地震に強い家ってどんな家?耐震等級やおすすめ工法まで徹底解説


※写真はイメージ(Adobe Stock/dont)

 

地震が多い日本。「いつか大きな地震が来るかも…」と、マイホームの安全について不安に感じていませんか?

特に、大切な家族と過ごすお家だからこそ、「この家は本当に大丈夫?」と考えてしまうのは、当然のことです。

でも、安心してください!正しい知識を持って、ポイントを押さえれば、家族みんなが安心して暮らせる地震に強い家を建てることができます。

この記事では、「耐震」「制震」「免震」といった言葉の基本的な意味から、地震に強い家の具体的な特徴、間取りの工夫、そして土地選びのコツまで、知りたい情報をぎゅっと詰め込みました。

 

地震に強い家とは?基本構造を知ろう

※写真はイメージ(Adobe Stock/bephoto)

 

「地震に強い家」と一言でいっても、揺れへの対策にはいくつか種類があります。まずは、家づくりの基本となる「耐震」「制震」「免震」の3つの違いを、わかりやすく見ていきましょう。それぞれの特徴を知ることが、わが家にぴったりの対策を見つける近道になります。

 

「耐震・制震・免震」の違いと特徴

耐震

耐震は、柱や壁を頑丈にしたり、筋交いのような補強材を入れたりして、建物自体をがっしり固める方法で、地震の揺れに対して、建物が力でぐっと耐えるイメージです。

この強さを示すモノサシが「耐震等級」で、現在の法律(建築基準法)で定められた最低限のレベルが「耐震等級1」です。

すべての新しいお家は、この耐震等級1を満たすことが義務付けられています。

ちなみに、さらに上の強さとして、等級1の1.25倍の強さを持つ「耐震等級2」や、1.5倍の強さを誇る最高ランクの「耐震等級3」があります。

耐震等級3は、地震の後も安心してその家に住み続けられることを目指す、より高い安全基準です。

 

制震

制震は、建物の中に「ダンパー」という特殊な装置を組み込んで、地震の揺れを吸収する方法です。

 車のサスペンションのように、揺れのエネルギーを熱に変えて逃がすことで、建物の揺れ自体を小さくしてくれます。

大きな本震だけでなく、何度もやってくる余震によるダメージの蓄積を防ぐのに効果的で、地震の後も安心して家に住み続けられる可能性を高めてくれます。

 

免震

免震は、地面と建物の間に特殊な装置(免震装置)を設置して、そもそも地震の揺れが建物に直接伝わらないようにする技術です。

 建物が地面から切り離されて、ゆっくり揺れるイメージです。建物本体はもちろん、家具が倒れたり物が落ちたりする二次災害も防げるのが大きなメリットです。

 家族だけでなく、大切な家財も守りたいと考える方にぴったりの、最も高い効果が期待できる方法です。

 

耐震等級とは?それぞれの違いと選び方

耐震性能を客観的に示す指針が「耐震等級」です。これは国の法律(住宅の品質確保の促進等に関する法律)で定められた、信頼できる基準なんです。

 

耐震等級1

建築基準法で定められた、最低限の耐震性能です。 震度6強~7の大きな地震でも、すぐに倒壊はしないレベルとされています。

耐震等級2

等級1の1.25倍の強さです。 災害時の避難場所になる学校や病院と同じレベルの強さで、「長期優良住宅」の認定にもこの等級が求められます。

耐震等級3

等級1の1.5倍の強さを持ち、住宅では最も高いレベルです。 消防署や警察署など、災害復興の拠点となる建物がこの強さで建てられています。

 実際に、過去の大きな地震でも、耐震等級3の住宅の被害は非常に少なかったことが報告されています。

命を守ることはもちろん、「地震の後も、わが家で安心して暮らし続けたい」と考えるなら、耐震等級3を目指すのがおすすめです。

 

参考:国土交通省|「住宅の品質確保の促進等に関する法律」「建築基準法」「長期優良住宅のページ」

 

地震に強い家の特徴【構造・設計・素材編】

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地震に強い家は、特別な技術だけでなく、家の形や重さといった物理的な特徴も大きく関係しています。

ここでは、お家のプランを考えるときに知っておきたい、地震に強い家のポイントをご紹介します。

 

