夫婦で考える【将来の家のこと】事前に話し合うべきポイントは?
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「今は賃貸で特に大きな不便はないけれど、このままずっと賃貸でいいのかな?」
「子どもが生まれたら、今の広さでは手狭になるかも…」
そんな漠然とした不安を抱え始める30代・40代のご夫婦は少なくありません。
マイホームを買うなら、いつがいいの?
どこに、どんな家を建てるのが私たちに合っているんだろう?
そもそも、本当に買った方がいいの?
将来の住まいに関する悩みは尽きません。それは、単に「家」というモノを選ぶだけでなく、これからのライフプランや家族のあり方、そして大切にしたい価値観そのものを見つめ直す作業だからです。
だからこそ、夫婦二人でじっくりと向き合い、納得のいく答えを見つけ出すプロセスが何よりも重要になります。
この記事では、そんな将来の住まいに関する悩みを抱えるご夫婦に向けて、具体的な話し合いの進め方や、判断基準となるポイント、そして知っておくべき情報を分かりやすく解説します。
夫婦で将来の家を考えるべきタイミングは?
「いつかは欲しいけど、具体的にいつ考え始めたらいいの?」多くの夫婦が抱えるこの疑問。実は、将来の家について考え始めるのに「早すぎる」ということはありません。
むしろ、いくつかのライフイベントは、自然と家のことを考える良いきっかけとなります。
家の購入を考える代表的なきっかけ
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将来の住まいについて夫婦で話し合うきっかけは、人生の様々な節目に訪れます。
結婚直後|ライフスタイルを固めるタイミング
結婚は、二人のライフスタイルを本格的に築き始める大きな節目です。新生活のスタートに合わせて、将来の住まいについて話し合うのは自然な流れでしょう。
特に共働きの場合、お互いの通勤の利便性や、将来の家族計画を視野に入れた住まい選びの第一歩となります。
結婚してすぐに購入に動く方の中には、「結婚式も終わって次は家かな」といったイメージを持っていたり、「いずれ家を買うのだから早いほうがいい」と考えていたりするケースが多いようです。
出産前後|子どものための環境を整えたい
お子様の誕生は、住まいに求めるものが大きく変わるタイミングです。
「今の家では手狭になる」「子育てしやすい環境に移りたい」といった具体的なニーズが生まれます。
妊娠中から、子どもの成長を見据えた広さや間取り、周辺環境について考え始めるご夫婦が多いです。
子どもが小学校に入る前|学区や通学を見据える
お子様の小学校入学は、学区や通学の利便性を考慮した住まい選びの重要なきっかけとなります。
転校を避けるため、入学前に定住地を決めたいと考えるご家庭も少なくありません。
また、この時期になると子育ての方針が具体的になり、教育環境を重視する傾向も強まります。
小学校入学前に購入すれば、子どもを転校させずに済み、新しい環境で親子共に友人を作りやすいというメリットも考えられます。
転職や転勤|生活圏の変化に伴う住み替えニーズ
勤務地の変更は、生活圏が大きく変わるため、住み替えを検討する直接的な理由になります。
新しい勤務先に合わせた通勤時間や、家族全体の生活スタイルを再構築する良い機会とも言えるでしょう。
これらのライフイベントは、あくまでよくあるとされるきっかけです。大切なのは、夫婦の状況や価値観に合わせて、最適なタイミングを見極めることです。
タイミングを逃すと後悔してしまうことも
「まだ早いかな」「もう少し先でもいいか」と先延ばしにしていると、思わぬ後悔に繋がることもあります。特に年齢と住宅ローンの関係は密接です。
年齢と住宅ローン審査への影響
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住宅ローンの審査では、「完済時年齢」が重視されます。多くの金融機関が完済時年齢を80歳未満と設定しているため、例えば35年ローンを組む場合、44歳が実質的な上限年齢となることがあります。
国土交通省の調査でも、金融機関の98%以上が完済時年齢を融資の際に考慮する項目として挙げています。年齢が上がるほど、組めるローンの期間が短くなったり、借入可能額が減ったり、そもそも審査に通りにくくなる可能性があります。
また、団体信用生命保険(団信)への加入が住宅ローンの必須条件となる場合が多く、健康状態も審査に影響します。
一般的に、年齢とともに健康リスクは高まるため、健康なうちにローンを組む方が有利と言えるでしょう。
参考:(住宅ローンには審査基準がある!年収・年齢・勤続年数など住宅ローンの審査に影響する項目をチェック|住宅ローン)・国土交通省|令和5年住宅市場動向調査報告書
ライフプランの変化への対応の遅れ
住まいに関する決断を先延ばしにすることで、いざという時に選択肢が狭まってしまう可能性も考慮すべきです。
例えば、お子様が成長してから慌てて広い家を探し始めると、希望の学区に良い物件がなかったり、予算オーバーになったりすることも。
計画的に準備を進めることで、より多くの選択肢から理想の住まいを選べる可能性が高まります。
タイミングを意識することは、将来の選択肢を広げ、より有利な条件で理想の住まいを実現するためにとても大切です。
【住まい選びの基本】持ち家or賃貸、どっちを選ぶ?
