子どもの喘息を予防する家づくり【完全ガイド】設計・素材・換気のポイントを徹底解説



※写真はイメージ(Adobe Stock/takasu)

 

「子どもの咳が続くと、また喘息の発作かな?と不安になる…」 「この子のために、何かしてあげられることはないかな…」

大切なお子さんのつらそうな姿を見るのは、親として本当につらいですよね。そのお気持ち、とてもよくわかります。

実は、家づくりを工夫することで、子どもの喘息の悩みを軽くしてあげられるかもしれません。

この記事では、子どもの喘息予防につながる家づくりのポイントを、設計、素材、換気の観点から徹底的に解説します。

家づくりの段階からアレルゲン対策をすることで、お子さんが健やかに、そしてご家族みんなが安心して暮らせる家を実現しましょう。

 

この記事でわかること

  • 喘息の原因となる、家に潜むアレルゲンの正体
  • 喘息予防に効果的な家づくりの5つの重要ポイント
  • 今日からすぐに実践できる、お家での喘息対策
  • 家づくりに関するよくある質問と専門家への相談の重要性

子どもの喘息予防で知っておきたい「家に潜むアレルゲン」


※写真はイメージ(Adobe Stock/Olivia)

 

子どもの喘息の原因の多くはアレルギーです。私たちの暮らしには、代表的なアレルゲンが潜んでいます。高温多湿を好むダニは、フンや死骸がアレルゲンとなり、布団やカーペットに多く潜んでいます。

また、湿気が多い場所に発生するカビは胞子がアレルゲンとなり、浴室や結露しやすい窓際は特に注意が必要です。

さらに、これらが混ざったホコリ(ハウスダスト)や、建材に含まれるホルムアルデヒドなどの化学物質も、喘息やアレルギーの原因となることがあります。

これらのアレルゲンを家づくりの工夫で減らすことが重要です。

 

喘息予防のための家づくりで重視すべき5つのポイント

アレルゲンを減らし、子どもが快適に過ごせる家にするために、設計段階からこだわりたい5つのポイントをご紹介します。

 

1. 室内の空気を常に清潔に保つ「24時間換気システム」

汚れた空気を排出し、新鮮な外気を取り込む換気は、アレルゲン対策の基本です。2003年の建築基準法改正により、シックハウス対策として24時間換気システムの設置が義務付けられています。

 

換気システムには主に3つの種類があります。

  • 第1種換気
    給気も排気も機械で行う方法。最も確実な換気が可能で、空気の流れをコントロールしやすいのが特徴です。

  • 第2種換気
    給気は機械、排気は自然に行う方法。室内が正圧(外より気圧が高い状態)になるため、汚れた空気が外から入りにくいとされています。

  • 第3種換気
    給気は自然、排気は機械で行う方法。コストを抑えられますが、外気の温度や湿度の影響を受けやすい側面があります。

おすすめは「第1種換気」で、特に「熱交換換気システム」を選ぶと、外気の温度を室温に近づけてから取り込むため、冷暖房の効率が下がりません。

省エネと空気の質の両方を高めることができる、子育て世代にぴったりの選択肢です。

 

参考:国土交通省|住宅等における換気等に関する情報提供について

 

2. 湿度管理でカビを防ぐ

カビやダニは湿度が高い環境を好むため、室内を快適な湿度(40~60%が目安)に保つことが大切です。

加湿・除湿のバランスを考え、全館空調で家全体の湿度を均一に保ったり、珪藻土など調湿効果のある建材を活用したりするのがおすすめです。

また、断熱性の高い窓で結露を防ぎ、カビの発生を抑えることも有効です。全館空調で家自体の性能で湿度をコントロールできれば、日々の手間も省け、喘息予防につながります。

 

3. 掃除しやすい間取り・素材選び

※写真はイメージ(Adobe Stock/japolia)

 