建物の形状がシンプルで、凹凸や複雑な形が少ない

お家の形は、地震に強い家を目指す上でとても重要です。理想は、正方形や長方形などの整ったシンプルな形状です。

例えば、1階と2階の面積がほぼ同じ「総二階建て」は、地震の大きな力を建物全体でバランスよく受け止めることができます。

逆に、おしゃれなL字型やコの字型のように凹凸が多い複雑な形は、注意が必要です。

地震の揺れによって建物に「ねじれ」が生じやすく、力の集中する角の部分からダメージを受けて倒壊リスクが高まってしまうからです。

もちろん、デザインにこだわりたい気持ちも大切です。

まずは安全の基本となる「シンプルな形」を意識しながら、設計士さんと相談して、理想のデザイン性と高い耐震性の両方をバランス良く叶えることが重要ですよ。

 

質量が小さい、軽量

地震の力は、建物の重さに比例して大きくなります。つまり、建物は軽いほうが揺れの影響を受けにくいのです。

建物の質量は使用する建材によって異なり、一般的に鉄骨や鉄筋コンクリート造に比べて、木造のほうが質量は小さくなります 。

特に、地震時に倒壊リスクを高めるのが重い屋根です。昔ながらの重たい瓦屋根は、建物の重心を高くしてしまいます。

軽い屋根材は建物への負担を軽減し、家全体の重心を低くすることで、揺れを小さくする効果が期待できます。

屋根材を選ぶなら、ガルバリウム鋼板スレート瓦軽量陶器瓦などがおすすめです。

 

高さが低い・平家

建物は、背が高いほど地震の時に大きく揺れてしまいます。そのため、3階建てより2階建て、2階建てよりも平屋のほうが、構造的に安定していて地震に強いと言えます。 

平屋は建物全体の重心が低く、構造もシンプルなので、地震の力を受け流しやすいのが特徴です。

 もし土地の広さに余裕があるなら、家族の安全を第一に考えて平屋を選択するのも、おすすめな選択肢の一つです。

 

地盤が強い

どんなに頑丈な家を建てても、その家を支える足元、つまり地盤が弱ければ意味がありません。

安定した地盤の土地に建てられた家は、一般的に地震に対する耐性が高い傾向にあります。そのため、土地を選ぶ段階から地盤の状況を考慮することがとても重要です。

例えば、岩盤が近かったり砂利を多く含む地層であったりする安定した地盤は、地震による沈下が少なく、建物をしっかりと支えることができます。

逆に、昔は川や沼地だったような軟弱な土地は、揺れが大きくなったり、地面が液体のようになる「液状化」のリスクがあったりするので、特に注意が必要です。

家づくりは、まず安全な土地探しから始まると言ってもいいでしょう。

 

地震に強い家をつくるための間取りと設計ポイント

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地震への強さは、家の構造や工法だけでなく、日々の暮らしの中心となる「間取り」にも大きく左右されます。

安全で快適な家づくりのために、設計段階でぜひ押さえておきたい5つのポイントをご紹介します。

 

間取りの1階部分に大開口や吹き抜けを避ける

広々とした吹き抜けや、壁一面の大きな窓、柱だけで構成されたピロティビルトインガレージは、開放感があってとても魅力的ですが、間取りの1階部分にこのような大開口を設けるのは、耐震性の観点から少し注意が必要です。

吹き抜け・ピロティ・ガレージなど、1階部分の壁が少ない間取りは、どうしても構造的に弱くなってしまい、建物を支える力が不足しがちになります。

特に2階が重い作り(大きなLDKなど)だと、1階が“柔構造”になり、地震時にその重さに耐えきれず倒壊リスクが高まることもあります。

もちろん、吹き抜けなどを諦める必要はありません。

もし設けたい場合は、その分、地震の力に抵抗する「耐力壁」を増やしたり、補強の梁を入れたり、揺れを吸収する制震装置を導入したりするなど、失われる強度をしっかりと確保する補強計画をセットで考えましょう。

 

2階と1階の柱・壁位置を揃える(直下率を高くする)

お家の安全性を高める隠れた重要ポイントが「直下率(ちょっかりつ)」です。これは、2階の柱や壁の真下に、1階の柱や壁がどれくらいあるかを示す「柱・壁の上下揃い率」のことを指します。

もし1階と2階の柱や耐力壁の位置がズレていると、地震時の揺れが特定の場所に集中してしまい、そこから構造破壊が起きやすくなります。

逆に、この「直下率」を高めると、上からの力の流れがスムーズに地面まで伝わるため、建物がねじれたり壊れたりするのを防ぎ、倒壊リスクをぐっと下げることができます。

間取りを考えるときは、できるだけ1階と2階の柱や壁の位置を揃えるように設計してもらうと、建物の安定性が増します。

 