将来の住まいを考える上で、避けて通れないのが「持ち家か、賃貸か」という選択です。それぞれにメリット・デメリットがあり、どちらが絶対的に良いということはありません。大切なのは、夫婦のライフスタイルや価値観、将来設計にどちらがより適しているかを見極めることです。
持ち家のメリット
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「いつかは自分の家を」と考える方は多いでしょう。持ち家には、賃貸にはない魅力がたくさんあります。
資産になる
最大のメリットは、住宅ローンを完済すれば家が自分の資産となる点です。
将来的に売却して住み替えの資金にしたり、子どもに残したりすることも考えられます。
建物自体の価値は経年劣化しますが、土地の資産価値は残り続ける可能性があります。
自由にリフォームできる
間取り変更や設備の交換、内装デザインなど、自分たちのライフスタイルや好みに合わせて自由にカスタマイズできます。
壁紙の色を変えたり、キッチンを最新のものにしたり、ペットを飼うために床材を変えたり、趣味の部屋を作ったりといった希望も叶えやすいでしょう。
家賃が不要になる
住宅ローン完済後は、月々の大きな住居費負担がなくなります。
特に老後の生活において、年金収入が主となる中で住居費の心配が減るのは大きな安心材料です。
持ち家のデメリット
一方で、持ち家にもデメリットやリスクが伴うことも理解しておきましょう。
不動産を購入すると簡単には引っ越せなくなるため、急な転勤や離婚、家族構成の変化といったライフスタイルの変動に対応しにくいという側面があります。
また、経済的な負担も少なくありません。毎年、固定資産税や都市計画税が課されるほか、マンションであれば管理費や修繕積立金も継続的に支払う必要があります。
それに加え、建物の経年劣化による外壁塗装、屋根の修理、設備の交換など、将来的に発生するメンテナンス費用はすべて自己負担となります。
多くの人にとって、住宅ローンという長期にわたる負債を抱えることは精神的なプレッシャーになる可能性も考えられます。
さらに、収入が減少した際にも、ローンの返済額や税金といった住居費を簡単には下げられないという点も、持ち家ならではのリスクと言えるでしょう。
賃貸のメリット
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ライフスタイルの変化に柔軟に対応できるのが賃貸の大きな魅力です。
ライフステージの変化に柔軟
家族構成の変化(出産、子どもの独立など)や転勤、あるいは近隣トラブルがあった場合など、ライフステージや状況の変化に合わせて気軽に住み替えが可能です。
「いつでも自由に引越しができる」という身軽さが最大の魅力と言えるでしょう。
初期費用が安い
持ち家購入時に必要な多額の頭金や諸費用に比べて、敷金・礼金・仲介手数料などの初期費用を大幅に抑えられます。
その分、他のことにお金を使える余地が生まれます。
賃貸のデメリット
賃貸は持ち家とは異なり、ずっと家賃を支払い続ける必要があり、これは老後の家計を圧迫する大きな要因となり得ます。
いくら長期間にわたって家賃を支払っても、その住まいが資産として手元に残らない点は、持ち家との決定的な違いでしょう。
また、住まいにおける自由度が低いことも悩みの一つです。自由にリフォームやDIYをすることはできず、壁に釘一本打つのにも許可が要る場合があります。
ペットの飼育や楽器の演奏に関しても制限が設けられている物件は少なくありません。
さらに、高齢になると健康上の理由や保証人の問題から、新たに賃貸契約を結ぶのが難しくなるという現実も指摘されています。
「家賃を払い続けることが無駄ではないか」と感じたり、定期的な契約更新があるため、永住するという安心感を得にくいと感じる方もいるでしょう。
夫婦で話し合っておきたい“家の価値観”チェックリスト
「理想の住まい」のイメージは、夫婦それぞれで異なるものです。「こんなはずじゃなかった…」という後悔を防ぐためには、お互いが家に対してどのような価値観を持っているのか、事前にしっかりとすり合わせることが不可欠です。
家づくりは、夫婦の夢を形にする共同作業。だからこそ、お互いの想いを丁寧に確認し合う時間が必要です。
以下のチェックリストは、夫婦で家の価値観について話し合うための一例です。二人で一緒に考え、それぞれの希望や優先順位を書き出しながら、理想の住まい像を具体的にしていきましょう。
夫婦で話し合っておきたい【家の価値観】チェックリスト
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このチェックリストは、どちらかの意見を押し通すためのものではありません。お互いの考えを理解し、尊重し合い、二人にとって最良の選択肢を見つけるためのツールとして活用してください。
立地全般
- 都心部 or 郊外?
