ペットと快適に暮らす家づくりの考え方とは?押さえておきたいポイントを紹介
※写真はイメージ(Adobe Stock/Creative Habits)
「ペットも大切な家族の一員だからこそ、快適に過ごせる住まいをつくりたい」このような想いから、家づくりを始める方が増えているようです。しかし、一般的な住宅ではペットの健康や安全、暮らしやすさまで十分に考慮されていないケースも少なくありません。
そこで今回の記事では、ペットと人の両方が快適に暮らせる家づくりの考え方をわかりやすくご紹介します。滑りにくい床材選びやにおい・騒音対策、間取りや収納の工夫など、具体的なポイントや実例などについてもお伝えします。
ペットと暮らす家づくりで考えるべき5つのポイント
※写真はイメージ(Adobe Stock/wheeljack)
ペットも人間と同じように、生活環境の影響を大きく受けます。だからこそ、家づくりの段階からペットにとっての快適性・安全性を考えることが大切です。
まずは安全・清潔・におい・動線・距離感の5つの観点から、家づくりの重要ポイントを詳しく見てみましょう。
1. 安全性の確保
ペットにとって家の中は「生活空間」であると同時に「遊び場」でもあります。その分、ケガや事故のリスクが潜んでいます。安心して暮らせるよう、日常の中にある危険を減らす工夫が必要です。
段差の少ない床・滑りにくい床材
小型犬やシニア犬は特に段差の上り下りで関節に負担がかかりやすく、転倒のリスクも高くなってしまいます。段差の少ないフラットな床と、フロアタイルやコルクなどの滑りにくい素材を選びましょう。
開閉式ゲート・引き戸などの誤作動対策
ペットが自らドアを開けてしまう事故を防ぐため、引き戸にロック機能を設けたり、ゲートで侵入エリアを制限したりといった安全対策が有効です。
感電・誤飲を防ぐためのコード類の隠し方
床や壁に這わせたコードは、ペットにとって格好の遊び道具になってしまうこともあります。コードボックスやカバー、壁内配線を活用し、感電や誤飲を防ぎましょう。
小型犬・猫の脱走対策
脱走リスクの高い猫や小型犬には、網戸ストッパーや二重扉、柵付きのベランダなどの対策を講じることで、外への飛び出しを未然に防ぐことができるでしょう。
2. 清潔・メンテナンス性
ペットとの暮らしでは、抜け毛やにおい、汚れへの対応が欠かせません。掃除のしやすさや、傷・汚れへの強さを重視した素材選びが快適さに直結するでしょう。
床材の選定
床は最も汚れやすく傷つきやすい場所といえます。ペット対応の床材を選ぶことで、掃除の負担を軽減し、住まいを長持ちさせることができるでしょう。
例えば、クッションフロアは防水・防汚性に優れており、においも染み込みにくいため、トイレ周りの床材として最適です。また、フロアタイルは耐傷性に優れながらも見た目がおしゃれで、掃除のしやすさとデザイン性を両立できるでしょう。
そのほかにも、抗菌加工が施された撥水タイプのフローリングであれば、菌の繁殖やにおいの付着を防ぎ、衛生面でも安心です。
ペットの足腰への負担を軽減するためには、滑り止め加工が施された床材がおすすめです。特に小型犬やシニア犬との暮らしでは重視したいポイントといえるでしょう。
壁材の選定
壁もまた、ひっかき傷やにおいが付きやすい場所のひとつです。機能性とデザイン性を両立した壁材を選びましょう。
具体的には、エコカラットや珪藻土などの壁材は、消臭・調湿機能に優れており、においや湿気をコントロールできるため、ペットのトイレ周辺やリビングにもおすすめです。
また、傷に強い壁紙や腰壁を選べば、猫の爪とぎによるひっかき傷を防ぎ、きれいな状態を保ちやすくなります。
ビニールクロスのように水拭き可能な素材であれば、汚れた際にもサッと拭き取ることができ、日々の掃除もラクになるでしょう。