階段・廊下など避難動線はできるだけ短く、明確に設計する

万が一、大きな地震が起きたとき、安全に外へ避難できるかどうかは非常に重要です。そのため、間取りを考える段階から、避難経路を意識することが大切です。

階段や廊下はできるだけシンプルで短く、障害物になるようなものを置かないスッキリとした設計を心がけましょう。

また、火災の発生も考えて、玄関だけでなく、掃き出し窓など、複数の避難ルートを確保しておくとさらに安心です。

太陽光発電や蓄電池があれば、停電時にも明かりを確保でき、より安全な避難につながります。

 

重い家具・設備の配置に注意する

地震のとき、怖いのは建物の倒壊だけではありません。家具の転倒はケガや避難の妨げになる大きな原因です。

そのため、間取り設計段階から、耐震固定できる家具や収納の配置を想定することがとても重要です。

特に、寝室や子ども部屋の頭上・横に重い棚や大きな窓を置かないことは、就寝中の安全を守る鉄則。ピアノや冷蔵庫などの重たい家具・家電は、壁に固定できる場所をあらかじめ計画しておきましょう。

また、家具や家電が倒れて避難の妨げにならないように、造り付け収納を多く設計するのも効果的です。これらの工夫で、万が一の時も安全な空間と避難経路を確保できます。

 

間取りの柔軟性は残す:将来の補強・変更を見越す設計

家は建てて終わりではありません。家族の成長やライフスタイルの変化に合わせて、間取りを変えたくなることもあるでしょう。

将来、もっと手軽にリフォームができるように、家の構造を支える「構造壁」と、部屋を仕切るだけの「間仕切り壁」を分けて設計しておくのがおすすめです。

そうすることで、将来的に「子ども部屋を二つに分けたい」といった間取りの変更や、「もっと耐震性を高めたい」などの可変性を持たせた設計をしておくと、補強工事がしやすくなります。

長く快適に住み続けるために、将来を見越した柔軟な設計も大切です。

 

地震に強い構造・工法の種類と特徴

お家の骨格となる「構造」や「工法」にも、いろいろな種類があります。それぞれに特徴があり、耐震性や得意なことが違います。

ここでは代表的なものを簡単にご紹介します。

木造

※写真はイメージ(Adobe Stock/mykeyruna)

 

日本の住宅で最もポピュラーな木造。木のぬくもりや調湿効果が魅力です。

 

在来軸組工法 

柱と梁を組み合わせて骨格を作る、日本の伝統的な工法です。

設計の自由度が高いのが特徴で、大きな窓や個性的な間取りにも対応しやすいです。

最近では、柱や梁の接合部分を金物でしっかり固定することで、耐震性を高めています。

 

枠組壁工法(2×4(ツーバイフォー)工法)

 床・壁・天井の「面」で建物を支える工法です。 

地震の力を建物全体に分散させて受け止めるため、揺れに強く、気密性や断熱性にも優れています。 頑丈な箱のようなイメージです。

 

鉄骨造

鉄の骨組みで家を建てる工法で、品質が安定しているのが特徴です。

 

鉄骨軸組工法(ブレース工法)

 柱や梁の骨組みに「ブレース」と呼ばれる斜めの補強材を入れて強度を高めます。

木造の在来軸組工法に似ていますが、より強度の高い鉄骨を使っているのがポイントです。

 

鉄骨ラーメン工法 

柱と梁を溶接などでがっちりと固定(剛接合)して、非常に強い骨組みを作る工法です。

 ブレースが不要なため、柱の少ない広々とした大空間や大きな窓を作ることが得意で、耐震性と開放的なデザインを両立させたい場合に選ばれます。

 

RC造(鉄筋コンクリート)

鉄筋の型枠にコンクリートを流し込んで作る、非常に頑丈な構造です。

 

壁式工法 

柱や梁ではなく、壁・床・天井といったコンクリートの「面」で建物を支えます。地震の力に非常に強く、マンションなどでよく使われる工法です。

 

RCラーメン工法

 鉄骨ラーメン工法と同じ考え方で、鉄筋コンクリート製の太い柱と梁で力強い骨格を作ります。

耐震性が非常に高く、高層ビルなどにも採用される信頼性の高い工法です。

 

地盤・土地選びも超重要!ハザードマップを活用しよう

※写真はイメージ(Adobe Stock/yuz) 

 

地震に強い家づくりは、建物のことだけを考えれば良いわけではありません。その家が建つ「土地」の安全性を確認することから始まります。

国が公開している「ハザードマップ」を使えば、誰でも簡単に土地の災害リスクをチェックできます。

 

地盤調査で分かること

ハザードマップで大まかなリスクを把握したら、次はピンポイントで建設予定地の地盤を詳しく調べる「地盤調査」が必須です。

 この調査では、専門家が機械を使って地面の硬さや土の種類を科学的に分析し、家を安全に支えられるだけの強さ(地耐力)があるかを判断します。

 この結果をもとに、その土地に最適な基礎の形を決めたり、次の「地盤改良」が必要かどうかを決定したりします。

 