- 駅からの距離(徒歩何分以内が理想?)
通勤・通学
- 職場への通勤時間(許容範囲、乗り換え回数)
- 子どもの通学(学区、学校までの距離)
周辺環境
- スーパー、コンビニの近さ
- 公園、緑の多さ
- 保育園、学校、塾の近さ
- 病院(小児科、かかりつけ医)の近さ
- 治安の良さ
住まいの種類・形態
- 戸建て or マンション?
- 新築 or 中古?
- 注文住宅 or 建売住宅 or リノベーション?
広さ・間取り
- LDKの広さ、理想の形
- 寝室の数、広さ
- 子ども部屋の数、広さ、将来的な使い方
ライフスタイル・価値観
- 庭の要否、広さ、用途
- 親との同居・近居の可能性、実家との距離
その他・将来のこと
- 将来の家族構成の変化(子どもの人数など)
- 家でどんな時間を過ごしたいか
チェックリスト活用のポイント
正直に、具体的に書く
遠慮せずに、自分の本当の気持ちや具体的なイメージを書き出しましょう。
「なんとなく広い方がいい」ではなく、「家族4人でゆったり過ごせる20畳以上のリビングで、南向きの日当たりが良い場所」のように具体的に表現することが大切です。
理由も添える
なぜそう思うのか、理由を添えることで、お互いの考えの背景が理解しやすくなります。「駅近がいい」のは「通勤時間を短縮したいから」なのか、「夜道が安全だから」なのかで、代替案も変わってきます。
優先順位をつける
全ての希望を叶えるのは難しいかもしれません。「絶対に譲れない条件」「できれば叶えたい条件」「妥協できる条件」など、優先順位をつけておくと、意見がぶつかった時の判断材料になります。
定期的に見直す
話し合いを進める中で、考えが変わることもあります。一度作って終わりではなく、定期的に見直し、更新していくことが重要です。
このチェックリストを通じて、夫婦がお互いの価値観を深く理解し合うことが、後悔しない家選びの第一歩です。
価値観は、お金に関することだけでなく、日々の生活で何に重きを置くか、どんな瞬間に幸せを感じるかといった、より根本的な部分にも関わってきます。
そうした深いレベルでの共有が、真に満足できる住まいづくりへと繋がるでしょう。
関連記事:夫婦二人暮らしにちょうどいい間取りは?人気のタイプと失敗しない選び方
将来を見据えて考えるべき「お金」と「家の持ち方」
※写真はイメージ(Adobe Stock/Dilok)
理想の住まいを思い描くだけでなく、それを実現するための「お金」の話は避けて通れません。
特に、住宅ローンという長期にわたる契約を結ぶ可能性がある持ち家の場合は、慎重な資金計画が不可欠です。ここでは、将来を見据えたお金の考え方と、住宅ローンの組み方について解説します。
年収と支出のバランスから「買える価格帯」を考える
マイホームは人生で最も大きな買い物と言われます。まずは、現在の世帯年収と毎月の支出を正確に把握し、将来にわたって無理なく返済できる予算を立てることが重要です。
一般的に、住宅ローンの借入額の目安は「年収の5〜7倍以内」、年間の返済額は「年収の20%〜25%以内」が望ましいとされています。
年収別 住宅ローン借入可能額・月々返済額 目安
(金利1.5%、返済期間35年、元利均等返済、ボーナス払いなしの場合の試算例)
世帯年収 |
借入可能額目安 |
月々返済額目安 |
月々返済額目安 |
500万円 |
2,500万円~3,500万円 |
約8.3万円 |
約10.4万円 |
600万円 |
3,000万円~4,200万円 |
約10.0万円 |
約12.5万円 |
700万円 |
3,500万円~4,900万円 |
約11.7万円 |
約14.6万円 |
800万円 |
4,000万円~5,600万円 |
約13.3万円 |
約16.7万円 |
1000万円 |
5,000万円~7,000万円 |
約16.7万円 |
約20.8万円 |
注:上記はあくまで簡易的な目安であり、実際の借入可能額や返済額は金融機関の審査、金利、個人の状況により異なります。