ホコリがたまりにくく掃除が楽な家は、喘息の原因となるアレルゲンを減らす上で非常に重要です。

設計段階から床の段差や壁の出っ張りをなくし、造作家具で隙間を減らすなどホコリがたまりにくい工夫を取り入れましょう。

素材選びも大切で、床はダニが繁殖しにくいフローリング壁は水拭きしやすい素材がおすすめです。

「掃除のしやすさ」という視点で建築士さんに相談し、家族みんなが快適に暮らせるアレルギー対策の家を実現しましょう。

 

4. 自然素材を上手に取り入れる

化学物質過敏症やアレルギーが心配なら、自然素材の活用を検討しましょう。

建材は、ホルムアルデヒドの放散量が最も少ない「F☆☆☆☆(エフ・フォースター)」を基準に選ぶことが大切です。

無垢材には木の温もりと調湿効果が、珪藻土には湿度調整や消臭効果が期待できます。

ただし、傷つきやすさや費用面など、素材ごとのメリット・デメリットをしっかり理解した上で、専門家と相談しながら上手に取り入れることが後悔しない家づくりのポイントです。

 

5. 布製品を減らす収納・生活設計

カーテンやカーペットなどの布製品は、ダニやホコリの温床になりやすいため、喘息対策として極力減らす工夫が大切です。

窓には掃除がしやすいロールスクリーンやブラインドを取り入れ、床はカーペットの代わりに床暖房を導入すると冬でも快適に過ごせます。

また、衣類や布団は扉付きのクローゼットに、ぬいぐるみは蓋つきのボックスに収納するなど、ホコリが付かないように生活空間を設計しましょう。

 

今すぐできる!お家での喘息対策・予防法

家を建てるのはまだ先、という方もご安心ください。今住んでいる家でもできる対策はたくさんあります。

 

こまめに掃除する

アレルゲンの元となるホコリを徹底的に減らすには、こまめな掃除が最も効果的です。

特にダニが潜みやすい床や寝具、布製のソファは重点的に行いましょう。掃除機は、吸い取ったホコリを再び室内にまき散らさないよう、きれいな排気の「HEPAフィルター」付きのモデルを選ぶのがおすすめです。

掃除の基本は、必ず換気をしながら「上から下へ」。棚や照明器具などのホコリを先に払い落とし、最後に床全体のホコリを吸い取ることで、アレルゲンを効率よく除去できます。

 

寝具やカーテンなど布製品の管理

※写真はイメージ(Adobe Stock/manow)

 

ダニやホコリの温床になりやすい寝具やカーテンの管理は、喘息対策において非常に重要です。 加工」の布団カバーや枕カバーを活用するのも賢い方法です。

ホコリを吸着しやすいカーテンは、家庭で洗濯しやすい軽い素材のものを選んだり、掃除が簡単なブラインドやロールスクリーンに変更したりするだけでも、お部屋のアレルゲン量を大きく減らすことができます。

 

空気清浄機の設置と正しい使い方

空気清浄機は、目に見えないアレルゲンを除去する心強い味方です。

機種を選ぶ際は、喘息の原因となりうるPM2.5やホコリ、花粉などをしっかり捕集できる「HEPAフィルター」を搭載したものが望ましいでしょう。

性能を最大限に引き出すためには、設置場所の工夫が欠かせません。

人が歩いたりドアを開け閉めしたりして空気の流れが生まれやすい部屋の入り口付近や、家族が多くの時間を過ごすリビングなどの生活動線上に置くことで、効率的に室内の空気を循環させ、アレルゲンを効果的に除去することができます。

 

室内の湿度管理(40〜60%をキープ)

カビやダニは、湿度が高い環境で活発に繁殖します。そのため、室内を快適な湿度である40〜60%にキープすることが、喘息予防の観点から非常に大切です。

冬の乾燥する時期は加湿器を、夏のジメジメする季節は除湿機を併用し、常に快適な湿度環境を保ちましょう

特に、湿気がこもりやすい浴室の脱衣所や、就寝中の汗で湿度が上がりやすい寝室は、カビが発生しやすい要注意ポイントです。

各部屋に湿度計を設置して、こまめに湿度をチェックする習慣をつけることで、アレルゲンの発生を未然に防ぎましょう。

 