掃除導線と設備
日々の掃除をラクにする工夫は、長期的に大きなメリットになるでしょう。掃除しやすいレイアウトと専用設備を取り入れましょう。
例えば、ロボット掃除機がスムーズに動けるように、段差や配線のない床や脚付き家具を配置することで、効率的に床掃除ができる空間になります。また、玄関近くに足洗い場や手洗い場を設けることで、散歩後の汚れを室内に持ち込まずに済み、清潔な住環境を維持することができます。このような小さな工夫が、毎日の暮らしやすさにつながります。
3. におい・騒音対策
においや騒音は、ペットとの暮らしで特に悩みやすいポイントのひとつです。設計段階での工夫によって、ストレスを軽減し快適さが大きく向上します。
におい対策
日常的ににおいがこもりやすいトイレまわりは、換気と消臭素材のダブル対策がおすすめです。
具体的には、換気扇や小窓、消臭機能のある壁材を取り入れることで、空気の循環が促されてにおいを軽減できます。さらに、空気清浄機や脱臭機の配置場所もあらかじめ想定しておくと、生活動線やインテリアの邪魔にならず、効果的ににおい対策が行えるでしょう。
トイレスペースはキッチンやダイニングといった生活空間から距離をとることで、衛生面でも安心して過ごせる住まいになります。
騒音対策
特に犬の吠え声や走り回る音は、近隣とのトラブルにもつながる可能性があります。防音対策も住まいの質を左右します。
対策としては、ペアガラスや防音サッシなど防音性の高いドアや窓を採用することで、音漏れを軽減し、近隣への影響を抑えることができるでしょう。また、ペット専用の部屋を寝室やワークスペースから離れた場所に配置すれば、生活への支障も最小限に抑えられます。
住宅密集地の場合は、遮音性のある外壁材を選ぶことで、屋外への騒音対策としても効果的です。このような防音対策は、家族にもペットにもストレスの少ない暮らしを支えてくれるでしょう。
4. 動線と専用スペース
※写真はイメージ(Adobe Stock/Elvira)
ペットと快適に過ごすためには、ペット専用の空間づくりと動線の工夫が重要なポイントです。暮らしのなかで自然に共生できる設計が理想といえるでしょう。
ペット専用スペースの例
ペット専用のスペースを住まいの中に設けることで、ペットにとっても安心できる居場所が生まれます。
例えば、リビングの一角にベッドスペースを設ければ、家族の気配を感じながらリラックスして過ごすことができるでしょう。また、廊下や階段下といったデッドスペースを活用すれば、生活動線を邪魔せずにトイレスペースを確保することも可能です。
フードストックや給餌コーナーをキッチンの近くに設けておくと、日々の給餌作業がスムーズになり、家事の負担も軽減されるかもしれません。
動線の工夫
動線の乱れは、ペットにも人にもストレスの原因になってしまうでしょう。ペットとの生活を踏まえてさまざまな工夫が必要です。
例えば、フード・水・トイレを一直線に配置すると衛生的に問題があるため、それぞれの場所に適度な距離を持たせるといいでしょう。また、多頭飼いの場合は、動線が交差しないように配慮することで、トラブルを防いでペット同士が落ち着いて過ごせる環境が整います。そのほかにも、散歩から帰宅した後に、足洗い場を経由してリビングに入れるようなスムーズな動線を設計しておくと、清潔さと使いやすさを両立できます。
収納の工夫
ペットとの暮らしを快適にするには、収納計画も重要なポイントです。造作収納を活用してペット用品の定位置をあらかじめ設けておくことで、使いやすく整理された空間を保ちながら、見た目の美しさも保てるでしょう。
また、キャリーケースやトイレシーツといったかさばるアイテムも収納できるよう、目立たない場所に大容量の収納スペースを確保しておくと便利です。日常の使い勝手を考えた収納は、暮らしの質を大きく高めてくれます。