ただし、これらはあくまで一般的な目安です。家族構成(子どもの人数など)やライフプラン(教育方針、趣味、旅行など)によって、家計にかけられる住居費の割合は大きく異なります。
教育費・老後資金とのバランス
住宅ローンは大きな支出ですが、子どもの教育費や老後資金など、人生全体の資金計画の中で予算を考えることが大切です。
ファイナンシャルプランナー(FP)に相談して計画表を作成してもらったり、シミュレーションツールで試算したりするのもおすすめです。
頭金は物件価格の1〜2割が目安とされますが、多く払うほど返済は楽になる一方、手元の資金が減り急な出費への対応が難しくなるリスクも伴います。
低金利の背景から、最近では頭金なしの選択肢も増えています。
他のライフイベントに必要な資金とのバランスを考え、家庭にとって無理のない額を見極めることが何より重要です。
ローンの借り方
共働き夫婦が住宅ローンを組む方法には、主に「単独ローン」「ペアローン」「収入合算」の3つがあります。
- 単独ローン
夫婦のどちらか一方が契約するシンプルな方法 - ペアローン
夫婦がそれぞれローンを組むため、借入額を増やせ、二人とも住宅ローン控除を受けられる - 収入合算
二人の収入を合わせて一つのローンを組む方法。借入可能額を増やせる。
二人分の収入をあてにするペアローンや収入合算には注意が必要です。
ペアローンでは、片方に万一のことがあっても、もう一方のローン返済は残ります。収入合算(連帯保証型)では、主債務者しか生命保険(団信)に加入できず、配偶者に何かあっても返済額は変わりません。
産休・育休など将来の収入変動リスクも踏まえ、現在の収入だけで判断するのではなく、長期的な視点で無理のない返済計画を立てることが重要です。
持ち家 vs 賃貸、生涯コストはどちらがお得?
「持ち家と賃貸、トータルで見てどちらがお得か」という問いに、正解はありません。
購入する物件価格や住宅ローン金利、家賃設定や将来の修繕費など、多くの変動要素によって生涯コストは大きく左右されるためです。
生涯コストを比較する際、持ち家はローン返済の他に固定資産税や大規模な修繕費が継続的にかかります。
一方、賃貸は設備の修繕費は大家負担ですが、家賃と数年ごとの更新料を生涯にわたって支払い続ける必要があります。
重要なのは、単純な金額の比較以上に、自身のライフプランや価値観に合っているかです。
転勤が多く住み替えの自由さを重視するなら賃貸、一つの場所に腰を据えて自分好みの空間で暮らしたいなら持ち家が適しているでしょう。
最終的には「何年住めば賃貸より得か」という損益分岐点だけでなく、QOL(生活の質)や精神的な満足度といった、数字では測れない価値も考慮して総合的に判断することが大切です。
夫婦間のすれ違い・意見のズレを解消する方法
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家づくりは夫婦にとって大きな共同プロジェクトですが、お互いの育ってきた環境や価値観が異なるため、意見がすれ違ったり、時には衝突したりすることも少なくありません。
「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためにも、意見のズレを上手に解消していく工夫が必要です。
よくあるすれ違いパターン
家づくりを進める過程で、夫婦間で意見が分かれるのはごく自然なことです。
例えば、住みたい場所一つをとっても、「駅に近い利便性の高い立地」を望む声と、「多少不便でも自然豊かな郊外の静けさ」を求める声が対立することがあります。
お互いの実家や職場との距離など、立地に関する希望はさまざまです。
さらに、住宅ローンの負担といったお金に関する価値観の違いも出やすいポイントです。
「いくらまでなら借りても大丈夫か」「毎月の返済額はどの程度にするか」といった資金計画は、将来の生活に直結するため重要な論点となります。
家の内部に関しても、広いリビングを優先したいパートナーと、充実したキッチンや収納を重視するパートナーとで希望が食い違うなど、広さや間取り、設備における優先順位も人それぞれです。
