備え付けて遠出をされる方も多いと思います。乗り物酔いを起こす大きな原因は視覚の乱れによるもの。近くで揺れているものを見続けると酔いやすくなります。乗り物酔いしやすいお子様の場合にはモニターなどで動画を見ながら出かけるということなどは避けた方が良いと思われます。
少しの工夫と気配りで、赤ちゃんとのお出かけがより楽しく、思い出に残る時間にしたいですね。
監修:保科しほ(恵比寿こどもクリニック)
Profile
日本小児科学会専門医・指導医。麻酔科 標榜医。久留米大学医学部卒業後、横浜市立大学附属病院、国立成育医療研究センター、東京女子医科大学八千代医療センター、国立感染症研究所勤務を経て、医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック院長に就任。専門は小児感染症、小児救急、アレルギー。