換気の習慣化

室内に溜まった汚れた空気やアレルゲンを屋外に排出するため、定期的な換気は欠かせません。毎日、朝と晩の2回、5〜10分程度窓を開ける習慣をつけましょう。

その際、対角線上にある2か所の窓を開けたり、扇風機を活用して「空気の通り道」を作ってあげると、家全体の空気が効率よく入れ替わります。

花粉の飛散が多い日や、雨天時などで窓を開けるのが難しい場合は、無理せず換気扇を回したり、空気清浄機を併用したりして対応するのがおすすめです。

常に新鮮な空気を取り入れることが、健やかな室内環境の基本です。

 

化学物質を避ける暮らし方

喘息の症状は、化学物質によって引き起こされたり悪化したりすることがあります。そのため、日々の生活で気道を刺激する可能性のあるものをできるだけ避けることが大切です。

お部屋の香りを良くするための芳香剤や、便利な消臭スプレーなどの使用は控えめにしましょう。

肌に直接触れる衣類を洗う洗剤や柔軟剤も、香料などが含まれていない無香料・低刺激性の製品を選ぶとお子さまにも安心です。

また、新しく家具やカーペットを購入する際は、素材や接着剤にどのような化学物質が使われているかにも注意を払いましょう。

 

ペットの毛・フケ・アレルゲン対策

ペットを飼っているご家庭では、その毛やフケ、唾液なども喘息のアレルゲンになる可能性があります。

お子さまの健康を守るためにも、ペット自身を清潔に保つことが重要です。定期的なブラッシングやシャンプーで、抜け毛やフケをしっかりと取り除いてあげましょう。

また、アレルゲンとの接触を減らすために、生活空間を分ける工夫も有効です。

ペットの居場所をリビングなどに限定し、お子さまが多くの時間を過ごす寝室や子ども部屋には入れないようにルールを決めることで、アレルギーのリスクを大きく下げることができます。

 

【Q&A】お家の喘息予防でよくある質問

※写真はイメージ(Adobe Stock/Jumpei)

 

Q. 部屋が汚いと喘息は悪化する?

  1. はい、悪化する可能性があります。ホコリやカビ、ダニの死骸などが含まれるハウスダストは、喘息の代表的なアレルゲンです。

こまめな掃除でアレルゲンを減らすことが、症状の悪化を防ぐために非常に重要です。

 

参考|厚生労働省:喘息の疾患としての特徴

 

Q. 喘息に加湿器は逆効果?

  1. 湿度の上げすぎは逆効果になることがあります。湿度が60%を超えると、カビやダニが繁殖しやすくなります。

一方で、空気が乾燥しすぎると、気道の粘膜が傷つき、ウイルスに感染しやすくなったり、発作が起きやすくなったりします。

湿度計を使い、40〜60%の適切な湿度を保つことが大切です。

 

Q. 喘息のエアコン対策は?

  1. エアコンのフィルターには、ホコリやカビが付着しやすいため、こまめな掃除が欠かせません。

フィルター掃除を定期的に行うことで、きれいな空気を保つことができます。

また、エアコンの風が直接体に当たると、気道を刺激することがあるため、風向きを調整する工夫もしましょう。

専門家に相談しながら後悔しない家づくりを

※写真はイメージ(Adobe Stock/japolia)

 

子どもの喘息予防を考えた家づくりは、専門的な知識も必要になります。

設計士や工務店には、最初の段階から「子どもの喘息を予防できるような家にしたい」という要望をしっかり伝えましょう

実績のある会社であれば、換気システムや建材について、具体的な提案をしてくれるはずです。

また、換気システムや断熱性能などは、モデルハウスで実際に体感してみることをお勧めします。空気の清浄さや、室内の温度・湿度の快適さを肌で感じることで、納得のいく家づくりにつながります。



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