5. 人との距離感
ペットと心地よい距離感を保つことも、快適な共生に必要なことのひとつです。見守りやすさとプライベート性の両立が重要です。
常に見守れる場所の確保
ペットとの程よい距離感を保つためには、見守りやすく、安心して過ごせる場所を住まいの中に設けることが大切です。
例えば、リビングから目が届く位置に休憩スペースをつくることで、ペットは家族の存在を感じて安心でき、人も体調の変化や異変にすぐ気づくことができます。また、必要に応じて仕切れるペットルームを用意しておけば、来客時や子どもとの接触を一時的に制限したいときにも便利です。
暮らしのシーンに応じた柔軟な空間づくりが、ペットとの共生をより快適にしてくれるでしょう。
個室感覚のスペース
ペットがリラックスして過ごせるようにするには、それぞれの性質に合わせた個室感覚のスペースづくりが大切です。犬には、クレートのように狭く囲まれた空間が安心感を与えるため、専用のベッドスペースや小さな個室を用意してあげるのがおすすめです。
一方、猫はひとりになれる場所を好む傾向があるため、キャットウォークや棚の上、カーテン裏など、高い場所や隠れられるスペースを確保してあげると、ストレスを軽減できるようです。
ペットが自由に出入りできる工夫
ペットが家の中を快適に移動できるようにするには、建具にも工夫が必要です。ペットドア付きの扉を設置すれば、室内を自由に行き来できるだけでなく、扉を閉めきらずに済むため、空気の循環も保たれて快適な室内環境を維持することができるでしょう。
また、人の作業スペースや寝室など、立ち入りを制限したい場所には専用のゲートを活用することで、生活空間をゆるやかに分けることができ、ペットとの適切な距離感も確保できます。
ストレスを減らす工夫
環境によるストレスは、健康にも悪影響を与えることがあります。
ペットの性格に合わせた環境づくりも、快適な暮らしには欠かせません。来客時に人見知りのペットが安心して避難できるよう、静かで落ち着ける個室を用意しておくと安心です。さらに、音や光を遮断できるような空間を確保しておくことで、神経質な性格のペットでもストレスを感じにくく、安心して過ごせる環境が整います。日常だけでなく、急な環境の変化にも対応できる「逃げ場」があることは、ペットの心身の健康にもつながります。
【実例紹介】ペットと共に暮らす家の間取り・設備アイデア
※写真はイメージ(Adobe Stock/Pixel-Shot)
ペットも家族の一員として快適に暮らせる住まいづくりには、間取りや設備の工夫が重要です。実際に取り入れたいアイデアを具体例とともにご紹介します。
ペット用玄関洗い場
散歩帰りの汚れをすぐに落とせる玄関洗い場は、清潔な室内環境を保つためにとても便利です。足洗い専用の水栓やシャワー、排水設備を備え、泥や砂を家に持ち込むのを防ぐことができます。ペットの体を洗いやすい高さやスペースを確保することもポイントです。
乾燥スペースも設けることで、帰宅後の手間を減らせるでしょう。
ペットドア/ペット対応の引き戸
ペットが自由に室内を行き来できるよう、専用のペットドアや引き戸を設置すると便利です。開閉音が小さいものを選ぶことで、ペットへのストレスも軽減できるようです。
設置にあたっては、ペットのサイズに合わせた設計にすることで安全性が高まります。人の出入りとペットの動線を分けることができるため、生活の快適さも向上するでしょう。
ペット専用クローゼット・収納
おもちゃやフード、グルーミング用品などをまとめて収納できる専用スペースを作ると、散らかりがちなペット用品をすっきり整理できます。専用スペースは、使い勝手の良い造作収納がいいでしょう。扉や引き出しの高さを工夫して、ペット用品の出し入れをスムーズにしましょう。