最も大切なのは、「夫婦でも意見が違うのは当たり前」という認識から始めることです。その上で、お互いの希望を尊重し、丁寧に話し合いながら歩み寄る努力が求められます。
解消法①一緒に住宅展示場や物件を見学して体感共有
家づくりにおける夫婦のイメージのズレは、言葉や図面だけでは埋めにくいものです。住宅展示場やモデルルームを訪れ、広さや日当たり、素材の質感を一緒に「体感」することで、初めて具体的なイメージが共有でき、話し合いの土台が生まれます。
見学の際は、ただ漠然と見るのではなく、「今日はキッチンの動線を確認する」などと目的を絞ると有意義です。
子連れでも訪れやすい住宅展示場なら、複数のメーカーを比較しながら気軽に利用できます。
実際に見て触れることで、「思っていたよりこの広さで十分」「この設備は不要だね」といった新たな発見や意見の歩み寄りも生まれやすくなるでしょう。
解消法②お互いの希望をリスト化し、優先順位をつける
「家の価値観チェックリスト」(前述)を活用し、お互いが家に求める「絶対に譲れない条件」と「できれば叶えたい条件」・「妥協しても良い条件」を具体的に書き出してみましょう。
全ての希望を100%叶えることは難しい場合がほとんどです。だからこそ、「妥協」が大切になってきます。
そのリストをもとに、「我が家にとって本当に大切なものは何か」を話し合い、お互いの最優先事項を尊重しつつ、他の部分で調整するなど、バランスの取れた着地点を探すことが重要です。
解消法③第三者(FP・住宅アドバイザー)に相談する
夫婦だけの話し合いでは、どうしても感情的になってしまったり、専門的な知識がなくて堂々巡りになったりすることがあります。そんな時は、中立的な立場の専門家に相談してみるのがおすすめです。
- ファイナンシャルプランナー(FP)
住宅ローンや資金計画に悩むなら、ファイナンシャルプランナー(FP)への相談をおすすめします。FPは教育費や老後資金まで含めた家計全体のアドバイスをくれます。
特に、特定の金融機関に属さない独立系FPなら、中立的な立場で複数の商品を比較し、最適なローンを提案してくれるでしょう。
相談に行く際は、事前に源泉徴収票や家計簿など、資産状況がわかる資料を準備しておくと、よりスムーズで具体的なアドバイスが受けられます。
- 住宅アドバイザー/ホームインスペクター
物件選びのポイント、間取りの相談、希望する住宅の性能(耐震性、断熱性など)、建築会社選び、施工品質のチェックなど、建物そのものに関する専門的なアドバイスが得られます。
夫婦間で「この間取りで本当に良いのか」「この立地で大丈夫か」といった意見が分かれた際に、専門家の客観的な視点からの意見を聞くことで、納得のいく結論に至りやすくなります。
将来の家のことは「今から」夫婦で向き合って話そう
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住まいは家族の暮らしの基盤であり、夫婦の将来設計そのものに関わる重要なテーマです。
結論を急ぐ必要はありませんが、「今から」夫婦でしっかりと向き合い、話し合いを始めることが、後悔しない未来への第一歩となります。
「買う・借りる」の結論より、「将来像の共有」が重要
住まい選びは「買うか借りるか」の結論より、「どんな暮らしを送りたいか」という夫婦の未来ビジョンを共有することが大切です。家は理想の暮らしを実現する手段に過ぎません。
話し合いでは、まず家や暮らしに何を求めるかという価値観を確認し、本質的な問いかけでお互いの想いを探ってみましょう。
次に将来の家族構成、教育、介護、老後まで見据えたライフプランを立て、現実的な予算を設定・基礎知識を身につけながら情報収集・実際に物件を見学・必要に応じて専門家にも相談していきましょう。
将来の家について考えることは、時に意見がぶつかる根気のいる作業ですが、夫婦がお互いを深く理解し、共通の未来を描く大切なプロセスでもあります。
焦らず一歩ずつ、「我が家の未来」を築いていきましょう。