地盤改良が必要なケース

地盤調査の結果、「このままでは家の重さを安全に支えられない」と判断された場合、地盤改良工事が必要になります。 

例えば、地表近くの土が軟らかい場合は、セメントなどを混ぜて固める「表層改良工法」 、もう少し深いところまで軟弱な層が続く場合は、地面に何本もコンクリートの柱を作る「柱状改良工法」 など、土地の状態に合わせた工事で地盤を強くします。

費用はかかりますが、家族が安全に暮らすためには欠かせない工事です。

 

ハザードマップで確認すべきこと(液状化・浸水・崖崩れ)

まずは、国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」を見てみましょう。 ここでは、ご自宅や気になる土地の情報を入力するだけで、様々な災害リスクを地図上で確認できます。

特にチェックしたいのは、

液状化リスク
大きな地震の揺れで地面が液体のようになる現象です。 昔、川や沼だった場所は注意が必要です。

洪水・浸水リスク
大雨が降った時に、どのくらいの高さまで水に浸かる可能性があるかを示します。

土砂災害リスク
がけ崩れや地すべりの危険があるエリアが色分けされています。

これらの情報を事前に知っておくことで、土地選びの失敗を防ぎ、より安全な家づくり計画を立てることができます。

 

地震に強い家に関するよくある質問(Q&A)

※写真はイメージ(Adobe Stock/hogehoge511)

 

家づくりを進めていると、いろいろな疑問が浮かんできますよね。ここでは、地震対策に関してよく寄せられる質問にお答えします。

 

Q1:耐震等級2と3ではどれくらい違う?

A1:数字の上では、耐震等級3は耐震等級2の1.2倍の強さですが、その差は数字以上に大きいと言えます。

耐震等級2は「災害時に避難所となる学校」レベルの強さで、大きな地震で損傷はしても倒壊はしないことを目指します。

 一方、耐震等級3は「災害復興の拠点となる消防署」レベルで、大きな地震の後も建物の機能を維持し、住み続けられることを目指しています。 

「命を守る」のが等級2、「命と、その後の生活も守る」のが等級3、と考えると違いが分かりやすいかもしれません。

 

Q2:免震住宅って本当に必要?

A2:すべてのお家に免震が必須、というわけではありません。免震は非常に高い安全性を誇りますが、コストが高く、土地の条件によっては設置が難しい場合もあります。 

しかし、「建物の揺れを極力なくして、家具の転倒などによる二次災害を防ぎたい」「地震の後も、すぐに普段通りの生活に戻りたい」という思いが強い方にとっては、非常に価値のある選択肢です。

ご家庭の予算や、何を一番大切にしたいかという価値観によって、必要性は変わってきます。

 

Q3:中古住宅の耐震性はどうチェックする?

A3:中古住宅の耐震性をチェックする上で、とても重要なのが「建てられた時期」です。特に、1981年6月1日以降に建築確認を受けた「新耐震基準」の建物かどうかは必ず確認しましょう。 

これ以前の「旧耐震基準」の建物は、震度5程度の地震しか想定されていないため、注意が必要です。 

さらに安心なのは、2000年に基準が強化された後の建物です。 正確な耐震性を知りたい場合は、専門家による「耐震診断」を受けることを強くおすすめします。

 

参考:国土交通省|「建築基準法」

 

Q4:地震保険って必要?

A4:地震による損害は、火災保険だけでは補償されません。地震保険に加入しておくことで、地震で被害を受けた後の生活を再建するための資金を確保できます。

特に、耐震性の高い住宅は、保険料が大幅に割引される制度があります。

例えば、耐震等級3の住宅や免震住宅は、なんと保険料が50%も割引になります。 安全な家を建てることは、万が一の備えである保険料を節約することにもつながる、賢い選択なのです。

 

参考:財務省|「地震保険制度の概要」

地震に強い家で、家族の命と未来を守ろう

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ここまで、地震に強い家づくりについて、様々な角度から見てきました。たくさんの情報がありましたが、一番大切なのは、自分たちに適した「ちょうどいい強さと予算のバランス」を見つけることです。

耐震・制震・免震のどれを選ぶか、耐震等級はどこまで求めるか、どんな間取りにするか。その一つ一つの選択が、家族の未来を守るための大切な一歩になります。

家づくりは、家族みんなが安心して長く快適に暮らせる場所を作ることです。この記事で得た知識をヒントに、ぜひご家族で話し合い、信頼できる専門家と一緒に、理想のマイホームを実現してください。

 

 

 


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