また、消臭剤や除湿剤を置くスペースを設けるのもおすすめです。
ペットが落ち着ける小部屋・床下収納の活用
ペット専用の小部屋や床下収納を活用することで、静かで安心できるプライベートスペースを確保できます。ペットが休みたいときに安心して過ごせる場所を用意しましょう。特に猫は高い場所や隠れ場所を好むため、床下収納を活用した隠れ家は喜ばれます。
ペットの健康管理のため、室内温度を一定に保てる場所を選ぶといいかもしれません。
ペットカメラの設置
外出時もペットの様子を確認できるペットカメラは、安心感を高める便利なアイテムです。留守番中の様子をスマホでチェックでき、万が一のトラブルにも迅速に対応できるでしょう。
双方向通話機能が付いたものを選べば、声かけも可能でペットのストレス軽減にもつながります。録画機能付きのものを選べば、普段見られない行動も記録できます。
トイレスペースに換気扇+消臭壁材
ペットのトイレスペースには、換気扇や消臭効果のある壁材を取り入れることで、においのこもりを防ぎ快適な環境を保ちます。壁材は設計段階での配慮が重要です。
また、小窓や換気扇の位置を工夫して空気の流れを良くすると効果的です。掃除のしやすさも考慮し、床や壁の素材選びにも注意しましょう。
【ペット別(犬・猫)】家づくり成功のコツ
※写真はイメージ(Adobe Stock/famveldman)
犬と猫では生活スタイルや習性が大きく異なるため、家づくりのポイントも変わってきます。それぞれの特徴を踏まえた設計を行うことで、ペットも飼い主も快適に暮らせる住まいを実現しましょう。
犬との暮らし
散歩の動線を確保する
犬は毎日の散歩が欠かせません。玄関近くに足洗い場や土間収納を設けることで、帰宅後の汚れをすぐに落とせて家の中を清潔に保てます。また、散歩グッズやリードなどの収納場所も確保すると使い勝手がさらによくなるでしょう。
滑りにくい床材/老犬対応のバリアフリー設計
犬の足腰に負担をかけないために、滑りにくい床材を選ぶことが重要です。特に老犬には段差のないバリアフリー設計やスロープの設置が効果的で、安全に自由に動き回れる環境を整えてあげましょう。
吠え声に配慮した防音性
犬の吠える声は近隣トラブルの原因にもなりやすいため、防音性能の高いドアや窓を採用することが大切です。
また、犬専用の部屋をリビングから離した場所に設けることで、騒音を抑えつつストレス軽減にもつながるかもしれません。
猫との暮らし
上下運動ができるキャットウォーク・キャットタワー
猫は高い場所を好み、上下運動がストレス解消になります。キャットウォークやキャットタワーを設置し、自由に登り降りできる環境を作ることで運動不足を防ぎ、健康維持に役立つでしょう。
隠れられるスペース/脱走防止
猫は隠れる場所を好むため、天袋やカーテンの裏など、安心してくつろげる隠れ家を作ることが重要です。また、窓や玄関には脱走防止対策を施し、外への逃走リスクを減らしましょう。
爪とぎ対策・壁材選び
猫の爪とぎによる壁の傷は避けられない問題です。傷に強い壁紙や腰壁、麻巻き柱などを採用し、爪とぎ専用のスペースを設けることで、被害を最小限に抑えられるかもしれません。
犬と住む家づくりと間取りの工夫
※写真はイメージ(Adobe Stock/DondykRiga)
犬と安心・快適に暮らすためには、間取りや素材選びに工夫が必要です。犬の性格や習性に配慮した空間設計を行うことで、家族全員がストレスなく過ごせる住まいを実現することができるでしょう。
玄関そばに「足洗い場」や「土間スペース」設置
散歩から帰ってきた際、玄関近くに足洗い場や土間があれば、汚れを家の中に持ち込まずに済みます。犬も飼い主も動線がスムーズで、毎日のケアがぐっと楽になるでしょう。
また、収納付きの土間スペースを設けておけば、リードやタオル、散歩グッズの保管にも便利です。雨の日でも玄関でサッとお手入れができ、室内を清潔に保てます。
リビングの一角に犬専用スペース
リビングの一部に犬専用のスペースを設けると、家族の気配を感じながら安心して過ごせる場所になります。クレートやお気に入りのマットを置くことで、落ち着ける習慣が自然と身につくでしょう。
専用スペースは、人の動線を妨げない場所を選んで、直射日光や冷暖房が直接当たらない環境づくりも大切です。ペット用の収納や給水スペースと一体にすれば、より機能的な空間になるかもしれません。
犬が安心できる「囲まれ感」のある空間
犬は四方を囲まれた空間に安心感を抱く傾向があります。家具の配置や壁を活用して「囲まれ感」のあるスペースをつくることで、不安やストレスの軽減につながります。
囲まれた空間は「自分の居場所」として認識されやすく、来客時の避難場所にもなるでしょう。クレートや室内小屋などを活用すると、より快適で安全な空間になります。
滑りにくい床材で関節負担を軽減/老犬にはスロープ設置も有効
フローリングなど滑りやすい床は、犬の関節に大きな負担を与えます。滑り止め加工のある床材を選ぶことで怪我を防ぎ、老犬には段差にスロープを設けると移動がより安全になるでしょう。
特に高齢の犬や小型犬は足腰が弱くなるため、床材の選定は健康維持に直結します。マットやラグを部分的に敷いて、滑りにくさと居心地の良さを両立させる方法もあるようです。
吠え声が響かないように、防音設計 or ペットルームを遠くに配置
犬の吠え声による騒音を抑えるには、防音性の高いドアや壁材を使うのが効果的です。もしくは吠えやすい犬種の場合は、生活空間から少し離れた場所にペットルームを配置するのもひとつの方法です。
外壁や窓の遮音性にも配慮すれば、近隣への音漏れも抑えられるでしょう。防音だけでなく、落ち着いた照明や静かな環境を整えてあげることで、犬自身もリラックスしやすくなります。
猫と住む家づくりと間取りの工夫
※写真はイメージ(Adobe Stock/あんみつ姫)
続いて、猫と住む家づくりと間取りの工夫についてです。猫の習性や好みに配慮した家づくりは、ストレスの少ない快適な暮らしにつながります。自由気ままに過ごせる空間を整えることで、猫も人も心地よく暮らせる住まいが実現するでしょう。
縦の動きを意識したキャットウォークやステップ設置
猫は上下運動を好みます。室内にキャットウォークやステップなど縦の動きを意識したものを設けることで、運動不足の解消やストレス軽減につながります。家具や棚と一体化させることで、インテリア性を損なわず自然な動線をつくることが可能です。壁面を活用すれば限られた空間でも立体的な居場所を確保できるでしょう。
日当たりの良い場所に猫のくつろぎスペース
窓際など日差しの入る場所は、猫にとってお気に入りの休憩スポットになります。クッションやベッドを置いて「定位置」をつくってあげることで、リラックスしやすくなるでしょう。太陽光を浴びながら過ごす時間は、猫の健康維持にも効果的です。
また、外を眺められる環境は適度な刺激にもなります。
爪とぎを想定した壁材や柱
猫は本能的に爪とぎを行うため、専用の爪とぎスペースを確保することが重要です。木製の柱や麻巻きポールなど、素材や位置を工夫して設置すれば、家具や壁の傷を防ぐことができます。爪とぎをしやすい高さや角度にも配慮すると、猫が自然とその場所を選んでくれるようになるでしょう。
インテリアとして馴染むように設計すると、見た目の美しさも損ないません。
トイレは静かで人目につきにくい場所に設置+換気も必須
猫は静かな場所で落ち着いて排泄したい習性があります。生活動線から少し離れた場所にトイレスペースを設け、プライバシーを確保しましょう。換気扇や小窓を取り入れてにおい対策も同時に行うと、飼い主にとっても快適です。
定期的な掃除がしやすいよう、床材や壁材の選定にも配慮するとさらに理想的です。
脱走防止に窓やドアにストッパーや脱走防止ゲート設置
室内飼いの猫にとって、玄関や窓からの脱走は大きなリスクです。ストッパーや脱走防止用のゲートを設置し、安心して暮らせる環境を整えましょう。特に来客時や換気時に無意識に外へ出てしまうケースが多いため、物理的な対策が有効です。
万一の事態に備えて、窓の開閉幅や鍵の工夫もあわせて行うと安心です。
ペットとの暮らしにおすすめの建材・設備
※写真はイメージ(Adobe Stock/oceanrider)
ペットと快適に暮らすためには、建材や設備の選定もとても重要です。掃除のしやすさや安全性、におい・傷への配慮など、ペット目線の機能を備えた素材を選ぶことで、毎日の暮らしがより快適になるでしょう。
おすすめの床材
滑りにくく、傷がつきにくい床材はペットとの暮らしに欠かせません。
例えば、コルク材は柔らかく足腰への負担が少ないうえ、滑りにくいため犬や猫の関節を守ります。
クッションフロアは防水・防汚性に優れており、トイレ周辺や食事スペースにも最適な床材といえるでしょう。
おすすめの壁材
消臭・調湿・耐傷性を備えた壁材は、ペットがいる家庭にとって非常に心強い存在です。
例えば、珪藻土やエコカラットは空気中の湿気やにおいを吸収してくれるため、快適な室内環境を保つことができるでしょう。猫の爪とぎ対策には、腰壁やキズに強いクロスとの組み合わせもおすすめです。
水回りのおすすめ設備
汚れた足や体をすぐに洗えるよう、ペット用のシャワーや洗面ボウルがあると便利です。玄関付近や勝手口付近など、散歩動線に沿って設置すると使い勝手が良くなります。
特に大型犬や多頭飼いの場合は、水圧調整や高さにも配慮して選ぶといいかもしれません。
ペットとの家づくりでよくある質問Q&A
※写真はイメージ(Adobe Stock/Maks_Lab)
ペットと快適に暮らす家づくりには、はじめてだと迷うポイントもたくさんあります。よくある疑問にお答えしながら、後悔のない住まいづくりのヒントをお届けします。
Q1. ペットのために家のどこに配慮すべき?
A:動線・床材・音・空気の4点は特に重視したい要素です。この4点のポイントを押さえることで、安全性や快適性、清潔さを保ちやすくなります。
Q2. ペットスペースはどこに作るのがベスト?
A:人の生活動線とぶつからない「リビングの一角」や「玄関脇」が人気のようです。家族の目が届きやすく、ペットも安心して過ごせる場所になります。
Q3. 犬・猫別に考えるべき?
A:はい。犬と猫はそれぞれ性格や行動パターンが異なるため、専用の工夫が必要です。犬は動線や防音性、猫は上下運動や爪とぎ対策など、動物ごとの設計が快適さに直結します。
Q4. どのタイミングでペット向けの家づくりを考えるべき?
A:家づくりの初期段階から、間取りや建材、導線設計にペットの視点を取り入れるのが理想といえるでしょう。後からの変更が難しい部分もあるため、早めの検討がポイントです。
【まとめ】ペットも人も快適に暮らせる家づくりのために
※写真はイメージ(Adobe Stock/azure)
今回の記事では、ペットと人の両方が快適に暮らせる家づくりの考え方や、滑りにくい床材の選び方、におい・騒音対策、間取りの工夫など、具体的なポイントをご紹介しました。
人にとっての快適さと、ペットにとっての安全・安心は、どちらかを犠牲にするのではなく両立させることが可能です。そのためには、家づくりの設計段階からペット目線の工夫を取り入れることが大切です。
ペットの老化や病気といった将来の変化も見据えた計画を立てておくことで、長く快適に暮らせる住まいを実現することができるでしょう。
関連記事:「【ペットと暮らす家】おすすめの間取り&設計のポイント